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群馬県障害者施策行動計画

バリアフリーぐんま障害者プラン No.1

群馬県

項目 内容
立案時期 平成6年3月
計画期間 平成5年度~平成12年度(8年間)

はじめに

 昭和56年の「国際障害者年」及びこれに引き続く「国連・障害者の十年」を受けて、国は「障害者対策に関する長期計画」を決定し、これまで国地方公共団体等が一体となって各種の障害者福祉施策を推進してきました。
本県でも、昭和57年に「国際障害者年群馬県長期行動計画」を策定し、市町村、民間企業等をはじめ県民の皆様の御協力のもとに、この計画に沿った種々の施策を実施してきたところであります。
この間、社会をとりまく情勢は、高齢化の急速な進行、県民意識の多様化、家族形態の変化等にみられるように大きく変わり、これに伴う新たな課題が、数多く生じてまいりました。
これらの課題に適切に対応し、来るべき21世紀に向け、障害を持つ人々に対する福祉、保健・医療、教育、雇用・就労、生活環境等あらゆる分野にわたって、障害者施策推進のための新たな計画づくりが是非とも必要と考え、準備を進めてきました。
そこで、昨年3月、国が「障害者対策に関する新長期計画」を策定したことを踏まえ、本県でも平成12年度(2000年度)を目標年次とし、県をはじめ市町村や障害を持つ方はもとより、すべての県民と共にこれらの課題に取り組むため、県民各界各層の代表の方々の協力も得て群馬県障害者施策行動計画「バリアフリーぐんま障害者プラン」を策定した次第です。
この計画は、障害を持つ人がかかえる物理的な障壁や人々のこころに内在する障壁など、すべての障壁(バリア)をなくすという「バリアフリー」を基本理念に位置づけ、誰もが人間らしく暮らせ、人間としての尊厳がいささかも損われることなく、共に生きる喜びを実感できる「あたたかな社会」を目指すものであります。
今後も、県行政をさらに体系的、総合的に推進していくとともに、この計画の趣旨を21世紀に引き継ぎ、200万県民の誰もが疎外されることなく、生きがいのある生活を送れる「真に豊かな群馬県」を県民の皆様と共に作り上げていく所存でございます。 
県民の皆様の一層の御理解と御協力をお願いします。
平成6年3月

群馬県知事 小寺弘之

目次

はじめに

第1章 基本的な考え方

1.背景
2.理念バリアフリーの確立
3.策定の視点
4.基本目標
5.計画の性格
6.計画の期間
7.障害者の概念
8.計画の推進
9.計画の体系
10.計画期間中に取り組む主な事業

第2章 基本計画

1.理解と交流の促進
2.教育・育成の充実
3.雇用・就業の促進
4.保健・医療の充実
5.福祉サービスの充実
6.社会生活環境の整備改善
7.文化、スポーツ、レクリエーションの参加促進
8.推進基盤の整備

第3章 行動計画

1.理解と交流の促進
2.教育・育成の充実
3.雇用・就業の促進
4.保健・医療の充実
5.福祉サービスの充実
6.社会生活環境の整備改善
7.文化、スポーツ、レクリエーションの参加促進
8.推進基盤の整備

<資料>

1.障害者の現況

・身体障害者(児)の障害別年齢別推移
・身体障害者手帳交付者数
・精神薄弱者(児)の程度別・年齢別推移
・精神薄弱児(者)の登録数
・精神障害者入院患者数
・特定疾患の疾患別推移状況
・障害児教育の現況
・障害者雇用状況の推移(民間)・(地方公共団体)

2.群馬県障害者福祉に関する調査(概要)
3.群馬県企画調整会議障害者対策新長期行動計画策定プロジェクトチームの設置及び運営に関する要領
4.群馬県障害者対策新長期行動計画策定県民懇談会設置要綱

第1章 基本的な考え方

1.背景

 群馬県は、国際障害者年(昭和56年)を契機に以降10年間を見通した障害者福祉の基本方向と施策を明らかにするため、昭和57年に「国際障害者年群馬県長期行動計画」を策定し、国際障害者年のテーマである「完全参加と平等」の実現に向けて、障害者福祉の総合的、計画的推進を図ってきましたが、平成3年度をもってその計画期間が終了しました。
そこで、今後とも前行動計画の趣旨を引き継ぎ、21世紀に向け、更に障害者施策を体系的、総合的に推進していくために、その大綱としての計画を策定するものです。

2.理念バリアフリーの確立

 新行動計画は、前行動計画の実績評価を踏まえて策定するものであり、「障害を持つ人が地域社会の中で障害を持たない人と同じように社会の一員として生活を営み、行動することができるようにする」ノーマライゼーションの理念を引き継ぎ、さらに発展させる必要があります。
そこで、この新計画の基本理念としては、「バリアフリー」の確立をめざします。障害を持つ人が社会を構成する一員として社会、経済、文化その他あらゆる分野の活動に参加するのを困難にしている障壁がすべての社会の中にいまだに存在しています。

 それは、物理的な障壁のみならず、制度的な障壁、文化・情報における障壁、意識上の障壁など様々であり、障害者の社会経済活動への参加を確保するうえで、これらの障壁を完全に除去することが極めて重要です。
行政等関係機関は、移動手段、建築物、道路などの物理的な障壁のみならず、制度的な障壁、文化・情報における障壁、意識上の障壁など様々な障壁(バリア)を取り除くことがその責務であります。
障害を持つ人々は、自分自身の障壁(バリア)を克服し、自已の可能性を追及し、各人に相応しい自己実現を図り、主体性、自立性を確立していくことが期待されます。

 すべての県民は、障害者を庇護されるべき存在としてのみとらえるような障害者に対する偏見・差別など自己に内在する障壁(バリア)を取り除き、障害者の全人格を尊重し、障害者問題を自分の問題として認識し、取り組むことが必要です。

 この結果、「誰もが人間らしく暮らせ、人間としての権利が守られ、人間としての尊厳がいささかも損なわれることなく、共に生きる喜びを持つことができる」社会、すなわちすべての人々にとって、真に生まれてきたことを幸福と思える豊かな社会の実現をめざします。そのためには、行政などの関係機関はもとより、障害を持つ人、県民すべての人々がお互いに「バリアフリー」な社会の実現に向け、主体的、積極的な役割を果たす必要があります。

※「バリアフリー」の用語は、当初、障害者や高齢者、とりわけ、身体障害者が社会生活を行う上での都市構造や建築物等の物理的な障壁を除去するという意味で用いられたものといわれている。国際的にみると、昭和49年(1974年)には、国際連合「障害者生活環境会議専門家会議」により建築上障壁のない設計(バリアフリーデザイン)についての報告書がまとめられ、これ以降バリアフリーデザインの用語が建築学会に登場し始めたといわれている。
(厚生省編「厚生白書(平成4年版)」より)

3.策定の視点

(1)ノーマライゼーションの理念の推進

 障害者が一人の人間として、地域社会の中での生活が常態となり、その生活が他の人々と同等となるよう、社会的、経済的、環境的、文化的な基盤を整備する施策を展開します。

(2)リハビリテーションの促進

 心身の発達を助長し、機能の回復を促進するとともに、地域における医療、職業、社会的リハビリテーションの拠点を整備し、そのネットワーク化を図り、リハビリテーションの総合的推進が可能となる施策を展開します。(全人間的復権)

(3)障害者の参加

 障害者が社会の一員として主体的に参加し、生き生きとして暮らしていける社会づくりを推進します。

(4)県民の参加

 すべての県民の参加によりお互いにふれあい、共感し、共に活動する社会づくりを推進します。

(5)まちづくり

 駅や公共交通機関、道路、買い物や施設利用のアクセス(建築物の構造等)、地域住民の意識などの生活環境基盤づくりを推進します。

4.基本目標

(1)障害者の主体性、自立性の確立

 基本的人権を持つ一人の人間として、障害者自身が主体性、自立性を確保し、社会活動へ積極的に参加していくことを期待するとともに、その能力が十分発揮できるような施策の推進に努めます。

(2)障壁のない生活環境の整備

 障害者を取り巻く社会環境においては、交通機関、建築物などにおける物理的な障壁、資格制限などによる制度的な障壁、点字や手話サービスの欠如などによる文化・情報面の障壁、障害者を保護されるべき存在としてのみとらえるなどの意識上の障壁があります。これらの障壁を除去し、障害者が各種の社会活動を自由にできるような社会づくりをめざします。

(3)共に生きる社会の実現

 障害者が住みよい、障害者のための社会をつくっていくことは、すべての人が住みよい、すべての人のための社会にほかなりません。このような観点から、共に生きる社会づくりに際しては、障害者を対象にした特別の措置を講ずるだけでなく、障害者の参加や利便を前提にした一般的な措置を講ずるよう努めます。

(4)重度化・高齢化への配慮と生活の質の向上

 障害が重かったり、重複しているため、常時援護や保護を受けている障害者は増加する傾向にあります。これらの方々が基本的人権を持つ」人の人間として生活ができるよう、その生活の質の向上に努めます。
人口構造の高齢化に伴い、障害者の高齢化が進んできています。また、高齢者の中にも障害のある人が多くなっています。このような状況に即応した施策の展開に努めます。

(5)連携による総合的な施策の推進

 障害者と高齢者は福祉サービスの分野において、重複することも多いので、障害者及び高齢者双方のニーズに応えていくために適切と認められる場合には、その施策の一体的な推進に努めます。
障害者施策は、福祉のみならず保健医療、教育、雇用、生活環境等幅広い分野にわたるため、関連施策の連携を図るよう努めます。 

