居宅ケアその他の入所施設以外の社会サービスにかかわるより公正な利用者負担のあり方 ----社会サービス実施責任自治体へのガイダンス
Guidance for Councils with Social Services Responsibilities
Department of Health, September 2003
イギリス保健省 2003年9月(佐藤久夫・仮訳(抄訳)2007年)
目次
- 概要
- 第1章 序
- 第2章 利用者負担の対象外とされるサービス
- 第3章 いろいろなタイプのサービスに対する利用者負担
- 第4章 サービスレベルに応じた、および/または利用者の資力を参照した、利用料負担
- 第5章 利用者の収入への利用料負担の影響
- 第6章 障害関連給付の取り扱い
- 第7章 受給アドバイス
- 第8章 貯金と資産
- 第9章 パートナーの収入と貯金
- 第10章 就労への動機付け
- 第11章 クロイツフェルトヤコブ病
- 第12章 利用者負担の水準の設定
- 第13章 利用料負担政策の立案上の論点の要約
- 第14章 介護者
- 第15章 ダイレクトペイメント
- 第16章 財源移譲のための権限使用
- 第17章 保健法1999パートナーシップ
- 第18章 中間ケア
- 第19章 利用料負担とその政策の管理
- 第20章 実施
- 付属資料A:保健・社会サービス及び社会保障裁決法1983(HASSASSA法1983)第17条
- 付属資料B:年金給付 2003年4月現在保証給付額
- 付属資料C:「最適評価による利用者負担:自治体議員と担当者のためのチェックリスト」
- 付属資料D:本ガイダンスの最小限の基準による利用者負担査定の例
本ガイダンスは1970年地方当局社会サービス法第7条によって発行される。
備考:
この文献のオリジナルは以下のページからダウンロードできます。
"Fairer charging policies for home care and other non-residential social services:Guidance for Councils with Social Services Responsibilities (September 2003)"(英語)
"Download guidance (PDF, 127K)"より
概要
- 自治体は1970年地方当局社会サービス法第7条(第1章)による本ガイダンスを下記に示す日時(第20章)までに実行するよう期待されている。
- 本ガイダンスは自治体が居住施設以外の社会サービスに利用料を課すだろうと推測するものではなく、また、課すことを求めるものでもない。長年にわたり自治体は、一般的に合理だと考えられる範囲内で、それを課すことについての裁量権を持ってきた(第1章)。
- 本ガイダンスは、居住以外のサービスに利用料を課すことを決めた地方自治体が、合理的で公正な自己負担政策をもうけることを支援することを目的とする。各自治体の自己負担政策がより一貫性を持ったものとなることを追求するものである。次のことを述べている。
- 居住以外の社会サービスへの課金をするかどうかはひきつづき自治体の裁量事項である(第1章)。
- いろいろな種類の非居住施設系の社会サービスおよび関連サービスへの利用者負担と、それが利用者にどのように影響するかということは、切り離すことなく一緒に検討されねばならない(第3章)。
- これらのサービスに自治体が課金をする場合、均一料金は限られた状況の場合にのみ認められる(第3、4、13章)
- 利用者の手取り収入(net income)への課金の影響が考慮されるべきである。手取り収入は、所得援助(Income Support)あるいは年金給付の最低保障給付(the Guarantee Credit of Pension Credit)という定められた基礎的収入レベルプラス25%以下に下がることがあってはならない。利用者の手取り収入がこの基礎的なレベルを下回ることになるような利用者負担政策は認めることができないものであり、社会的統合と自立の推進という政策の土台を壊すものである(第4,5,6,8,14章)。
- 自治体は利用者負担上限額を設ける必要性について検討し、とくにこのことについて調査すべきである(第4,5、13章)。
- 課金を支払う能力の査定に際して障害給付を収入としてカウントする場合には、自治体は個々の利用者の障害関連出費を査定しなければならない。その他の利用者<訳者注:障害給付受給者以外>の障害関連出費を査定する必要性に関して自治体はとくに協議するべきである。障害給付からの利用者負担金を徴集することは、一人一人の利用者ごとにその合理性を査定することなしに行ってはならない(第6,8,14章)。
- 自治体は、課金査定の時にすべての利用者に対して総合的な受給アドバイスを行うことを確実に実行すべきである。利用者が給付の受給資格を持っている場合、そしてとくに課金の支払いを求められる場合には、自治体はその利用者の収入を最大にする方策を探る責任を持つ(第6,7章)。
- 居住ケアの利用者負担額の場合と少なくとも同じ預金限度額が適用されるべきである。このガイダンスの他の部分と同様、自治体はより寛容なルールを運用することも自由である(第8章)。
- 配偶者の収入の取り扱いについても本ガイダンスに含めている(第9章)。
- 障害者とその介護者が、希望する場合、就職したり仕事を拡充したりすることができるようにするため、課金の査定においては勤労収入は無視することを本ガイダンスは期待する(第10章)。
- 本アドバイスでは、介護者が自らの権利として2000年介護者及び障害児法にもとづくサービスを受ける場合、いかなる課金も公正なものとなるよう特別のアドバイスを含めている(第14章)。
- 自治体が利用者負担政策をよく管理することは、引き続き重要である。その利用者負担政策が利用者にどう影響しているかをモニターする必要があり、また、その仕組みの管理コスト知ることが必要である。他のサービスでも同じであるが、よい情報へのニーズを含めて、利用者と介護者のニーズが最優先されるべきである。(第19章)。