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平成13年度厚生科学研究 障害保健福祉総合研究事業リサーチレジデント報告書

村田 拓司(リサーチレジデント)

目次

一  初めに
二  盲ろう者向け要約筆記点字表示システムの実証実験における検証・評価
報告書
三  情報技術(IT)時代における視覚障害者の実情について、その可能性と問題点に関する原稿執筆
原稿内容
四  「厚生科学研究費補助金(障害保健福祉総合研究事業)盲ろう者に対する障害者施策のあり方に関する研究」の一環としてのアメリカ障害者法(ADA)の調査
粗訳

■一 初めに

今年度は、主に次のような活動に従事した。

  1. 盲ろう者向け要約筆記点字表示システムの実証実験における検証・評価に参加した。
  2. 情報技術(IT )時代における視覚障害者の実情について、その可能性と問題点に関して纏め、その原稿が雑誌に掲載された。
  3. 「厚生科学研究費補助金(障害保健福祉総合研究事業)盲ろう者に対する障害者施策のあり方に関する研究」に前年度より引き続き参加し、海外調査の一環として、アメリカ障害者法(ADA)を調査した。

■二 盲ろう者向け要約筆記点字表示システムの実証実験における検証・評価

 これは、パーソナル・コンピュータ(PC)と点字ディスプレイ(ピンディスプレイ)とを連動させ、PCで要約筆記した結果を点字ディスプレイに表示させて、点字が読める盲ろう者の会議参加その他の社会参加に資するためのシステムの実証実験に、点字を読む側として参加し、その使い勝手を検証・評価したものである。
参加した実証実験は、「GLADNET年次大会」(注1)の場で行われた。
その際の報告書の内容は、概ね次のとおりである。

■報告書

盲ろう者向け要約筆記点字表示システムについて
一、新規要約文通知記号について

  1. 現在、要約筆記文の点字表示においては、新規要約文が入れば、ピンディスプレイ右端に、点字の「め」(1・2・3・4・5・6の点)で通知することになっている。しかしこれでは、例えばディスプレイ全体を占めるほどの長文が表示されていて、その最後が「たちば」の「た」などで切れていると、「た」と新規要約文通知の「め」とが続いて表示されるために「ため」と読めてしまうなど、誤読の虞がある。
    そのような誤読を避けるには、新規要約文通知を、点字の「4・5・6の点」など、本文と一緒になって誤読されないような記号を用いるべきである。
  2. 又点字は、左から右へ読むので、ピンディスプレイの左端に注意が集中する。従って、新規要約文通知は、思い切って左端即ち行頭に、例えばその2マスを使って、「4・5・6の点、1・2・3の点」で示すなどしても良いのではないか

二、盲ろう者、点字特有の問題

  1. 要約筆記自体の問題で、点字表示システムの問題ではないかもしれないが、固有名詞 については、完全な点字変換は不可能である。例えば今回、発言者の奥平(おくひら)さんを、点字表示では「おくだいら」と表示していた。このような場合、点字を唯一の表記手段としてきた、盲失聴者(所謂盲ぺースの盲ろう者)では、それを鵜呑みにしてしまう虞がある。詰まり、点字使用の盲ろう者は、漢字文化に馴染みが薄いので、「奥平」に「おくひら」「おくだいら」など多様な読み方があることを想像できずに、質疑応答などで話が噛み合わないなどの問題を生じるかもしれない。現に筆者自身、暫く「おくひら」でなく「おくだいら」と思い込んでいた。
    このことから、盲ろう者向け要約筆記をする際は必ず、固有名詞を初めに仮名表記(言わば振り仮名)するよう、筆記者に言っておく必要がある。
    要するに、自動点訳を過信すべきでないということである。盲ろう者は情報が少ないため(視覚情報=漢字表記=による確認ができない)、一度その点字表記を記憶してしまうと、容易にその訂正が効かないことを理解すべきである。
  2. 既に盲ろう者からの指摘があったようだが、発言者を示す、例えば「司会/」は、指点字では、「/」を「3・6の点」で表しているので、点訳においてそれに対応させられないか検討してはどうか。
    或いは、台本を点訳する場合などには、「司会:」(「:」は点字では「5の点、2の点」)としたりするので、そのように訳せないか。
  3. 指点字では、発言者が早口などで通訳量が多い場合に対処するため、指点字略字(注22)を一部で使用している。指点字略字は、3、4マス以上の単語が2マスに短縮されるものである。
    場合によっては、指点字略字に慣れていて、その方が読み易いと言う人のためにそれへの変換モードも考えてはどうか。そうすれば、限られたピンディスプレイで多量の情報を表示可能になる。勿論、その盲ろう者が略字を知っていることが前提だが、完全表示を標準として、略字表示も選択できるようにすれば良いのではないか。
  4. これも要約筆記自体の問題だが、ろう者と異なり、視覚情報も得られない盲ろう者には、例えば「現在、ビデオ上映中」などの状況説明が必要になる。状況説明文を、指点字では、開きも閉じも「2・3・5・6の点、2・3・5・6の点」れ下がり二つ。(一般には「点役者挿入符」と言う)で括る。仮に要約筆記では、それを例えば{}で示してもらい、これを説明用括弧に当てられるようにしておく必要がある。

■三 情報技術(IT)時代における視覚障害者の実情について、その可能性と問題点に関する原稿執筆

IT「情報技術」革命と言われて僅かここ1、2年のうちに、コンピュータとそのネットワークによる情報技術の革新とその普及が、我々の日常生活にもたらす影響は目覚しい。視覚障害者にとっても、ワープロ、電子メール、インターネット閲覧の他、最近話題の電子投票まで、様々な面で大きな影響がある。
そこで、筆者自身全盲であることからの体験をもとに、視覚障害者(解くに全盲者)にとってのITの可能性と問題点について、その実情をまとめ、それは雑誌に掲載された(注2)。 内容は、概ね次のとおりである。

