行政の動き-令和3年社会生活基本調査の実施について

「新ノーマライゼーション」2021年7月号

総務省統計局統計調査部国勢統計課労働力人口統計室

総務省統計局では、本年10月に「令和3年社会生活基本調査」(以下「令和3年調査」という。)を実施いたします。令和3年調査では、後述するとおり、障害者統計の一環として、「日常生活への支障の程度」を調査事項に追加することになりました。この「新ノーマライゼーション」の読者・関係者の皆様方も調査対象となられた場合には、ご回答をよろしくお願いいたします。

1 社会生活基本調査の目的

社会生活基本調査は、1日の生活時間の配分と過去1年間の余暇活動の観点から、国民の社会生活の実態を明らかにするための基礎資料を得ることを目的として、統計法(平成19年法律第53号)に基づいて総務省統計局が実施する統計調査です。昭和51年以来、5年ごとに実施しており、今回の調査は10回目に当たります。

社会生活基本調査の特徴は、調査対象者が1日のうち何をどれくらい行っていたかを「時間」の観点から具体的に調査し、統計として示すことにあります。国民の生活をめぐる環境や社会経済情勢が著しく変化している中で、我が国における国民の日常生活の時間の過ごし方を明らかにする統計調査としての期待は、ますます高まっています。

社会生活基本調査の調査結果は、これまでさまざまな形で利用されています。主なものとして、男女共同参画や少子化対策、ワーク・ライフ・バランスの参考指標や数値目標、SDGs(持続可能な開発目標)の指標として、以下の結果が利用されています。

  • 家事関連時間、6歳未満の子どものいる夫の育児・家事関連時間
  • 通勤時間や休養・くつろぎの時間
  • ボランティア活動、趣味・娯楽の年間行動者率 など

2 令和3年調査の概要

令和3年調査は、本年10月20日を調査期日として実施します。ただし、生活時間の配分についての調査は、10月16日から10月24日までの9日間のうち、調査地域ごとに指定した連続する2日間について行います。

調査の対象は、無作為に選定された約9万1千世帯に居住する10歳以上の世帯員約19万4千人です。そのほか、令和3年調査の調査事項や調査の体系等については、下図をご覧ください。

令和3年社会生活基本調査の概要拡大図・テキスト

3 令和3年調査の主なポイント

新型コロナウイルス感染症の影響や情報通信機器の急速な普及により、私たちの生活様式は大きく変化したと言われています。また、少子化が進行し労働力不足が顕在化するとともに、高齢化が進行し要介護人口が増加していることなどから、多様な働き方の選択を可能とする仕事と生活の調和の実現が求められています。

そこで、令和3年調査では、男女共同参画の実態やワーク・ライフ・バランスの的確な把握に加え、今後の政策ニーズ等への対応の観点から、1.健康上の問題や介護の状況による社会生活への影響や2.生活様式の変化に伴う生活時間等への影響の的確な把握をねらいとして、以下のような調査事項の変更を行います。

(1)「慢性的な病気や長期的な健康問題」及び「日常生活への支障の程度」の追加

令和3年調査では、「慢性的な病気や長期的な健康問題」及び「日常生活への支障の程度」を調査します。

今回の調査事項の追加は、「公的統計の整備に関する基本的な計画」(令和2年6月2日閣議決定)などで求められている障害者統計の整備を進めるとともに、調査事項の設定において欧州統計局のガイドラインを参考にして調査結果の国際比較可能性も向上させるものです。

これにより、障害者、高齢者を含め、心身の状態を原因とする日常生活への支障がある方と、それ以外の方の生活時間の違い等を把握できるようになります。

調査票A(抜粋)
調査票A(抜粋)拡大図・テキスト

(2)「介護の状況」のより詳細な把握

令和3年調査では、個々の調査対象者が受けている「介護の状況」を調査します。

前回(平成28年)調査までは、外部からの介護支援を受けている人が調査世帯にいるかどうかを調査していました。

今回の変更により、外部からの支援に限定せず、介護を実際に受けている人の生活時間を集計することができるようになり、高齢社会における「介護の状況」をより詳細に把握できるようになります。

調査票A(抜粋)
調査票A(抜粋)拡大図・テキスト

(3)テレワークにおける生活時間の配分の把握

令和3年調査では、生活時間の配分を調査する日の属性に関する調査事項「この日は次のいずれの日でしたか」の選択肢のうち、「在宅勤務」を「テレワーク(在宅勤務)」と「テレワーク(それ以外)」に変更します。

新型コロナウイルス感染症の影響によりテレワークが増加するなど働き方が多様化しつつあると思われます。今回の変更により、このような多様化に伴う生活時間の配分を把握できるようになります。

(4)スマートフォン等の情報通信機器の日常生活との密着性の把握

令和3年調査では、スマートフォン・パソコンなどを使用した時間帯の調査を前回調査の3時間単位から15分単位に変更します。併せて、一部の世帯に配布する調査票(調査票B)では、使用状況を把握する情報通信機器を前回調査の「スマートフォン・パソコンなど」という一括の形から「スマートフォン」と「パソコンなど」に分割します。

これにより、急速に普及するスマートフォン等の情報通信機器がどの程度国民の日常生活と密着しているかを、さらに詳細に把握できるようになります。

4 令和3年調査へのご回答・ご協力のお願い

本稿でご説明してきたとおり、令和3年調査は、社会福祉の観点からも極めて重要な意義を有しています。読者の皆様にもご理解・ご協力をお願いするとともに、周囲の関係者の方々にも是非広くご案内くださると幸いです。

調査対象世帯は、調査地域の中から無作為に選定されます。調査地域では、8月以降、地域内の掲示板などに下図の広報用ポスターを掲示していくとともに、9月頃には調査地域内の全ての世帯に調査の実施を周知する「リーフレット」を配布する予定です。また、実際に調査対象に選定された世帯には、10月頃に調査員が伺います。その際には、是非ご回答をお願いいたします。
※掲載者注:写真の著作権等の関係で図はウェブには掲載しておりません。

今回の調査では、インターネットでもご回答いただけます。パソコンはもちろんのこと、スマートフォンやタブレット端末もご利用いただけますので、便利なインターネット回答をご利用ください。

依然として新型コロナウイルス感染症の流行が続いており、本年10月の令和3年調査の実施時点においても、このような状況が継続している可能性が懸念されるところです。このため、調査実施者である総務省統計局としても、感染予防対策を徹底しつつ、都道府県と連携して調査を進めてまいります。皆様のご理解・ご協力をよろしくお願いいたします。

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