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とやま障害者自立共生プラン No.1

富山県障害者計画

富山県

項目 内容
立案時期 平成9年11月
計画期間 平成9年度~平成17年度(8年間)

はじめに

 富山県では、「しあわせに生きる 富山県の創造」を県政の基本目標として各種施策を積極的に展開してまいりましたが、少子高齢化や核家族化の進展といった社会情勢の変化等を踏まえ、福祉施策の一層の推進を図るため、昨年9月に「富山県民福祉条例」を制定しました。
 この条例には、福祉のまちづくりなどハード面の整備をはじめ、福祉施策の推進などソフト面についても規定しており、今後この条例に基づき福祉のまちづくりを総合的に推進することにしております。
 障害者に関する施策につきましても、この条例の趣旨を踏まえ、一層の推進を図るため、平成17年度を目標年度とする「とやま障害者自立共生プラン」を策定しました。
 このプランに基づき、本県では、障害者の全人間的復権に寄与することをめざす「リハビリテーション」と障害のある人が障害のない人と同等に生活し活動する社会をめざす「ノーマライゼーション」を基本理念として各種施策の展開を図ることとしております。
 今後は、県、市町村等による各種施策の推進はもちろん、障害者をはじめとする県民の皆さん一人ひとりの主体的な取組みにより、ノーマライゼーションの理念を実現し、障害のある人もない人も地域で共に生きる仲間として、互いに支え合い、助け合っていくことが必要です。
 県民の皆様をはじめ、市町村、関係団体等の皆様には、このプランの実現に向けて一層のご支援とご協力をお願いいたします。
 おわりに、このプラン策定に当たり貴重なご意見をいただきました「富山県障害者施策推進協議会」の委員の皆様をはじめ、関係団体等の皆様に厚くお礼申しあげます。

 平成9年11月

富山県知事 中沖 豊

とやま障害者自立共生プラン目次

  1. 基本的な考え方
    1. 計画策定の趣旨
    2. 計画の基本理念
    3. 計画の位置づけ
    4. 基本的な視点
    5. 計画の期間
    6. 計画の推進
    7. 障害者の概念
  2. 障害者の現状
    1. 身体障害者
    2. 知的障害者
    3. 精神障害者
  3. 分野別施策の展開
    1. 啓発広報
      1. 啓発広報活動の推進
      2. 福祉教育の推進
      3. 交流・ふれあいの促進
    2. 教育・育成
      1. 障害児に対する教育の充実
      2. 地域における育成・学習の充実
    3. 雇用・就業
      1. 総合的雇用対策の推進
      2. 障害種類別施策の推進
      3. 重度障害者施策等の推進
    4. 保健・医療
      1. 障害の予防・早期発見
      2. 保健・医療体制の充実
      3. 心の健康づくりの推進
    5. 福祉
      1. 地域福祉施策の推進
      2. 施設福祉体制の整備
      3. 福祉を担う人材の養成・確保
    6. 生活環境
      1. 福祉のまちづくりの計画的推進
      2. 住みよい生活環境の整備
      3. 安心して暮らせるまちづくりの推進
    7. スポーツ、文化等
      1. スポーツ活動の振興
      2. 文化活動等の振興
  4. 推進に当たって
    1. みんなで築くあたたかい福祉社会
    2. 各地域における障害者施策の総合的な展開
    3. 総合的、計画的な施策の推進
  5. 参考資料
    1. 平成7年度富山県身体障害者福祉ニーズ調査結果の概要
    2. 平成7年度富山県精神薄弱者実態調査結果の概要
    3. 平成7年度富山県精神障害者社会参加ニーズ調査結果の概要
    4. 県政モニター調査(障害者福祉について)結果の概要
    5. 富山県障害者施策推進協議会条例等

1 基本的な考え方

1 計画策定の趣旨

 富山県では、昭和56年の「国際障害者年」を契機に、昭和57年9月に「富山県障害者福祉計画」を策定し、障害者福祉の充実等に努めてきました。
 また、平成3年度以降は、「新富山県民総合計画」に基づき、自立と社会参加の促進等を目標に各種施策の総合的な展開を図ってきました。
 この間、種々の障害者施策の充実に努めてきましたが、人口の高齢化等の社会構造の変化や障害の重度化・重複化などの傾向がさらに進みました。
 また、障害者が社会に参加する上で支障となる様々な障壁の除去をどのような形で進めていくか、あるいは精神障害者に対する福祉施策をどのように推進していくかなど、新たな課題が生じてきました。
 他方、本県では、平成8年9月に、高齢者、障害者、児童をはじめ県民すべてがしあわせに生きる福祉社会の実現を目指す「富山県民福祉条例」が制定されました。
 このような状況の中で、新たな課題への対応を進め、障害者と障害のない者が共に生きる福祉社会の実現を図るため、ここに、富山県における障害者計画を策定し、多岐にわたる障害者施策を総合的、計画的に推進することといたします。

2 計画の基本理念

 ライフステージの全ての段階で、障害者の全人間的復権に寄与することを目指す「リハビリテーション」の理念と、障害者が障害のない者と同等に生活し活動する社会を目指す「ノーマライゼーション」の理念に基づき各種施策の展開を図ります。

  • 「リハビリテーション」[rehabilitation]とは
     障害者の身体的、精神的、社会的な適応能力回復のための技術的訓練プログラムにとどまらず、障害者のライフステージの全ての段階において全人間的復権に寄与し、障害者の自立と参加を目指す障害者施策の理念。
  • 「ノーマライゼーション」[normalization]とは
     知的障害者の処遇に関して、北欧から世界へ広まった障害者福祉の最も重要な理念である。
     障害者を特別視するのではなく、一般社会の中で普通の生活が送れるような条件を整えるべきであり、共に生きる社会こそノーマルであるという考えである。この理念は、国際連合による「障害者の権利宣言」の底流をなし、「国際障害者年行動計画」及び「障害者に関する世界行動計画」にも反映されている。

3 計画の位置付け

  1. 障害者基本法に基づく富山県の「障害者計画」として、本県の障害者施策に関する基本となるものです。
  2. 市町村が市町村障害者計画を策定する際の基本となる計画です。
  3. 県民福祉条例に基づく個別計画として、しあわせに生きる福祉社会の実現を目指し、施策の展開を推進する計画です。

4 基本的な視点

  1. 自立と社会参加の促進のための環境整備の推進
    • ア 障害者が主体性・自主性を持って社会参加を進めることができるよう、障害者や障害に対する社会一般の理解を深めるとともに、障害者の「生活の質」の向上を図るため、各種支援施策を推進します。
    • イ 交通機関や建物などにおける物理的な障壁など、様々な障壁を除去し、障害者が種々の社会活動を自由に行うことができる環境づくり(バリアフリー化)を進めます。
  2. 障害の重度化・重複化及び障害者の高齢化への対応
    • ア 障害の重度化・重複化が進む中で、きめ細かな在宅福祉サービスの充実をはじめ、教育・育成、雇用・就業、保健・医療などの各分野における施策の推進に努めます。
    • イ 障害者やその介護者の高齢化が進んでいることから、これらの人々が安心して暮らせるよう、在宅福祉施策の一層の充実や生活環境の整備に努めます。
  3. 施策の連携と総合的な推進
    • ア 障害者施策の実施にあたっては、乳幼児期から高齢期までの障害者のライフステージに応じて、きめ細かく、各種施策の展開を図ることが重要です。
       このため、障害の特性や時宜に応じた相談・指導体制の充実に努めます。
    • イ 障害者施策は、福祉分野のみならず、教育・育成、雇用・就業、生活環境など幅広い分野にわたっていることから、これら関連施策の連携を図ります。
       また、国、県、市町村の役割分担を図りながらその連携に留意するとともに、広く県民、民間法人、企業等の理解と協力を得ながら総合的な施策の展開に努めます。

5 計画の期間

 計画の目標年度を平成17年度とし、社会情勢の変化や計画の達成状況等をふまえつつ、平成12年に予定されている県総合計画の見直しに合わせ、本計画についても整合性等を保つよう見直しを図ります。

6 計画の推進

  1. 計画の推進にあたっては、関係行政機関等との密接な連携を図り、教育・育成、雇用・就業、保健・医療、福祉、生活環境等各種施策の総合的な展開を図るよう努めます。
  2. 市町村においては、住民に身近な地方公共団体として、この計画を基本に、市町村の障害者施策に関する計画が速やかに策定されるよう支援します。
  3. 計画の推進にあたっては、国、県、市町村及び民間がそれぞれの役割をふまえながら相互連携を深めることが重要です。
     このため、国に対して必要な支援と協力を要請するとともに、市町村や民間に対しては、県の方針を明示し、協力、連携して施策の推進を図っていくこととします。

7 障害者の概念

 この計画における「障害者」は、障害者基本法の規定に基づき、「身体障害、精神薄弱又は精神障害があるため、長期にわたり日常生活又は社会生活に相当な制限を受ける者」のほか、「てんかん及び自閉症を有する者並びに難病に起因する身体又は精神上の障害を有する者であって、長期にわたり生活上の支障があるもの」を含むこととします。
 なお、この計画では、「精神薄弱」という用語を、法令等の関係で使わざるを得ないものを除き、可能な限り、「知的障害」という用語で表現することとしています。

2 障害者の現状

1 身体障害者

 平成8年度末現在、本県で身体障害者手帳の交付を受けている身体障害者は、39,276人で、人口千人当たり35.0人となっています。

(1)障害種類別の状況

 障害種類別にみると、肢体不自由者が全体の55.4%と過半数を占めています。
 過去10年の推移をみると、内部障害者が著しく増え、2倍超となっている反面、聴覚・言語障害者及び視覚障害者が減少しており、全体では微増となっています。

