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「私の失語症回復とDAISYの活用」

山本内科小児科 山本義久

講演を行う山本義久氏の写真

私は平成14年3月9日、左脳内出血(左被殻出血)で倒れた内科医です。現在、右片麻痺、失語症は残りましたが、徐々に改善しており、2年半前より現場に復帰しております。現在、社会貢献の一環として、月一回程度の講演活動を続)けています。

講演内容は、私自身のリハビリテーションを記述した山本義久、人生の第2のステージです。

講演の時には、一部DAISYを使っています。講演対象は、患者さん、直接失語症患者さんに関わる医療従事者(医師、看護師、PT,ST,OTなど)、その他一般の方です。

患者さんにはあせらずゆっくりがんばっていけば徐々に改善していくというメッセージを、自分の声で発信しています。その場で話すと、失語症の関係で冗長になるので、事前にDAISYに声を入れて、患者さんに理解しやすくなるように編集しています。話の内容はDAISYで画面に表示し、話しているところを反転表示させます。また場合によって、ルビをふった画面表示を使うなどの配慮をしています。

画像、文字、音のマルティメディアで情報を提供することにより、耳の聞こえにくい方、目の見にくい方などにも理解しやすくなるようにしています。

直接失語症患者さんに関わる医療従事者には、私自身の声での講演を通じて、失語症患者さんに関する理解を深めてもらうことができていると思います。

一般の方には、健康の自己管理(食事、運動、薬その他)がいかに重要かを、脳卒中を経験した内科医の立場で訴えています。

私にとってDAISYとの出会いはコミュニケーション手段の獲得であるとともに、リハビリテーション方法の獲得でもありました。右利きで右片麻痺の私にとって、手書きよりもキーボード入力の方が、正確で、容易です。

書いた文章を読むときも、手書きよりは、コンピューターの画面上の方が楽です。

失語症の私にとって、間違えず連続して読める文章の量は限られています。DAISYでは、連続して読み上げなければならない文章の長さを、自由に調整できます。私も失語症の改善の程度に合わせて、連続して読み上げる長さを変えていきました。講演で良い反応が得られると、次回の講演でさらに良い反応が得られるようにブラッシュアップします。

具体的には、連続して読み上げる長さを長くすることと、音声の入れ直しです。上書きすることもできれば、複数録音し、選択するという方法もあります。

あらかじめ録音した声を聞いたあと、そこに自分の声を 上書きすることもできます。

他のリハビリテーションもうけていますが、DAISYも失語症の改善に寄与したと考えます。

DAISYに対する希望ですが、障害を理由とする医師の欠格条項が撤廃された現在、耳の聞こえにくい、目の見えにくい医師に対する、医療情報のDAISY化を希望します。

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