[厚労省]生活困窮者自立支援・生活保護制度の見直しに関する最終報告書発表

令和5(2023)年12月27日、厚生労働省は、社会保障審議会生活困窮者自立支援及び生活保護部会による「生活困窮者自立支援制度及び生活保護制度の見直しに関する最終報告書」を発表しました。

同部会は、令和4年6月以降、生活困窮者自立支援制度及び生活保護制度の見直しに向けて議論を重ね、4年12月20日には「生活困窮者自立支援制度及び生活保護制度の見直しに関するこれまでの議論の整理(中間まとめ)」を発表していました。

今回の最終報告書では、中間まとめの内容を踏まえ、また、特に居住支援に関しては、「全世代型社会保障構築会議」における議論や、国土交通省・厚生労働省・法務省が3省合同で実施している「住宅確保要配慮者に対する居住支援機能等のあり方に関する検討会」における議論も踏まえてさらに議論を深め、特に生活困窮者自立支援法(平成25年法律第105号)及び生活保護法(昭和25年法律第144号)における法制上の措置が必要な事項について、最終的に整理するとともに、中長期的に検討すべき課題についても示したとしています。

見直しの方向性の概要は、次のとおりです。

○居住支援について
・生活困窮者自立相談支援事業(困窮法)における住まい支援の明確化、重層的支援体制整備事業(社福法)における多機関協働や居住支援の活用が必要。
・居住支援法人等が見守り等のサポートを行う住宅の仕組みの構築に向け、関係省庁が連携して検討を進めることが必要。
・サポートを行う住宅に被保護者が入居する場合の住宅扶助(家賃)については、代理納付の原則化の検討を進めることが必要。
・生活困窮者一時生活支援事業を実施するよう努めるものとするとともに、同事業におけるシェルターにおいて緊急一時的な居所確保の支援を行うこと、見守り等の支援(地域居住支援事業)の支援期間が1年を超える場合の状況に応じた柔軟な活用等が必要。
・生活困窮者住居確保給付金について、新たに転居費用を補助することにより、安定的な居住に繋げることが必要。
・無料低額宿泊所について、届出義務違反への罰則や、無届疑い施設に関する保護の実施機関から都道府県への通知の仕組みが必要。
・福祉事務所と情報共有を図りつつ、救護施設等の入所者ごとの個別支援計画の作成を制度化する等の対応が必要。
○子どもの貧困への対応
・子どもの学習・生活支援事業について、生活支援を学習支援と一体的に行うよう求める方向で検討することが必要。
・生活保護受給中の子育て世帯に対し、訪問等のアウトリーチ型手法により学習・生活環境の改善、進路選択等に関する相談・助言を行うことができる事業を創設することが必要。
・高等学校卒業後に就職する際の新生活の立ち上げ費用に対する支援として、一時金を支給することが必要。
○医療扶助、被保護者健康管理支援事業の適正実施等
・都道府県が地域別にデータ・課題分析及び評価を実施し、優先的に取り組む課題と取組目標の設定を行うとともに、市町村の取組に対する支援を行うよう努めることが必要。
・国による、データ提供・分析等に係る体制整備の支援が必要。
○自立相談支援等の強化について
・生活困窮者自立支援法の支援会議の設置を推進するため、その設置を努力義務化することが必要。
・生活保護制度において、ケースワーカーと関係機関との支援の調整や情報共有を行うための枠組みとして会議体を設置できるよう法定化することが必要。
○就労支援及び家計改善支援の強化・生活困窮者自立支援制度と生活保護制度との連携
・生活困窮者就労準備支援事業・家計改善支援事業を必須事業化しないとしても、効果的かつ効率的に実施されるよう、国による自治体の支援や広域連携等の環境整備により、全国的な実施を目指すことが必要。
・被保護世帯向けの就労準備支援、家計改善支援、居住支援について法定化して、より幅広い自治体での実施を促すことが必要。
・生活困窮者向け事業を被保護者に対しても実施することを可能とすることについて検討が必要。
・両制度で連携して研修を実施するなどにより、両制度の関係者同士で相互理解を深めることが必要。
・生活困窮者就労準備支援事業の利用時の交通費負担軽減の仕組みについて検討することが必要。
・就労自立給付金の算定方法について、就労期間に応じてメリハリを付ける見直しを行う方向で検討することが必要。

詳しくは次のサイトをご覧ください。(寺島)
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_37149.html

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