表2-1-1 障害種類別身体障害者数の推移

年度 昭和61年度 平成3年度 平成8年度
内部障害 3,560 5,336 7,404
肢体障害者 20,161 20,776 21,776
聴覚・言語障害 8,428 7,358 6,558
視覚障害 3,992 3,841 3,538

各年度末身体障害者手帳所持者数

資料:障害福祉課

(2)障害程度別の状況

 近年、特に重度(1・2級)の身体障害者が増加傾向を示しており、昭和61年度には11,822人であった重度の障害者は、平成8年度には15,734人となり、全体の4割を占めています。

表2-1-2 障害程度別身体障害者数の推移

年度 昭和61年度 平成8年度
障害者数 障害者数
重度 11,822 32.7% 15,734 40.1%
中度 13,253 36.7% 14,718 37,5%
軽度 11,066 30.6% 8,824 22.5%
総数 36,141 100.0% 39,276 100.0%

各年度末身体障害者手帳所持者数

資料:障害福祉課

(3)年齢階級別の状況

 64歳以下の身体障害者が漸滅傾向にある反面、65歳以上の高齢者が大きな伸びを示しています。昭和61年度に全体の49.7%を占めていた65歳以上の構成比は、平成8年度には58.3%となっています。

表2-1-3 年齢階級別身体障害者数の推移

年度 昭和61年度 平成3年度 平成8年度
0~17歳 775 718 750
18~64歳 17,040 16,871 15,618
65歳~ 17,606 19,373 22,908

各年度末現在身体障害者手帳所持者数

資料:障害福祉課

2 知的障害者

 本県の知的障害者の総数は、平成7年7月1日現在で4,739人(平成7年度精神薄弱者実態調査による。)で、人口千人当たり4.2人となっています。

(1)年齢階級別の状況

 昭和61年度には全体の40.5%を占めていた18歳未満の知的障害児の構成比は、平成7年度には27.5%となっています。

表2-2-1 年齢階級別知的障害者数の推移

年度 昭和61年度 平成3年度 平成7年度
0~17歳 1,794 1,436 1,302
18~64歳 2,531 2,838 3,195
65歳~ 107 167 242

各年度精神薄弱者実態調査による。

(2)障害程度別の状況

 軽度の知的障害者が減少傾向にある反面、重度の知的障害者は増加し、昭和61年度に全体の35.2%を占めていた構成比は、平成7年度には41.5%となっています。

表2-2-2 障害程度別知的障害者数の推移

年度 昭和61年度 平成7年度
障害者数 障害者数
重度 1,562 35.2% 1,967 41.5%
中度 1,658 37.4% 1,670 35.2%
軽度 1,212 27.3% 1,102 23.3%
総数 4,432 100.0% 4,739 100.0%

各年度富山県精神薄弱者実態調査による。

3精神障害者

 本県の精神障害者の総数は、平成8年の推計で約14,300人(平成5年厚生省患者調査に基づく推計)であり、人口千人当たり12.7人となっています。

表2-3-1 居所別精神障害者数

(単位:人 平成8年6月30日現在)
全体
(推計)
精神病院入院 社会復帰施設入所グループホーム利用 在宅
(推計)
14,300 3,399 102 10,799
通院公費負担医療患者数 4,312
(資料 健康課)

(1)入院患者の症状別状況

 平成8年6月30日現在、県内29精神病院に、合わせて3,399人の入院患者がいます。入院患者の症状別状況については、精神分裂病が一番多く、入院患者全体の約3分の2である65.5%を占めています。次いで、器質性精神病9.8%、そううつ病5.8%、神経症4.8%の順となっています。

表2-3-2 入院患者の症状別状況(平成8年6月30日現在)

症状 障害者数
精神分裂病 2,226 65.5%
そううつ病 196 5.8%
てんかん 64 1.9%
器質性精神病 334 9.8%
アルコール精神病等 146 4.3%
その他の精神病 112 3.3%
神経症 164 4.8%
その他の非精神病性精神障害 157 4.6%
総数 3,399 100.0%
資料:健康課

(2)通院患者の症状別状況

 精神保健福祉法に基づき、通院医療費の公費負担を受けている患者は、県下で4,312人であり、年々増加しています。この通院医療費の公費負担受給者の症状別状況については、精神分裂病が46.2%と一番多くなっていますが、その入院患者に占める割合に比べ低くなっています。次いで、神経症17.9%、そううつ病10.3%の順となっています。

表2-3-3 通院患者の症状別状況(平成8年6月30日現在)

症状 患者数 構成比
精神分裂病 1,993 46.2%
そううつ病 443 10.3%
器質性精神病 36 0.8%
アルコール精神病等 42 1.0%
その他の精神病 180 4.2%
神経症 773 17.9%
その他の非精神病性精神障害 845 19.6%
総数 4,312 100.0%
資料:健康課

3 分野別施策の展開

1 啓発広報

(1)啓発広報活動の推進

現状と課題

 障害者が障害のない人と同等に生活し、活動する社会を目指すノーマライゼーションの理念を実現していくためには、単に施設や制度の改善等に止まらず、障害者に対して周囲の人々が持つ意識上の障壁(心の壁)を取り除くことが重要であり、社会の中で共に生きていく仲間であるという「共生」の視点に立った障害者観を定着させていかなければなりません。
 ノーマライゼーションの理念の周知度を、県政モニターに調査したところ、全体の72.3%が知らないと回答しています。

表3-1-1 「ノーマライゼーション」を知っていますか(年齢階級別)

年齢階級 20歳代 30歳代 40歳代 50歳代 60歳以上
知っている 3 5 14 16 18
知らない 18 26 40 28 34

平成7年度県政モニター調査による。回答者202人について集計したもの。

 また、「県民の障害者に対する理解度」についてたずねたところ、進んでいるという回答は全体の3割程度にとどまっています。

表3-1-2 障害のある人に対する県民の理解度

理解度 人数 構成比
かなり進んでいる 5 2.7%
ある程度進んでいる 52 27.8%
どちらともいえない 31 16.6%
まったく進んでいない 88 47.1%
わからない 11 5.9%

平成7年度県政モニター調査による。回答者187人について集計したもの。

 これまでも、毎年、「障害者の日」(12月9日)を中心に啓発広報活動を行ってきましたが、今後より一層の啓発広報活動の推進に努めていく必要があります。

表3-1-3 障害者福祉に関して行政が力を入れる必要がある施策(複数回答3つまでの1番目)

施策内容 人数 構成比
福祉 97 48.5%
啓発広報 47 23.5%
雇用・就業 27 13.5%
生活環境 24 12.0%
保健・医療 2 1.0%
スポーツ、文化等 1 0.5%
その他 2 1.0%

平成7年度県政モニター調査による。回答者200人について施策分野別に集計したもの。

 また、平成8年9月に制定された富山県民福祉条例の基本理念等の普及啓発活動に歩調を合わせながら、県民の中に障害者及び障害に対する正しい理解が広く浸透するよう努めていく必要があります。

取組内容

  1. 計画普及の総合的展開

    • ア 本プランの県民等への普及を図り、障害者施策に関する県民意識の一層の高揚を図るため、普及版を作成するほか、県の広報紙・月刊誌、県政テレビ・ラジオ番組、新聞、パンフレット等による様々な広報活動を展開します。

    • イ 富山県民福祉条例の基本理念等の普及啓発や福祉のまちづくりに関する施策の推進を通じて、福祉分野だけでなく障害者の地域生活に関わりの深い生活環境分野等の行政関係者や事業者、県民へもノーマライゼーションの理念の一層の浸透を図ります。

    • ウ 住民に一番身近で、障害者施策の担い手である各市町村で、よりきめ細かな施策展開が図られるとともに、地域において住民の障害者に対する正しい理解が根づくよう、各市町村における障害者計画の策定及び地域における施策の展開への支援に努めます。

  2. 障害者に対する正しい理解の促進

    • ア 「障害者の日」を中心として、定期的に街頭キャンペーン、体験作文や友情の図画募集等各種行事を展開するなど、啓発広報活動を計画的に推進し、県民の理解の促進を図ります。

      障害者の日12月9日
      障害者週間12月3日~12月9日
      障害者雇用促進月間9月
      精神保健福祉普及運動10月の第4週

       また、障害者福祉に関して、県の広報紙・月刊誌、県政テレビ・ラジオ番組、新聞、パンフレット等各種媒体を通じた広報活動の展開を図ります。

      「障害者の日」とは
       昭和56年11月28日国際障害者年推進本部決定により、12月9日を「障害者の日」としている。この日は国連が「障害者の権利宣言」を採択した日である。さらに、平成5年11月成立の障害者基本法に「障害者の日」が規定され、「国民の間に広く障害者の福祉についての関心と理解を深めるとともに、障害者が社会、経済、文化その他あらゆる分野の活動に積極的に参加する意欲を高めるため、障害者の日を設ける。」としている。

    • イ 福祉のまちづくりやリハビリテーションに関するシンポジウムその他障害者福祉に関わる各種行事の開催にあたって県民の参加を得ながら、障害者に対する正しい理解の促進を図ります。

    • ウ 県民一般の障害者に対する理解を促進するため、障害者の製作した製品の販売を行う「福祉の店」の設置や障害者の芸術作品展の開催支援などを行うとともに、報道機関等の協力を得ながら障害者の様々な活動が幅広く紹介されるよう努めます。

(2)福祉教育の推進

現状と課題

 障害者は特別の存在ではなく、高齢化や社会の複雑化・多様化の進展により、誰もが障害者になる可能性があることをすべての人々が認識し、障害者に対する差別や偏見などの意識上の障壁が取り除かれるよう、障害者に対する正しい理解を促進していく必要があります。
 このため、幼少時からの福祉教育や障害児(者)との交流を通じて、相互に理解し、支え合い、助け合うことが自然にできる社会を構築していくことが大切です。

