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三野ノーマライゼーションプラン

No.1

(MINO normalization PLAN)

―お互いを思いやり尊重しあって仲良く共生できるまち・三野―

平成10年3月

三野町

項目 内容
立案時期 平成10年3月
計画期間 平成10年度~平成14年度(5年間)

三野ノーマライゼーションプラン策定にあたって

 わが国は、21世紀初頭にこれまでどの国も経験したことのない超高齢社会を迎えるものと予測されています。
 国におきましては、こうした急速な高齢少子社会の到来に備えて、高齢化対策では新ゴールドプラン、少子化対策ではエンゼルプラン、障害者施策については障害者プランを策定したところであります。
 このように高齢化、少子化対策及び障害者施策の充実が図られる中、町では地域の特性、ニーズ等を踏まえながら障害者、高齢者をはじめ子供、女性等を含む全ての人々が安全で快適な日常生活を営み、積極的に社会参加ができる真に豊かでいきいきとした福祉社会を構築していくための「ノーマライゼーション及びリハビリテーション」の理念の確立に向けて、「三野ノーマライゼーションプラン」を策定いたしました。
 しかし、計画の達成はプランができれば、それで果たせるというものではありません。町民すべてが助け合い、思いやり、励まし合い、分かちあって「共生のできるまち」をつくり上げることが大切であると思います。そのような社会でこそ計画の達成が可能であり、真の福祉の推進につながるものと確信いたします。
 町としましても、今後このプランの基本理念を大切にし、その実現に向けて格段の努力をし、真に「お互いを思いやり尊重しあって、仲良く共生できるまち・三野」づくりを、町をあげて推進していく所存です。住民の皆様におかれましても、本プランの趣旨をご理解いただき、ご協力賜りますようお願い申し上げます。
 最後になりましたが、プランの策定にあたりまして多くの皆様のご指導、ご協力を賜りましたことに心から厚くお礼申し上げ、ごあいさつといたします。

 平成10年3月
三野町長 竹重 義博

三野ノーマライゼーションプラン

目次

三野ノーマライゼーションプランの策定にあたって

三野ノーマライゼーションプラン

第1編 序論

第2編 基本構想

第3編 基本計画

第4編 推進に向けて

第5編 障害者アンケート調査結果

第6編 参考資料

第1編 序論

第1章 計画の策定にあたって

1.計画の名称

 三野ノーマライゼーションプラン

2.計画策定の趣旨

 障害者を取り巻く環境は、高齢化の急速な進行、障害の重度化・重複化、家族形態の変化、価値観の多様化等の諸要因により、大きく変化しており、こうした環境変化に対応した障害者施策の展開が必要となっています。
 そして障害のある人も障害のない人も、全ての人は、その尊厳と権利において平等であり、地域の中で共に生きていくことができる社会をめざすノーマライゼーション理念も浸透しつつあります。また、ライフステージの全ての段階における全人間的復権を目指すリハビリテーション理念も、それぞれの人の“生活の質(QOL)”を高める取組みの中で、極めて重要な考え方として広がりつつあります。
 このような中で、社会福祉関係8法の改正、障害者基本法の整備などに続き、平成7年3月に「徳島県障害者施策長期計画」、平成7年12月には国の「障害者プラン」が策定されたところであり、これを受けて県の施策整備と連携した保健福祉サービスを中心に、従来にも増して町の積極的な施策展開が求められています。
 本計画は、県の関連計画等との整合に留意しつつ、取組むべき施策・事業などを示し「お互いを思いやり尊重しあって仲良く共生できるまち・三野」を実現していくための指針・目標とするものです。

3.計画の期間

 本計画の期間は、平成10年度(1998年)から平成14年度(2002年)の5年間とします。なお、計画の達成状況や社会・経済情勢の変化等により、必要に応じ見直しを行います。

計画の期間: 平成10年度~平成14年度(5年間)

4.計画の性格

 本計画は、次の性格を有するものとします。

  1. 障害者基本法に基づく計画です。
  2. 障害者施策を総合的かつ計画的に推進するための基本計画です。
  3. 住民や企業、各種団体などが、自主的かつ積極的な活動を行うための指針です。