5.計画の性格

・この計画は、21世紀に向けての長期的展望に立ち、群馬県における障害者福祉の基本目標を示すものであり、今後の施策を明らかにし、これを実現するため、基本計画、行動計画により構成される障害者施策の大綱です。
・群馬県の現在の総合計画である「新ぐんま2010」及び次期総合計画との整合性を図っていきます。
・群馬県保健医療計画、特殊教育推進基本計画、群馬県老人保健福祉計画との整合性を図っていきます。
・この計画は、現状把握と分析、将来予測に基づいて策定された、真に群馬県に必要なものであり、県民の意向、障害者の要望を可能な限り反映し、実現の可能性に配慮した計画です。
・計画期間中の社会環境等の状況変化に、柔軟に対応できることを目指した計画です。

6.計画の期間

・平成5年度(1993年度)から平成12年度(2000年度)までの8年間とします。

7.障害者の慨念

・この計画における「障害者」の概念は、「身体障害、精神薄弱又は精神障害があるため、長期にわたり日常生活又は社会生活に相当な制限を受ける人」ととらえることにします。
・てんかん及び自閉症を有する人並びに難病に起因する身体又は精神上の障害を有する人で長期間生活上の支障がある人もこの計画の「障害者」の範囲に含まれます。
・ゆうあいピック群馬大会では、「精神薄弱」という用語に代えて、「知的障害」という用語を使用しています。

8.計画の推進

・計画を総合的に推進するため、群馬県障害者施策推進協議会を中心に、全庁的な取組みを行います。
・市町村の自主性を尊重しながら、緊密な連携と協力のもと計画の推進を図るとともに、国とも連携・協力を図っていきます。
・公立・民間を問わず関係機関及び広く県民の理解と協力を得て、総合的な推進を図ります。
・計画の期間中は、各年度ごとの計画の達成状況把握を行います。
・社会経済情勢の変動など各種要因に対応し、ニーズを把握しながら必要に応じて見直しを行います。

9.計画の体系

基本目標

1.障害者の主体性、自立性の確立
2.障壁のない生活環境の整備
3.共に生きる社会の実現
4.重度化・高齢化への配慮と生活の質の向上
5.連携による総合的な施策の推進

部門 施策目標 施策の方向
バリアフリーの確立 1.理解と交流の促進 1.理解と交流の促進 1.啓発広報活動の推進
2.ふれあいの機会の拡大
3.福祉教育の充実
4.ボランティア活動の推進
2.教有・育成の充実 1.早期教育の充実 1.適正な就学指導の推進
2.早期教育の理解啓発
3.各種相談事業の充実
4.ネットワーク化の推進
5.幼稚園特殊教育諸学校幼稚部の充実
2.学校教育の充実 1.教育内容の充実
2.教職員研修の充実
3.受け入れ体制の整備
4.適切な進路指導
5.指定校等の活動の促進
6.福祉教育、交流教育の推進
3.社会教育の充実 1.啓発活動の推進
2.学習機会の整備充実
3.雇用・就業の促進 1.就労機会の拡大 1.啓発活動の推進
2.法定雇用率の達成
3.職場環境の改善
4.重度障害者の雇用対策の促進
5.各種助成金制度の有効活用
2.就業リハビリテーション・職業訓練の充実 1.高等技術専門学校の充実
2.障害者職業センターとの連携強化
3.施設内職業訓練の充実
4.在職者の職業訓練の促進
5.技能競技大会への参加
3.職業相談・指導体制の充実 1.職業相談・指導体制の充実
2.職業紹介の充実
3.職業準備訓練の充実
4.福祉的就労の確保 1.福祉的就労施設等の整備
2.ネットワーク化の推進
3.就労定着化の推進
4.保健・医療の充実 1.発生予防、早期発見、早期治療の充実 1.母子保健教育の充実
2.周産期保健医療システムの充実
3.心身障害児等の発生予防対策の推進
4.早期療育対策の充実
5.成人・老人保健対策の推進
6.痴呆、寝たきり予防
7.事故の防止
2.医療及び医学的リハビリテーションの充実 1.医療体制の充実
2.医学的リハビリテーションの充実
3.精神保健対策の充実 1.精神保健思想の普及・啓発
2.地域精神保健活動の充実
3.精神医療体制の充実
4.社会復帰対策の促進
4.専門従事者の確保 1.リハビリテーション従事者の確保
2.看護婦等の確保
3.県立医療短期大学の運営
5.福祉サービスの充実 1.生活安定のための施策の促進 1.年金、手当などの充実と制度の周知
2.経済的負担の軽滅
3.日常生活の向上
2.在宅生活支援サービスの充実 1.生活の場の確保
2.日常生活の充実
3.在宅介護の充実
4.施設機能の充実
5.情報の提供
6.相談体制などの強化
7.自立性の向上
3.施設サービスの充実 1.施設の整備
2.処遇の向上
3.施設機能の強化と地域開放
4.県立施設の充実
6.社会生活環境の整備改善 1.福祉のまちづくりの推進 1.福祉のまちづくりの推進体制整備
2.やさしい心の醸成
3.防災安全対策の促進
4.コミュニケーションの確保
2.住宅・公共的施設の整備 1.住宅環境の整備促進
2.公共的施設の整備改善
3.移動交通対策の促進 1.移動手段の確保
2.交通関連施設の整備促進
3.道路環境の改善
7.文化、スポーツ、レクリエーションの参加促進 1.文化、スポーツ、レクリエーションの振興 1.文化活動等への参加促進
2.文化活動の開催支援
3.スポーツ大会の開催支援
4.文化施設の利用促進
5.障害者スポーツの振興
2.文化、スポーツ、レクリエーション施設の整備 1.文化、レクリエーション活動施設の整備
2.スポーツ施設の整備
8.推進基盤の整備 1.マンパワーの養成・確保 1.人材の確保、養成
2.ボランティア活動の推進
3.職場環境の整備促進
2.地域リハビリテーション推進拠点とネットワークの整備 1.地域リハビリテーションの拠点整備
2.ネットワークの整備
3.情報利用の促進・整備 1.情報提供の拠点の整備
2.公共サービスの充実
3.縦断測定データの集積
4.推進体制の整備 1.推進施設の整備
2.推進組織の整備

10.計画期間中に取り組む主な事業

○ゆうあいピック群馬大会
・知的障害者を主役とする群馬方式で運営
・大会を契機とした障害者理解の継続的推進

○福祉教育の推進
・小・中・高等学校における福祉教育、交流教育の積極的な推進

○特殊教育諸学校高等部進学希望者の積極的な受入れ
・高等部単独の養護学校(2校)を中北毛地区、西毛地区に各1校設置

○障害者雇用の拡大定着
・第3セクター方式による重度障害者多数雇用企業の設立
・福祉工場の設置検討
・福祉作業所の増設23か所→70市町村への拡大
・小規模共同作業所の増設
・雇用主、従業員に対する啓発活動の拡充
・障害者雇用支援センター(仮称)との連携

○障害児早期療育体制の整備
・保健所、児童相談所、福祉事務所、市町村等の連携強化と一貫した療育体制整備
・県立小児医療センターにおける早期療育体制の整備

○障害者の社会復帰促進強化
・精神障害者援護寮設置
・精神障害者授産施設、福祉ホーム、グループホームの設置増設
・精神薄弱者授産施設(13→20か所)、地域ホーム(23→46か所)、グループホーム(5→10か所)、福祉ホームの増設

○重度障害者施設整備による入所待機者の完全解消と処遇の向上
・しろがね学園の再編
・重症心身障害児施設(定員203→253人)、精神薄弱者更生施設等の増設
・身体障害者リハビリテーションセンターの機能強化

○デイサービス事業
・11市では、すべて実施(身体障害者、精神薄弱者)
・町村については、老人デイサービスとの相互利用や小規模デイサービスセンターを設置促進(身体障害者)
・町村の在宅重度心身障害者等デイ・サービスについては設置促進

○福祉のまちづくりの推進
・福祉のまちづくり整備指針の策定
・福祉のまちづくり整備計画の策定
・障害者に配慮した県立施設の計画的整備(特に新県庁舎)
・福祉のまちづくり条例(検討→制定)
・建築基準法施行条例の改正(福祉的配慮)(検討→制定)

○障害者に配慮した住宅整備
・バリアフリーモデルハウスの設置
・リフォームヘルパー制度設置(専任、委託方式によるネットワーク化)
・助成制度の拡充

○文化、スポーツ、レクリエーション施設の活用促進
・文化、スポーツ施設の計画的改善整備
・利用料等減免範囲の拡大
・障害者スポーツ指導者の養成及びスポーツ団体の育成
・県立ふれあいスポーツプラザの運営充実

○在宅身体障害者自立更生体制の整備
・身体障害者更生相談所の機能強化に基づく地域リハビリテーションネットワークの構築(全市町村に地域組織整備)
・地域リハビリテーション活動の展開と在宅障害者の更生支援

○障害者福祉推進体制の整備
・社会福祉総合センター(仮称)の建設
・県立点字図書館の整備
・聴覚障害者情報提供施設の設置

○障害者更生システムの研究開発
・在宅処遇事例、施設処遇事例の集積と更生システムの体系化

第2章 基本計画

1.理解と交流の促進

 障害を持つ人も持たない人もすべての人が住みよい平等な社会づくりを進めるためには、県などの行政関係機関が障害者に対する各種施策を実施していくだけでなく、すべての県民が、障害及び障害者に対して十分な理解をし、障害者に対する偏見など人々の間にある「心の壁」を除去することが大切です。
そのため、すべての県民に対し、障害者問題に対する理解と協カを呼びかけるとともに、障害者との交流を促進し、相互理解が深められるようにすることが必要です。

施策目標

[1] 理解と交流の促進

[1]理解と交流の促進

 すべての県民が、世代やハンディを越え、交流し理解を深めることにより「心の壁(バリア)」を除去することが大切です。

<現状と課題>

○バリアフリーの基本理念のもと、障害者に対する充分な理解と配慮は、障害者の自立と社会参加のためには不可欠のものです。

○昭和58年10月に、全国身体障害者スポーツ大会「愛のあかぎ大会」が、本県で開催されたことを契機にスポーツ、芸術、文化活動を通して、障害を持つ人達の社会参加に対して理解と交流が深められました。

