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第3回アジア太平洋CBR会議

カスン チャンダナ ジャヤトゥンガ

・国名:スリランカ
・障害:聾唖
・職業:
- アハナビデオプロダクションハウス創設者 www.ahanna.org
- 代表&プログラムマネージャー、スマガ ルフヌ 聾唖者の輪(SRCD)、マタラ州、スリランカ
- ボランティア、ロハナ特殊学校特別教育部、マタラ州、スリランカ
・組織:スマガ ルフヌ 聾唖者の輪(SRCD)、マタラ州、スリランカ http://www.sumagadeaf.org/
・Email: talktokasun@gmail.com

1.背景

スリランカの人口2000万人のうち、7万人以上が聴覚に障害を持っている。近年の統計では国全体で約30万人の聾唖者が存在すると言われる。スリランカ国には、職業訓練と教育の不足の為に、7万5千人以上の若年聾唖の非雇用者が存在する。スリランカには障害を持った生徒に対する25の特殊学校と、730の特殊クラスが存在するが、30万人の聾唖人口に対応するのには十分ではない。完全聾唖者について、彼らの唯一のコミュニケーション手段は手話である。教師が手話について熟練ではない為に、生徒と十分なコミュニケーションが取れず、故に生徒たちも十分に学ぶことが出来ない。手話についての知識が不十分な為に、聾唖者は手話通訳の助けなしにはメッセージを相手に伝えることが出来ず、悲しい事にその30万人の聾唖者の助けになる手話通訳者は、現在スリランカ国中で7人しかいない。

カスン チャンダナ ジャヤトゥンガは、スリランカにおける何らかの聴覚を失った30万人の一人である。ありがたいことに教育された両親とは、読唇でコミュニケーションを取ることが出来、2008年には奨学金を得て日本のダスキンリーダーシップ研修プログラムへスリランカを代表して参加した。2年間の日本でのリーダーシップ研修を終え、カスンは彼の知識により、可能な限りの方法で聾唖者の生活を高める事を希望して、スリランカに戻った。カスンはスリランカ南部の県、マタラ州の出身である。彼はスリランカ南部の県、ワルガマ州にある聾唖者団体のSCRDの一員となった。

その当時、プロジェクトは存在せず、人員もなく、SCRDには予算上の難しさあったが故にカスンがこの組織の代表になることが出来た。

2.プロジェクト開始の話

毎朝彼は、“どこから始めればいいんだろう・・・?”という疑問と共に目覚めなければならなかった。彼は、SRCDの片隅で、cobwebsと埃を被った3台のミシンに気づいた。彼は、それらのミシンについて何も知らなかった。どこから来たミシンなのか・・・なぜそれらのミシンはこの組織に寄付されたのか・・・詳細がない・・・何もない・・・何のヒントもなかった。

しかし彼は、この3台のミシンについてのいくつかの希望の線を感じた・・・彼は、組織の聾唖者の非雇用者達に対して、ミシンを使った適切な訓練を行うことを始められると思った。

カスンはSRCDの聾唖者であり、JUKIの機器の操作とミシンの経験があるウパル氏に連絡を取った。同じくSRCDの聾唖者であるダヤ女子もJUKI機器プログラムにコーディネーターとして加わった。カスンは3人の聾唖の少女たちに訓練を開始し、食事、交通費を与え、またトレーナーとコーディネーター達にも私費で経費を支払った。

彼は4ヶ月間継続して日本でのトレーニングで得た自らの収益全てをつぎ込んだ。日に日に、彼は自らの財を投じるだけでは、プロジェクトの存続は困難であると思うようになってきた。

そんなある雨の日、手話通訳者の一人であるカルム サマラウィクラマ氏がSRCDを訪ねてきた。彼の訪問が、彼らの運命を変えた。床にある3台のミシンに気づくや否や、彼はそれらの機器についての話を発した・・・それらがどこから来たのか・・・何故そこにあるのか・・・全てについて・・・

カルム氏はさらに、3台のミシンを“マーク&スタート”というプロジェクトの基に寄付してくれた世界的に有名な“マーク&スペンサー”グループの承認マネージャーであるシャブリー氏の電話番号とメールアドレスを教えてくれた。カルム氏のサポートにより、カスンはその日のうちに連絡を取り付けた。

5ヵ月後、ある金曜日はカスンとSRCDのスタッフにとって実に素晴らしい一日となった。彼らは、コロンボにあるマーク&スペンサーの本部を訪れ、プロジェクトの未来について議論する機会を得たのである。カスンが説明を終えた後、シャブリー氏は私財でプロジェクトを続けることの難しさ、将来的にトレーニングを成功裏に終わらせるためのサポートが必要であることを理解してくれた。シャブリー氏は、カスンにプロジェクトプロポーザルを書くことを薦めた。