■原稿内容

PC・インターネット
視障者の二大障壁として挙げられるのが、移動と情報、特に文字情報の障害である。情報障害は、視障者の社会参加の重大な阻害要因になってきた。PCは、これらの問題の幾つかについて、解決に向け大きく前進させた。
一、視覚障害者は、専用の特別なPCでなく、市販されているPCを、それとピンディスプレイ、点字プリンタなどの周辺機器や、画面読み上げソフトなどを組み合わせて使う。
しかし、PC利用に欠かせない画面読み上げソフトや、特に視覚障害者用に開発された各種ソフト、ピンディスプレイや点字プリンタなどは、市場が狭いせいもあり、一般に高価である。そこで、国でも二〇〇一(平成十三)年度よりIT推進施策の一環として、視覚障害者等が情報機器を使用するのに用いる周辺機器や専用ソフトを購入する際の費用を一部助成する障害者情報バリアフリー化支援事業を始めた(注3)。なお、同様の事業などを国に先行して実施している自治体もある(注4)。
二、視覚障害者は、読み上げソフトにより音声で確認しながら、点訳ソフトで点字文書が書ける他、代筆者に頼らずに墨字文書が書けるようになった。
その結果、例えば電子メールは、視覚障害者・晴眼者間の文字の壁を無くした。また、視覚障害者の一つの夢だった、点訳に不向きな百科事典や各種辞書類を引くことも、検索ソフトを用いて電子ブックやCD-ROMから自由にできるようになった。さらに、OCRと連動させて、自在にとはいかないが、墨字本自体を読めるようにもなった。
しかし画面読み上げソフトも、必ずしも万能ではない。これまで広く使われてきたソフトは、画面情報の全部を完全に読み上げるわけではない。最近は、より詳細に画面情報を読み上げるものも登場しつつあるが、これまでのものに比べて、かなり高価である。また、読み上げ対象は、テキストデータであり、たとえ文字でも画像データによるものは読み上げできない。そして何より、アプリケーション・ソフトの多くが画面読み上げソフトに対応しているわけではない(注5)。しかも読み上げソフトは、基本ソフトのバージョンアップに必ずしも対応し切れてもいない。
三、出力では、墨字プリンタで墨字文書を印刷し、点字プリンタで点字文書が打ち出せる。
また、それまで手作業だった点訳や音訳も、PCで編集が容易になり、飛躍的に進んだ。特にDAISY(注6)は、これまでのカセットテープ図書では難しかった、任意のタイトルやぺージからの頭出しが容易になる他、文字や音声データと同期させて同時に、PC画面で文字を読み、スピーカーから音声で聴き、ピンディスプレイから点字で読むということもできるものである。
以上の結果、これまで墨字本一冊に相当する何十冊もの点字本が、データをフロッピーディスクやCDに保存することで、持ち運びや保管に便利で、複製も容易になった。
四、音声ブラウザにより、インターネットも利用できる結果、これまで読めなかった新聞記事が読めたり、点訳(注7)や音声のデータを取り込んで本や雑誌が読めたり(注8)できるようになった。最近では電子政府の総合窓口から法令データも得られるようになった(注9)。
しかし、ホームぺージは、必ずしも視覚障害者にアクセシブルな(利用しやすい)ものになっていない。例えば画像データや、複雑な表のテーブル構造には、画面読み上げソフトで対応できない。この場合、代替テキストの用意や、表の概要を付けるなどの配慮が必要である。
なお、障害者等のウェブのアクセシビリティについては、「インターネットにおけるアクセシブルなウェブコンテンツの作成方法に関する指針」がある(注10)。
インターネットにおける情報格差の一例を挙げておく。
現在ネット上で、一週間分の官報が閲覧できる(注11)。しかし、取り扱いにくいPDF形式で、テキストデータが取り出せない設定なので、視覚障害者が内容を知ることは、ほとんどできない。その理由は、官報紙の販売への悪影響を恐れて、セキュリティを高くしたためのようである(注12)。とは言え、官報には法令公布など国民への情報提供機能があり、発行元の印刷局が国の機関であること、身体的条件によるIT利用の機会等の格差の是正について定めるIT基本法第八条(注13)の主旨に反することなどから見て、現状には大いに疑問がある(注14)。
テレビ
昔からの最も一般的なITと言えるテレビは、多くの全盲者も利用する。
最近では、副音声による解説番組も、幾つかある。しかし、NHKの二〇〇〇(平成十二)年度実績で、解説番組の割合は、最も多い教育テレビで五・二%に留まる(注15)。
また、視覚障害者がテレビで困ることは、他言語の場面で音声邦訳が付かないことである。近時、海外報道の他、ドラマなど多方面に他言語の場面が増えており、音声訳がないと番組内容が解らなくなるので、その要望は強い。副音声で付けてほしいという声もある。
解説や音声訳についてNHKに尋ねると、解説番組が難しい理由として、副音声チャンネルがステレオや二カ国語放送で埋まるという技術面を挙げた。副音声領域の利用につきステレオと解説のどちらを優先させるかの構図のようである。また、音声訳については、それを付けるか否かは、番組ごとの判断だが、発言が長めなら付け、短めなら付けないというのが、大方の傾向のようである。
最近、その伝送量の多さを生かした多チャンネル化などにより、番組を観ながらデータを取り出せる便利さや、番組の双方向化などを売り物に、BSデジタル放送が始まった。ただ残念ながら、今のところ、色チャンネルなど視覚障害者には操作できないことをNHKも認めている。しかしこのデジタル放送では、多チャンネル化を生かし、ステレオと解説の同時放送が、一部番組で既に実現していて、前述のステレオと解説の競合問題は解消されているようである。
さらに現在、デジタル放送の特性を生かし、データの点字出力や字幕の音声化、弱視者に便利な字幕の調整などの研究開発や、解説を選択肢として標準装備するなどの検討がなされているとのことである。
自動現金預け払い機(ATM)、電子自治体など
一、ATMも、ITの一つと言えよう。しかし、金融機関設置の大部分はタッチパネル式で、全盲者には操作不可能である。弱視者も画面に顔を近づけて操作するため誤作動したり、視野狭窄で全画面が見えなかったりと、やはり不便のようである。二〇〇〇(平成十二)年二月四日付読売新聞によれば、視覚障害者が使えるボタンとの併用式は、割高が理由で、都銀の設置数の〇・五%の一六七台しかない。ただ、最近設置された視覚障害者対応ATMには、受話器内側にテンキーを配置したハンドセット式のような利便が図られているものもある(注16)。 この点、郵便局に約二万四千台設置された、ボタン・音声案内との併用式は、受話器からの音声やピンディスプレイで残高も確認でき、概ね「バリアフリー」と言える。
近時は、銀行より身近なコンビニ銀行が開業し、各店にATMが設置されつつある。ハンドセット式の視覚障害者対応がハード面で用意されているが、まだソフトは準備中とのことで、展開力など影響は大きく、早期の稼動が望まれる(注17)。
二、因みに、JR東日本のプッシュホン形テンキー・タッチパネル併用式の券売機は、バリアフリーの一例と言える。
三、また、「電子自治体」の名の下、自治体によるITを利用した住民サービスが始まっている。旧大宮市(現さいたま市)の例を紹介する。
旧大宮市では、住民票の写しや印鑑証明書の自動交付機を数台設置している。あらかじめ登録したカードを機械に読み取らせ、暗証番号を入れ、タッチパネルで希望の項目を選び、手数料を入金すると発行される。ハンドセット式による音声案内サービスも行われているとのことである(注18)。
他方、やはりタッチパネル式だけで、視覚障害者への配慮に欠ける端末を設置している自治体も少なくないようである。電子自治体は、役所に行かなくても最寄の設置場所で利用できるという意味で、移動に制約をもつ視覚障害者には最適な利便があるのに、これでは肝心な視覚障害者にその利便が享受できない。
携帯電話など
携帯電話やPHSなどいわゆる携帯情報端末も、今や視覚障害者に確実に浸透しているITである。ここでは、あるアンケート結果(注19)から、現に利用している視覚障害者の声を紹介しておく。
利点としては、次のようなものがある。すなわち、まず、待ち合わせに便利で、待ち合わせ場所に迷ったときや遅れるときの連絡に便利なのは一般的だが、着信音で互いの位置を確認し合うという、視覚障害者ならではの使い方もある。また、公衆電話を探す苦労が無くなった。全盲者などが急に連絡を取りたくても、不案内の場所で探すのは一苦労だからである。家族などにいつでも連絡でき安心とか、どこででもタクシーを呼べるようになったなど、副次的な利点もある。その一方で、携帯電話の普及で公衆電話が減り、持たない視覚障害者にはかえって不便になったという面もある。
課題としては次のようなものがある。すなわち、電話帳への番号登録などの各種設定の際や、着信通知、電池残量など画面が見えないか見えにくいため、せっかく多機能でも使えなかったりする不便がある。また、画面読み上げなどがないため、携帯電話などからのメール交換やインターネット接続などのサービスが使えない。説明書が読めず、点訳があっても一部機能に限られている。
そこで、番号入力、各種設定などの際の確認、ネット接続やメール機能の音声化等使い勝手の改善、説明書の点訳やテキストデータ化などが望まれている。ただし、技術革新が目覚ましく、機種や電話会社によっては既に改善されている点もあるかもしれないことを付言しておく。
最後に
以上、ざっと視覚障害者(特に全盲者)のIT事情を報告してきた。これらの他に、電子マネー、電子投票(下記*参照)、音声誘導システムその他、今後本格導入が予想され、日常生活・権利行使の面で重要になるものを書き残した分野は多い。
PCや携帯電話などITは、視覚障害者に大きな利便と可能性をもたらしたが、どうしても晴眼者を標準とする開発が主流になり、視覚障害者にとっての障壁撤廃が後追い的になっていると感じるのは、私だけだろうか。書き残した電子マネーなどに用いるものも含めて、操作端末やホームぺージでも、視覚障害者が使えないか、きわめて使いにくいタッチパネル式やPDFファイルなどによるシステム構築が先行し、後からの視覚障害者の抗議や要望で、慌てて音声案内を用意したり、テキストデータ提供をしたりする場合が、あまりに多いのである。
しかし、新たな技術の開発やシステムの構築の際、初めから視覚障害者などの声を取り入れていたら、どれほど労力や費用の節減が図れただろう。何よりも、視覚情報に頼らない設計は、よく挙げられる、暗い場所では晴眼者にも便利だという例もあるし、今後の高齢社会には、受益者の拡大など、より有用なものではないだろうか。多様な需要の全ての人々が使える設計(ユニバーサル・デザイン(注20)は、視覚障害者のみならず、社会全体にとっても望ましいものである。これを踏まえたITの進歩により、障害者、非障害者の別なく、豊かさを享受できる真の二十一世紀社会の実現を期待したい。