○障害者福祉に関する情報のニーズは高く、また、ボランティアの増加を見てもわかるように、障害者に対する県民の支援は進んできています。

○しかし、半数以上の障害者は社会の支援体制が不十分であると感じています。また、障害者に対する理解も必ずしも進んでいるとは言えません。

○それは、日常的に障害者と交流する機会がないことや、障害者に対する正しい情報が提供されていないことが、原因であると思われます。

<施策の方向>

1)啓発広報活動の推進

○理解と交流を促進するためには、テレビ・ラジオ・新聞などのマスメディアだけでなく、地域の情報誌や自治体の広報紙などの地域に密着したメディアも利用して障害者に関する情報を提供します。

○また、情報は一方通行であっては発展性がありません。県政モニターなどの広聴事業に加え、障害者や、県民からの情報発信の機会を増やしていきます。

○情報は新たな交流の場を生む契機にもなります。パソコン通信などによる情報化の進展は、障害者との交流においても大きな可能性を持っていると言えます。

○この施策行動計画の趣旨をすべての県民・企業などに理解していただくため、様々な啓発広報活動を行います。

2)ふれれあいの機会の拡大

○障害者と日常的にふれあう機会のない県民にとって、交流の機会を拡大するためのイベントを実施します。

○行政や障害者団体が開催するイベントに加え、その他の多様な交流の場を整備するとともに、民間を含めた既存の施設やイベントを有効に活用することによって、円滑な交流を推進します。また、異種施設を近接化・複合化することによって、交流の機会を拡大するよう努めていきます。

○交流の推進には、円滑な移動性を確保することが必要となってきます。そのためには、リフトバスを導入するなど、きめ細かい公共交通サービスを整備していきます。

3)ゆうあいピック群馬大会

○平成6年10月には、知的障害者の全国スポーツ大会「ゆうあいピック群馬大会」が本県で開催されます。本県では、知的障害者を主役とする群馬方式で運営します。

○大会を契機に障害を持つ人びとに対する理解と、世代やハンディを越えた交流が進められるよう努めていきます。

4)福祉教育の推進

○障害者への理解を促進するため、早い時期から学校において福祉教育を推進します。

○福祉教育の一環として、学校教育の場で地域の社会活動を行えるよう、社会福祉協力校の指定校数を増やしていきます。

○盲・聾・養護学校の児童生徒と、地域の障害のない児童生徒との交流教育を積極的に推進します。

○広く県民に、「福祉のこころ」を育てる福祉教育は、生涯にわたって総合的に推進する必要があります。そのため、家庭、学校、地域社会の連携のもとに推進に取り組みます。

5)ボランティア活動の推進

○これからの地域福祉は地域に密着した支援体制が求められるため、全市町村にボランティアセンターを設置するよう働きかけていきます。

○ボランティアセンターを中心に、誰もが、ボランティア活動に関する的確な情報を得ることができるよう、福祉情報提供システムの確立に努めます。

○点訳や、手話などの専門的なボランティアを養成します。また、福祉分野に限らず、他の分野のボランティアに対しても積極的に情報を提供し、相互交流を図り、福祉ボランティア層の拡大に努めます。

2.教育・育成の充実

 心身障害児の可能性を最大限に伸ばし、可能な限り積極的に社会に参加する人間に育てるためには、心身の障害の状態や発達段階などに応じた適切な教育の機会と場を整備し、特別な配慮のもとに適切な教育を進めることが特に必要とされます。
それとあわせて、心身障害児と障害のない児童生徒が、活動を共にすることにより、相互理解が深められるよう、福祉教育や交流教育を推進することが重要です。
また、障害者などの生涯学習を支援する事業を充実していくなどの配慮が必要とされています。

施策目標

[1]早期教育の充実
[2]学校教育の充実
[3]社会教育の充実

[1]早期教育の充実

 心身障害児が、自已の能力を最大限に発揮し、社会に生きる一人の人間として望ましい成長発達をしていくためには、できる限り早期に障害を発見し、その障害の種類、程度及び発達段階等に応じた適切な教育・訓練を行い、障害の状態を改善、克服することが重要です。

<現状と課題>

○相談の必要な幼児がそのままであったり、保護者が相談の窓口を知らない場合があることから、早期教育の必要性や相談窓口の周知を図る必要があります。

○心身に障害のある幼児に対しては、早期からの適切できめ細かな相談・指導を行うことが大切です。そのため、心身障害児教育相談、家庭教育相談などの各種相談事業をさらに充実させる必要があります。

○乳幼児の検診、相談等を通じて得た障害の種類、程度に関する情報を早期に把握するため、保健所・児童相談所・病院など諸機関の相互の連帯を密にするなど、教育・福祉・医療のネットワークの強化を図る必要があります。

○幼稚園、盲学校、聾学校幼稚部及び保育所における受け入れ体制の整備並びに職員に対する研修などにより、早期教育を充実させる必要があります。

<施策の方向 (行動のテーマ)>

1)適正な就学指導の推進

 心身障害児の適正で円滑な就学を進めるため、組織と活動を充実させ適正な就学指導を推進していきます。

2)早期教育の理解啓発

 早期教育の必要性の周知を徹底するとともに、教育相談の仕組みについての広報活動を推進します。

3)各種相談事業の充実

 心身障害児に対する早期教育・訓練を行うため、各種相談事業を充実させていきます。

4)ネットワーク化の推進

 乳幼児期の障害を早期に把握するため、保健所・児童相談所・病院などの諸機関相互の連携を密にし、教育・福祉・医療のネットワーク化を図っていきます。

5)幼稚園・特殊教育諸学校幼稚部の充実

 心身に障害のある幼児の早期教育を促進するため、医療及び福祉との連携のもとに、心身障害児の教育機会の拡大、指導内容を一層充実させていきます。

盲学校在籍児童生徒数の推移

(学校基本調査より)

58年度 59年度 60年度 61年度 62年度 63年度 元年度 2年度 3年度 4年度
幼稚部 2人 1人 1人 1人 1人 3人 5人 6人 3人 1人
小学部 21人 24人 22人 23人 19人 15人 16人 16人 15人 11人
中学部 17人 14人 14人 8人 11人 15人 15人 13人 12人 15人
高等部 44人 44人 46人 49人 43人 45人 45人 43人 41人 38人
84人 83人 83人 81人 74人 78人 81人 78人 71人 65人

聾学校在籍児童生徒数の推移

(学校基本調査より)

58年度 59年度 60年度 61年度 62年度 63年度 元年度 2年度 3年度 4年度
幼稚部 28人 29人 25人 22人 23人 22人 25人 27人 35人 36人
小学部 54人 51人 42人 36人 38人 36人 39人 36人 36人 44人
中学部 34人 29人 39人 39人 32人 23人 20人 21人 22人 18人
高等部 48人 46人 41人 34人 33人 46人 47人 41人 32人 25人
164人 155人 147人 131人 126人 127人 131人 125人 125人 123人

[2]学校教育の充実

 心身障害児が一人の人間として望ましい成長発達をし、その可能性を最大限に伸ばすため、心身障害の状態等に応じた、教育内容・方法の充実と受け入れ体制の整備に努めることが必要です。
また、障害児と障害のない児童生徒との相互理解を深める教育が、大切です。

<現状と課題>

○盲・聾・養護学校の児童生徒の障害は、重度・重複化の傾向があり、障害の実態に応じた教育や指導が必要です。

○後期中等教育は、生徒一人ひとりの自立と社会参加を促進する上で重要となっています。生徒の個性と多様な障害に即した職業教育など、適切な進路指導を行っていく必要があります。

○これらの学校の児童生徒が、自己の能力を発揮し、充実した学校生活を送れるようにするため、受け入れ体制を整備する必要があります。

○「群馬県障害者福祉に関する調査」結果から、一般県民の障害者への理解を促進するために大切なことのトップは、「学校のカリキュラムの中で子供の頃から福祉教育を行うこと」で、全体の50%近くになっています。

○小・中学校の障害のない児童生徒と特殊学級や特殊教育諸学校の児童生徒が、学校の教育活動を通して交流の機会を持つことは、相互の理解や認識を深め、好ましい人間関係を醸成するなど双方の児童生徒にとって大きな意義があります。

<施策の方向 (行動のテーマ)>

1)教育内容の充実

 児童生徒の障害の実態に応じた指導の形態の工夫、教育内容などの改善を図っていきます。

2)教職員研修の充実

 盲・聾・養護学校教職員の資質や専門性を高めるため、教職員研修や養成を一層充実させていきます。

3)受け入れ体制の整備

 児童生徒が自已の能力を発揮し、充実した学校生活を送れるよう設備及び教材・教具の整備や職員配置など受け入れ体制を整備します。

4)適切な進路指導

 児童生徒の個性と多様な障害に即した職業教育など適切な進路指導を行っていきます。

5)指定校等の活動の促進

 文部省指定校、県指定校を設け、特殊教育の指導と推進に関する実践・教育を進めます。

6)福祉教育、交流教育の推進

 障害児と障害のない児童生徒との交流ふれあいにより、相互の正しい理解と認識を深めるため、学校での福祉教育、交流教育を推進します。

精神薄弱養護学校在籍児童生徒数の推移

(学校基本調査より)

58年度 59年度 60年度 61年度 62年度 63年度 元年度 2年度 3年度 4年度
小学部 553人 541人 508人 486人 457人 408人 412人 399人 403人 391人
中学部 260人 277人 300人 322人 322人 339人 310人 306人 258人 246人
高等部 108人 123人 141人 154人 181人 212人 242人 255人 291人 314人
921人 941人 949人 962人 960人 959人 964人 960人 952人 951人

肢体不自由養護学校在籍児童生徒数の推移

(学校基本調査より)

58年度 59年度 60年度 61年度 62年度 63年度 元年度 2年度 3年度 4年度
小学部 109人 110人 116人 110人 98人 105人 96人 104人 100人 108人
中学部 73人 66人 59人 51人 63人 69人 74人 57人 55人 51人
高等部 54人 55人 56人 63人 56人 56人 49人 54人 55人 68人
236人 231人 231人 224人 217人 230人 219人 215人 210人 227人