5.計画推進の指針

 本計画は、福祉のみならず生活やまちづくりなどの全ての分野に関する包括的な計画としますが、その基本的な推進指針を以下に示します。

(1)障害者の主体性・自立性の確立

 障害者が、基本的人権をもつ一人の人間として、自らの生き方を選択し、社会活動に積極的に参加するとともに、その能力を十分に発揮できるようにすることは、障害者福祉の基本原則です。このため、障害者の主体性、自立性の確立をはかるため、生活環境、雇用・就労面をはじめ条件整備のための施策を進めます。
 また、障害者の自立と社会参加を促進するためには、障害者のライフステージに合った体系的かつ総合的なリハビリテーションが欠かせません。このため、障害者の可能な限り心身の発達もしくは機能の回復を図るための施策の拡充に努めるとともに、障害者のライフステージに沿った医療・教育・職業・社会的リハビリテーションの体系的かつ総合的な推進を図るよう検討します。

●ライフステージ
人間が生まれてから死ぬまでに経験する発達上の諸階段のこと。高齢化社会の到来に伴い、経済階層などとは別に、ニーズの変化や行動パターンの変化をとらえる基本的な軸として注目されてきている。
●リハビリテーション
心身に障害をもつ者の人間的復権を理念として、障害者の能力を最大限に発揮させ、その自立を促すために行われる専門的技術のことをいう。リハビリテーションには、医学、工学、職業、社会等の各専門分野があるが、障害者の人間的復権を図るためには、それら諸技術の総合的推進が肝要である。
(2)ノーマライゼーションの推進

 障害者の社会活動への参加が十分とはいえない状況にあり、障害者が一人の住民として、地域社会での生活が常態となるよう、そしてその生活が障害のない人々と変わりないような施策を進めます。特に、障害者をとりまく人たちの意識や認識の改革が重要であるため、住民全体の理解と協力を得るための啓発広報の充実に一層努めるとともに、障害者との交流を促進する施策に努めます。
 また、障害者にとって利用しやすい、暮らしやすい環境の整った社会は、だれにとっても暮らしやすい社会と言えます。このため、すべての人々が同じように生活できる条件を整えていくといった考え方で施策を進めます。

●ノーマライゼーション
老人や心身障害者のようなハンディキャップを持った人々が、常に一定数いるということが、人類にとってのノーマルな現状であって、それを、それらのハンディキャップを持った人々を、一定地域に隔離・分断して生活させるというのは、アブノーマルなことだとする考え方からいわれるようになった主張である。これは、1959年にデンマークの「知恵遅れ」の親の運動の中でいわれ始めたことで、その後、欧米諸国でもいわれるようになり、1970年代に入って、わが国でも注目され始めた。高齢者も障害者も、一般の社会の中にいて、一般の青壮年者と共に生活してゆけるようにしてゆくことを要請する言葉であって、この理念に基づいて、わが国でも、次第に、盲人のための交通信号や車椅子のための斜面等のハンディキャップ用設備が、都市施設等に整備されるようになっていった。
(3)障害の重度化・重複化及び障害者の高齢化への対応

 障害の重度化、重複化は年々進んできており、在宅の重度障害者が、住み慣れた地域で、家族などとともに充実した社会生活を送られるよう、ホームヘルパー・ガイドヘルパー、デイサービス、日常生活用具の給付などをはじめとした、さまざまな施策をニーズに応じてきめ細かく推進するよう努めます。また、人口構造の高齢化に伴い障害者の高齢化も進み、高齢者の中に障害のある人が多くなってきているため、高齢者施策との一体的な推進に努め、高齢化した介護者が、病気や事故で長期的に介助できなくなったりした時のために、ショートステイ、グループホーム、障害者向け公営住宅の確保などの充実を図るよう努めます。

(4)施策間のネットワークづくり及び調整機能の整備

 障害者施策は、福祉、保健、医療、教育、雇用、生活環境など幅広い分野にわたるため、施策を個別的、具体的に行っていかなくてはなりません。このためそれぞれの分野が共同歩調をとってネットワークをつくるとともに、各施策を具体的に調整できる機能を整備するよう努めます。

