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第3回アジア太平洋CBR会議

「ひとりぼっちにならない、させない 板橋のやさしいまちづくり」

1 地域分類:東京都板橋区 <人口>約54万人(高齢化率 22.6%、障害者手帳取得者 29,212人、精神科病床数は都内第3位) <歴史>江戸時代に宿場町として栄えた。明治時代以降も身寄りのない人々の保護施設等、多様な人々を迎えてきた。<産業>印刷関連・精密機器関連

図1(図の内容)

2 板橋区の地域課題:社会的孤立を防ぐ、共に生きるまちづくりのパートナーシップ構築への挑戦。クラブハウス サン・マリーナは、世界の国々と連帯して「偏見」「自己決定権の侵害」「隔離」という3つの障壁(バリア)の克服へ向けて取り組んでいる。

3 インクルーシブの方法:

■拠点;日本初のクラブハウス「サン・マリーナ」の運営を通した相互支援の実現を図る。

基本原則は「だれでも来ることが出来る」「意味ある人間関係を持つ」「意味ある仕事につくことができる」「いつでも帰ってくることができる」

「計画・決定」「運営」「担い手」という三層の参加により、メンバーと職員の対等な関係を保障している。

行政とのパートナーシップ

板橋区行政は、社会福祉法人JHC板橋会とのパートナーシップにより、日本で初めて、かつ唯一の地方自治体の補助事業として、サン・マリーナを22年以上にわたり継続して支援して下さっている。

板橋区長 坂本 健氏「だれを対象にどんな活動をするかは、時代によって変わる。クラブハウスモデルは人間の活動の全てに関わるので、時代と地域のニーズの先取り役を果たしている。そして、クラブハウスの柔軟な活動は時代のニーズに合わせられる強みがある。」

「メンバーの皆さんは仲間の課題を自分のことのように受け止めている。仲間の姿を見て自信と力になっている。地域の方も含めて、自分が支援してみたいという活動の原点であり、地域福祉で大切な活動と認識している。特に、友愛訪問活動は全ての地域が抱える課題の解決に通じるものであり、高齢化社会に向けて、民生委員や介護の訪問活動と内容と考えは一緒である。いつ、だれが障がいを持つようになるか分からない。だれもが他人ごとではないという、そういう板橋になってほしいと願っている。」

■ニーズ:メンバー、職員、まちの人々、行政との徹底した情報共有によるニーズ把握が基本になっている。

4 事業/プロジェクト運営

■財源:板橋区の単独補助金、寄附金、バザー収入、社協・共同募金会助成金等

■ネットワーク:サン・マリーナ諮問委員会を中核とした広がり

5 エンパワメントの対象:主に精神障がいを有する人々。また板橋区の住民。

6 変化

■当事者(家族)

  1. 保健 「健康増進」「リハビリテーション」
    • 毎日通う場があり、日課としての役割分担作業により規則正しい生活(起床と就寝時間が一定)になり、心身ともに健康に向いている。また、生活のリズムを崩しても立て直しやすくなった。
    • 仲間同士の苦楽の分かち合いが精神病の再発予防になっている。
    • 毎月1回の顧問医による医療相談及び服薬講座で質の良い医療につながる。
    • 皆で食事作りをして、バランスの取れた栄養のある食事をとることができる。
    • コミュニケーションを学び、発言力が得られた。そして、記憶力が増した。この事により心身の健康が得られた。
    • 皆さんとふれあう事によって、毎日が充実していて楽しい。また病気もサン・マリーナへ通う事で良くなり、とても私にとってありがたい。

図2(図の内容)

5. エンパワメント「アドボカシーとコミュニケーション」「自助グループ」「障害当事者団体」

  • サン・マリーナにくると精神保健福祉関連の一番新しい情報を取り入れることができる。クラブハウスインターナショナル(世界クラブハウス連盟)の活動などを通じて、広い世界へ視野が広がり、情報アクセスの良さを実感している。
  • サン・マリーナに参加する人は平等な立場で参加することができる。平等な場が身近にあることが心強い。ここに来れば迷ったり困ったりしてもその気持ちを聞いてもらえる。私には無くてはならない場所。
  • 以前と比べると地域との関わりが深くなっていると感じる。サン・マリーナが地域の方たちに知られるようになった。バザーを通して地域との交流ができて面白い。
  • サン・マリーナに来るたびに心が温かくなる。いつでも受け入れられて安心していられる場になっている。ありがたい場で、感謝している。
  • 私自身の社会の見方が、サン・マリーナに来ることで変わった。まもりん坊ハウスのバザー、カフェすまいるの運営など地域の人たちを通して、利害関係なしで活動している姿を見て、私の社会性が変わった。地域の人たちと一緒になっていることで、社会の中の自分と考えるようになった。地域をどのようにしようか考えている人が多い。サン・マリーナは居心地がよく、人間らしい人間になっていく。
  • サン・マリーナのメンバーになって1年がたった。ようやくミーティングを把握し、料理の腕も上がった。今後もボランティア精神で頑張りたい。
  • バザーでみんなが大活躍しているのを見て、それぞれの得意なことがあってすごいなと思った。