[3]社会教育の充実

 社会教育の場で、障害者と地域社会の人々が活動をともにすることは、地域社会の人々の障害者問題に対する正しい理解を深めるために必要です。
また、障害者が、生きがいを持って生活を送るため、自分の持つよさや可能性を追求し、生活の充実が図れるような学習機会が確保されることが大切です。

<現状と課題>

○障害者に対する正しい理解と認識を深めるため、公民館活動や学校開放講座などの社会教育活動を通じ、地域社会の人々への啓発が必要です。

○障害者が、生涯にわたる学習の機会や場を確保されるなど、学習機会が多面的に整備されることが望まれます。

○盲・聾・養護学校などを地域に開放する開放講座を行い、地域社会の人々に障害者に対する正しい理解と認識を深める啓発活動を行っていくことが必要です。

<施策の方向 (行動のテーマ)>

1)啓発活動の推進

 障害者に対する正しい理解と認識を深めるため、地域の社会教育活動を通じ、地域社会の人々への啓発を行っていきます。同時に、それらの活動には障害者も一緒に参加できるよう働きかけていきます。

2)学習機会の整備拡充

 障害者が自己の充実と生活の向上を図り、多くの可能性を追求し、自己実現が図れるよう学習機会の提供に積極的に努めます。

3.雇用・就業の促進

 障害者が、社会の構成員として社会的に自立していくためには、職業の問題は極めて重要な問題です。
一般雇用はもちろん、福祉的就労を含め、働く意欲を尊重し、障害者の働く場の確保や就労の定着を図るため、就労の機会の確保や職場環境対策を進めることが必要です。

施策目標

[1]就労機会の拡大
[2]職業リハビリテーション・職業訓練の充実
[3]職業相談・指導体制の充実
[4]福祉的就労の確保

[1]就労機会の拡大

 就労は、人にとって単に生活の糧を得る手段であるだけでなく、社会への参加の貢献そして、生きるよろこびを与えてくれます。
働くことを望む誰もが、適性と能力に応じて就労できるよう働く場の確保や雇用・就労の機会拡大のための条件整備が課題となっています。

<現状と課題>

○「群馬県障害者福祉に関する調査」結果などから、生きがいのある生活の実現には、就労が重要な要素の1つとなっています。

○また、「障害者の就労の援助・場の確保」が、行政が取り組むべき障害者福祉施策の1位となっているなど就労への関心が高くなっています。

○しかしながら、就労率は身体障害者、精神薄弱者とも5割前後にとどまっており、特に、精神薄弱者の場合は30代以上や重度者において、身体障害者の場合は重度者や視覚・内部障害者で就労率が低いなど、障害の種類によって差があります。

○また、一般民間企業における障害者雇用率は、平成5年6月現在1.59%と年々改善されていますが、法定雇用率未達成企業の割合は43.5%とまだ多く、企業の協力と理解が望まれます。

○「群馬県障害者福祉に関する調査」結果でも、「職場で障害者に対する理解があることが必要」と感じている人が20.7%います。

○このため、障害者の就労を促進しその定着を図るためには、障害の種類・特性に応じた対策や施設の改善に加え、事業主やともに働く従業員の理解を促進するなど就労環境の整備が必要です。

<施策の方向 (行動のテーマ)>

1)啓発活動の推進

 事業主をはじめともに働く従業員や県民に対し、広く障害者の雇用問題を群馬県障害者雇用促進協会と連携のうえ、啓発していきます。

2)法定雇用率の達成

 「障害者の雇用の促進等に関する法律」に定められた法定雇用率の達成のため民間企業などに対し、指導を行っていきます。

3)職場環境の改善

 就労環境の改善、就労可能な職種の開発など、関係機関と連携のうえ、障害者の働く場の拡大や環境の改善に努めます。また、事業主やともに働く従業員の理解が得られるよう働きかけます。

4)重度障害者の雇用対策の推進

 重度障害者の雇用の促進を図るため、第3セクター方式による重度障害者多数雇用企業の設立に努めます。

5)各種助成金制度の有効活用

 事業主の経済的負担を軽減し、積極的な就労が行われるよう、群馬県障害者雇用促進協会と運携のうえ、各種助成金制度の有効活用に努めます。

障害者雇用状況の推移(民間)

障害者雇用状況の推移(民間)のグラフ

(各年度6月1日現在)
資料:職業安定課

[2]職業リハビリテーション・職業訓練の充実

 障害者の就業、職業的自立を促進するため、障害の種類や程度に応じた幅広い職業訓練・職業指導などの職業リハビリテーションを総合的かつ効果的に実施していくことが重要です。

<現状と課題>

○「群馬県障害者福祉に関する調査」結果によると精神薄弱者では、特に若年層の障害者を中心に、「自立訓練や職業訓練が受けられる施設」への要望が高いことから、職業訓練の場の整備が必要です。

○それぞれの障害に応じた職業訓練の実施体制を整備するとともに、就職の前に事業所で行われる訓練や福祉的就労の場で行われる作業訓練などを充実させる必要があります。

○身体障害者技能大会への参加を通じ、社会参加の促進を図るとともに、障害者自らの技能修得の意欲を高め、職業能カの向上についての意欲を高めていくことが必要です。

<施策の方向 (行動のテーマ)>

1)高等技術専門校の充実

 高等技術専門校の受け入れ体制や施設整備を進め、障害者の技能修得を図ります。

2)障害者職業センターとの連携強化

 群馬障害者職業センターにおいて実施する職業評価、職業指導、職業準備訓練、職業開発援助事業、職業講習などの職業リハビリテーションを有効に活用し、障害者の就業・職業的自立の促進に努めます。

3)施設内職業訓練の充実

 身体障害者リハビリテーションセンター、身体障害者、精神薄弱者授産施設などにおいて効果的職業訓練が行えるように努めます。

4)在職障害者の職業訓練の促進

 事業主に対し、障害者の企業内訓練の充実を図るよう働きかけます。

5)技能競技大会への参加

 身体障害者技能競技大会への参加を通じ、障害者の技能修得意欲の向上を図るとともに、障害者の職業能力についての評価を高めます。

[3]職業相談、指導体制の充実

 障害者の就労を促進するためには、障害の種類、程度や一人ひとりのニーズに応じその能力に適した職業相談や指導体制の充実に努めることが必要です。

<現状と課題>

○「群馬県障害者福祉に関する調査」結果によると、公共職業安定所や障害者職業センターなどの公的機関に就労相談にいった経験がある人は23.5%で、71.6%の人が「(行ったことは)ない」ことからも障害者の公的機関での就労相談はまだ少なく、相談機関が有効に利用されるような対策が必要です。

○就職が可能な職種の開発を進めるため、公共職業安定所や群馬障害者職業センターが中心となり、企業と十分な連携をとっていく必要があります。

○就労習慣が身についていない障害者や、養護学校、特殊学級などに在学する障害児に対し、就労前に基本的な労働習慣を身につけさせ、職場への定着を図っていくことが必要です。

<施策の方向 (行動のテーマ)>

1)職業相談、指導体制の充実

 就職可能な職種の開発を進め、一人ひとりの障害の種別や程度に応じ、専門職員によるきめ細かな職業相談・指導を行います。

2)職業紹介の充実

 職業相談などを通じて得られた障害者のニーズに十分配慮し、その能力に適した職業紹介を行います。
また、事業主との連携と協力により、求職情報を広域的に提供していきます。
さらに、職場への適応を図るため、就職後の職場適応指導の充実に努めます。

3)職業準備訓練の充実

 授産施設、群馬障害者職業センターなどの職業準備訓練や、養護学校、特殊学級などにおける職場実習を充実するとともに、地域における職業準備訓練支援施設の整備を検討します。

[4]福祉的就労の確保

 民間企業への就職が困難な障害者に対し、就労の確保と社会参加への意欲を高めるための福祉的就労の場を確保する必要があります。

<現状と課題>

○福祉的就労の場については、地域的配置の面や重度者への配慮など障害者のは、経済状況の変動により変化し、施設ニーズに即した対応が望まれます。

○授産施設や関係団体とのネットワーク化を進めながら製の販売拡大・製品開発を図る必要があります。

○福祉的就労施設における仕事の受注量の経営を圧迫することがあるため、その対策が必要となります。

障害者福祉作業所数の推移

障害者福祉作業所数の推移のグラフ

(各年度末現在)
資料:障害福祉課

<施策の方向 (行動のテーマ)>

1)福祉的就労施設等の整備

 福祉的就労施設の整備を図り、障害者の就労を促進するとともに、作業能力の向上を図ります。
また、職親委託制度により精神薄弱者の基本的な就労訓練を実施していきます。

2)ネットワーク化の推進

 授産施設や関係団体や企業とのネットワーク化を進め、製品の販路拡大・製品開発を図るとともに、仕事の安定的受注を目指します。

3)就労定着化の推進

 再訓練施設を整備することにより、障害者の就労の定着を図ります。

4.保健・医療の充実

 障害の発生予防と早期発見、早期治療は、障害者対策の重要課題の一つです。とりわけ、人口の高齢化にともなう、高齢障害者対策や今後の課題である精神保健対策の重要性が一層増しています。
この分野では、障害の発生予防からリハビリテーションに至るまで幅広く、きめ細かな取り組みが要請されています。

施策目標

[1]発生予防、早期発見、早期治療の充実
[2]医療及び医学的のリハビリテーション充実
[3]精神保健対策の充実
[4]専門従事者の確保

[1]発生予防、早期発貝、早期治療の確立

 障害は発生を予防することが基本であり、母子保健対策が重要な課題の一つです。
また、早期発見、早期治療は障害の治癒、軽減に効果的であり、適切な時期に適切な指導や治療が行われることが必要です。