 * 追記:その後、地方公共団体の議会の議員及び長の選挙に係る電磁的記録式投票機を用いて行う投票方法等の特例に関する法律(平成十三年十二月七日法律第百四十七号)が成立し、電子投票が現実化した。しかし同法では、点字投票に関する公職選挙法47条は適用が除外され(3条)、電子投票機の具備条件に障害者等への配慮(音声表示等)は特に明記されず(4条)、むしろ身体の故障等により電子投票できない選挙人の代理投票や(7条1項)、電子投票の困難な選挙人の投票機操作の補助(3項)が規定されているため、電子投票の利便性から視覚障害者が取り残されITの進展により期待される実質的平等が却って阻害される懸念さえある。
即ち、電子投票が障害の有無に拘わらず利用可能ならば、これまで点字投票者が不安視していた投票の秘密侵害、つまり該当者の少数ゆえの特定可能性への危惧の懸念は、電子投票により払拭されるが、点字投票が除かれて、従来どおりの点字投票がなされるとすると、点字投票の特定可能性が高まり、投票の秘密侵害の危険性が却って増しかねない。又、普通の文字(墨字)の読み書きができない視覚障害者のうち、点字使用者は少数なので、多くの、中途失明で点字が読めないような人は、電子投票を選ぶことになろうが、特に障害者への配慮の明記がないため音声表示・確認などできない投票機ゆえに、或いは、墨字が読み書きできる弱視者でも画面の拡大等の配慮がなければ、投票機の表示が見えにくい等のゆえに、自書投票を諦めて代理投票や投票機操作補助を申し立てざるを得ないことも懸念される。更に、弱視者が自ら投票するにしても、タッチパネル式投票機を捜査する際、顔を画面に近付けて見ざるを得ないので、誤動作による失敗投票の増加の懸念もある。
そして、電子投票機の指定が各市町村選挙管理委員会の権限とされているが(6条)、障害者への配慮が投票機の具備条件に明記されていない結果、その配慮がある機種、そうでない機種がそれぞれ導入され、地域格差の生ずることも懸念される。電子投票が普及し、国政選挙にまで広げられるとき、果たしてどうなるのか。
これは、本来、ITの発展が障害者の自立を助け、社会参加の実現に資するものであるべきはずなのに、却って情報格差をもたらしかねない一例と言える。即ち、音声表示や画面拡大等の諸配慮の下に、住民生活に密接な地方公共団体における選挙で同一の電子投票制度が利用可能になることにより実現されるはずの、基本的人権としての参政権の充実とその実質的平等化が、電子投票の導入によって、却って損なわれかねない危険性を孕んでいるのである。

■四 「厚生科学研究費補助金(障害保健福祉総合研究事業)盲ろう者に対する障害者施策のあり方に関する研究」の一環としてのアメリカ障害者法(ADA)の調査

標記調査のため、"social work after the americans with disabilities act"(注21の共同翻訳作業に参加し、"chapter_3 technical aspects of title 2"の翻訳を担当した。)現在、粗訳の段階であり、概ね次のとおりである。

■粗訳

第3章 第2編の技術的な側面
ADAの第2編は、州又は地方自治体によって提供され、又は利用できるようになった全ての役務、計画、及び活動において、障害をもつ人に対する差別を禁止する。公立単科大学及び総合大学は、第2編の要件に該当する。第1章において指摘したように、ADAの第2編は、第504条の差別をしない要件を、全ての州及び地方自治体の活動まで、それらが連邦のいかなる援助を受けるかどうかに拘わらず、拡大する(ヴェレス及びシムズ(1995))。
第2編には、2つの副題、A及びBがある。副題Aは、公共交通機関以外の州及び地方自治体の全ての活動に適用がある。副題Bは、公的に資金を供給された輸送(役務)の提供を扱う。この章の焦点は、第2編の副題Aに関してである。
第2編の適用がある活動
第2編は、あらゆる形態の州又は地方自治体の活動又は計画に適用がある。
雇用においては、州及び地方自治体は、それらが使用する人々の数に関係なく、障害をもつ就職希望者及び従業員を差別してはならない(ヴェレス及びシムズ(1995))。 第2編は、以下の形態の計画及び活動に適用がある:
(1)電話接触、事務所訪問者及び会見による市民とのコミュニケーションを含めて、一般公衆通信を含む活動及び計画;並びに、(2)州又は地方自治体に役務又は受益を提供する計画を含む、州又は地方自治体により受益者及び参加者のため直接管理された活動及び計画。
第2編の下で、保護されるためには、人は、「障害をもつという資格のある個人」でなければならない。
障害をもつ適格の個人は、規則、施策、及び実施への合理的修正の有無に拘わらず、州又は地方自治体によって提供される役務の需給又は計画若しくは活動への参加のために、必須の適格性要件に適合する人として定義される(採用環境センター(1992))。
第2編の副題Aには、公的援助を受けている社会福祉機関にとって重大な多くの基本的要件がある。
これらは又、州又は地方自治体の全ての活動及び計画にも適用される。
更に、もし州又は地方自治体が私的団体との契約に入れば、、契約の下で行われた活動が第2編に応じたものだということが保障されなければならない。第1章において議論、したようにあとに続くのは第2編の下での基本的要件である。
イラストは、各要件の下で提供される(グレート・プレーンズ障害及び職業技術協力センター(1995))。