第2章 障害者を取り巻く現状

第1節 地域の概要

(1) 都市構造
1 立地・交通
 本町は、徳島県の北西部、阿讃山脈の南側に位置し、吉野川の中流域にあります。東は美馬郡美馬町、西は三好町、南は吉野川を隔てて三加茂町、北は香川県琴南町・仲南町に接しています。町の面積は43.04平方キロメートルで中規模の町といえますが、おおよそ7割は山林原野が占める自然豊かな町です。
 交通体系としては、JR徳島線及び国道192号が吉野川南岸を通り、本町においては県道鳴門池田線が町域の南部を東西に延びています。今後、四国縦貫自動車道の建設が進行し、都市間交通の利便性が高まることが期待されます。
2 市街地構造
 吉野川北岸沿いの県道鳴門池田線沿道はまとまった平坦地となっており、市街化が進み多くの人口をようしています。また、河内谷川の上流部などにも小規模な集落が点在しています。
3 都市圏
 本町は、徳島県新長期計画の西部圏域に属しています。この地域は太平洋新国土軸と西日本中央連携軸が交わる、重要な四国のクロスポイントに位置し、広域交通ネットワーク機能を活かし内陸工業拠点、広域観光・レクリエーション活動の場などとして発展を図るものとしています。なお、三好郡8町村は、三好地区ふるさと市町村圏を構成するとともに、池田保健所・池田福祉事務所の管内となり、広域的連携・協力が進められています。
(2)人口・世帯動向

1 人口・世帯数の推移

 本町の総人口は昭和50年の5,301人から、平成2年には5,055人へと僅かに減少する傾向にありましたが、平成7年より増加傾向に転じています。世帯数については昭和50年の1,482世帯に対し、一環した増加傾向を示し、平成10年には1,686世帯となっています。これに伴い、1世帯当り人員は昭和50年の3.58人から平成10年には3.14人へと減少しています。なお1世帯あたり人員は三好郡平均では3.0人を下回っており、本町は比較的規模が大きい傾向にあります。

□人口・世帯数の推移
 資料:国勢調査(但し、平成10年は2月1日現在の住民基本台帳による。)
区分 昭和50年 昭和55年 昭和60年 平成2年 平成7年 平成10年
総人口(人) 5,301 5,226 5,224 5,055 5,155 5,300
世帯数(世帯) 1,482 1,483 1,509 1,518 1,583 1,686
1世帯あたり人員 3.58人 3.52人 3.46人 3.33人 3.26人 3.14人

2 年齢構成

 本町の年齢3区分別人口構成は、生産年齢人口が減少し、老年人口が増加する傾向を続け、平成10年には、生産年齢人口は3,002人(56.6%)、老年人口は1,350人(25.5%)の構成となっています。なお、年齢階層別で見ると、平成2年からは、20代後半層から50歳台にかけての子育て期の人の転入(Uターン)傾向が顕著なものとなっており、住宅地としての様相が強まりつつあります。

□年齢3区分人口構成
 資料:国勢調査(但し、平成10年は2月1日現在の住民基本台帳による。)
区分
総人口 年少人口
(0~15歳)
生産年齢人口
(16~64歳)
老年人口
(65歳以上)
昭和60年 5,224人
100%
987人
18.9%
3,316人
63.5%
921人
17.6%
平成2年 5,055人
100%
932人
18.9%
3,102人
61.4%
1,021人
20.2%
平成7年 5,155人
100%
882人
17.1%
2,972人
57.7%
1,301人
25.2%
平成10年 5,300人
100%
948人
17.9%
3,002人
56.6%
1,350人
25.5%

