「できることもちよりワークショップ」の概要説明

鈴木 直也氏

よろしくお願いします。

「できることもちよりワークショップ」の概要説明:スライド1(図の内容)

ビデオの中でもかなり詳しく説明されていましたが、ワークショップのスタートは、先ほどの共和病院さんも苦労されたとおっしゃっていた、ワークショップに来ていただく方への参加依頼から始まります。とにかく参加していただきたい方に声掛けして、説明して、来ていただく。このプロセスが後々非常に響いているのか、大きな力になっていきます。ここを端折ってしまいますと、その次の展開に行く時に力が弱いということになるのです。やはりちゃんと依頼して、声かけをして、来ていただくということが、後々に重要なポイントです。共和病院さんはこのプロセスを丁寧に行ったからこそ、その後は参加者の繋がりでどんどん参加者の方が集まったということをおっしゃっていたかと思います。そして、今までの説明になかったところなのですが、この「できることもちよりワークショップ」は、一つの地域で、孤立している人の事例を中心に考えていきますが、実は、この事例を作成するということが、非常に大きなポイントになっています。参加者の顔ぶれを見て、地域の課題に応じて事例を作成する。時には地域の方にヒアリングをして作成することが大事になります。

「できることもちよりワークショップ」の概要説明:スライド2(図の内容)

例えば愛知県など、外国人の方が多いので外国人の事例も結構重要ですけども、他の外国人の方が少ないような地域に、外国人の事例を持ってきてしまうと、あまりピンとこないということになりますので。地域の実情に合わせた事例を作ることが非常に重要なポイントとなってくると思っています。ワークショップに入る時にさまざまな方に集まっていただくのですが、その方たちが今どんなことをされているか、どんな仕事、関係の活動をされているか。そして何に関心を持っているかということをこのように丸いシール(カラーラベル)で貼っていただきます。例えば、私は就労に関心がありますとか、子どもに関心がありますとか、居場所に関心がありますとか、若者に関係がありますとか、外国人に関係がありますとか、労働とか法律に関係がありますとか。ワークショップは、参加者の関係とか関心のある分野について、ラベルを貼っていただくことからスタートします。

その後のワークショップの流れは4つのステップで考えています。

「できることもちよりワークショップ」の概要説明:スライド3(図の内容)

ステップ1で、事例を読んで自分ができることを考える。ステップ2で、その一人ひとりができることを出し合って、グループでまとめる。そのグループでもできないことは何なのか、本当に必要で、今、私達にできることは何なのかを明確にする。そして、ステップ3で、他のグループがそのグループにできないことに対してできること、自分たちが他のグループにできることを持ち寄るということをします。そして、元のグループに戻ります。最後に、本人からの手紙を読んで、あるべき未来について考える。このような流れで考えています。

ビデオの説明とも繰り返しになるのですが、このワークショップの参加、目的のポイントは、自由な発想でポジティブに参加していたことが非常に大事になります。何か意見を書いても、「それって」と、否定されると意見を出しにくくなるので。あと「必ず書いたのだからやれよ」とか、「やりなさい」と言われると、なかなか書くことにも躊躇してしまう。実施を約束するものではなく、自分のできる可能性があれば書くということは、非常に重要だと思います。そして、これも繰り返しになりますが、問題解決を目指してしまうと、なんか、あれもこれも知りたいとか、情報が足りないとか言って、専門家の人たちが、どうしても強い立場での場になってしまいます。問題解決を目指すのではなく、ここに参加する人のできることをよりたくさん、限界まで出来ることを出してみようということが目的になります。ワークショップをそういう場所にすることによって、ワークショップ自体が活性化していくことになります。

「できることもちよりワークショップ」の概要説明:スライド4(図の内容)

「できることもちよりワークショップ」の概要説明:スライド5(図の内容)

具体的に事例を読むところから説明していきたいと思います。各グループに事例が配布され、それを読むことから始めます。グループごとに違う事例となっていますので、自分のグループは自分の事例を、隣のグループの方は、違う事例を読んでいるという形でスタートします。そして、事例を読んで、自分のできることを考えて、黄色い付箋に書いていきます。

例えば、部屋の片付け、ゴミ出しを手伝うことができるとか、月に一度一緒に夕ご飯作って食べることができるとか。心理検査のできる病院を紹介することができるなど、自分でできることをいっぱい書いていきます。

一人ひとりができることをいっぱい書いたら、黄色い付箋に書いた内容を発表しながら模造紙に貼っていきます。貼っている時に、例えば、これは仕事に関することだとか、これは見守りに関すること、これは教育に関すること、というように出した付箋をグループにしながらまとめていく、整理していくというステップがあります。