  1. 統合の基板 統合は、第2編の基本的構成要素である。充分に障害をもつ人々を計画及び役務提供に組み込むことができない州又は地方自治体は、第2編に違背する。
    イラスト: 社会福祉の公立学校は、個人を、単に個人が耳が聞こえないというだけで、公衆に公開されている討論会に受け入れることを拒否することができない。
    もし耳が聞こえない人がその便宜提供を要請すれば、実際には、通訳が、多分学校によって用意されなければならないだろう。
    イラスト: もし申し込み、がエレべーターなしの建物の二階事務所で提出されなければならないなら、車椅子を使う個人には、その企画に参加するための機会が均等ではない。なぜなら、彼又は彼女が事務所に着くことができないからである。
  2. 分離企画への参加 第2編の下では、州及び地方自治体は、障害をもつ人々のために特に立案された企画を提供することができる;
    しかし、彼らは、そのような企画に参加することを強制されてはならない。
    イラスト: 博物館は一般に、訪問客が展示にさわるのを許さない。なぜなら、手を触れることで、対象に損害を与える可能性があるからである。
    公立の博物館は、視覚障害をもつ個人に対して、彼らが限られた基準で特定の対象に触れて取り扱うのを許される特別な見学会を提供してもよい。
    イラスト: 市のレクリエーション部門は、車椅子を使う個人のために別のバスケットボール・リーグを後援してもよい。
    イラスト: 学校組織は、車椅子を使う子供が、他の子供が利用できるのと同じように便利な立地で学校に通うことができるように、その学校で車椅子利用を準備しなければならない。
    又、「磁石」学校、即ち異なる教科課程又は指導技術を提供している学校が、利用できる所でも、障害をもつ学生に提供される選択の範囲は、他の学生に提供されるそれに相当しなければならない。
  3. 便宜提供を拒否する権利 彼又は彼女がそう選択をするなら、障害をもつ人は便宜提供を受け入れる必要はない ― 。
    イラスト: 博物館の、視覚障害をもつ人々のための特別な企画は、この障害をもつ個人によって拒否され得る。
    彼らがそう選択をするなら、彼らは標準の博物館見学をすることができる。
  4. 定期的な企画への便宜提供 障害をもつ人が特別な企画に参加しないことを決めたなら、州又は地方自治体は、その個人が定期的な企画から利益を得るための便宜提供を準備するように義務付けられる。
    イラスト: 博物館が手話通訳をその定期的に予定されている見学会のうちの1つのために用意するなら、手話付き見学会の利用可能性は、別の時間に見学をしたい耳の聞こえない人のために通訳を用意することが過度の負担であるかどうかの決定における要因であってもよい。
    しかし、手話付き見学会の利用可能性は、通訳を別の見学のために用意する博物館の義務又は、手話を使用しない聴覚障害をもつ個人のために別の補助的な援助、例えば補聴器を提供する博物館の義務に影響を及ぼさない。
  5. 障害をもつ人々を振るい落とす適格性基準 州又は地方自治体が、障害をもつ人々を、振るい落とし又は振るい落とす傾向がある適格性基準又は標準を適用することは、差別である。
    イラスト: 郡のレクリエーション企画の指導者が、、車椅子を使う人々が参加しても十分上手に泳ぐことが多分できないだろうと信じて、車椅子を使う人々を郡が後援するスキューバダイビング・クラスに参加させないとする。
    このような性質の不必要な包括的な除外は、第2編に違背する。
    イラスト: 地域大学(コミュニティ・カレッジ)は、特定の障害をもつ学生に、付き添い人にクラスまで伴われることを、そのような人が伴われないでクラスに出席するのを好むときでも、要求するとする。
    大学は又、障害をもつ人たちに広範囲な治療暦を提供することを、そのような履歴が他の学生から必須でなくても、要求するとする。
    大学が何か止むに止まれぬ理由でこれらの方針を採用することが必要なことを証明することができない限り、その方針は第2編により許されない。
  6. 方針の修正 方針及び実施での合理的修正、並びに、そのような修正が障害に基づく差別を避けるために必要なときの手続が、第2編の下で必要である。 イラスト: 市の地域指定条例は、中心商業地域では、(歩道の)宴席から12フィートのセットバックを要求する。
    薬局の正面入り口に傾斜路を設置するために、所有者は3フィートセットバックを削らなければならない。
    地域指定における変更を許可することは、町の施策の合理的修正であるかもしれない。
    イラスト: 郡の総合防災計画は非常食、避難所、及び、彼らの適格性を示すことができる個人への現金交付を用意する。
    申請手続は、しかしながら、とても長ったらしくて複雑である。
    精神障害をもつ多くの個人が需給を申し込むとき、彼らは、うまく申請を完了することができない。
    その結果、彼らは、彼らが資格を与えられている需給を効果的には受けられない。
    この場合、郡には、別の方法で適格な個人が必要とされた需給を与えられることを確実にするための申請手続に合理的修正をする義務がある。
    防災計画への修正は、申請手続を単純化し、又は、手続を完了するための個々に区別された援助を、精神障害をもつ申込者に提供することを含んでもよい。
    イラスト: 州の援助を受けている学校の社会福祉学生が、環境的な疾病にかかっている。
    彼女は、学校が彼女と接触する他の学生による香水又は他の香料入りの製品の使用を禁止する方針を採用することを懇請するとする。
    そのような要求は、多分学校方針の合理的修正でないだろう。
  7. 関連 州又は地方自治体が、個人又は団体が関係又は関連を持つもう一人の個人の既知の障害を理由にして、その個人又は団体への等しい役務提供、計画又は活動を除外するか許さないことは、第2編の下では差別である。
    イラスト: 郡レクリエーション・センターは、兄弟がエイズにかかっている子供に対し、サマーキャンプ企画への参加を拒絶してはならない。
    イラスト: 地方自治体は、劇場会社が学校の講堂を使うのを許すことを、その会社がエイズ・ホスピスで最近上演したという理由で、拒否することができないだろう。
    イラスト: 州の援助を受けている社会福祉の学校はエドを、彼がエイズにかかっていることを理由に、そのMSW学習計画に入れることを拒否するとする。