<現状と課題>

○健全な母性の育成と、育児に必要な正しい知識の普及を図るとともに、育児支援体制をつくるための母子保健教育がますます必要になっています。

○出生前後は最も子供の死亡率が高く、重篤な障害を生じやすい時期です。そのため、これからも地域中核病院をネットワーク化した周産期救急医療システムを構築していく必要があります。

○妊婦、乳幼児の健康診査は、安全な分娩と健やかな子供の成長発達にとって欠かすことのできない重要なものです。必要に応じて検診後の十分な指導を行う体制の整備が必要です。

○先天性代謝異常、先天性甲状腺機能低下症及び神経芽細胞腫の早期発見・早期治療を行い、心身障害児の発生予防体制の整備を進めています。

○早期療育については、県立小児医療センター、保健所、児童相談所、心身障害児施設などで取り組んでいますが、さらに関係機関の連携や療育の一貫性の確保が必要です。

○「群馬県障害者福祉に関する調査」において、早期に障害が発生した人ほど人生の転機において妥協しているケースが多い(3~4割前後)という結果がでていることから、早期療育対策を総合的に推進する必要があります。

○近年、高齢化社会となり、成人病の死亡率が高くなっております。成人病は寝たきりや痴呆などの障害の原因ともなっており、医療機関との連携のもとに、必要な生活指導や治療に結びつける指導が必要です。

○厚生省の調査によると、老人性痴呆疾患患者は、全国で平成2年度現在、在宅及び施設あわせて約99万4千人で、平成12年には約150万人に増加するものと推定され、その対策が必要です。

○群大医学部で疫学調査を実施したところ、本県では65歳以上の在宅老人の3%が痴呆である、という結果が発表されており、その症状の改善などの対策が課題となっています。

○厚生省によると障害老人(寝たきり老人)は、全国で平成2年現在、70万人程度でしたが、平成12年に100万人程度に増加すると推計されています。
本県では、自立意識と適切な介護により「ねたきり」を予防することが可能であることを広く理解していただき、ねたきりにならない環境づくりを全県的に進めることを目的に「ねたきりにならない県民運動」を推進しております。

○後天的な事故による障害には、交通事故やスポーツによる事故、労働災害による事故などさまざまな要因があり、それぞれの分野で発生の予防に努めることが重要です。

痴呆性老人の将来数の推計

対老人人口比 推計数
平成2(1990)年 6.7% 99万人
平成7(1995)年 6.8% 123万人
平成12(2000)年 7.0% 150万人
平成17(2005)年 7.4% 179万人
平成22(2010)年 7.9% 213万人
平成27(2015)年 8.1% 247万人
平成32(2020)年 8.6% 274万人

資料:平成2年度厚生科学研究所

<施策の方向 (行動テーマ)>

1)母子保健教育の充実

 啓発活動を充実し、子供の健康づくりに対する父母の意識の高揚と育児支援に努めます。

2)周産期保健医療システムの充実

 県内の地域中核病院の連携による、周産期救急医療システムの構築を目指します。

3)心身障害児等の発生予防対策の推進

 乳幼児の成育に応じた健康診査や特定疾病検査を実施し、病気異常を早期に発見するなど、適切な措置を講じます。

4)早期療育対策

 各種の療育対策事業を推進し、心身障害児の早期発見、早期療育を推進します。

5)成人・老人保健対策の推進

 成人病を早期に発見し、早期治療に結びつけるために、成人病の早期発見に努め、事後指導の充実を図ります。

6)痴呆、寝たきり予防

 痴呆性老人に対する症状の改善のための対応策を普及し、介護を要する障害を持つ老人に対する寝たきり防止対策を推進します。

7)事故の防止

 交通事故、スポーツによる事故や労働災害による事故等を減らすよう安全対策を推進します。

生涯を通じる健康づくり体制図

生涯を通じる健康づくり体制図

資料:群馬県保健医療計画(平成5年7月改訂)

[2]医療及び医学的リハビリテーションの充実

 医療は、障害者対策を進めるうえで、欠かすことのできない重要なものであり、早期かつ適切に提供されるよう、充実する必要があります。
また、医学的リハビリテーションの充実は、障害の軽減を図り、障害者の自立を促進するためにも不可欠なものであり、体制の整備を図る必要があります。

<現状と課題>

○現在、市町村保健センターなどにおいて、病院等での治療終了後も継続して、機能訓練の必要な人達に対し、心身機能の維持回復を図るため必要な訓練が行われています。

○原因が不明であって治療方法が確立されていない、いわゆる難病については、国の施策を踏まえて、調査研究の推進、医療施設の整備、医療費の自己負担の軽減の三つの柱を中心に対策が進められています。
本県の平成4年度末現在の特定疾患治療研究事業の対象者は4,420人です。

○「保健医療に関する意識調査(平成3年)」では、県民からは、寝たきり老人など通院できない人の歯科診療体制の整備(16.7%)、身体障害児など身体の不自由な人に対する歯科医療体制の強化(6.2%)などが求められています。

○高齢化社会を迎え、脳卒中などに伴う老人性痴呆や機能障害を有する患者の増加が見込まれるため、適切なリハビリテーションが必要となります。

○厚生省の調査によると、在宅の障害老人の自立度では、全く寝たきり16.0%、ほとんど寝たきり18.5%、寝たり起きたり45.4%、その他20.0%となっており(平成4年度)、障害老人のうち84%は離床の可能性があり、その対応策を推進する必要があります。

<施策の方向 (行動テーマ)>

1)医療体制の充実

○在宅難病対策については、患者の症状や生活実態に適合した保健生活指導を行うよう難病相談事業などを拡充します。

○在宅寝たきり者や在宅身体障害児(者)などに対する歯科治療、歯科保健指導対策を推進します。

2)医学的リハビリテーションの充実

○機能訓練を必要とする人のための医学的リハビリテーションの充実に努めます。
また、リハビリテーションの普及及びリハビリテーション施設の整備を促進し、医学的リハビリテーションの総合的な推進に努めます。

○保健・医療・福祉の各分野の施策について、より効果的に推進するため、相互の連携強化に努めます。

○痴呆性老人対策としては、作業療法などを行い、リハビリテーションの充実に努めます。
また、在宅老人については、老人保健、老人福祉部門と十分な連携を図りながらその対策を推進します。

特定疾患年度別患者数

58年度 59年度 60年度 61年度 62年度 63年度 元年度 2年度 3年度 4年度
患者数 1,846人 2,426人 2,774人 3,978人 3,216人 3,408人 3,696人 3,917人 4,149人 4,420人

資料:保健予防課

[3]精神保健対策の充実

 精神保健対策は、精神障害に対する誤解や偏見を取り除き、早期発見、早期治療、短期入院を目指した精神科医療体制の確立と、県民の協力による精神障害者の社会復帰の促進を図る対策が必要とされています。

<現状と課題>

○精神疾患や精神障害についての無理解、認識不足からくる偏見差別観念は、いまだ根強いものがあり、精神保健施策を推進するためには、住民の理解が不可欠です。

○地域住民の精神保健に対する正しい理解と協力を求めるために、精神保健センター、保健所及び市町村において、精神保健知識の普及・啓発を図る必要があります。

○保健所は、地域における精神保健活動の第一線機関であり、管内の精神保健活動に関する実態把握、精神保健相談、訪問指導、患者家族会等の活動に対する必要な助言・支援又は指導、医療及び保護関係の事務等を行っています。平成4年度に保健所において受けた精神保健相談延件数は11,170件、訪問指導延件数は2,550件となっており、いずれも増加傾向にあります。

○精神保健センターは、地域精神保健活動推進の中核として、広報普及・技術援助指導・教育研修・精神保健相談・調査研究・協力組織の育成といった広範な業務を担当しています。また、職種等に応じた専門的教育・研修会を開催するほか複雑困難な事例を対象とした相談業務等を行っています。

○変化の激しい現代社会においては、ストレスが拡大しつつあり、さまざまな欲求不満や不安を体験しながらも、著しい不適応状態に陥ることなく精神の健康を維持管理していくことは容易なことではありません。
精神の不適応状態に陥った場合、これを解決するには個人の力だけでは不十分であり、社会全体の協カが必要とされます。

○平成3年度の患者調査によると、本県の入院受療者総数の約25%の人が精神障害によるものです。
従来の精神障害者対策は、入院医療が主流でしたが、医学・医療技術の進歩や社会情勢の変化により、入院医療だけでは不十分とされ、退院後のアフター・ケアや通院医療の充実の必要性が強く指摘されるようになりました。

○緊急に医療保護を必要とする精神障害者に対する精神科救急医療体制については、平成元年度に応急入院制度を、平成2年度に夜間・休日精神科救急医療制度をそれぞれ新設し、対応していますが、さらに、精神科救急医療を有効に機能させるため、医療機関の受入体制等を整備する必要があります。

○精神障害者は、疾患と障害の共存という他の障害には見られない特殊性を有していることから、治療と同時にリハビリテーションを進める必要があり、精神医療の一層の充実を図るとともに、入院中心の治療から地域ケア体制へという時代の流れの中で、精神障害者の人権の擁護と、個人としての尊厳を重んじながら、地域社会において生活できるための受け皿である支援システムを整備し、社会復帰と社会参加を積極的に促進する必要があります。

○精神障害者対策は、保健・医療面での対応が重視されていたため、雇用、福祉面の対応が遅れ、保健・医療・福祉が一体となった総合的な対策が十分行われてこなかったと指摘されています。

○精神障害者が、社会復帰を果たすためには、地域社会が一体となって取り組まなければなりませんが、群馬県精神障害者家族会連合会等の協力を得て、精神障害者の身近な場所に小規模共同作業所を設置し、作業訓練などを通じて社会復帰対策を推進していく必要があります。

