はじめに

障害にかかわるすべての人がITの活用を期待しているが、情報障害者の地域における社会参加において具体的に効果を上げている事例を知る機会は少ない。また、国情が違う外国の成功事例を我が国の参考にするためには、関係者が極めて具体的に、何をどうすればもっと良くなるかというレベルでの意見交換と合意形成が必要である。

先進技術を世界に誇り、国連障害者権利条約の批准を目指す日本としては、障害者の自立と社会参加の要である情報コミュニケーションにおけるバリアフリーも世界に誇れる水準で実現することを目指すのは当然と言えよう。

そこで、ニーズを知り、外国の先進的な事例の意義も理解できるように工夫して、障害当事者団体、支援者グループ、行政担当者、および関係する学識経験者が一堂に会して日本の国内状況と比較しながら共通理解を広げる国際比較研究を進めて、平成22年度概算要求に反映できる情報コミュニケーション支援による障害者自立支援策を提言するための調査研究活動をすすめた。

情報コミュニケーション技術(ICT)におけるユニバーサルデザインと支援技術を駆使した「地域におけるインクルーシブな情報提供サービス」の構想は、それぞれの地域ごとに存在する資源を活用することを基本とする。その上で、国全体の調整と連動して、誰ひとりとして地域で取り残されることのない情報アクセスの提供が可能になることを目指す。

本報告書が付属DVD-ROMに収めたデジタル版資料と共に活用されることを期待する。

平成21年3月
特定非営利活動法人支援技術開発機構
理事長 山内 繁

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