    学校は、彼の友人ダンを入れることをも拒否する。そして、彼にはエイズがない。
    学校は、エドとの関わりを理由にダンを差別している。学校は又、エドをも差別している。なぜなら、彼が彼の障害のエイズを理由に、入学を拒否されたからである。
  8. 課徴金 州又は地方自治体は、障害をもつ人又は障害をもつ人たちの団体に課徴金を賦課して、ADAに対応する処置を講じる費用を補うことができない。
    イラスト: 公的援助を受けている社会福祉の学校は、耳の聞こえない学生に対する通訳の提供を準備し、建築上の障壁の限られた数を削除し、並びに、利用しにくい講座及び活動をより利用しやすい条件へ再配置する。
    学校は、課徴金を、障害をもつ個々の学生(例えば通訳の提供から利益を得た耳の聞こえない学生)、又は障害をもつ学生(例えば形態障壁除去で利益を得た移動障害をもつ学生)の団体どちらにも賦課することができない。
    しかしながら、その授業又は全ての学生に対する料金を調節してもよい。
  9. 第2編の下で免許及び認証を与えること 州又は地方自治体は、障害をもつ適格の個人を、免許及び認証を与えるにおいて、障害に基づいて差別してはならない。
    イラスト: 州は、デイケア設備-免許法を監督する。
    州の方針が、デイケア・センター職員に身体的に移動可能なことを要求するとする。
    この方針は、可動性に関連した障害をもつ先生を差別し、このことは第2編に違背する。
  10. 第2編の下での、報復からの保護 苦情を提出する人は、報復といやがらせから保護される。
    イラスト:社会福祉の修士課程の学生が、社会福祉の州立学校の学部長に対して、差別の告発を提出するとする。
    学部長が、学生にその苦情を理由に学習計画から退かせるなら、学部長は、違法に学生に報復し、第2編に違背したことになる。
    いらすと: 州の援助を受けている社会福祉学習計画の社会福祉の教授は、学生の成績点を、彼女が社会福祉の学校に対する第2編の苦情処理手続で証言したことを理由に下げるとする。
    教授は、違法に学生に報復したことになる。
    第2編に関する質問と回答 以下の質問と回答は、専門家であるソーシャル・ワーカーが第2編の技術的な側面をよりよく理解することを助けるだろう。その情報は、EEOCとアメリカ司法省から出版される資料に基づく(雇用機会均等委員会とアメリカ司法省(1992))。
    問い: 自己評価とは何か?
    答え: 自己評価とは、その施策と実施の公共団体による評価である。
    自己評価は、第2編の要件と一致していないその施策及びその実施を割り出して正すことである。
    50人以上の職員を雇用する公共団体は、3年の間、その自己評価をしつづけなければならない。
    他の公共団体は、その自己評価をし続けることを要求されないが、、そうするのを奨励される。なぜなら、これらの文書が第2編の要求に応ずる公共団体の誠実な努力の証拠となるからである。
    問い: 第2編は、新築及び改築するのに何を要求しているか?
    答え: 第2編は、州又は地方自治体によって造られる全ての新しい建物が利用しやすい(アクセシブルな)ことを要求する。
    それに加えて、州又は地方自治体が建物の改築に着手するとき、改築された部分が利用しやすいものでなければならない。
    問い: どのようにして、州又は地方自治体は、新しい建物が利用しやすいものであることを認識するか?
    答え: 州又は地方自治体は、2つの利用の容易性(アクセシビリティ)標準のうちの1つに従っていれば、新築及び変更についてADAに従っていることになる。
    選択できるのは、建物及び設備のための統一連邦利用容易性指針であるが、それは、ADAの表題Mの下で、公共施設及び商用の設備のために用いられなければならない標準である。
    州又は地方自治体がADA利用容易性指針を選ぶならば、それはエレべーター免除(これは、3階以下未満、又は、1階当り3,000平方フィート未満の特定の私的建物がエレべーターなしで造られるのを認める ― )を、受ける資格がなくなる。
    問い: どんな要件が、公共団体の非常時の電話サービス(例えば911)に適用されるか?
    答え: 非常事態電話サービスを提供する州及び地方の機関は、電話通信のためTDD又はコンピュータ・モデムに頼る個人に「直接接続」を提供しなければならない。 第三者を介しての又は中継サービスを介しての電話接続は、直接の接続のための要件を満たさない。 公共団体が911の電話サービスを提供する所では、唯一の手段として別の7桁電話線を、非音声利用者による911サービスの接続の代わりに用いてはならない。 公共団体は、しかしながら、直接の接続をその911の線へのそのような呼び出しのために用意することに加えて、別の7桁線を非音声呼び出し者の排他的利用のために用意してもよい。
    問い: 第2編は、その電話非常事態サービス組織が非音声通信のために使われる全ての形式と互換性を持つことを要求するか?
    答え: 否、電話非常事態サービスは、ボー形式と互換性を持たなければならないだけである。
    ホー形式は、文字を音声信号に変換して、従来の電話線の上にそれらを送信し、それからディスプレイ・モニターで読まれるテキストへ変換して戻す。 もう一つの形式での通信が、所与の電話非常事態環境において信頼できて互換性を持つ方法で動作できるということが証明できるまで、公共団体は、ボー以外の形式を使っているコンピュータ・モデムへの直接の接続を提供することを要求されない。
    問い: どのようにして、州及び地方自治体に向けた第2編の要件は、実施されるか?
    答え: 私的な個人は、第2編の下で彼らの権利を行使するために訴えてもよく、又、合理的な弁護士の料金を含む1973年のリハビリテーション法の第504条の下で提供されるのと同じ救済を受けてもよい。
    個人は、また、アメリカ司法省及び教育省を含む8つの指定の連邦機関に不服申立ててをしてもよい。
    ADAチェックリスト 以下のチェックリストは、第2編の下で許される活動の種類に関する情報を専門家であるソーシャル・ワーカーに提供する。
    否で答えられる叙述は、機関にその実行を修正するように警告しなければならない。