第2節 障害者等の状況

(1) 障害者等の状況
1 障害者等の人数
 手帳交付状況調(平成9年3月31日.池田福祉事務所調)によると、身体障害者(児)は317人で、総人口5,300人(但し、平成10年2月1日現在の住民基本台帳による。)の6.0%を占め、知的障害者(児)は30人、同0.6%程度となっています。
 精神障害者に関しては、把握は難しく、厚生省「患者調査 平成5年」による精神障害者の推計(対人口比1.2%)からは、本町ではおよそ64人程度と考えられます。
 また、難病患者は、特定疾患医療給付者14名(平成9年5月現在.池田保健所調)と小児慢性特定疾患3名(同年4月現在)です。
 これら何らかの障害をもつ人及び難病患者の総数(延べ人数)は、およそ428人程度と考えられ、総人口の8%程度となります。なお、この人数には重複している人が含まれる一方、申請に基づき手帳発行や給付を行うための申請を、していない人等は含まれていません。
□障害者等人数(単位:人)
区分 人数 備考
身体障害者(児) 317人 平成9年3月31日 池田福祉事務所調べ
身体障害者手帳交付状況
療育手帳交付状況
知的障害者(児) 30人
精神疾病患者 64人 推計値(平成10年総人口×1.2%)
難病患者 17人 平成9年4月・5月 池田保健所調べ
小児を含みます。
2 障害の程度
 身体障害者(児)では、重度障害の人(1級・2級)が約半数に達しています。また、知的障害者(児)では重度障害の人(A)が8割を超えています。
□障害程度別人数(平成9年3月31日 池田福祉事務所調べ)(単位:人)
身体障害者手帳 1級 2級 3級 4級 5級 6級 合計
人数 96 59 51 57 23 31 317
割合 30.3% 18.6% 16.1% 18.0% 7.2% 9.8% 100.0%
療育手帳 合計
人数 25 5 30
割合 83.3% 16.7% 100.0%
3 身体障害の種別
 身体障害者手帳をもつ人の中では、肢体不自由が最も多く半数を占め、次いで内部障害、聴覚・平衡機能等の順となっています。
□障害種別の人数・割合(平成9年3月31日 池田福祉事務所調べ)
障害種別 人数 割合
視覚 30 9.5%
聴覚・平衡機能 51 16.1%
音声言語 1 0.3%
肢体不自由 147 46.4%
内部 88 27.8%
4 年齢別の障害者(児)・難病患者の構成
 身体障害者(児)では、65歳以上の人が約7割を占める一方、知的障害者(児)では、相対的に若い人がめだちます。また、難病患者では、60歳以上の人が約5割とめだっています。なお、本町の65歳以上の人のうち、身体障害者手帳を持つ人は16%強に達しており、加齢に伴い何らかの障害をもつ人が増加する傾向にあります。
□年齢区分別人数(但し、知的障害者は65歳以上の区分はない)
身体障害者(児) 知的障害者(児)
18歳未満 3 2
18~64歳 93 28
65歳以上 221 -
□年齢区分別割合(但し、知的障害者は65歳以上の区分はない)
身体障害者(児) 知的障害者(児)
18歳未満 1.0% 6.7%
18~64歳 29.3% 93.3%
65歳以上 69.7% -
□年齢構成(人、%)
18歳未満 18歳~64歳 65歳以上 合計
身体障害者・児 3人
1.0%
93人
29.3%
221人
69.7%
317人
100.0%
知的障害者・児 2人
6.7%
28人
93.3%
30人
100.0%
20歳未満 20代~50代 60歳以上 合計
難病患者 3人 6人 8人 17人
 ※小児慢性特定疾患患者は20歳未満
5 入所(通所)等の状況(資料:池田福祉事務所)
 本町の障害者(児)のうち障害者(児)にかかわる施設に入所・通所する人は、合わせて20人程度となっています。なお、障害児及び知的障害者の半数の人は、何らかの施設に入所・通所しています。
□入所(通所)等の状況(資料:池田福祉事務所)
区分 人数 備考
児童施設措置状況(平成9年3月31日現在)
通園を含みます
2人
  • 精神薄弱児施設
  • 精神薄弱児通園施設
身体障害者更生援護施設入所状況
平成10年1月1日
4人
  • 身体障害者療護施設
精神薄弱者福祉法関係施設の措置状況(平成9年3月31日現在)
通所を含みます
14人
  • 更生施設
  • 授産施設
  • グループホーム