図3-1-1 障害のある人に対する県民の理解を深めるには(複数回答3つまで)

平成7年度県政モニター調査による。総回答数599

 これまでも、福祉に関する理解を促進するため、福祉教育の充実に努めてきましたが、今後は、これまで行ってきた各種事業を引き続き推進するとともに、幼少時から自然な形で障害児(者)とふれあえるよう、普通学校と特殊教育諸学校との交流教育の一層の推進が必要です。
 また、地域や家庭、職域といった身近な暮らしの中での幅広い啓発活動、あるいは福祉に関する生涯学習講座や福祉活動の体験等による啓発活動の推進が大切です。

取組内容

  1. 学校における福祉教育の推進

    • ア 障害児(者)に対する正しい理解を身につけるため、幼児から中学生までを対象として福祉絵本や副読本を配布し、活用するとともに、福祉教育にたずさわる教員の研修機会の充実に努めます。

    • イ 交流学習事業等の推進により、幼稚園、小、中、高校等と特殊教育諸学校との交流活動を通じて、児童生徒と障害児の相互理解が促進されるよう図ります。

    • ウ 県立高等学校生活福祉科等での福祉の心の養成を目指した教育を充実させるとともに、ボランティア活動等を実際に体験する機会を増やすため、「高校生介護等体験特別事業」や「学童生徒のボランティア活動普及事業」等の各種事業を推進します。

  2. 地域等における福祉教育の推進

    • ア 特殊教育諸学校と小・中・高等学校、地域社会、大学等の間で地域の実情に応じた様々な形態による交流教育の推進を図るため、新たに「交流教育地域推進事業」を実施します。

    • イ 各市町村や各社会福祉協議会などが地域で開催する障害者福祉に関する各種大会や講座、あるいは福祉に関する生涯学習講座等を通じて、地域や職域の中で障害者に対する正しい理解が浸透するよう努めます。

    • ウ 各保健所管内に設置する地域精神保健福祉推進協議会の活動を通じて、地域住民の精神保健福祉に関する知識の普及啓発に努めます。

    • エ 心の健康センターにおいて、職域関係者、教員等の精神保健福祉に携わる者を対象に、専門的知識を習得させ、職場や地域における精神保健福祉の普及啓発を図ります。

(3) 交流・ふれあいの促進

現状と課題

 障害者の地域活動への積極的な参加により、地域における人々との日常的なふれあいや交流を深めるとともに、地域における様々なボランティア活動を促進し、地域の人々が互いに協力し合い、共に生きていく地域社会をつくっていくことが必要です。
 知的障害者の平成7年度精神薄弱者実態調査での「福祉サービスに対する希望」では、「あたたかい地域社会の形成促進・啓発」を望む回答が最も多くありました。
 障害者が地域で生活していくうえで、周囲の人々の理解や支援が極めて重要であると思われます。
 特に、ボランティア活動は、人と人とのふれあいを通じて、障害者及び障害についての理解や認識を深めるために極めて有効です。県政モニター調査でも大多数の人が「ボランティア活動に参加したい」と希望しており、今後、ボランティア活動へ参加しやすくなるような各種施策を展開していくことが必要です。

表3-1-4 ボランティア活動に参加したいですか

- 人数 構成比
ぜひ参加したい 18 9.0%
機会があれば参加したい 158 79.0%
参加したくない 7 3.5%
わからない 17 8.5%

平成7年度県政モニター調査による。回答者200人を集計したもの。

 さらに、障害者自身による障害のない人々や異なる障害のある人々に対するボランティア活動は、相互の理解を深め、社会一般の啓発を促進するため、一層の推進が望まれます。

取組内容

  1. 交流・ふれあいの機会の充実

    • ア 学校外で心身に障害のある児童とない児童との各種ふれあい活動を行ったり、特殊教育諸学校と地域住民との様々な形での交流を進めるなど、地域のつながりの中でのふれあいや交流を促進します。

    • イ 市町村社会福祉協議会が行う各種事業を通じて、障害者が地域の一員として障害のない人々との間で住民相互の助け合いを行ったり、交流の輪を広げられるよう努めます。

    • ウ 県、市町村、各種団体、福祉施設等が行う文化活動、スポーツ大会等の各種行事に障害者と地域住民がともに参加し、交流・ふれあいが促進されるよう努めます。

  2. ボランティア活動の充実

    • ア 潜在的なボランティアの発掘や地域福祉活動のリーダーの養成を図るため「福祉ボランティア等発掘養成事業」を推進し、県民が活動に参加しやすい体制づくりに努めます。

    • イ 市町村社会福祉協議会のボランティアセンターにおける仲介機能の充実を図るとともに、専門性と活動力を持つボランティア・リーダーの養成を図るなど、ボランティア活動がより活発に行われるように支援体制の充実に努めます。

    • ウ 精神保健福祉ボランティア養成講座を開催し、精神障害者社会復帰施設等で活動するボランティアの養成に努めます。

    • エ 身体障害者によるボランティア活動をテーマにした福祉セミナーの開催や、知的障害者による「ボランティア活動参加促進事業」を推進するなど、障害者によるボランティア活動を通じて社会一般の障害者に対する理解の促進を図ります。

2 教育・育成

(1) 障害児に対する教育の充実

現状と課題

 障害等により、通常の学級における指導を受けることが困難であったり、通常の学級における指導だけでは十分な教育効果が期待できない児童生徒については、その可能性を最大限に伸ばすため、一人ひとりの障害の種類・程度、能力・適性などに応じた、きめ細かな教育を行うことが重要です。
 義務教育に関わる制度的、施設的な整備については、養護学校義務制実施(昭和54年)以来、順次整備が図られ、障害児の義務教育を受ける体制が確立されています。
 今後は、社会の変化や障害の重度化・重複化などに対応して、教育内容・教育方法の一層の充実を図っていく必要があります。

表3-2-1 県内の特殊教育諸学校数、児童生徒数

(平成8年5月1日現在)
- ろう 精神薄弱 肢体不自由 病弱 合計
学校数 1 2 本校5分校2 3 1 12
児童生徒数
(訪問部生徒数)
(重複障害児学級児童生徒数)
37
-
(9)
77
-
(14)
561
(14)
(272)
210
(1)
(156)
75
(26)
(41)
960
(41)
(492)

*訪問部生徒数及び重複障害児学級児童生徒数は、児童生徒数の内数である。
(資料 県教育委員会)

表3-2-2 障害別特殊学級・通級指導教室・児童生徒数

(平成8年5月1日現在)
- 精神薄弱 言語障害 情緒障害
特殊学級数 小116 中58 12 15
児童生徒数 小248 中138 102
(在籍23 通級児74 巡回児5)
38
(在籍36 通級児2)
通級指導教室数 - 18 12
児童数 - 98 50

(資料 県教育委員会)

 このため、保健・医療、福祉及び教育の各分野の連携を強化し、就学前からの一貫した相談体制の充実を図るとともに、障害児の成長の各段階に応じて、最も適切な教育の場を確保するための教育諸条件の整備を図る必要があります。
 また、義務教育終了後の進学あるいは就労といった障害児の進路希望に対応した施策の推進が必要です。特殊教育諸学校高等部においては、社会情勢の変化や生徒の能力、障害の状態等に対応した職業教育の充実を図るとともに、雇用・福祉の各関係部門との連携を一層強化し、障害児の職業的、社会的自立への支援を推進する必要があります。

図3-2-1 特殊教育諸学校配置図
(平成8年5月1日現在)

表3-2-3 特殊教育諸学校配置図
(平成8年5月1日現在)

番号 種別 学校名 学部
県立盲学校 幼・小・中・高
ろう 県立富山ろう学校 幼・小・中・高
県立高岡ろう学校 幼・小・中・高
精神薄弱 県立にいかわ養護学校 小・中・訪
県立しらとり養護学校 小・中・高・訪
県立しらとり養護学校セーナー苑分校 小・中
県立高岡養護学校 小・中・高・訪
県立となみ養護学校 小・中・高・訪
県立となみ養護学校礪波学園分校 小・中
10 国立富大附属養護学校 小・中・高
11 肢体不自由 県立富山養護学校 小・中・高・訪
12 県立高志養護学校 小・中・高
13 高岡市立こまどり養護学校 小・中
14 病弱 県立ふるさと養護学校 小・中・高・訪

取組内容

1.早期教育の充実

  • ア 盲学校及びろう学校の幼稚部における早期教育の一層の充実を図るとともに、地域における療育センター的機能を充実させ、障害児の就学前からの相談体制等を充実させます。
  • イ 総合教育センター教育相談部における特殊教育に関する相談機能の充実を図るなど、保護者の悩みや不安に応え、早期に障害児及び障害に対して正しい理解や認識ができるよう支援するとともに、障害児に対して適切な就学指導を行います。
  • ウ 地域の幼稚園・保育所で受け入れ可能な障害児の入園・入所を支援するとともに、職員に対する研修の充実によりその資質の向上に努め、幼児期の教育・保育の一層の促進を図ります。

表3-2-4 心身障害児の保育所への入所状況

(単位:人 平成8年4月1日現在)

児童数 障害の種類別内訳 年齢別内訳
129 知的障害 67 2歳以下 8
肢体不自由 14
言語障害 4 3歳 36
自閉的傾向 5
情緒障害 4 4歳 40
視覚障害 1
聴覚障害 2 5・6歳 45
その他 32

(資料 児童家庭課)