○精神障害者の社会復帰施設の整備状況は、平成4年度末で精神障害者授産施設1か所、県単独の補助制度の対象である精神障害者小規模共同作業所3か所となっています。

<施策の方向 (行動テーマ)>

1)精神保健思想の普及・啓発

 精神疾患や精神障害についての誤解や偏見を取り除き、地域住民の精神保健に対する正しい理解と協力を求め、施策を展開していきます。

2)地域精神保健活動の充実

 精神障害者を地域社会全体で支えていくため、地域精神保健活動の充実を図ります。

3)精神医療体制の充実

 精神医療の充実を図るため民間医療機関との連携のもと、幅広い相互協力体制の整備に努めます。

4)社会復帰対策の促進

 精神障害者の社会復帰の促進を図るため、より一層の充実を図ります。

保健所における精神保健相談延件数のグラフ

資料:保健所運営報告

群馬県精神保健マップ

群馬県精神保健マップ

[4]専門従事者の確保

 保健・医療を充実させていくためには、専門的技術を有する質の高い専門従事者が不可欠であり、そのための育成・確保を図っていくことが必要です。

<現状と課題>

○医療施設、保健施設、福祉施設などの各領域におけるリハビリテーションの普及に伴い、リハビリテーションの中で重要な位置を占めるリハビリテーション従事者は、平成4年8月現在、理学療法士114人、作業療法士83人の計197人となっています。

○平成4年度において、老人保健事業における機能訓練を実施している市町村は47市町村で、その実施回数は延3,685回、実施延人員31,165人です。未実施市町村も23市町村あり、これら市町村における機能訓練のためのマンパワー(理学療法士、作業療法士等)の確保等が課題です。

○本県における平成4年12月末の看護婦(士)、准看護婦(士)の就業者数は12,085人です。人口10万人対看護婦(士)、准看護婦(士)数は606.6人となっています。今後、社会の動向をよく見極めて中長期的視野に立って、養成力の充実を図っていく必要があります。

○県立福祉大学校の短大化を図り、平成5年4月前橋市に、県立医療短期大学(看護学科一学年定員80人、診療放射線学科一学年定員35人各修学年限3年)が開学しました。

<施策の方向 (行動テーマ)>

1)リハビリテーション従事者の確保

 理学療法士、作業療法士の県内定着を図るとともに、啓発普及活動を進め、リハビリテーション従事者の養成、確保に努めます。

2)看護婦等の確保

 看護職員を確保するため、養成力の充実、県内就職促進、離職防止、啓発普及を主要施策として事業の拡充強化を図り、看護婦などの確保に努めます。

看護婦(士)・准看護婦(士)の年齢階級別構成

看護婦(士)・准看護婦(士)の年齢階級別構成

資料:保健婦、助産婦、看護婦及び准看護婦の業務従事者届 平成4年12月31日現在

3)県立医療短期大学の運営

 県民の保健医療の向上に寄与することができる医療技術者の育成を推進します。

5.福祉サービスの充実

 障害者施策の目指すところは、「完全参加と平等」の理念の実現であり、住み慣れた地域社会での生活が確保されるところにあります。
そのため、生活の安定や在宅福祉サービスと施設サービスが、きめ細かく、一元的かつ計画的に提供される地域福祉社会体制を推進することが必要です。

施策目標

[1]生活安定のための施策の推進
[2]在宅生活支援サービスの充実
[3]施設サービスの充実

[1]生活安定のための施策の推進

 障害者が、地域社会の中で自立した生活を送り、日常の生活を支えるためには、障害者及びその家族の所得保障の充実が必要です。

<現状と課題>

○「群馬県障害者福祉に関する調査」では、年金や手当の増額、支給対象の拡大といった所得保障や、介護者亡き後の生活の確保などについて、多くの障害者が望んでいます。

○所得保障の基本となる、公的年金制度や各種手当制度はまだ十分であるとは言えないので、制度の充実について、引き続き国に対して要望していく必要があります。

○重度障害者への医療費の助成、運賃・料金の割引、各種資金の貸付など、経済的自立を支援するこれらの制度についても充実を図る必要があります。

○介護者亡き後の生活の安定と自立を図るため、相互扶助制度についても加入を促進していく必要があります。

○各種年金や手当及び関連制度の周知について徹底を図り、制度の有効利用を促進することが必要です。

<施策の方向 (行動テーマ)>

1)年金、手当などの充実と制度の周知

○障害者の所得保障のため、公的年金制度の充実について、国に働きかけます。

○重度障害者(児)に対して、その障害のため必要となる精神的、物質的な負担を軽減するとともに、所得保障の一環として、各種手当制度の充実について、国に働きかけます。

○年金、手当などの各種制度について、周知徹底に努めます。

2)経済的負担の軽減

○重症心身障害者(児)などの医療費負担を軽減するため、更生医療の給付や、県単独の福祉医療費支給制度の適切な運用を図ります。

○保護者の精神的、経済的負担を軽減するため、心身障害者扶養共済制度などの普及促進に努めます。

○障害者の社会参加や通院などに要する経済的負担を軽減するため、交通費の補助や、運賃・料金の割引制度について、適切な運用を図ります。

3)日常生活の向上

 障害者の経済的自立と生活意欲の助長促進などを図るため、資金の貸付制度の適切な運用と、必要な援助指導を充実強化します。

[2]在宅生活支援サービスの充実

 障害者が地域社会において、快適な在宅生活が送れるようにするためには、生活の場の確保、整備に加えて、障害者や介護にあたる家族に対して、適切な福祉サービスを地域で提供できる体制づくりが必要です。

<現状と課題>

○福祉需要が増加する中で、在宅での介護支援体制を充実させることが必要です。

○平成5年3月31日現在、県内には老人、身体障害者、心身障害者(児)のホームヘルパーが639人配置されています。

○在宅福祉を推進するうえで、施設が持つ専門的な機能を活用することが必要です。

○障害者の社会参加を促進するため、各種の補装具を活用するとともに、生活情報の充実を図る必要があります。

○障害者が日常生活での問題について、いつでも相談できるような体制づくりが必要です。

○障害老人の84%は離床の可能性があり、その実現に向けた在宅障害老人に対する援助が必要になっています。

老人ホームヘルパーの推移

老人ホームヘルパーの推移のグラフ

資料:高齢福祉課

<施策の方向 (行動テーマ)>

1)生活の場の確保

○在宅の重度障害者の生活の場を確保するため、障害者に適した住宅設備の改造を促進します。

○家庭において日常生活を営むのに支障のある障害者の生活の場を確保するため、各種福祉ホームの整備を促進します。

2)日常生活の充実

○在宅の障害者が、日常生活を送れるよう、日常訓練を充実強化するとともに、通園施設の整備を促進します。

○障害者の日常生活の利便性を確保するため、障害の程度、種別に合わせた補装具、日常生活用具などの活用を促進します。

3)在宅介護の充実

 重度の障害者が、地域社会の中で主体的な生活が送れるよう、ホームヘルパーの人員及び介護技術などの充実強化を促進します。

4)施設機能の活用

○在宅福祉を推進するため、施設が持つ専門的機能を活用しながら、入浴、給食などのサービスを提供するデイサービス事業の拡大を促進します。

○家庭において、重度障害者の介護が一時的に困難になった場合、これを支援するため、ショートステイ専用居室の整備を促進します。

5)情報の提供

○在宅の障害者が、日常生活を送るうえで必要な情報やコミュニケーション手段を確保するため、情報提供事業の充実を促進します。

○点字図書館の充実を図るとともに聴覚障害者の情報提供施設の整備について、検討していきます。

6)相談体制などの強化

○相談員など障害者の福祉の増進を担う人材の確保に努めるとともに、研修の充実を図り、相談活動の向上を促進します。

○民生委員・児童委員による、地域における広範囲な福祉活動が円滑に実施されるよう、研修の充実を図るとともに、食事サービスなどの自主事業の充実を促進します。

7)自立性の向上

 在宅の障害老人や障害者の機能訓練などを充実させ、自立性の向上に努めます。

身体障害者相談員設置状況(福祉事務所別)
(平成4年度)

身体障害者相談員設置状況の円グラフ(福祉事務所別)

資料:障害福祉課

[3]施設サービスの充実

 障害者福祉については、在宅福祉の充実が求められていますが、障害者の機能訓練、生活などの場として、施設の役割も一層重要になってきています。
また、施設が持つ専門的な介護の知識や技術を地域福祉の中に活用していくことが求められています。

<現状と課題>

○平成5年4月1日現在、県内には、老人、心身障害者、身体障害者、精神障害者の入所施設が119施設あります。

○「群馬県障害者福祉に関する調査」では、身近なところでの施設福祉サービスの提供を多くの障害者が望んでいます。

○授産施設においては、自立生活の助長、職住の分離などの観点から、通所利用化が求められています。

○入所者処遇の向上を図り、適正な施設運営を行うため、施設従事者の確保及び処遇技術などの向上が必要です。

○入所者の生活の質の向上を図るため、障害老人の特別養護老人ホームにおける離床を促進することが必要になっています。

○県立8施設については、施設及び設備の近代化を図りながら適正な運営を図るとともに、将来的な在り方などを検討しながら、その機能の充実が求められています。

<施策の方向 (行動テーマ)>

1)施設の整備

○地域性、専門性、複合化などを見極めながら、適正な施設配置を促進します。

○障害者の高齢化、重度化に対応するため、障害者の動向を見極めながら、障害の状況に応じた適切な施設の検討整備を促進します。

○入所者の居住性を向上させるため、個室化などゆとりのあるスペースの確保を図ります。

2)処遇の向上

○入所者の高齢化、重度化、過齢化に適切に対応するため、各種研修会などを通じて、福祉施設従事者の処遇技術の向上を促進します。

○適正な施設運営と、適切な入所者処遇を確保するため、介護専門職員の県内への定着化を促進します。

3)施設機能の強化と地域開放

○家庭での介護技術を向上させるため、施設がもつ専門的な介護の知識や技術を活用して、介護相談、研修、指導など充実を促進します。

○老人、身体障害者及び心身障害者などの入所施設整備に併せ、デイサービス機能やショートステイ専用居室などを取り込み、在宅福祉の支援を促進します。

○特別養護老人ホーム及び療護施設における離床生活の日常化を促進し、施設内生活の質の向上を図ります。

4)県立施設の充実

○民間社会福祉施設の機能を補完するとともに入所者処遇の向上のため、県立施設運営の一層の適正化を推進します。

○明風園、しろがね学園については、施設機能の拡充を図りながら、全面的な改築を推進します。

○身体障害者リハビリテーションセンターについては、障害者の動向などを見極めながら、施設機能の整備、充実を検討します。

6.社会生活環境の整備改善

 ゆとりある豊かな社会の実現を考えると、それは人にやさしいまち、すなわち「福祉のまちづくり」の実現にあるといえます。そのため、行政などの関係機関は障害者の社会参加にあたって、その障壁となるものの除去に取り組まなければなりません。
それは、障害者だけでなくすべての県民が安心して生活できる社会にほかなりません。