第3節 障害者施策の現状

(1)障害者福祉施設の立地状況

 三好郡の8町村は、西部障害保健福祉圏(15町村)の西部第2サブ障害保健福祉圏域を構成しています。障害保健福祉圏は、障害者施策がほぼ完結することをめざす単位で、サブ圏域は通所型施設の整備や在宅福祉施策の適正実施をはかる観点から設けられ、池田福祉事務所・池田保健所など県機関、三好地区ふるさと市町村圏の範囲です。西部第2サブ圏の障害者福祉施設の立地状況及び広域的在宅支援事業は以下の通りです。

施設種別 施設名・概要・所在地
精神薄弱児施設 池田学園(池田博愛会,定員50,池田町)
精神薄弱児通園施設 池田療育センター(池田博愛会.定員30,池田町)
精神薄弱者更生施設 箸蔵山荘(池田博愛会.定員75(内通所5),池田町)
博愛ヴィレッジ(十字会.定員60(内通所10),三加茂町)
精神薄弱者グループホーム 箸蔵ホーム(定員4,池田町)
つくしホーム(定員4,池田町)
精神障害者小規模共同作業所 すずらん共同作業所
(三好郡精神障害者家族会,定員13,山城町)
末広共同作業所
(三好郡精神障害者家族会,定員20,三好町)
精神障害者グループホーム グループホーム「池田」(池田町)
肢体不自由児(者)巡回療育相談事業 1か所
心身障害児短期入所事業 3施設(精神薄弱児)
心身障害児短期療育事業 1施設(精神薄弱児)
心身障害児(者)療育相談事業 3施設(精神薄弱児)
障害児(者)地域療育等支援事業 1施設(精神薄弱者(児))
保健所デイケア 2か所(池田保健所/東祖谷山村出張)
(2)三野町の主な障害者施策の現状
 本町で実施している障害者に対する主な在宅支援施策は以下の通りです。
サービス名称 内容
診査・更生相談 医療、生活、職業等の各種相談、施設への紹介(対象:心身障害者)
更生医療の給付 身体上の障害を軽くしたり、取り除いたりするための医療の給付(対象:身体障害者)
補装具の交付・修理 身体上の障害を補うための用具の交付・修理(対象:身体障害者)
○盲人用安全つえ、義眼、眼鏡、補聴器、義肢、装具、車いす、歩行車、歩行補助つえ、電動車いす、ストマ用装具等
日常生活用具の給付・貸与 重度障害者の日常生活がより円滑に行なわれるための用具の給付等(対象:身体障害者)
○浴槽、特殊マット、特殊寝台、体位変換器、盲人用テープレコーダー、拡大読書器、屋内信号装置、ネブライザー、火災警報機、緊急通報装置、福祉電話、ファックス等
重度心身障害者医療費助成 重度の心身障害者、重複障害者が医療保険による医療給付を受けた場合の自己負担分、入院時食事療養費の助成
在宅重度身体障害者訪問診査 歩行困難な在宅重度身体障害者の家庭を訪問し、必要な診査や更生相談を実施
ホームヘルパーの派遣 一人では日常生活を営むことのできない重度障害者の家庭を訪問し、身体の介護、家事、相談・助言を実施
重度身体障害者住宅改造助成 重度身体障害者の日常生活がより円滑に行なわれるように住宅改造に要する費用に対し助成

第4節 障害者のニーズ

 この計画の策定にあたり平成9年5月に実施した意識調査結果によると、「お互いを思いやり尊重しあって、仲良く共生できるまち・三野」に向けてのニーズ等は、およそ以下のように整理されます。

意識調査の概要
調査対象者:身体障害者手帳・療育手帳の交付者
調査票回収状況:配布数332票 回収数221票(有効回収率66.6%)
(1) 身体状況

 食事やトイレ、家の中の移動について介助を要する人(要介護層)、要介護層以外で入浴や外出などについて介助を要する人(準要介護層)が、それぞれおよそ15%程度、35%前後となり、半数の人が何らかの身体介護サービスの提供が必要な状況となっています。

要介助(%)
食事 14.9%
トイレ 16.7%
家の中の移動 16.3%
入浴 28.5%
外出 34.9%
炊事 35.3%
掃除 34.8%
洗濯 35.8%
会話 12.7%
電話 24.9%
お金の利用 26.3%
(2)今後望む施設サービス(上位5位)