SRCDに戻った後、カスンはプロポーザルを書くことに専念した。カスンにとって、日本のダスキンリーダーシップ研修で学んだあと、実生活で始めてのプロジェクトプロポーザルを経験することは、本当に素晴らしい機会であった。ダスキンリーダーシップ研修は、プロジェクトプロポーザルの書き方や障害者の組織をどのように運営・向上させていくかに重点を置いたものであった・・・故に、ダスキンリーダーシップ研修はアジア太平洋地域の障害者のリーダー達に1年間のフルタイムの研修を与える、世界でも有数の研修プログラムである。そして数週間の大変な努力の後、プロジェクトプロポーザルはイギリスのM&Sヘッドオフィスへ送られた。その後、スタッフ全員にとって待ちの期間となった。

数週間後、シャブリー氏とそのスタッフ達は“スマガ ルフヌ JUKI 機器衣服訓練センター”の開所式に訪れた。2013年10月17日の事である。シャブリー氏は、プロジェクトプロポーザルはイギリスの本部によって受理され、故にプロジェクトは“マーク&スタート”の名の基に続けることが出来、またプロジェクトを成功させるのに必要な全ての出費、電気代、トレーナーの給料、オフィスの賃貸料等が支払われる事を通達した。

この日は、カスンにとって忘れられない、生涯最高の日のひとつとなった。プロジェクトが始まった・・・SRCDの新しいJUKI機器訓練センターは10台の新しいJUKIミシンを南部のM&Sの工場より手に入れた(彼らのロゴ入りの)。

現在訓練センターには13台の“JUKI”電動ミシンがある。今日では彼らは幸福である。何故なら、スリランカの手話を用いて“JUKI”電動ミシンの使い方を訓練する方法論を学ぶ機会を得たからである。はじめは簡単ではなかった。殆どのスリランカの両親は聾唖の子供たちを社会に出すことを恐れる。彼らは、聾唖はとてもひどい障害で、何もすることは出来ないと信じる。そこで我々は、社会福祉部門、聾唖学校、その他の政府組織を通じてそれぞれの両親と連絡を取り、話し合いをしなければならなかった。我々は、両親に自身の子供達に対する見識が間違っている事を納得させなければならなかった。13台の“JUKI”電動ミシンと、より多くの訓練生を雇うための資金援助により、SRCDは18ヶ月以内に114名を超す電動ミシンの使い手を育成した。うち86名の若者は、現在スリランカ南部にあるM&Sの衣服工場、ブランディックス、ノブルスウェアー、ヴォーグテックス、BAMホールディングス等で雇用されている。

ボビヤ(サンジーワ)、ウダヤ、チャニ、チャマリ、アミス、スサンタは成功裏にトレーニングを終え、“マーク&スペンサー”グループ下のいくつかの有名な工場で働く機会を得た幸福な若い聾唖者達である。

図1(図1の内容)

“マーク&スペンサー”の協力に感謝する。現在カスンはマタラ州ワルガマ地区のSRCDを通して、スリランカにおける聾唖者コミュニティーで始めてのプロジェクトを行っている。

これらの訓練を通じて、カスンのゴールと目的は;聾唖者達による縫製技術とJUKIミシンの操作技術向上をスリランカ南部での始まりを契機に国全体に広げること、啓蒙プログラムによって、聾唖者と健常者におけるコミュニケーションの障害を少なくすること、手話訓練プログラムを通じて、聾唖者自身が自らの方法によって収入を得、仕事のキャリアを探していくこと。家族と社会の間で、人間として当然の経緯を獲得する為の機会を与えるために、雇用者たちをコーディネートするためのすべての類の施設を提供すること。

図2(図2の内容)

また、殆どの聾唖若年者にとって、働く環境というのは全くの新しい環境です。彼らの怒りを制御する技術(アンガーマネージメント)の稚拙さは、始まりにおいては時にいくつかの問題を引き起こします。我々は、聾唖と健常者との間を掛け持ち、納得させる為に、手話のプログラムおよび啓蒙プログラムを続けていかなければならなかった。

他の誰かが何かをするまで待つことは、誰もがしがちな大きな失敗である。あなたが何か違った事を始めようとする時には、たくさんの批判があるかも知れない・・・しかし、それはあなたが困難に立ち向かうのを止めるべきである、という意味ではない・・・

これはただの始まりであり、カスンは既に新しい独自のサービス“アハンナ(聞くこと)”を始めている。それは、彼の斬新なアイディアと技術、才能を通してスリランカにおける全ての聾唖者の団体へvastな領域でのサービスを与えることである。それらは、いかにカスンが世界中全ての聾唖コミュニティーに先例とロールモデルを作り出す事で、

彼は、ただただ彼の旅を成功に導いてくれる強大なサポートを下さる方々に感謝を申し上げたい!

数千マイルの旅は一歩から始まる!!!


スライド1
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