義務教育段階における障害児教育の充実

  • ア 一人ひとりの障害児に、その心身障害の状態や能力・適性に応じた最も適切な教育の場を提供するため、県及び市町村就学指導委員会の活動推進、巡回就学相談の実施などにより就学指導体制等の一層の充実を図ります。
     また、障害児や保護者に最も適切な教育機関・教育内容に関する情報を提供するため、学校見学会や就学についての相談会等を開催します。
    図3-2-2 知的障害児の就学状況(障害程度別>
    平成7年度精神薄弱者実体調査による。在学している1,111人を集計したもの。
  • イ 障害児の就学のために必要な諸経費を保護者の負担能力に応じて支援するほか、通学の安全確保等を図るため通学用バスの運行や介助員の配置を進めます。
  • ウ 障害児の障害の状態・特性に応じた教育方法・教育内容の充実を図るため、通級による指導の充実、院内特殊学級の適切な設置等を推進します。
    「通級による指導」とは
     言語障害、情緒障害、弱視、難聴等の比較的軽度の障害のある児童生徒が、各教科の授業の大部分は小・中学校の通常の学級で受け、障害に応じた特別の指導を特別の指導の場(通級指導教室)で受けるという特殊教育の一形態であり、通常の学級で留意して指導することが適当な障害児に対し、よりきめ細かな対応を行うものである。
  • エ 特殊教育に携わる教職員に対して重度・重複障害指導者講習会、コース別特殊教育専門講座等各種研修会をきめ細かく実施するとともに、新たに特殊教育障害種別研修や特殊教育実技研修を行うほか、相談事例集等の作成により教職員の指導力の向上に努めます。

表3-2-5 通級指導教室の推移(設置学校数及び通級児童数)

年度 平成4年度 平成5年度 平成6年度 平成7年度 平成8年度
情緒障害設置学校数 0 9 12 13 12
言語障害設置学校数 0 0 3 9 18
情緒障害通級児童数 0 30 41 49 50
言語障害通級児童数 0 0 16 41 98

数値は各年5月1日現在

資料:県教育委員会指導課

表3-2-6 病弱・身体虚弱特殊学級設置状況(平成8年9月1日現在)

校数 4校
設置病院 富山県立中央病院 富山市立市民病院
富山赤十字病院 国立富山医科薬科大学付属病院



  • オ 障害の重度化・重複化に対応し、すべての特殊教育諸学校に重複障害児学級を設置し、学級編成についてもより少人数編成にするなど、障害児一人ひとりに応じたきめ細かな指導や配慮を行います。

  • カ 新たな課題である学習障害児の実態把握に努め、その指導法について教職員に対する研修会の実施や理解の啓発を図り、教育現場において適切な対応ができるように努めます。

    「学習障害」[Learming Disabilities]とは
     基本的には、全般的な知的発達に遅れはないが、聞く、話す、読む、書く、計算する、推論するなどの特定の能力の習得と使用に著しい困難を示す様々な障害を指すものである。
     学習障害は、その背景として、中枢神経系に何らかの機能障害があると推定され、視覚、聴覚などの障害や、家庭、学校などの環境が直接の原因となるものではないが、こうした障害や環境と重なって生じる場合はある。

  • キ 教育環境を整備、充実するため特殊教育諸学校の校舎等の改築及び修繕のための基本計画及び年次計画を策定し、順次実施します。
     また、教育内容充実のための教材、理科教育設備等の一層の整備を図ります。

表3-2-7 障害別幼児児童生徒数の推移(特殊教育諸学校)

年度 平成4年度 平成5年度 平成6年度 平成7年度 平成8年度
60 53 54 47 37
92 91 89 80 77
精神薄弱 616 611 605 571 561
肢体不自由 208 212 214 213 209
病弱 75 73 65 63 75

幼・高等部を含む。人数は各年5月1日現在

資料:県教育委員会指導課

表3-2-8 障害別幼児児童生徒数の推移(特殊学級)

年度 平成4年度 平成5年度 平成6年度 平成7年度 平成8年度
精薄(小・中) 408 387 378 388 386
言語障害 202 194 173 160 102
情緒障害 43 36 44 37 38
病弱・身体虚弱 0 0 0 0 0

Mp> 人数は在籍児数、通級児数、巡回児数の合計で各年5月1日現在

資料:県教育委員会指導課

後期中等教育段階における特殊教育の充実

  • ア 希望するすべての障害児が後期中等教育を受けられるよう、県内の養護学校すべてに高等部を設置します。
     また、障害が重度のため通学が困難な生徒を対象として、養護学校高等部における訪問教育を平成9年度より実施します。
    図3-2-3 中学、高校等在学中の知的障害児の進路希望
    平成7年度精神薄弱者実態調査による。対象者588人を集計したもの。
  • イ 身体に障害のある生徒の高等学校への受け入れのためのトイレ、手すり等校舎の施設・設備の改善を引き続き行っていきます。

  • ウ 特殊教育諸学校高等部において、生徒の障害の特性や時代の変化に対応した教育課程の検討、学科の改編、コース制の導入、作業・実習内容の工夫等教育内容の一層の充実を図り、自立と社会参加の促進に努めます。

  • エ 特殊教育諸学校高等部において、職業教育の効果的実施や卒業後の職業的自立を推進するため、関係雇用主や公共職業安定所等との連携を強化し、実習先・職場の開拓、就職後の事後指導等の充実に努めます。

(2) 地域における育成・学習の充実

現状と課題

 障害児の育成については、家庭での生活に基盤を置きながら、療育のための通園施設の充実など、その成長の各段階において、地域での療育支援のための施策の充実が求められています。
 知的障害児の福祉サービスに対する希望でも、「あたたかい地域社会の形成」、「ショートステイ(短期入所生活介護)の充実」、「デイサービス(日帰り介護)の充実」等地域で生活し続けていくための福祉サービスの充実が多く望まれています。

図3-2-4 知的障害児の福祉サービスの希望(第一希望)(複数回答5つまでの内の第一希望) 平成7年度精神薄弱者実態調査による。0~17歳の対象者1,302人を集計したもの。

 このため、乳幼児期においては早期発見・早期療育に努め、障害児及びその保護者に対して早期からの一貫した療育支援を行っていくことが重要です。
 学齢期においては福祉施設等における指導訓練・治療及び学校教育を充実させるとともに、在宅施策と福祉施設施策の連携を強化し、障害児等のニーズの多様化、障害の重度化・重複化に対応した一貫した施策の推進を図る必要があります。
 また、障害者が学校教育終了後も生涯にわたって主体的、継続的に学習できるよう支援していく必要があります。

取組内容

1.地域における療育体制の整備

  • ア 保健所、市町村、児童相談所、保育所、障害児施設及び医療機関の連携を強化し、乳幼児期からの各種健康診査、訪問指導、育児相談等を充実させることにより、障害児やその保護者に対する、早期からの継続的な療育支援体制づくりや精神的支援を行うための相談支援体制の充実に努めます。

表3-2-9 乳幼児発達健康診査受診者の把握契機

- 身体面 精神面
人数 構成比 人数 構成比
乳幼児健診 188 17.2% 40 6.3%
一歳六カ月時健診 17 1.6% 51 8.0%
三歳児健診 44 4.0% 70 11.0%
育児相談 28 2.6% 49 7.7%
医療機関紹介 69 6.3% 59 9.3%
保育所・幼稚園の紹介 0 0.0% 2 0.3%
低出生体重児 685 62.8% 317 49.9%
その他 59 5.4% 47 7.4%
総数 1,090 100.0% 635 100.0%

平成7年度 受診実人員1,339人

資料:健康課

表3-2-10 学齢未満の知的障害児の保育等の状況(年齢別)

年齢 0歳 1歳 2歳 3歳 4歳 5歳 6歳
保育所 0 0 0 4 6 9 4
幼稚園 0 0 0 0 0 2 0
養護学校幼稚部 0 0 0 0 1 0 0
通園施設 0 0 5 26 42 30 6
通園訓練事業参加 0 2 0 1 0 4 0
どこへも行っていない 1 3 2 3 2 3 0

平成7年度精神薄弱者実態調査による。6歳以下の対象者156人を集計したもの。

  • イ 心身障害児(者)の地域における生活を支えるため、「障害児(者)地域療育等支援事業」を拡充し、施設の有する人材、設備などの機能を活用し、地域で生活する障害児、知的障害者及びその保護者に対する在宅療育等に関する相談・指導体制を一層充実させます。

図3-2-5 障害児(者)地域療育等支援事業概念図

  • ウ 在宅の重症心身障害児(者)の家庭への訪問指導や訪問診査を行うとともに、児童相談所等において療育等各種相談を行い、地域における療育を支援します。

  • 福祉施設等における療育機能の強化

  • ア 心身障害の早期発見及び障害児の早期療育を総合的に行う心身障害児総合通園センター「高志通園センター」において、障害児の障害の重度化・重複化に対応して療育機能を充実させるとともに、新たに「療育拠点施設事業」を実施し、療育拠点施設としての機能の拡充を図ります。

  • イ 呉西地区における早期療育のための総合通園施設として心身障害児総合通園センターの整備を支援します。

  • ウ 精神薄弱者更生施設等において、多動、自傷等の著しい不適応行動、いわゆる「強度行動障害」により日常生活に困難を生じている障害児(者)に適切な指導・訓練を行うため、特別処遇体制が整えられるよう支援を行います。

  • エ 施設職員等関係職員に対する専門研修の実施、研修費の補助等による研修の充実や療育等に関する情報提供等を行うことにより、施設職員等の資質の向上を図ります。

  • 生涯学習の推進

  • ア 障害者の生涯学習を支援するため、障害者が地域の人々とともに各種教養講座、講演会等に参加しやすいよう、点字広報、声の広報等様々な情報提供手段により開催情報等を提供するとともに、開催会場等関連施設のバリアフリー化に努めます。