1. 施設又はその契約者により障害に基づいて差別する標準、管理の方法又は基準は、使われない。
はい、いいえ
2. 障害をもつ人との関連又は関係は、商品、役務、特権、利点、便宜提供又は機会の否定の根拠ではない。
はい、いいえ
3. 役務、特権、利点又は便宜の提供のために、必要でない適格性基準は、使われない。
はい、いいえ
4. 基準-他の人に適用されない-は、障害をもつ個人の参加を制限するのに役立たない。
はい、いいえ
5. 容易になし遂げられる方法は建築上のバリアを削除するために、使われる。
はい、いいえ
6. 容易になし遂げられる方法は、意思疎通の障壁を除去するために使われる。
はい、いいえ
7. 障壁が容易に設備から除去できないとき、代わりの手段が使用される。
はい、いいえ
8. 大規模な構造上の改造がなされるとき、改築された移動の経路、洗面所、電話、そして噴水式水飲み器は、障害をもつ人にとって利用しやすくて有用である。
はい、いいえ
9. 1993年1月26日以後造られる建物は、障害をもつ人には容易に利用しやすくて有用である。
はい、いいえ
10. 1990年8月26日以後、7人以上の乗客(運転手を含むこと)を運ぶ、施設により購入された乗り物は、平坦な入り口又は保護装置付きの車椅子昇降機を用意する。
はい、いいえ。