施策目標

[1]福祉のまちづくりの推進
[2]住宅・公共的施設の整備
[3]移動交通対策の促進

[1]福祉のまちづくりの推進

 福祉のまちづくりを推進するためには、障害者に対する偏見、無理解、無関心などの心の壁を取り除くと同時に、障害者のためだけに整備するといった専用思想を排除し、すべての県民の協力を得ていくことが重要です。

<現状と課題>

○国際障害者年を契機として「ノーマライゼーション」の理念が浸透してきていますが、まだ、社会に定着したとは言えません。

○障害者の生活する権利が障害を持たない人と同じように確保され、すべての人が住み慣れた地域で、安全で快適な生活を送れる社会が求められています。

○すべての人々の社会参加の機会が等しく保障された社会=福祉のまちづくりを目指して県、市町村はもとより、県民総参加で取り組んでいく必要があります。そのためには、まちづくりを総合的に推進するための体制の整備を検討する必要があります。

○「群馬県障害者福祉に関する調査」(一般県民調査)では、障害者の社会参加のために大切なこととして、5割を超える人が「障害者への理解促進」を挙げています。

○障害者が安心して生活できるまちづくりには、障害者に配慮した防災安全対策が必要です。また、点字や手話等による的確かつ十分な情報の収集やコミュニケーションの確保も重要な課題です。

<用語説明> ノーマライゼーション
「障害者の人権、価値、尊厳性は他の人と同じであり障害を持つ人も持たない人も平等に生活できる社会こそ自然な社会である」という考え方

<施策の方向 (行動のテーマ)>

1)福祉のまちづくりの推進体制の整備

 福祉のまちづくりを推進するため、「福祉のまちづくり整備指針」を策定し、その後、福祉のまちづくり推進組織を設置し、広く県民の意見を反映しながら、障害者が安心して快適な生活を送れるまちづくりを計画的、総合的に進めます。

2)やさしい心の醸成

 障害者の社会参加を阻んでいる人々の心の中にある壁=心のバリアを取り除くため、福祉のまちづくりの広報・啓発活動に努め、障害者への理解促進を図ります。

3)防災・安全対策の促進

 地域での安全な生活を確保するため、障害者側の通信装置及び消防、警察の緊急受信体制の整備・促進を図ります。
また、障害者に対する災害時・緊急時の情報伝達、避難誘導方策のあり方について検討を進めます。

4)コミュニケーションの確保

 障害者がコミュニケーション確保に大きなハンディキャップを有していることを県民に十分認識してもらうために、点字や手話の理解促進に努めます。また、障害者が日常生活に必要なコミュニケーションを確保できるよう、各種施策の推進に努めます。

国際シンボルマーク

国際シンボルマーク

 このマークは、国際障害者リハビリテーション協会によって、障害者が容易に利用できる建物・施設であることを明確に示す世界共通のシンボルマークとして決定されたものです。

[2]住宅・公共的施設の整備

 障害者が地域で安心して生活するためには、住宅の確保や生活環境などの整備に努めることが必要です。
また、障害者の社会参加を促進するため、公的機関の設置する建築物や施設などについては、整備・改善に積極的に取り組む必要があります。

<現状と課題>

○「群馬県障害者福祉に関する調査」(身体障害者調査)では、希望する住宅施策として、「住宅の改造費の助成を増やす」、「公営住宅を障害者が利用可能なものにする」、「公営住宅の入居の優先枠を拡充する」などが多く挙げられています。

○障害者に配慮した住宅の確保については、住宅改造費補助や公営住宅の整備などを行っていますが、さらに積極的に取り組む必要があります。

○障害者が地域社会の一員として積極的に社会参加していくためには、自分の意思で、自分の力でいつでもどこへでも行くことができるよう、生活環境を整備する必要があります。

○民間の建築物についても、障害者も利用しやすいものとなるよう指導し、協力を求める必要があります。そのためには、障害者の利用に配慮した施設整備の必要性にっいて一層の理解を求めるとともに、整備改善の誘導策についても検討する必要があります。

<施策の方向 (行動のテーマ)>

1)住宅環境の整備促進

 障害者や高齢者も地域社会の中で安全で快適な生活が送れるよう、障害者や高齢者の生活に配慮した住宅環境の整備促進を図る施策を充実します。

2)公共的施設の整備促進

 障害者や高齢者の活動範囲を拡大し、その社会参加を促進するため、県有施設の整備改善を進めます。さらに、民間施設を含めた公共的施設の整備改善を積極的に指導するとともに、その促進を誘導するための施策を進めます。

盲導犬給付状況

盲導犬給付状況のグラフ

(各年度末現在)
資料:障害福祉課

[3]移動・交通対策の促進

 障害者の社会参加の機会増大や行動範囲の拡大に伴い、移動・交通手段などにおけるハンディキャップの軽減を図るとともに、その連続性を確保することが重要な課題となっています。

<現状と課題>

○「群馬県障害者福祉に関する調査」(一般県民調査)では、障害者の社会参加のために大切なこととして、4割を超える人が「交通・道路の整備」を挙げています。

○歩道の段差解消や視覚障害者用信号機、誘導ブロックの設置などを進めてきましたが、一層の充実を図る必要があります。
また、道路上の障害物の放置や誘導ブロック上への車の乗り入れなどにより、障害者や高齢者の通行が妨げられています。

○障害の種類や個人の特性又は、地域の実情に応じた移動手段を確保するため、リフト付きのバスや乗用車の配備、盲導犬の給付、ガイドヘルパー派遣などについて、拡充する必要があります。

○交通関連施設の整備については、障害者が利用しやすいよう、今後とも設備の改善を求めるよう関係機関に働きかけ、理解と協力を求めていく必要があります。

○「群馬県の交通に関する意識調査」(中間報告)では、鉄道交通網や駅などの利用環境の整備について、エスカレーターの設置や段差解消などを望む人が多数を占め、バスやタクシーについては、大多数の人が、高齢者や障害者、子供でも利用しやすいものに改善することを望んでいます。

<施策の方向 (行動のテーマ)>

1)移動手段の確保

 障害者の社会参加を促進し、行動範囲を拡大するため、移動手段などの確保についての充実を図ります。

2)交通関連施設の整備促進

 交通関連施設の整備については、関係機関に積極的に理解と協力を求めていくとともに、障害者に対し進んで移動のための援助を行うなどの県民の意識づくり、環境づくりにも取り組みます。

3)道路環境の整備

 障害者や高齢者も安全な歩行や自由な通行ができるよう、道路交通施設の改善整備及び施設の適切な管理を行い、安心して利用できる道路交通環境の確保に努めます。

7.文化、スポーツ、レクリエーションの参加促進

 今日の社会では、生活の質が問われています。
障害者にとって、生活の質の向上は大きな課題の一つです。
「ゆとり」や「いきがい」のある生活を実現することが望まれる社会となってきましたので、その対応が課題とされています。

施策目標

[1]文化、スポーツ、レクリエーションの振興
[2]文化、スポーツ、レクリエーション施設の整備

[1]文化、スポーツ、レクリエーションの振興

 「いきがい」や「うるおい」のある生活を実現していくためには、文化、スポーツ、レクリエーション活動への参加を促進することが必要です。

<現状と課題>

○文化活動、スポーツ、レクリエーションは、地域住民の一員として「ふれあい」を得る絶好の機会です。「社会参加促進のために大切なこと」を尋ねた「群馬県障害者福祉に関する調査」でも、「日頃から接する機会を増やす」という項目が高い割合を示しています。

○「群馬県障害者福祉に関する調査」の結果では、趣味等の文化活動を充実させたいと思っている人がたくさんいる一方で、「スポーツなどへの参加を遠慮している」人も44.8%います。障害者が積極的に文化、スポーツ、レクリエーションに参加できるように、指導員などの人材養成も欠くことのできない課題です。

○各種スポーツ大会、芸術・文化祭を開催し、文化スポーツ活動への参加の機会を増やす必要があります。

○平成6年10月には、第3回ゆうあいピックが本県で開催されます。

<施策の方向 (行動のテーマ)>

1)文化活動等への参加促進

 コミュニケーションの手段を確保し、障害者が文化活動などに自由に参加できるようにするとともに、指導員などの充実を図ります。
また、各種文化活動の開催情報について、障害者への情報提供を積極的に行います。

2)文化活動の開催支援

 福祉施設や個人の障害者の方々が行っている文化活動の成果について、発表できる機会を積極的に提供するとともに、関係団体が行う事業を支援していきます。

3)スポーツ大会の開催支援

 県立ふれあいスポーツプラザを拠点として、各種障害者スポーツ大会を開催するとともに、地域のスポーツ振興を図ります。

4)文化施設の利用促進

 障害者が、文化施設を積極的に利用できるよう、県有施設の観覧料などを全額免除し、社会参加の促進を図ります。

5)障害者スポーツの振興

 平成6年10月に本県で開催される、第3回ゆうあいピック群馬大会を契機に、選手・指導員を養成するなどスポーツの振興を図ります。
また、障害者スポーツ団体の育成に努めます。

