スウェーデン国立録音点字図書館

シェル・ハンソン

スウェーデンでDAISY版教科書が大学生にどのように提供されているのか、お話します。私はスウェーデン国立録音点字図書館（TPB）を代表してこの場にいます。TPBは、文化教育省のもと、政府の助成金で運営されている図書館です。2009年は、おそらく350万米ドルの予算が提供されています。

さて、政府の目標は、男女とも、経済状態あるいは障害により制限されることなく高等教育を受けることができるというものです。また、政府のもう１つの目標は、読むことに障害のある大学生がアクセシブルな教科書を使用する権利を持つというもので、TPBによる教科書サービスは、学生が無料で利用できるようになっています。また、すべてのスウェーデンの大学に適用されている障害のある学生への差別を禁止する法律もあります。

また、スウェーデンの人口は900万人で、50の大学そして単科大学があります。そしてどの大学にも障害学生支援コーディネーターが置かれております。2007年には印刷字が読めない障害だけでなく、様々な障害がある4,300人の学生がコーディネーターに相談をしてきました。そしてそのうち2,500人はディスレクシアでした。ですから大半の障害をもつ学生は、何らかのディスレクシアを抱えているということであります。2007年、TPBは、2,100人の活字を読めない学生を支援しました。そのうち1,600人はディスレクシアでした。そのうち70％が女性でした。そして2007年から2008年にかけて、このような学生が13％増加しました。高等教育の学生の大半は女性ですので男性の学生を増やすため、多額の資金を投下しています。

2006年以来、TPBではスウェーデン語及び英語の合成音声による図書の製作が増加しています。完全なテキストと、それから音声が備わったものです。2008年にTPBが製作したのは肉声による録音図書695タイトル、合成音声による録音図書719タイトル、そして点字、電子テキスト、大活字図書が142タイトルでした。この図書は、CD-ROMで学生に配布されます。コピーは大学、単科大学の図書館によって、インターネットを通じてダウンロードされます。また、それぞれの大学で学生用のCD-ROMが作成されております。昨年度は80の図書館において14,000タイトルがダウンロードされました。

さて、サービス全体の概要をご紹介したいと思います。それぞれの学生が地元の大学図書館に相談してきます。そうすると図書館がWebベースのカタログでタイトルを検索します。それから図書館がTPBのアーカイブから利用可能な図書をダウンロードし、CD-ROMコピーを作成します。そしてTPBが学生を登録し、ソフトウェアとハードウェアプレイヤーを学生に送付します。現在ビクターやプレクスターのプレイヤーを提供しています。

また、TPBは、データブックファイルから合成音声に変換することのみを行っており、デンマークとスウェーデン、そしてインドなどの業者に教科書の製作を外注しています。将来は、直接学生に配布したいと、「ステューデント・ダイレクト」というプロジェクトを立ち上げました。80人の学生、スウェーデンの総合大学２校と単科大学１校が参加しております。インターネットを通じて図書を配信し、学生が自宅でダウンロードもしくは、ストリーミングできるようにするということが目標になっています。

最後に、学校制度には、もう1つ政府機関が関係してきます。これは全国特別支援教育学校局というもので、このSPSMは電子テキストと点字DAISYによる教科書を製作しております。そして商業出版社が印刷図書をアクセシブルなフォーマットにする取り組みに対して財政支援を提供しています。TPBはカタログを作成し、ダウンロードできるように学校の図書館などに提供しています。