 施設サービスへの希望としては、デイサービスができる施設が最も多く、次いでリハビリテーションができる施設が続き、通所により入浴・給食・動作訓練などを行なう施設の確保が望まれます。また、福祉・保健全般の相談ができる施設の希望もめだち、総合的な相談機能の確保が望まれます。

希望施設(%)
デイサービス 21.3%
リハビリテーション 17.6%
福祉・保健全般の相談 15.8%
スポーツ・文化活動 8.1%
ショートスティ 5.9%
(3)外出しやすくするために今後必要と思うこと(上位5位)

 外出の促進のための施策としては、タクシー券助成といった経済的支援が最も多くなっていますが、建物の改善や歩道の整備などバリアフリー化(無障壁化)の必要性がめだちます。

タクシー券助成 27.1%
公共建物の改善 18.6%
歩道の整備 14.9%
設備が整った施設等の情報提供 10.0%
交通安全施設の整備 9.5%
(4)居所及び住宅について今後希望する施策
 障害者の人の居所については、自宅が約8割に達し、ほとんどを占めていますが、病院や福祉施設など自宅以外に住む人も2割弱となっています。
居所(%)
自宅 78.7%
病院 10.0%
障害者等福祉施設 6.8%
その他 2.7%
無回答 1.8%

 住宅について今後希望する施策については、改造資金の支援制度の充実が最も多く、次いで公営住宅の整備、介護付き住宅などが続きます。

改造資金支援制度の充実 24.9%
障害者に配慮した公営住宅 15.4%
介護付き住宅 15.4%
住宅相談の充実 9.5%
家賃援助制度の創設 5.0%
公営住宅入居優先枠の拡大 5.0%
(5)障害者への理解の状況

 障害者への理解の程度としては、理解が深まったとする人が合わせて51.6%となり、以前に比べると理解が深まりつつある状況と伺われます。

かなり深まった 25.8%
少しは深まった 25.8%
あまりそうは思わない 15.4%
まったくそうは思わない 3.6%
どちらともいえない 13.6%
無回答 15.8%
(6)特に望むこと

 障害者施策全般の中で、特に望むこととしては、医療費など経済的な支援が上位を占めています。また、障害者への理解を深める啓発の充実もめだっています。
 介護サービスについては、ホームヘルパーの派遣やデイサービス事業など望まれ、各種相談体制等の整備も必要な状況にあります。
 このほかに、災害時の救助体制の整備などがめだち、日頃の近隣づきあいを緊密に保つ工夫・条件整備などを要します。

医療費の軽減・助成 41.2%
経済的援助の促進 21.7%
理解を深める啓発の充実 16.7%
ホームヘルパー派遣制度の充実 16.3%
相談体制の充実 14.9%
住宅改造相談・助成事業の充実 14.5%
災害時救助体制の整備 14.5%
デイサービス事業の充実 11.8%
日常生活用具の給付・貸出 11.3%
障害者に配慮した住宅の確保 10.9%

第2編 基本構想

第1章 障害者福祉の理念

 国際障害者年は「完全参加と平等」を目標テーマとし、障害者が障害を持たない人と同等に生活し、活動する社会をめざすという「ノーマライゼーション」の理念を普及させる契機となりました。「ノーマライゼーション」の理念は、人はだれもが生まれながらにして、その尊厳と権利において平等であり、お互いの理解においてそれを保障し、共に生きていこうという考え方です。
 今後、「ノーマライゼーション」の理念の一層の定着を図り、障害者が住み慣れた地域や家庭で豊かな自立生活と社会参加が実現できるよう、必要な施策の展開を総合的・計画的に推進していかなければなりません。加えて、「完全参加と平等」をめざすには、障害者のライフステージの全ての段階において、医学的、心理的及び社会的に人格の尊厳性を回復する可能性をもち、その自立は社会全体の発展に寄与するものであるという「リハビリテーション」の理念を追求し、それぞれの人にとっての「生活の質」を高めていくことが必要です。
 障害福祉の理念は、障害者が障害を持たない人と同じように生活できる社会の実現であり、同じ時代を同じ郷里に生きる人々とともに協力し合い、共に生きる社会を目指すものであります。