  • イ 講演会等への聴覚障害者の参加を支援するため、手話奉仕員、要約筆記奉仕員の派遣体制の充実に努めます。

  • ウ 身体障害者を対象とする図書館の郵送貸出制度の周知を図るほか、点字図書館の点字図書や録音図書の充実に努めます。

  • エ 図書館における録音図書作成等各種ボランティア活動の推進により障害者の学習活動の支援に努めます。

    表3-2-11 富山県公共図書館の障害者サービス状況(平成7年度)

    図書館名所蔵テープ(点)ボランティア(人)貸出登録者(人)貸出巻数(点)
    富山市立図書館中央館13,8066415512,356
    高岡市立中央図書館424080669
    新湊市図書館208000
    魚津市立図書館38延15613208
    氷見市立図書館1,056延303486
    滑川市立図書館0延12000
    礪波市立図書館94000
    大沢野町立図書館204延129108
    上市町立上市図書館831延1019480
    立山町立立山図書館0延1000
    小杉町立小杉図書館0延103144
    庄川町立図書館0延2000
    総計16,661-31314,051
    (資料 富山県図書館協会)

3 雇用・就業

(1)総合的雇用対策の推進

現状と課題

 障害者がその能力と適性に応じて仕事をしていくことは、経済的な自立にとどまらず、社会経済活動への参加、自己実現といった面からも非常に重要です。
 このため、事業主に対し雇用率の向上のための指導を行うとともに、一般社会に対し障害者雇用への理解を求めるための普及啓発活動を行う必要があります。
 県内の身体障害者及び知的障害者の雇用状況を見ると、平成8年6月1日現在において、民間企業では1.57%(全国1.47%、法定雇用率1.6%)と全国の平均雇用率を上回っているものの法定雇用率を若干下回っています。

表3-3-1 民間企業における年次別雇用状況の推移(各年6月1日現在)

平成4年 平成5年 平成6年 平成7年 平成8年
富山県 1.51 1.54 1.56 1.57 1.57
全国 1.36 1.41 1.44 1.45 1.47
法定雇用率 1.6 1.6 1.6 1.6 1.6

資料:職業安定課

 このことから、障害者雇用率の低い企業に対し個別指導を強化するとともに、社会における障害者雇用への理解を一層深めなければなりません。
 一方、障害者の能力と適性に応じた職業訓練や職業相談・紹介を行い、就業率の向上と職場定着を図ることも重要です。

表3-3-2 県内民間企業における障害者の雇用状況

(平成8年6月1日現在)
企業数 算定基礎労働者数 雇用障害者数 実雇用率 雇用率達成企業割合
- 達成 未達成 重度障害者 重度障害者以外 合計
645社 388社 257社 148,310人 551人 1,221人 2,323人 1.57% 60.2%

*算定基礎労働者数とは、常用労働者総数から除外率相当の労働者数を除いた法定雇用身体障害者数の算定の基礎となる労働者数である。
*雇用障害者数は、重度障害者をダブルカウントしている。
(資料 職業安定課)

表3-3-3 県内民間企業における規模別障害者の雇用状況

(平成8年6月1日現在)
事項


規模別
企業数1 算定基礎労働者数2 障害者数 実雇用率
C÷2×100
雇用率達成企業の割合
A重度障害者(常用) B重度障害者(常用)以外の障害者 C合計
A×2+B
63~99人 226社 17,727人 98人 179人 375(332)人 2.12(1.97)% 63.7(64.8)%
100~299人 332社 49,497人 158人 420人 736(773)人 1.49(1.56)% 60.2(64.8)%
300~499人 44社 15,088人 65人 131人 261(276)人 1.73(1.75)% 61.4(62.2)%
500~999人 25社 14,499人 50人 95人 195(192)人 1.34(1.30)% 36.0(36.0)%
1,000人以上 18社 51,499人 180人 396人 756(752)人 1.47(1.46)% 44.4(41.2)%
645社 148,310人 551人 1,221人 2,323(2,325)人 1.57(1.57)% 60.2(62.9)%

*1 算定基礎労働者数とは、常用労働者総数から除外率相当の労働者数を除いた法定雇用身体障害者数の算定の基礎となる労働者数である。
*2 A欄の数値には、短時間労働者の数は含まれていない。B欄の数値には重度障害者である短時間労働者の数が含まれている。
*3 障害者数とは、身体障害者と知的障害者の合計である。A欄の重度障害者については、1人を2人に相当するものとしている。
*4 ( )内は、平成7年6月1日現在の数値である。
(資料 職業安定課)

取組内容

1.障害者雇用の指導強化と理解の促進

  • ア 障害者雇用について社会的認識を深めるため、9月を「障害者雇用促進月間」と設定し、障害者雇用促進大会や街頭キャンペーン等の実施により、障害者雇用に関する啓発を推進します。
  • イ 雇用率の向上を図るため、雇用率未達成企業に対する指導を強化するとともに、身体障害者納付金制度に基づく「障害者作業施設設置等助成金」など各種の助成金や事業所税の軽減措置など税制上の優遇措置、その他の援護措置の周知とその活用により障害者雇用の促進を図ります。

2.職業相談・紹介の充実及び就職後の援助

  • ア 公共職業安定所に職業カウンセラーや手話協力員を配置し、障害者に対するきめ細かい職業相談・職業紹介による適正な職業選択を促進するとともに、就職後における職場適応を支援します。また、企業への求職者情報の積極的な提供により、障害者雇用の一層の促進を図ります。

表3-3-4 公共職業安定所における障害者の職業相談・職業紹介

(ア) 求職登録状況

(単位:人 平成9年3月31日現在)

区分 総数 身体障害者 身体障害者以外の障害者
登録者数 4,306 (100.0%) 3,175 (100.0%) 1,131 (100.0%)
426,109 (100.0%) 302,010 (100.0%) 124,099 (100.0%)
就業中 3,563 (82.7%) 2,594 (81.7%) 969 (85.7%)
307,643 (72.2%) 211,269 (70.0%) 96,374 (77.7%)
有効求職 654 (15.2%) 516 (16.3%) 138 (12.2%)
95,515 (22.4%) 73,930 (24.5%) 21,585 (17.4%)
保留中 89 (2.1%) 65 (2.0%) 24 (2.1%)
22,951 (5.4%) 16,811 (5.5%) 6,140 (4.9%)

*各欄の数値の上段は県、下段は国

(イ)職業紹介状況の推移

(単位:人)

年度 新規求職申込数 就職件数
合計 身体障害者 身体障害者以外の障害者 合計 身体障害者 身体障害者以外の障害者
平成6年度 589 443 146 330 218 112
平成7年度 675 506 169 297 192 105
平成8年度 692 515 177 343 219 124

(資料 職業安定課)

  • イ 事業主による障害者の職業生活相談体制の整備や障害者を5人以上雇用する事業所での「障害者職場定着推進チーム」の設置を促進するなど、障害者の職場定着を図ります。

3.職業能力開発の推進

  • ア 公共職業能力開発校において、障害のある人が障害のない人と共に訓練が受けられるよう、施設・設備の整備に努めるとともに、障害に配慮した訓練カリキュラムの編成を行うなど効果的な訓練の推進を図ります。

  • イ 障害者職業センター、福祉機関、教育機関などとの連携を強化し、障害者の職業リハビリテーションの充実を図ります。

図3-3-1 障害者の雇用促進施策の概要
障害者の雇用促進施策の概要

(2) 障害種類別施策の推進

現状と課題

 障害者の能力と適性に応じた就職を支援するため、障害の種類や程度に応じた職業能力の開発を推進するとともに、保健、医療、福祉及び教育部門との連携を強化し、相談・指導体制を充実するなどきめ細かな施策を講ずる必要があります。
 身体障害者については、その能力が十分発揮できるよう、職場における適切な環境づくりの推進が望まれます。
 また、内部障害者の雇用の促進を図るため、健康管理体制づくりに努める必要があります。

表3-3-5 身体障害者の年齢階級別就労状況

年齢階級 15~19歳 20~39歳 40~59歳 60歳~
している 6 246 990 712
していない 48 166 870 4,128
無回答 3 0 9 20

平成7年度身体障害者福祉ニーズ調査による。調査対象者の内、15歳以上の7,198人を集計したもの。

 雇用されている知的障害者については、身体障害者と同様に障害者雇用率に算定するとともに身体障害者雇用納付金制度の対象とされ、雇用の促進が図られていますが、平成10年7月からは知的障害者についても雇用が義務づけられ法定雇用率が引き上げられることから、今後、より一層、雇用が拡大するよう事業主指導を強化するとともに、助成制度の積極的な活用を図るなど各種の施策を展開する必要があります。
 また、職域の拡大とともに適正な職業選択及び職場適応の向上を図るための事業主指導の充実が求められています。

図3-3-2 知的障害者の職種別就労状況(障害程度別)
平成7年度精神薄弱実態調査による。就労している600人を集計したもの。

表3-3-6 知的障害者の年齢階級別就労状況

年齢階級 15~19歳 20~39歳 40~59歳 60歳~
就労している 69 400 117 14
小規模小業所に通っている 50 179 35 5
就労していない 36 335 489 271

平成7年度精神薄弱者実態調査による。学齢以上で「就学していない」(施設入所中を除く)者2,000人を集計したもの。

 精神障害者については、就職が可能な精神障害回復者等(精神分裂病、そううつ病又はてんかんにかかっている者等であって症状が安定しているものをいいます。)を支援の対象としており、事業主に委託して行う職場適応訓練の実施や公共職業能力開発校において障害のない者とともに職業訓練を実施していますが、公共職業安定所でのきめ細かな職業相談、さらに心の健康センターなど関係機関との連携強化により、一層、訓練を受けやすい環境づくりを進める必要があります。