■地域

エンパワメント「コミュニティを動かすこと」

① 場所の変化

地震の後、移転を余儀なくされたが、諮問委員が不動産業者や大家さんを紹介してくれ、ビルの3階から人通りの絶えない川越街道沿いの1階に引っ越した。そこでは、外から活動の様子が見えやすくなり、地域とのコミュニケーションが深くなった。

② 諮問委員を通しての人とのつながり

  • 諮問委員が地域の橋渡し役を担っている。諮問委員会の立ち上げ当初は会の維持に精一杯だったが、今は諮問委員との距離が近くなり、二人三脚のような活動をしていると感じる。諮問委員の方たちにとっても、サン・マリーナが心の支えと楽しみになっている。私たちも地域交流が出来る様になって、楽しい活動になってきた。最初は手探りだが、お互いが顔見知りになって協力し合って繋がっていった。
  • 平成27年6月のバザーで地域の方から「まもりん坊バザーはどこですか」と聞かれた。サン・マリーナが地域の拠点になって、地域に根付いてきたように感じる。バザーの値付けなど諮問委員の方の持っている力を学ばせてもらっている。
  • 今は帰りに商店街で買物しても丁寧に相手してくれて嬉しく感じる。最初は何も売ってくれないのじゃないかと心配していた。でもやってみると商店街の人達は丁寧に対応してくださる。
  • まもりん坊バザーやカフェすまいるの活動をする中で、精神保健福祉と直接関係のない人たちも関わって、地域の懸け橋になってくれている。地域の人たちが入りやすく、かつ精神保健福祉を必要とする人も入りやすい。諮問委員の方が入ることで、内部完結しないで外に出ていくつながりを持とうとしている。より開けた活動ができた。
  • 例えば、商店街のまもりん坊ハウスでのバザーで常連になったお客様が、サン・マリーナの前を通って、サン・マリーナを利用するのにはどうしたらよいかと声をかけてくださったこともあった。地域との関係がどんどん広がってきている。
  • 商店街会長さん等から名前と顔を覚えてもらえて、思わず上板橋で買物をしてしまう。上板橋商店街で顔なじみの人が増えてきた。頼りのなる人が地域に増えてきた。住民意識が強くなったと思う。
  • カフェすまいるの活動の中、社会福祉協議会の福祉の森サロンも利用することになった。地域の橋渡し役になっている。オーナーの中尾社長(諮問委員)は「もっともっと地域の人たちが気軽に入ってくれる場にしたい、ひとり親の子育て中の人など気軽に来てほっとしてほしい」と言っている。地域の課題が見えてくる。
  • カフェすまいるで金曜日の午前だけ働いている。福祉の森サロンで30人もの利用があった。仕事が終わって「よく頑張ったね」と一言あるだけで嬉しいと思う。近所の喫茶店のマスターとも知り合いになったり、人間の結びつきの不思議を感じている。カフェすまいるのために自社ビルの1階をショールームにしてくれた諮問委員の中尾社長に感謝したい。
  • 地域の支援力を開発していくということが、サン・マリーナがあることで出来ている。地域に密接しているという事が、私にとって大きな力となっている。

「まもりん坊ハウスバザーで街を元気づける」

2013年4月に、諮問委員の声かけにより、上板南口銀座商店街振興組合からまもりん坊ハウスバザーの話が舞い込んだ。早速、サン・マリーナで諮問委員会が開かれ、バザー品を集めることから準備に取りかかった。バザーに慣れた諮問委員の方から値付けを教わり、当日も一緒に汗をかいて、呼び込みや販売をしたり、おにぎりやお菓子を差し入れてメンバー、スタッフを元気づけた。その日に、諮問委員の中尾建設工業株式会社の中尾社長がたくさん買物をして、「会社で喫茶店が出来るように準備するからね」、「今まで何も協力できなかったけど、実現させるからね」と言って帰られた。

「中尾建設工業株式会社 ショールーム カフェすまいるの開店」

「板橋はやさしいね、人も皆優しい」と理事長の口ぐせ。中尾社長もその1人。

サン・マリーナのメンバーの働く場として過渡的雇用を板橋で実現させようと、諮問委員が経営者として、自社ビル1階の大きな事務所を改装して、無償で開放して下さった。私たちには夢のような空間を提供して下さった。2014年2月14日(金)大雪の日、辺り一面真っ白な日に、参加スタッフ、メンバー、ボランティアの心は真新しい気持ちで「カフェすまいる」の一歩を踏み出した。優しい善意を無駄にしないという気持ちと努力によって、周りからの大きな支えが自然に差し伸べられる。

お店の雰囲気は開放感もあり、手伝いの私も癒しの空間として心の安らぎが持てる場所で、メンバーや地域の人たちにも安らぎの場を発信できると嬉しい。


スライド1
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