 公的便宜提供 公的便宜提供は、第3編の適用がある。
第3編の提供の多くは、第2編のそれらに似ている;
しかし、それらは私的団体に適用がある。
特定の種類の課程と試験を提供している私的に経営されている団体、私的に経営されている交通機関と商用の設備は、第3編が適用される。
社会福祉学習計画を提供している私立大学も、第3編の適用がある。
留意する必要があるのは、連邦の資金提供を受けている私立大学も又、1973年リハビリテーション法の第504条に従わなければならないということである。。
第1章で言及したように、第504条の要件はADAの第2編のそれとほとんど同一である。
換言すれば、社会福祉学習計画を提供している私立大学には、障害をもつ学生の取り扱いに関して、第504条を理由に公立大学になされるのとほとんど同一の要求がなされる。
第3編の要求とは、私的団体が、障害をもつ人々の除外、分離及び不平等な取り扱いを禁止する基本的に差別をしないという要求に従わなければならないことを意味する。
第3編の下で、私的団体は、新築及び改築の建物のための建築上の基準に従わなければならない;
それらの団体は、その方針、実施及び手続に合理的修正をして、障害をもつ人々がそれらの提供する計画及び役務提供に参加するのを確実にするように援助しなければならない(雇用の機会均等委員会とアメリカ司法省(1992))。
第3編では、専門職、若しくは取引に関連した申請に関連がある課程及び試験、免許、認証、又は証明書発行が、障害をもつ人々に利用しやすい場所と方法で提供されなければならず、又は、代わりの利用しやすい装置が提供されなければならない。
教育においては、このことは、私的機関による学生の審査が、障害をもつ試験受験者のための便宜提供を適切にしなければならないことを意味する(雇用の機会均等委員会とアメリカ司法省(1992))。
第3編違反に対する不服申立ては、司法省に起こされてもよい。
特定の状況では、事案は、この省により主催される調停計画に委託されてもよい。
司法省は、第3編違反の差別の様式又は慣行がある場合、又は、差別の行為が一般的な公共の重要な問題を引き起こす場合には、訴えることが認められる。
第3編は、個人の訴訟を通しても又、実施されてもよい。
「訴える権利」の証書を受け取る目的で司法省に不服申立てを起こすことは、必要でない。
「訴える権利」の証書は、原告が連邦裁判所に訴えるのを認める(雇用の機会均等委員会とアメリカ司法省(1992)。
この章が第2編に焦点を当てている間は、第2編及び第3編が類似した要件を持つ点に注意することが重要である。
第2編は、しかしながら、公共団体を適用範囲とし、他方、第3編が私的団体を適用範囲とする。
専門家であるソーシャル・ワーカーは、第2編及び第3編の双方の提供に精通していなければならない。なぜなら、それらが、公共の及び民間の部門において障害をもつ人々の取り扱いに関する要求を命じるからである
ソーシャル・ワーカーは、これらの分野の両方で働いて役務を提供する。
さらに、両方の編の下の提供についての知識は、ソーシャル・ワーカーが障害をもつ人々のためのより効果的な擁護者になるのを援助する。

結び この章は、第2編の技術的な要件に触れている。ADAの他の編のように、{整然とADAに関連した全ての問題を適用範囲とする規則及び手続を確立するのは難しい。
せいぜい、この章は第2編の一般的な技術的案内を提供する。第2編と第3編の関係も又触れている。
この章において注意したように、第2編は、州又は地方自治体によって提供され、又は利用できるようになった役務、計画及び活動の全てにおいて障害をもつ人に対する差別を禁止する。
州及び地方自治体は、ADAの前に1973年のリハビリテーション法の第504条の下で障害をもつ人を差別することを禁じられた ― 。
第504条は、連邦の資金提供の一定額を受けるどんな計画及び活動においても障害に基づいた差別を禁止する。
第504条は、連邦の資金提供を受けている私立大学の一部である社会福祉学習計画に適用がある。
第2編と第504条の要件は、類似している;
したがって、公立及び私立大学における社会福祉学習計画には、ほとんど障害をもつ学生の取り扱いのための同一な要件がある。
(参考文献略=役者)