図3-3-3 精神障害者の今後利用したい就労や活動の場
平成7年度精神障害者社会参加ニーズによる。通院している者565人の全回答数836件を集計したもの。

取組内容

  1. 身体障害者施策の推進

    • ア 身体障害者雇用納付金制度に基づき、職場における障害者の能力が十分に活かされるよう業務遂行援助者の設置、聴覚障害者のための安全警報装置の導入や手話ができる人の配置等を助成する「障害者作業施設設置等助成金」など事業主への支援施策を活用し、身体障害者それぞれの障害の特性に応じた作業施設の設置や作業環境の整備・充実を図ります。

      図3-3-4 身体障害者の職種別就労状況(年齢階級別)
      平成7年度身体障害者福祉ニーズ調査による。就労している1,954人を集計したもの。

    • イ 近年、内部障害者が増加傾向にあるほか、「病気のため」仕事をしていない身体障害者も多いことから、企業内の健康管理体制の充実による雇用の維持・促進を図ります。

      表3-3-7 身体障害者の仕事をしていない理由

      理由人数構成比
      障害が重い52648.5%
      病気のため21019.4%
      家事就学に専念11110.2%
      適職がない817.5%
      働く場がない423.9%
      通勤困難111.0%
      高齢のため90.8%
      その他726.6%
      無回答222.0%
      平成7年度身体障害者福祉ニーズ調査による。「仕事をしていない」と答えた者で15~59歳の1,084人を集計したもの。

    • ウ 身体障害者技能競技大会(アビリンピック)への積極的な参加を奨励し、身体障害者の職業意識のより一層の高揚と技術の向上を図ります。

  2. 知的障害者施策の推進

    • ア 平成10年7月より、身体障害者と同様に知的障害者である労働者の総数を算定の基礎に加えた障害者雇用率(現行1.6%→1.8%)が設定されることとなったことから、さらに、公共職業安定所による企業訪問をはじめとした雇用指導の一層の強化や一般社会の理解を深めるよう努めます。

    • イ 知的障害者の能力や適性に応じた職域の拡大を図るため、職場適応訓練を実施するとともに富山ワークトレーニング社など関係機関での職業準備訓練の積極的な活用を図ります。

      図3-3-5 知的障害者の障害程度別就労形態
      平成7年度及び平成3年度の精神薄弱者実態調査による。
      平成7年度600人、平成3年度521人の就労している者を集計したもの。

    • ウ 知的障害者の雇用を奨励する交付金や身体障害者納付金制度に基づく障害者作業施設設置等助成金など事業主への支援施策の活用により、雇用の促進と定着を図ります。

      図3-3-10 知的障害者の就労の状況(前回との比較)
      平成7年度及び平成3年度の精神薄弱者実態調査による。
      平成7年度3,432人、平成3年度3,005人の就労している者を集計したもの。

  3. 精神障害者施策の推進

    • ア 公共職業安定所できめ細かな職業相談を実施します。また、一定期間、精神障害者を事業所に委託し集中力や対人能力をかん養する社会適応訓練を実施するなど、能力と適性に応じた就労を促進します。

    • イ 精神障害回復者等の職業能力を開発するため、公共職業能力開発校において訓練を実施し、職業的自立と社会参加を促進します。

    • ウ 就労準備のため、精神障害者就労援助教室を開催し、生活指導を行いながら作業能力訓練、職場見学、就労ゼミナールなどを実施します。

(3) 重度障害者施策等の推進

現状と課題

 重度障害者については、雇用率の算定に際して重度障害者1人の雇用をもって一般障害者2人雇用として扱うとともに、短時間労働者についても1人として扱うことなどにより雇用の促進を図ってきた結果、雇用者数は年々増加してきていますが、なお、雇用は厳しい状況にあり、より一層の雇用の促進を図るため、障害者雇用納付金を活用した各種援助制度や第三セクター企業の設立等について事業主への周知を図るとともに、一般社会への啓発を進めるなど、重度障害者の職業的自立を促進する必要があります。

表3-3-8 県内民間企業における重度障害者の雇用(常用)状況(数値は各年度末)

年度 平成3年度 平成4年度 平成5年度 平成6年度 平成7年度 平成8年度
人数 962 1,061 1,099 1,167 1,214 1,245

公共職業安定所に求職登録している障害者の内、就業中の者を集計したもの。
資料:職業安定課

 また、一般雇用による完全な職業的自立を期待することが困難な重度障害者であっても、適切な指導訓練を行うことによって就労が可能となることから、福祉的な就労の機会を確保し、その社会参加を支援していますが、さらに施設・設備の整備・充実を図る必要があります。

表3-3-9 福祉的就労の場の現状

(平成8年4月1日現在)
障害種別 施設数(定員)
施設種別 入所 通所
身体障害者 授産施設 3 (180人) 3 (61人)
小規模作業所 - 8 (85人)
知的障害者 授産施設 2 (130人) 3 (80人)
小規模作業所 - 24 (405人)
精神障害者 授産施設 - 2 (45人)
小規模作業所 - 10 (225人)

取組内容

  1. 重度障害者の職業的自立の推進

    • ア 重度障害者の能力と適性に応じて短時間勤務や在宅勤務など多様な勤務形態について、事業主の理解を得ながら雇用の確保を図るとともに、職業リハビリテーションや職業相談・紹介の充実に努めます。

    • イ 重度障害者多数雇用事業所施設設置等助成金など各種助成金の活用の促進や、職業生活相談・健康管理体制の整備、充実など重度障害者の職場適応を推進します。

    • ウ 第三セクター方式による重度障害者雇用企業及び重度障害者多数雇用事業所について周知を図り、本県においても設置できるよう努めます。

  2. 一般雇用が困難な者に対する施策の推進

    • ア 一般雇用が困難な障害者の福祉的就労の場を確保するため、福祉工場、授産施設、小規模作業所等の施設の整備・運営への支援を行います。

    • イ 産業構造の変化に対応して授産施設などでの作業科目を見直すなど、作業量の安定的確保に努めます。

    • ウ 障害者の勤労意欲や生産意欲を高めるため、授産施設等での製品の販路の確保・拡大に努めます。

    • エ 円滑な施設運営のため、職員の資質向上を図る研修会の開催やボランティアの育成などに努めます。

4 保健・医療

(1)障害の予防・早期発見

現状と課題

 心身障害は、周産期の異常や先天異常等あるいは疾病や事故等の様々な原因によりライフステージの各時期に発生しています。

図3-4-1 身体障害者の主たる障害の原因
平成7年度身体障害者福祉ニーズ調査による。

 このため、ライフステージの各時期において母子保健や成人保健をはじめとした予防、早期発見、早期治療、根本的治療のための適切な施策を充実させていく必要があります。
 特に、妊娠期は胎児が母体を介して様々な要因の影響を受けやすい時期であり、母体保護や順調な胎児発育のための健康管理が重要です。
 乳幼児期も、心身の諸機能が発達する一方、病気や異常をきたしやすいため、乳幼児の健康診査や相談・指導を充実し、障害の早期発見に努め、早期対応につなげていくことが大切です。
 また、乳幼児期及び小児期の事故や各種疾病を予防するための知識及び技術の普及を図る必要があります。

図3-4-2 知的障害児(者)の診断・判定を受けた時期 資料:厚生省「平成7年度精神薄弱児(者)基礎調査結果の概要」
 総数297,100人、18歳未満85,600人の時期毎の割合

 他方、近年、障害者の高齢化、高齢になってからの障害の発生、高齢による身体的機能の低下等が進んでおり、本県の身体障害者手帳所持者の57.4%が65歳以上の高齢者となっています(平成8年3月31日現在)。
 また、身体障害のある人の内、脳血管疾患等疾病を主たる障害の原因とするものの割合が40代以降急激に増加しており、60歳以上では半数近くを占めています。
 高齢期の身体障害を予防するためにも、壮年期からの一貫した健康管理や疾病予防が大切であり、特に障害を伴うおそれの多い脳血管疾患や糖尿病などの成人病(生活習慣病)の予防が重要です。
 このため、各種健康診査や保健事業などの施策を推進するとともに、県民が自ら健康づくりを行うよう普及啓発等を行っていくことが必要です。

表3-4-1 ライフステージに応じた主な健康診査

妊娠期及び早期新生児期
(妊娠~生後7日)
家庭 ・妊婦健康診査
・B型肝炎検査
・先天性代謝異常等検査
 (母子保健法)
新生児期及び乳幼児期
(0~5歳)
・神経芽細胞腫検査
・乳幼児健康診査
・1歳6か月児健診査
・3歳児健康診査
 (母子保健法)
少年期
(6~18歳)
小学校
中学校
・定期健康診断
 (学校保健法)
-
高校 ・定期健康診査
(結核予防法)
(労働安全衛生法)
青年期
(19~29歳)
大学
職場・家庭 -
壮年期及び実年期
(30~69歳)
健康診査
 (老人保健法)
・基本健康診査
・がん検診
  胃がん検診
  子宮がん検診
  肺がん検診
  乳がん検診
  大腸がん検診
家庭
老年期
(70歳~)

※( )内は各健診の根拠法規

取組内容

  1. 母子保健対策の推進

    • ア 健康的な妊娠を支援するため、医療機関との連携強化により、訪問、相談指導等のより効果的な推進を図ります。

    • イ 早産に起因する未熟児の死亡や心身障害の発生が多いことから、妊婦に対する切迫早産の正しい知識の啓発普及や医療関係者に対する早産防止及び母体搬送の定着を目的とした検討会の実施などの早産予防対策を強化します。