大体整理されていきますと、本当は必要だけど、このグループの人ができない、本当はあったらいいなというようなSOS付箋を出して、例えば保証人なしで借りられる住居を提供して欲しいとか、一緒に博物館に行って恐竜の知識を教えてくれる人がいたらいいとか。自分達はできないけれども、他のグループの人たちに、できる人はいませんかというサインをSOSとして、赤い付箋に貼っていきます。

次に、自分のグループを離れて、別のグループに移動します。別のグループに行くと、別のグループのSOS(赤い付箋)に、これできませんか、助けてください、こんな人いませんかというのがいっぱい貼ってあるので、自分ならこれできるというのがあれば、貼っていきます。例えば保証人なしで借りられる住居を提供して欲しいということに対して、それだったら紹介できるという場合は、「保証人不要、礼金敷金不要の物件を紹介できます」のようなことを貼っていく。これによって問題、SOSが解決していくようなことをやっていきます。

このSOSを別の一つのグループだけではなく、二つ目の別のグループ、三つ目の別のグループと回りながらSOSを埋めていきます。最後はまた自分のグループに帰ってきて、それを眺めます。自分のグループを出た時には、まだまだ付箋が埋まっていなかったのに、出来ることが少なかったのに、戻ってくると、出来ることでいっぱいになっている状況を目の当たりにします。

その後、丸いシール(カラーラベル)をいいな、素敵だなという支援に貼っていく作業をします。そしてシールが貼れた状態の成果を皆さんで共有して、今日一日の成果を振り返ります。

「できることもちよりワークショップ」の概要説明:スライド6(図の内容)

「できることもちよりワークショップ」の概要説明:スライド7(図の内容)

「できることもちよりワークショップ」の概要説明:スライド8(図の内容)

「できることもちよりワークショップ」の概要説明:スライド9(図の内容)

「できることもちよりワークショップ」の概要説明:スライド10(図の内容)

「できることもちよりワークショップ」の概要説明:スライド11(図の内容)

「できることもちよりワークショップ」の概要説明:スライド12(図の内容)

「できることもちよりワークショップ」の概要説明:スライド13(図の内容)

「できることもちよりワークショップ」の概要説明:スライド14(図の内容)

ワークショップは、ここで終わらず、最後の最後にちょっとしたドラマが待っています。それはご本人(支援対象者)からお手紙が届くというものです。この手紙を書くのも、実は準備として非常に重要な作業なのですが。日頃からご本人がおっしゃっていることとかをヒントにしながら、手紙を用意しています。そして、その手紙をその時にご本人から届いたという形で手紙を配布し、その手紙を読んでいただくというプロセスになります。手紙の内容は、結構ショッキングなことが書かれてあることが多く、この手紙を読むと、皆さんどんよりとした、ちょっと涙ぐんでしまう方もいらっしゃいます。手紙を読んでいただいて、ご本人の気持ちをもう一度確認した上で、私たちの支援が一方的にならないように、ご本人の気持ちも踏まえた上で、どのような地域になるといいのか、どんな未来になっていくといいのかということを話し合い、ワークショップを終了するという流れになっています。

「できることもちよりワークショップ」の概要説明:スライド15(図の内容)

「できることもちよりワークショップ」の概要説明:スライド16(図の内容)

「できることもちよりワークショップ」の概要説明:スライド17(図の内容)

ワークショップ後は、大体2パターンぐらいに分かれると思っています。

1つ目は、ワークショップが起爆剤となり、次々に地域アクションが起こることで、そこで出会った人たちが次に一緒にあれやろうとか、私たちに今度ここでやるから協力してと、言いながら繋がって、協働のアクションが生まれていくというパターン。名刺交換されたり、終わった後に話し込んだりしながら。共和病院さんでも、参加者について、クリスマスツリーに張り付けておくことによってコミュニケーションが生まれたとおっしゃっていましたが。今までなかったことによって、新しい動きが生まれるのが、このパターン1です。

「できることもちよりワークショップ」の概要説明:スライド18(図の内容)

できることもちよりワークショップの事例は、実は、本当の事例ではなく、少し創作した事例なのです。実在の事例を使ってしまうと個人情報のこともあり、守秘義務が大変ですので。誰か実在するモデルの方いらっしゃっても、少し変えて、仮想事例として作るのですが。ワークショップ後に、もう少し、情報をちゃんと保守できる人たちが集まって、リアルな会議を行う。実は、これがパターン2で、よく行われています。人数をすごく絞り込んで5、6人集めて、リアルに困っている人を何とかしようという会議を行う。「リアルできもち会議」と書いていますが、そういったパターン。いろんな地域でパターン1が起きる地域もあれば、パターン2の方が中心になっていく地域もあり、両方起こりうる地域もあります。こんな形で展開されていくというのが、ワークショップ後の展開だと思います。

このような形で準備からワークショップ後の展開まで進むということが、少しでもご理解いただけるとありがたいと思います。

私の説明は以上で終了させていただきます。ご清聴ありがとうございます。

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