完全参加と平等障害者福祉の目標テーマ図

第2章 計画の基本的考え方

(1)計画の基本理念

 徳島県では、「ノーマライゼーション」の理念と「リハビリテーション」の理念のもと、「ともに生きるぬくもりのある福祉社会をめざして:徳島県障害者施策長期計画」(平成7年3月策定)等に基づいて、障害者施策を推進してきました。
 しかし、「完全参加と平等」の目標の実現にはまだ残された課題が少なくありません。この計画の考え方を受け継ぎながら、新しい時代や具体的な地域のニーズにも対応できるよう、さまざまな課題等を考慮して、福祉・保健・医療・教育・労働・生活環境の整備等の各分野が連携し一体となって「行動」に結びつけていけるよう「障害者の人権が尊重される福祉のまちづくり」をめざします。
 そして、この考えかたをもとに、めざすべき地域像を以下のように設定します。

【計画の基本理念】
 障害者の人権が尊重される福祉のまちづくりをめざして
障害者が自分の人生の主人公となることを妨げている要因を取り除き、必要なサービスを充実し、生活しやすい環境を整える等の総合的な施策の推進により、生き生きとした暮らしができるようまちづくりを進めます。
【めざす地域像】
 お互いを思いやり尊重しあって、仲良く共生できるまち・三野

(2)基本目標

 基本理念の実現を図るため、基本目標を次のように設定します。

目標1. 理解と交流の促進
 障害者が社会の中で基本的人権を有する一人の人間として尊重され暮らしていくためには、地域の人たちの理解と支援が重要です。
 障害者に対する理解は少しずつ進んできましたが、まだ十分とは言えません。全ての人から「心のバリア」を取り除き、友人として共に地域に生きる姿をめざします。
 このため、障害や障害者についての福祉教育の推進や啓発活動は重要であり、特に、スポーツ・レクリエーション・文化活動等を通し、交流の機会を拡充するなど日常的に啓発活動を推進し、地域の人々の正しい理解と認識を育みます。また、住民がボランティア活動に積極的に参加できるよう機会を拡充します。
目標2. 教育と育成の充実
 障害のある子供がその可能性を最大限に伸ばすための適切な教育を提供することを基本に、積極的に社会に参加できる力の育成を図るよう努めます。本人や保護者が安心して進路を選択できるような体制を確立するために、医療・福祉・教育等関係機関との連携を強化していきます。
目標3. 雇用・就業の促進
 障害者が働く場を得て社会経済活動に参加し、自立した生活を確保することは、生活の糧を得る手段としてだけではなく、生きる喜びにつなぐための基本です。
 そして、働く意欲を持つ障害者の適性と能力に応じた働く権利を保障していかなければなりません。障害者の雇用・就業を促進するために、事業主や共に働く人々の理解を得られるような体制を確立するとともに、福祉的就労機会の拡充を進めます。
目標4. 保健・医療の充実
 保健・医療体制は、新生児から高齢者まで、そのライフステージに応じた適切な時期に適切な対応ができることが必要です。さらに、社会復帰を図るためのリハビリテーション医療の拡充が必要です。
 また、在宅の障害者本人の危機的状況や家族の緊急事態に対応できるようなシステムづくりを、保健・医療・福祉等の関係機関が連携し積極的に推進していきます。
 精神障害者についても、心の健康教育等を通じて、社会復帰の促進に努めます。
目標5. 福祉サービスの充実
 「完全参加と平等」を実現するには、障害者が地域で自立した生活を送ることができるよう、きめ細かな福祉サービスの充実が必要です。その障害に応じた各種の福祉サービスを提供するために、積極的に各種施策を推進していきます。また、高齢者施策として実施している事業についても、障害者が利用できるようにするなど柔軟な対応をめざします。さらに、障害者福祉を推進するためには、福祉人材の確保が必要です。障害者のニーズに対応した福祉人材の養成・確保を進めます。
目標6. 生活環境の整備
 障害者が地域で自立した生活を送るためには、障害者を取りまく生活環境の整備が不可欠です。今後は、まちづくりにおける障害者への配慮とアクセスの連続性の確保とともに、積極的に啓発を行って、公共施設はもとより民間施設においても一層の理解と協力が得られるよう努力していきます。
 また、地域生活の基本となる障害者も住みやすい住宅の確保、道路や移動手段の整備、災害時における安全対策を含めて総合的な環境整備を行っていきます。