(注)
注1 「GLADNETとは、ILOと提携して活動しているglobal applied disability research and information network on trainingを略したものです。障害者の研修、雇用、経済的な統合に関する知識と情報をwebにて情報を提供しています。
( http://www.gladnet.org/) 期間:2001年5月16日(水)~18日(金)
(中略)
場所:京都国際交流会館(京都市左京区)
「GLADNET年次総会」 イべントホール(後略)」(「開催のお知らせ」より)
私自身は、5月16、17の両日参加した。
注2 原稿は、季刊『福祉労働』第92号の「特集・情報のバリアフリー」に「視覚障害者のIT時代」と題して掲載された(同号48~56ぺージ)。
注3 障害者情報バリアフリー化支援事業の主旨は、障害者が、非障害者と同様に情報機器を使用するには、通常の機器のほかに周辺機器やソフト等を追加する必要があることから、これらの機器等の購入費用の一部助成により、障害者の情報バリアフリー化を推進し、ひいては情報機器を活用した障害者の就労を促進するというもので、都道府県・指定都市において、重度視覚障害者等がPC等を使用するに当たり、その周辺機器等の購入費用を一部助成する。「高齢者・障害者の情報通信利用を促進する非営利活動の支援等に関する研究会報告書(案)」
http://www.yusei.go.jp/policyreports/chousa/barrier-free/0105_3.html
視覚障害者からは、一式そろえるのに助成範囲が不十分だとして、助成範囲の拡大や、PCの必要度の高さに配慮して全額補助もある日常生活用具の指定を求める声もある。
注4 「視覚障害者用PC・ソフト・周辺機器デモンストレーション当日配布資料」(PC等の公的助成を求める視覚障害者学習交流集会準備事務局)
http://www.normanet.ne.jp/~zensi/pcdemo-siryou.html
注5 参考,視覚障害者にも利用可能と思われるwindowsソフトウェア一覧
http://www.people.or.jp/~sugita/soft.html
注6 DAISY(デイジー、デジタル録音図書)については、
http://www.dinf.ne.jp/doc/daisy/
注7 ないーぶネットは、ボランティアによる点訳データを集中管理し、登録利用者がデータを自由にダウンロードできるサイトである。
http://www.naiiv.gr.jp/
注8 本や雑誌の録音データをサイトから直接に、あるいはダウンロードして聴ける。例えば「声の花束」サービス
http://www.koetaba.net/
注9 法令データ提供システム
http://law.e-gov.go.jp/cgi-bin/idxsearch.cgi
注10 『「情報バリアフリー」環境の整備の在り方に関する研究会報告書』
http://www.joho.soumu.go.jp/policyreports/japanese/group/tsusin/90531x51.html
注11 財務省印刷局
http://kanpou.pb-mof.go.jp/
注12 印刷局官報課の話。併せて、いずれネット版官報が有料化されれば、視覚障害者の利用可能性(アクセシビリティ)にも配慮するが、当面いつからかは明言できないという趣旨の発言もあった。それまで、何ゆえ視覚障害者は、ネット版官報へのアクセシビリティが認められないのか、はなはだ理解に苦しむ。
注13 追記:高度情報通信ネットワーク社会形成基本法(平成十二年十二月六日法律第百四十四号)第八条 高度情報通信ネットワーク社会の形成に当たっては、地理的な制約、年齢、身体的な条件その他の要因に基づく情報通信技術の利用の機会又は活用のための能力における格差が、高度情報通信ネットワーク社会の円滑かつ一体的な形成を著しく阻害するおそれがあることにかんがみ、その是正が積極的に図られなければならない。
注14 『第五回IT戦略会議・IT戦略本部合同会議 議事要旨』(平成十二年十一月六日)
http://www.kantei.go.jp/jp/it/goudoukaigi/dai5/5gijiyousi.html
にある情報バリアフリーの推進についての内閣審議官からの報告には、「……官報の点が指摘されているが、これについても十三年度中に視覚障害者に配慮した官報のインターネット配信を予定する」とある。しかし、『高度情報通信ネットワーク社会推進戦略本部第一回IT戦略本部議事録』(平成十三年一月二十二日)http://www.kantei.go.jp/jp/it/network/dai1/1gijiroku.html
にある本省庁ホームぺージのバリアフリーの取組状況等についての事務局からの説明では、「昨年第五回IT戦略会議・IT戦略本部合同会議において、政府における情報バリアフリーの取り組みとして、少なくとも本省庁のホームぺージについては視覚障害者の音声変換ソフト利用への対応を図ることとされたところである。全省庁が措置を完了していることを御報告する」とあって、官報の話が消えており、誠に不可思議である。
注15 NHK・経営広報の話。以下、同じ。
注16 【視覚障害者ATMフォーラムver7】佐々木克祐 http://www2.justnet.ne.jp/~kattchanofatm.post/
注17 『ユニバーサロン アクション』長谷川貞夫「アイワイバンク銀行社長からの回答」http://www.mainichi.co.jp/universalon/action/200105/06.html
注18 古川愛子『バリアフリーガイドブック二〇〇一年版』日経事業出版社、九七頁。
注19 宇根正美『「資格障害者の携帯電話利用」に関するアンケートのまとめから』http://www.kikiweb.net/enquete/khetai/result.html
注20 注10報告書参照。
注21 author: john t. pardeck publisher: auburn house: westport, conneticut year: 1998
注22 指点字略字については、
『ゆびで聴く-盲ろう青年福島智君の記録』小島純郎・塩谷治編著、(松籟社、昭和63年5月20日初版)
に参考資料としてある。

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