    • ウ 新生児死亡及び心身障害を予防するため、妊娠から出産、新生児期まで専門的高度医療を提供する母子医療センターの機能を充実させるとともに、同センターを拠点とした周産期救急医療情報システムを整備します。

      図3-4-3 母子医療センター構想体系図

      表3-4-2 NICU等の整備状況(平成8年4月1日現在)

      NICU(新生児集中治療管理室)44床
      PICU(母体・胎児集中治療管理室)1床
      ドクターカー保有病院数8施設
      (資料 健康課)

    • エ 先天異常の予防や疾病の早期発見・早期対応を目的として、染色体検査、先天代謝異常等検査及び神経芽細胞腫検査を実施します。

    • オ 児童の健康増進及び疾病の早期発見・早期治療を図るため、健康診査の充実に努めます。
       また、心身障害児や心身の発達が心配な児童及び疾病による長期療養児等とその保護者に対し、市町村、児童相談所、医療機関等との連携を強化し、支援体制の充実を図ります。

      表3-4-3 平成9年度以降の県保健所と市町村の母子保健事業

      県保健所
      ○技術的・広域的機能の強化
      1. 市町村職員の研修・技術的援助
      2. 市町村相互間の連絡調整
      3. 地域の健康問題に関する調査・研究
      4. 小規模町村への人材確保支援計画の策定
      ○専門的母子保健サービス
      • ア 未熟児訪問指導
      • イ 養育医療
      • ウ 障害児の療育指導(児童福祉法第19条)
      • エ 慢性疾患児の保健指導(児童福祉法第19条に追加)
      市町村
      ○基本的母子保健サービス
      • ア 母子保健手帳の交付
      • イ 健康診査
         1.妊産婦 2.乳幼児 3.3歳児 4.1歳6ヶ月児(法定化)
      • ウ 訪問指導
         1.妊産婦 2.新生児

       * アンダーラインは、実施主体が県から市町村になった事業


    • カ 母子保健推進員や愛育班など地区組織をより一層強化し、地域における心身障害児等に対する理解の促進を図ることにより、地域ぐるみの支援体制の充実に努めます。

  2. 成人保健対策の推進

    • ア 障害を予防するため、老人保健法に基づく健康教育、健康相談、健康診査等の保健事業を推進し、壮年期からの疾病予防及び健康管理を行います。

      表3-4-4 老人保健事業実施状況

      区分平成4年度実績平成8年度実績
      基本健康診査
       対象者
       受診者

      293,550人
      155,643人 (受診率 53.0%)

      287,102人
      152,751人 (受診率 53.2%)
      健康教育3,360回3,851回
      健康相談4,699回5,985回
      機能訓練31市町村32市町村
      *基本健康診査の対象者数は、病院等で受診中又は他の健康診査を受診済みの者を除いている。
      (資料 健康課)

    • イ 脳卒中情報システムを活用して、脳卒中患者情報の把握を行うとともに、保健・医療・福祉の連携を強化し、訪問指導、機能訓練等の保健・福祉サービスの効果的な提供に努めます。

      図3-4-4 脳卒中情報システムフローチャート

    • ウ 「糖尿病アタックプラン」に基づき、各種施策を積極的に展開し、糖尿病発症の減少、重症化・合併症の防止、地域ケアの充実を図ります。

      糖尿病アタックプランの目標
      1. 糖尿病発症の減少
        患者数、糖尿病判定率の伸び率の鈍化、減少を目指す。
      2. 糖尿病の重症化、合併症の防止
        視覚障害、透析患者数の伸び率の鈍化、減少を目指す。
      3. 糖尿病の地域ケアの充実
        予防教室等の参加者の増加とネットワークの構築を目指す。

    • エ 寝たきりの原因の一つである骨折を引き起こす骨組鬆症を予防するため、成長期から老年期までの各ライフステージに応じた普及啓発及び指導の推進を図ります。

    • オ 県民が日常生活における健康づくりを実践する契機となるよう、「生き活き健康フェスティバル開催事業」を行うなど、健康づくり県民総ぐるみ運動の推進を図ります。

    • カ 高齢者の寝たきりや痴呆を防止するため、「ねたきり痴呆防止啓発普及事業」により各種啓発活動を展開するとともに、「寝たきり・痴呆予防県民アクションプログラム」により、自らの健康づくりの普及啓発の推進を図ります。

      寝たきり・痴呆予防県民アクションプログラムの特徴
      ○3つの柱
      1. 寝たきりと痴呆の正しい理解
      2. 予防のための日頃からの実践
      3. 専門的サービスの活用
      ○8つのテーマ
      1. 寝たきりと痴呆を正しく理解しよう
      2. 家族どうしのコミュニケーションを大切にしよう
      3. 若い頃から心とからだの健康づくりを心がけよう
      4. 生涯を通じた楽しみを創り、いきいきとした生活を送ろう
        長年培った知恵と経験を多様な活動で生かそう
      5. 移動しやすい、安全な住まいづくりを心がけよう
      6. いつもと違うと感じたら気軽に専門家に相談しよう
      7. 適切な治療とともに、早期のリハビリに取り組もう
        くらしの中でもリハビリを行おう
      8. 専門的な介護サービスを積極的に利用しよう
        地域で高齢者の支援の輪を広げよう

(2)保健・医療体制の充実

現状と課題

 障害者に対する医療・リハビリテーションの充実は、単に病気の治癒や運動機能回復のニーズへの対応にとどまらず、障害者の自立と社会参加の促進を図るために不可欠です。
 特に、内部障害者等定期的に医学的管理を必要とする障害者が増加する傾向にあることから、良質で適切な医療サービスの提供体制の確立を図る必要があります。

表3-4-5 身体障害者の過去1年間の治療状況(障害種類別)

障害種類別 視覚障害 聴覚・言語障害 肢体不自由 内部障害
障害に関係した治療 434 403 2,349 1,611
障害に関係のない治療 273 467 678 136
障害との関係について無回答 2 1 0 0
治療を受けたことがない 119 264 412 91
治療の有無について無回答 5 14 20 13

平成7年度身体障害者福祉ニーズ調査による。

 このため、障害者が利用しやすい医療施設の整備及び障害者に対する診療の確保を図るとともに、障害者が必要な医療サービスを受けられるよう、公費負担医療制度の普及と適切な
運用を行う必要があります。
 また、脳血管疾患患者等にとって重要な退院後のリハビリテーションを身近な地域において受けられるような体制を充実させ、QOL(生活の質)の向上を図ることが重要です。
 通院が困難な障害者に対して適切な医療を確保するため、住宅医療や通院介助の条件整備を進めるとともに、角膜及び腎臓の移植医療といった障害の根本的治療を推進するため県民に対する啓発広報等の施策を充実させる必要があります。
 また、障害者が地域で健康に生活していくために、健康診査や健康相談の充実を行い、障害の重度化や重複化を防ぐとともに、主たる障害への対応のみにとどまらず、二次障害を予防するための日頃からの健康づくりや健康管理を進めていくことが重要です。
 脳血管疾患や精神障害の増加等疾病構造の変化や障害者等のニーズの変化によるリハビリテーション需要の増加・多様化に対応し、リハビリ関係技術者、成人病予防対策及び精神保健福祉に関わる医療・保健従事者の確保及び資質の向上を図っていく必要があります。

取組内容

  1. 医療・リハビリテーションの充実

    • ア 医療技術の高度化に対応しつつ、二次医療圏毎に医学的リハビリテーション施設の計画的整備・充実を図るとともに、高志リハビリテーション病院等を中心として医学的リハビリテーション技術の指導、情報提供、職員の研修等医療機関に対する支援の充実を図ります。

      表3-4-6 理学療法等施設基準承認施設数

      施設区分H5.12.1現在H9.2.1現在
      リハビリテーション総合11
      理学療法3034
      作業療法1924
      精神科作業療法33
      精神科デイケア46
      (資料 保険課)

      図3-4-5 地域保険医療体制(二次医療圏)の概念図

    • イ 救急医療体制を整備し、障害の予防・軽減を図るとともに、救急医療情報システムの適切な運営により、救急医療への対応を一層充実させます。

    • ウ 障害者が利用しやすい医療施設の整備を進めるため、スロープ、点字ブロック等施設や障害者用浴槽等設備の整備に対し、支援を行います。

    • エ 通常の歯科診療を受けることが困難な障害者に対して、富山県歯科保健医療総合センターにおいて歯科診療を行います。

      オ 在宅で日常の健康管理を行い、必要に応じて適切な医療が受けられるよう、かかりつけ医の定着や訪問看護の拡充等の条件整備を進め、利用しやすい医療体制の整備に努めます。

      図3-4-6 老人訪問看護制度の体系
      (資料 厚生省)

    • カ 公費負担医療制度の普及と適切な運用を通じて、障害者が必要な医療サービスを受けられるよう条件整備に努めます。

      表3-4-7 各種医療給付状況

      年度H4年度H5年度H6年度H7年度H8年度
      育成医療639649579609496
      更生医療2,6902,1852,5843,5153,011
      重度心身障害者(児)医療費の公費負担106,770108,269113,069113,615116,346
      特定疾患等医療費の公費負担31,16834,71235,75043,59947,764
      小児慢性特定疾患の公費負担7,0727,5988,1308,3477,027
      未熟児養育医療351424455431406
      *数値は給付件数

    • キ (財)富山県腎臓バンク及び(財)富山県アイバンクにおいて腎臓及び眼球の提供登録の推進、献腎・献眼思想の普及啓発に努めます。

  2. 障害者の健康管理施策の充実

    • ア 障害者が住み慣れた地域で医療機関、保健所、保健・福祉関係機関等が連携して行うリハビリテーションにより、QOL(生活の質)の向上を図れるよう地域リハビリテーション体制の整備に努めます。