第3章 計画の基本的視点

 基本理念である「障害者の人権が尊重される福祉のまちづり」をめざして、6つの基本目標実現のために、施策を推進していきますが、推進にあたっては、次の4つを基本的視点とします。

(1)障害者の主体性・自立性の確立

 障害者の主体性の発揮と自立性の確保を支援し、社会活動への積極的な参加を促し、能力が十分発揮できるような施策・事業の立案と推進に努めていきます。

(2)障害の重度化・重複化及び障害者・介護者の高齢化への対応

 障害が重く重複しているため常時介助・介護が必要な障害者が、基本的人権を尊重されるよう、生活の質の向上に必要な支援に努めます。
 また、人口構造の高齢化に伴い、障害者自身の高齢化やその介護者の高齢化が同時に進行しています。今後の施策展開にあたっては、障害者の重度化・重複化や障害者・介護者の高齢化に基本的な視点を置き、必要な施設整備等を高齢者福祉との連携を図りながら、総合的・体系的に推進していきます。

(3)広域的連携の推進

 三好郡の8町村は、いずれも人口規模も小さく財政的にも豊かとは言えません。しかし、障害者のニーズに対応する福祉サービス等の拡充は、その必要性の上からも推進していかなければなりません。そこで、西部第2障害保健福祉圏域(三好郡)の中で、相互に協力しあい、必要なサービスが適切な生活圏において不足なく利用できるよう町村間の調整・役割分担を進めます。

(4)住民参加の推進

 障害者施策の推進については、今後も行政が中心となって取り組んでいくべきことは言うまでもありませんが、地域の住民、企業、団体等社会のすべての構成員が障害や障害者を理解し、障害者を取りまく問題に取り組んでいく必要があります。こうした取り組みができるよう、施策・事業を推進していきます。

第4章 施策の体系

 基本理念に基づく基本目標を実現するために推進する施策の基本方向については、基本目標毎に体系を次のとおり構成し、総合的・計画的に展開していきます。

全体的な施策体系図

<基本理念> <基本目標> <施策の基本方向>
障害者の人権が尊重される福祉のまちづくりをめざして 1.理解と交流の促進
  • 普及・啓発活動の充実
  • 福祉教育等の充実
  • 交流・ふれあいの促進
2.教育・育成の充実
  • 就学前教育・療育の充実
  • 学校教育の充実
3.雇用・就業の促進
  • 職業能力の開発
  • 雇用の促進と安定
  • 福祉的就労対策の充実
4.保健・医療の充実
  • 障害の早期発見・早期療育の推進
  • 医療・リハビリテーションの充実
  • 精神保健対策の充実
5.福祉サービスの充実
  • 在宅福祉サービスの充実
  • 施設サービスの充実
  • 生活安定のための施策の充実
  • ひとづくりの推進
6.生活環境の整備
  • 福祉環境の総合的推進
  • 住宅・生活環境の整備
  • 交通・移動手段の整備充実
  • 防災体制の充実

第5章 重点プロジェクト

 各種の施策の内、全体をリードする役割を担うものとして、特に重点的に取り組むプロジェクトを次の5つとし、積極的に推進します。

  1. 市町村障害者社会参加促進事業

  2. 市町村障害者生活支援事業

  3. 身体障害者デイサービス事業

  4. 心身障害者小規模通所作業所運営事業

  5. やさしいまちづくり事業

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主題:
三野ノーマライゼーションプラン No.1
(MINO normalization PLAN)
1頁~24頁

発行者:
徳島県三野町

発行年月:
平成10年3月

文献に関する問い合わせ先:
徳島県三野町厚生課
〒 771-23 徳島県三好郡三野町大字芝生1039
TEL (0883)77-4803