昨年度の障害者保健福祉推進事業(調査研究プロジェクト)より継続して、支援現場における自閉症や強度行動障害の人たちに特有な支援ニーズや状態像、および、それらに対応した効果的なサービスの提供のあり方や質などについて検討を進めてきた。
しかしながら、昨年度事業の観察調査データによる結果からは、6つの協力施設で取り組まれている有効な支援プログラムを十分に反映した数量的な知見を得ることができなかった。そこ で今年度は、昨年度事業の事例調査で見出された強度行動障害の類型(クラスター)ごとにい くつかの事例を選択し、内部検討委員と外部評価委員、他を含めた事例検討会において、予防的対応を含めた有効な支援の質的部分を明らかにしていくこととなった。最終的には、これらの事例研究(定性データ)から得られた情報や知見に基づき、強度行動障害を示す人たちの施設支援モデル案の作成を行なう。
昨年度の事例調査データの強度加算対象者151人について、強度行動障害尺度の因子得点を用いた階層クラスター分析(グループ内連結法)を行なった。その結果をRescaled Distance Cluster Combine=20でCut offしたところ、下記のような5つのクラスター類型が得られた。全国6地域の全国自閉症者施設協議会加盟施設における強度行動障害加算事業の利用者の中から、それぞれのクラスターに合致する事例を1クラスターあたり1~3例ほど選定し、合計6回にわたる事例検討会で報告・討議された。
事例検討会で討議された事例のうちの11事例について、報告および検討内容を次の1~12の項目に分けて整理した。そして各事例は、クラスターⅠ~Ⅴ型の順に3ページから列挙していく。
3回にわたって開催された事例検討会での討議内容を整理し、「強度行動障害を示す人たちの施設支援モデル案」を作成した。この中で、強度行動障害を示す人たちの支援の展開過程(まとめ)を図1に示す。