ふれあいスポーツプラザ利用者の声

 自宅で仕事をしている。外出を好まず、装具の修理に出かけるのがやっとだったが、リハビリ相談をきっかけにプールに通いだしたら、泳ぐことが楽しみになった。
A・Yさん(佐波郡)

[2]文化、スポーツ、レクリエーションの施設の整備

 文化、スポーツ、レクリエーションを楽しめる施設を「地域」の文化活動の中心として整備を進めるとともに、質的充実を図る必要があります。
また、施設の増設に加え、既存施設の改善による利用しやすい施設の整備も重要な課題です。

<現状と課題>

○「群馬県障害者福祉に関する調査」によると、地域に必要な福祉施設として、「趣味・娯楽で仲間と一緒に遊べるところ」と回答している精神薄弱者が19.4%と高い割合を示しています。各種文化活動の施設は、障害者が地域住民と接する「場」として大切なものです。障害者の文化、スポーツ、レクリエーション活動を振興させるうえで、施設の整備は欠かすことのできない問題です。

○平成3年7月佐波郡赤堀町に県立ふれあいスポーツプラザを開設し、健康と体力の増進を図るとともに、文化、スポーツ、レクリエーション活動を通した「ふれあい」の場を提供しています。

ふれあいスポーツプラザ利用者の声

 仕事帰りに利用することが多く、水泳クラブにも入会、友達も増えて一人暮らしの生活にも自信が持てるようになった。
A・Nさん(伊勢崎市)

<施策の方向 (行動のテーマ)>

1)文化、レクリエーション活動施設の整備

 障害者が積極的・主体的に文化活動に参加し、豊かな人生を過ごせるよう、文化活動施設の整備を積極的に促進します。

2)スポーツ施設の整備

 障害者スポーツの拠点である県立ふれあいスポーツプラザの運営を充実させるとともに、地域に密着したスポーツ施設の整備・振興を図ります。

プール 体育室 運動場 トレーニング室 和室 会議室 テニスコート アーチェリー場 ゲートボール場
施設別利用状況 49.4% 18.4% 7.5% 6.8% 6.1% 5.6% 3.7% 1.7% 0.8%

高齢者 肢体 免除 介護 ボランティア 精薄 聴覚 ほか 視覚 内部 重複 有料者
利用者区分別利用状況 19.2% 16.0% 9.0% 7.2% 2.7% 2.7% 1.9% 1.9% 1.2% 0.8% 0.5% 36.8%

 県立ふれあいスポーツプラザ利用状況「あしどり」から

8.推進基盤の整備

 障害者福祉を推進していくためには、福祉人材の確保が重要となります。
そのため、福祉従事者への需要に対応した福祉人材の養成・確保とその質の向上を図っていく条件整備を行うとともに、福祉関係者の活動の場の整備を行う必要があります。
また、障害者の自立を支えるため地域リハビリテーションの推進や福祉情報の提供を行うなどの基盤整備を図る必要があります。

施策目標

[1]マンパワーの養成・確保
[2]地域リハビリテーション推進拠点とネットワーク整備
[3]情報利用の促進・整備
[4]推進体制の整備

[1]マンパワーの養成・確保

 障害者に対する理解を持ち、福祉分野で専門サービスを保障するためのマンパワーの養成・確保が必要です。
地域福祉を推進するため、ボランティアなどの福祉活動を促進するとともに、啓発活動に努める必要があります。

<現状と課題>

○「群馬県障害者福祉に関する調査」で、重視すべき障害者福祉施策として、日常生活の介助などマンパワーに関する項目を掲げている人が多くみられます。在宅福祉を中心として、福祉従事者の需要はますます増大することが予想される中で、「ひと」の養成・確保は重要なテーマです。

○本県では、平成3年度に開設した「群馬県福祉人材センター」などにより、福祉の専門スタッフの養成・確保に努めています。

○介護福祉士、社会福祉士やホームヘルパーなどの福祉専門職の確保・養成に加え、ボランティアの育成についても、積極的に取り組む必要があります。

○質の高い人材の確保や提供には、勤務条件改善などの福祉業務のイメージアップにより、福祉従事考の勤労意欲の高揚を図ることも必要です。

○障害者の適正な処遇を確保するうえで、現在福祉業務に従事している施設職員などの資質の向上を図ることが必要です。

<施策の方向 (行動のテーマ)>

1)人材の確保、養成

 介護福祉士の育成について、修学資金の貸付事業などにより一層の支援を行います。
ホームヘルパーについては、研修会の開催などにより、積極的に養成していきます。

2)ボランティア活動の推進

 「ボランティアセンター」を中心に障害者を支援するボランティアの育成を図ります。また、障害者に対するボランティア活動を体験する機会を提供します。

3)職場環境の整備促進

 福祉施設については、設備などの改善・助成を行い、魅力ある職場環境の整備を図ります。
また、処遇向上についても、積極的に指導・支援し、福祉業務のイメージアップを図ります。

[2]地域リハビリテーション推進拠点とネットワーク整備

 在宅福祉の充実が課題になっている現在、地域における在宅障害者のリハビリテーションを充実する必要があります。
障害が重度・重複化する中で、障害の発生から更生までの総合的な支援を推進するため、地域リハビリテーション間のネットワークの整備が必要です。

<現状と課題>

○リハビリテーションには、医学、社会、職業、教育などの分野がありますが、障害者に対する一貫した支援体制整備は、十分整っているとはいえません。
障害が重度・重複化する中で、障害の発生から更生までの総合的な支援を推進するため、各リハビリテーション間のネットワークの整備が必要です。

○医学的リハビリテーションの分野では技術の高度化に加え、相互の連携を充実する必要があります。

○社会的リハビリテーションの分野では、福祉サービスの充実に加え、情報交換の拠点として機能する必要があります。

○職業的リハビリテーションの分野では、障害者が適正な職業に就けるように、職業相談、指導、職業紹介など一貫した体制を整える必要があります。

○教育的リハビリテーションの分野では、障害者の状況に対応し個々の「潜在能力」を可能な限り伸ばし、育てることが重要な課題となっています。

<施策の方向 (行動のテーマ)>

1)地域リハビリテーションの拠点整備

 地域ごとに地域リハビリテーション組織を整備し、各リハビリテーション分野の連携を図り、総合的なリハビリテーションを推進します。

2)ネットワークの整備

 身体障害者更生相談所に中央のリハビリテーション組織を設置し、地域リハビリテーション組織とのネットワークを構築し、地域リハビリテーションの展開を支援し、在宅障害者の地域でのリハビリテーションを促進します。

[3]情報利用の促進・整備

 視覚障害者や聴覚障害者は、情報の収集利用などに大きなハンディキャップがあるため誰もが必要な情報を入手し、利用できる円滑なコミュニケーションが確保されるよう制度の充実、強化を図る必要があります。

<現状と課題>

○本県では、平成5年4月現在、3人の専任手話通訳者が設置され、聴覚障害者に対して情報の提供に努めていますが、その一層の充実を図る必要があります。また、視覚障害者に対しては、点字図書館を中心に情報提供の充実に努める必要があります。

○福祉サービス利用による効果を測定するため、福祉サービス利用者の障害の程度、自立度(要介護度)に関するサービス利用による変化を測定することが求められています。

○誰もが、必要な情報を家庭など身近なところで、的確かつ十分な情報の収集や円滑なコミュニケーションができるよう、公共サービスのシステムを改善・開発することも必要です。

○福祉機器の開発・給付により個々の障害にあった情報収集手段の確保についても、より一層の支援をしていく必要があります。

○「群馬県障害者福祉に関する調査」によると、各種福祉サービスの認知率は、その大部分が3~5割前後にとどまっています。サービスを利用しない理由として福祉サービスそのものの認知不足が目立っていることから、各種福祉サービスの周知を高めることが必要です。

<施策の方向 (行動のテーマ)>

1)情報提供の拠点の整備

 情報拠点を整備充実し、障害に応じた情報の提供と、円滑なコミュニケーションの推進に努めます。

2)公共情報提供サービスの充実

 公共広報機関の協力を得て、障害者が家庭や身近なところで情報が入手できるように努めます。
また、県や市町村の情報も確実に障害者に提供されるように体制を整備します。

3)縦断測定データの集積

 福祉サービス利用による障害の程度や自立度の向上に関するデータを集積するシステムを検討していきます。

[4]推進体制の整備

 地域社会福祉活動の積極的な展開を図っていくためには、推進拠点を設置し、住民とともに、その推進体制の整備に取り組む必要があります。

<現状と課題>

○県民の福祉ニーズは拡大し、多様化しているため、行政が主体となって実施するサービスの充実を図る必要があります。

○地域福祉活動を展開するための中心的施設として、福祉関係者養成機能、情報の収集及び提供機能などを備えた施設が建設されることが必要です。

○また、社会福祉の推進基盤として、より身近な地域における各種の相談・機能回復訓練や交流の促進などが行える身体障害者福祉センターや社会福祉センターの整備が、促進されることが望まれています。

○地域福祉の体制づくりには、福祉サービスを担う社会福祉従事者などに対する研修体制を充実することが課題です。

○社会福祉行政担当職員や各種相談員に対しても専門的、体系的な研修を計画的に実施していく必要があります。

<施策の方向 (行動のテーマ)>

1)推進施設の整備

 障害者の社会参加の促進に資するため、県社会福祉総合センター(仮称)を建設します。
また、地域における身体障害者福祉センターや社会福祉センターなどの充実を促進します。

2)推進組織の整備

 福祉業務従箏者や地域住民などに対しても専門的、体系的な研修を実施するため、県社会福祉総合センター(仮称)の中に社会福祉研修所を設置します。

主題:
群馬県障害者施策行動計画
「バリアフリーぐんま障害者プラン」 1頁~

89頁

発行年月:
平成6年3月

文献に関する問い合わせ先:
〒371 群馬県前橋市大手町1-1-1
群馬県県民生活部障害福祉課
電話0272-23-1111