      「QOL」[Quality of Life]とは
       終末期医療の分野では、「生命の質」「人生の質」としてQOLが唱えられているが、障害者問題では、「生活の質」として日常生活動作の向上にとどまらず、文化活動、家庭等非物質的側面も含め、障害者の社会生活の質的向上が必要であるという概念である。

    • イ 保健所で、主に精神障害者や難病患者を対象に開催している保健・福祉サービス調整推進会議の活動をより充実したものとするよう努めるとともに、各市町村の設置する高齢者サービス調整チームとの連携強化に努めます。

    • ウ 脳卒中情報システムの登録情報を効果的に活用し、保健婦等の訪問指導やホームヘルパー(訪問介護員)等による在宅福祉サービスの提供等、保健・福祉サービスを適切に提供し、QOL(生活の質)の向上に努めます。

    • エ 老人保健法に基づき、40歳以上の在宅で寝たきり又はそれに準じる者に対して必要に応じ、医師及び保健婦等を派遣して訪問基本健康診査を行うとともに、要指導と判定された者に対する訪問指導の推進により、在宅でのQOL(生活の質)の向上に努めます。

      表3-4-8 老人保健事業実施状況

      (単位:人)
      区分平成4年度実績平成8年度実績
      訪問基本健康診査506719
      訪問指導23,59228,927
      訪問口腔衛生指導315416
      訪問栄養指導390842
      *人数は延べ利用者
      (資料 健康課)

    • オ 受診等に出かけることが困難な在宅の重度身体障害者の福祉増進を図るため、医師、看護婦及び身体障害者福祉司が訪問して、相談に応じるとともに、診査又は判定を行い適切な援護を行います。

    • カ 難病患者の在宅療養を支援するため、保健所を核とした総合的地域ケアシステムの構築を図ります。

    • キ 二次障害や合併症を予防し、障害の軽減を図るため、障害者や家族が十分な理解と納得(インフォームドコンセント)が得られるよう、疾病についての知識、日常生活における留意事項などの普及に努めます。

    • ク 食生活を含めた健康づくりの基本となる、歯と歯ぐきの健康を保つため、障害者を対象とする歯科検診や保健指導の導入を検討するとともに、施設職員等の歯科保健に関する知識向上を図るため歯科保健テキストを作成します。

  3. 専門的従事者の確保

    • ア 理学療法士、作業療法士等の健康福祉人材養成施設の新築等に対して補助を行い、その整備を支援します。

      表3-4-9 理学療法士及び作業療法士の養成機関

      区分施設名定員(1学年)設置時期備考
      理学療法士
      作業療法士
      富山医療福祉専門学校理学療法学科 30人
      作業療法学科 30人
      H8年4月
      H8年4月
      国家試験受験資格取得


    • イ 理学療法士、作業療法士等の養成機関在学者に対する修学資金制度を周知・活用し、県内施設への就職を促進するなど理学療法士、作業療法士等の養成・確保のための施策の充実に努めます。

      表3-4-10 理学療法士及び作業療法士の現状と確保見込み

      (単位:人 平成5年10月現在)
      -小計老人保健施設老人福祉施設その他平成12年確保見込み
      病院診療所
      理学療法士11014124601131200人程度
      作業療法士55964111177130人程度
      (資料 医務課)

    • ウ リハビリ関係技術者及び成人病予防対策に関わる医療・保健従事者に対して各種研修会を実施し、資質の向上を図ります。

    • エ 訪問看護の進展等による看護職員の需要増に対して、訪問看護婦養成講習会や訪問看護に関する相談事業及び支援事業を実施し、看護職員の確保を図ります。

(3)心の健康づくりの推進

現状と課題

 近年、社会環境の複雑化に伴いストレスが増大してきており、ストレスに対応しきれず心の健康を損ねる人が増える傾向にあります。

図3-4-7 日常生活の中で感じるストレス
平成8年度県政世論調査による。

 心身ともに健やかで、安らぎのある生活を送るためには、胎児期・乳幼児期から老年期に至るライフステージの各時期において、心の健康づくりのための施策が必要となっています。
 また、休日、夜間における精神障害の急性発症や急性期症状に対応し、適正な医療の確保を図るなど精神医療面の施策及び社会の高齢化に伴い増加している痴呆性老人に対する施策を充実させる必要があります。

取組内容

  1. ライフステージに応じた心の健康づくり

    • ア 県民が生涯を通じて、しあわせを実感しながら生活を営むには、心身ともに健康であることが大切であることから、「こころの健康プラン」を策定し、ストレス対策を含めた心の健康づくりを推進します。

      こころの健康プランの策定(平成8・9年度)
      ●目的
      •  県民が生涯を通じてしあわせを実感できる生活を営むことができるように、ストレス対策を含めた心の健康づくりを推進するための指針となる「富山県こころの健康プラン」を策定します。
      ●目標
      •  県民一人ひとりが、心の健康に関心を持ち、自らが「健康」は自分で守り、つくる」という自覚を持って、心の健康づくりを実践すること。

    • イ ライフステージに応じた各種精神保健相談事業や一般県民向けの各種メンタルヘルス対策を充実させます。

      表3-4-11 ライフステージに応じた心の健康づくり

      胎児期 母親の身体的・精神的状態が発達に影響する時期であり、安心して丈夫な子供が生めるようにします。
      乳幼児期
      (0~6歳)
       母親をはじめ周囲の人との信頼関係が大きく影響する時期であることから、家族が楽しく子供を育てられるようにします。
      学童期
      (7~12歳)
       様々な体験を通して成長するとともに、身体的変化が現れる時期であり、健やかで、たくましく、思いやりのある子供を育成します。
      思春期
      (13~18歳)
       身体的変化が顕著になるとともに、自我が確立してくる時期であり、健康で豊かな心と身体をもつ、自立した青少年を育成します。
      青年期
      (19~29歳)
       自我が確立し、自己の役割が意識されてくる時期であり、健康で豊かな人間性をもち、積極的に社会参加できるようにします。
      壮年前期
      (30~45歳)
       身体的変化は安定するが、身体的、精神的負担が大きくなる時期であり、健康でゆとりや余暇のある生活を送れるようにします。
      壮年後期
      (46~64歳)
       身体的変化による情緒不安定や人生等に対する空虚感が起きやすい時期であり、健康でうるおいのある充実した生活を送れるようにします。
      老年期
      (65歳~ )
       健康不安、死別、役割の低下による精神的負担、痴呆等が起きる時期であり、健康でいきがいをもって、いきいきと暮らせるようにします。


      ストレス対策事業の実施(H9~)
       心の健康センターでは、平成9年4月の移転を機に、新たにリラックスルームを設置し、一般県民を対象としたストレス対策事業を行い、心の病気の予防や早期発見に役立てています。
      ●リラックス体験
      • ハイテク機器を利用したリラックス体験
      ●リラックスセミナー
      • ストレス解消に有効な自律訓練法の習得
      ●ストレスドック
      • リラックス体験、心理検査及び医師による診療・個別指導


      心の健康づくりに関する県の事業
      ○こころの健康フェスティバルの開催
      •  県民一人ひとりに心の健康に対する関心を持ってもらい、また、精神障害者の自立と社会参加に対する理解を深めてもらうため、イベントを開催します。
      ○メンタルヘルス講座の開催
      •  県民一人ひとりが心の健康に関心を持ち、心の健康づくりを実践できるよう企業人事関係者、学校教育関係者、医療関係者等を対象として、講座を開催します。
      ○心の健康学習教室の開催
      •  心の健康づくりに関する知識の普及啓発を図るため、地域住民を対象に各保健所において開催します。
      ○精神保健相談の実施
      •  心の健康センターや保健所において、各種精神保健相談を行います。
        • 一般相談
        • 老人相談
        • 酒害相談
        • 児童期相談
        • 性に関する相談
        • 心の電話相談
        • 思春期相談

  2. 精神医療の充実

    • ア 早期発見・早期治療を促進し、入院期間の短縮化を図るとともに、通院医療費の公費負担制度を活用し、在宅患者の治療を促進します。

      図3-4-8 精神疾患入院患者数等の推移(各年6月末現在)

      資料:健康課

    • イ 休日・夜間の精神障害の急性発症や急性期症状に対応し、適正な医療の確保を図るため、平成10年度を目標に精神科救急医療システムの整備を進めます。

    • ウ 身体合併症を併発した場合、適正な医療が受けられるよう病院間の連携システム等の検討を行います。

    • エ 精神医療審査会等の適切な運用を通じて、精神病院に入院中の者に対し、適正な医療及び保護の確保を図ります。

    • オ 心の健康センターを中心に、医療機関、保健所等と連携し、精神保健福祉に関する普及啓発、相談指導、調査研究等の充実を図ります。
       また、心の健康センターは、移転新築を機に、新たに精神科デイケアや保険診療を実施するなど機能の充実を図ります。

  3. 痴呆性老人施策の充実

    • ア 保健所では老人及びその家族に対して老人性痴呆疾患等に関する相談指導を行うほか、訪問指導、家族教室等の充実に努めます。

    • イ 老人性痴呆疾患センターを設置・運営し、老人性痴呆疾患に対する専門医療相談を実施するとともに、地域保健、医療、福祉等の関係者への技術援助の充実に努めます。

    • ウ 老人性痴呆疾患治療病棟及び老人性痴呆疾患療養病棟の整備に努めます。

主題
とやま障害者自立共生プラン No.1 1頁~53頁

発行者
富山県厚生部障害福祉課

発行年月日
平成9年11月

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