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国連世界情報社会サミット(World Summit on the Information Society : WSIS)

野村美佐子
(財)日本障害者リハビリテーション協会

国連世界情報社会サミット(WSIS)とは

はじめに

 情報社会がはらむ諸問題を解決するための国際戦略を世界中の首脳が集まって協議し行動計画を採択するための国連世界情報社会サミットが2003年の12月(スイス・ジュネーブ)と2005年11月(チュニジア・チュニス)に開かれます。

 情報社会はまだ建設途上で特に発展途上国ではこれからという部分が多く残されています。ここで、障害者といわゆる情報弱者の問題を議題にきちんと取り上げるかどうかが決まる極めて重要な会議です。

 国連のサミットの準備は手続きが複雑で長期にわたり必要なことを発言していくのは大変忍耐と手間ヒマがかかります。しかし、形式的にはすべてのNGOに機会が開かれていますので、問題の指摘と発言が無ければ、障害者のデジタル・ディバイドのように深刻な問題も十分に取り上げられないことになります。

 障害者の権利に関する国際条約の制定を側面から支援し促進するためにも、このサミットを活用することが、情報に関る障害者の権利を侵害させないための具体的な行動の一つであります。

 日本障害者リハビリテーション協会情報センターは、この重要なサミットの準備過程に焦点を当てると共に、12月10日から12日に開催されるジュネーブ・サミットの後には、報告会を開催して情報社会における障害者の情報アクセス問題について多くの方々と情報を共有していきたいと思います。

世界情報社会サミットの基本情報

サミットは国連事務総長コフィー・アナンの強力な後援のもとで開催され、ITU(国際電気通信連合)が主導的役割を担い、他の国連機関が協力します。2003年ジュネーブ、および2005年チュニスの2回に分けて開催されます。

サミット第1段階は、2003年12月10-12日、スイス政府がホスト国となりジュネーブで開催されます。ここでは情報社会に関する広範なテーマが取り上げられ、情報社会と関係のある様々な問題に対処するための原則宣言と行動計画が採択される予定です。

世界サミット第2段階は、2005年11月16日―18日、チュニジア政府をホスト国としてチュニスで開催されます。ここでは開発が中心課題となり、これまでの成果を評価し、今後実施すべき行動計画を採択します。

参加者は政府代表と、国連諸機関、企業、およびNGOを含む市民社会になります。

世界情報社会サミットの準備、組織づくり、および開催作業にあたっては、国連システムのためのハイ・レベルサミット組織委員会(HLSOC)が設立されました。HLSOCは国連事務総長の代表と以下の国連諸機関の実行責任者で構成されます。

 FAO(国連食糧農業機関)、IAEA(国際原子力機関)、ICAO(国際民間航空機関)、ILO(国際労働機関)、IMO(国際海事機関)、ITU(国際電気通信連合)、UNCTAD(国連貿易開発会議)、UNDP(国連開発計画)、UNEP(国連環境計画)、UNESCO(国連教育科学文化機関)、UNHCR(国連難民高等弁務官事務所)、UNIDO(国連工業開発機関)、UPU(万国郵便連合)、WHO(世界保健機関)、WIPO(世界知的所有権機関)、WMO(世界気象機関)。

 また、WTO(世界貿易機関)事務局長、UNITAR(国連訓練調査研究所)事務局長、各地域の経済委員会の事務局長、および世界銀行総裁もメンバーとなっており、ITU事務局長がHLSOC議長を務めます。

 ジュネーブで開催されるサミット第1段階(2003年12月10-12日)は、事前会議、関係パートナーがすでに持っている行動計画、およびサミット準備委員会(PREPCOMs)の内容を含む多彩なインプットの成果となります。個々の問題を検討するため、テーマ別会議や専門会議が組織されます。地域特有の問題、ニーズ、優先課題などに対処するために、地域会議も組織されました。PREPCOMsには各国政府代表と、国連諸機関、民間部門、市民社会、およびNGOを含む関係者代表が参加しています。

サミットの目的は、サミットの目的は国政府代表と、国連諸機関、民間部門、市民社会、およびNGOなど主要な関係者(All stakeholders)が一同に会し、情報社会についての共通のビジョンと理解を持つことおよび宣言と行動計画を採択することにあります。

サミットで期待される成果は、多様な利害を十分に考慮しながら、情報社会の目標を達成するための政治的な意思の明確な表明と具体的な行動計画の策定です。この意欲的なプロジェクトの範囲と特性から、公的機関と民間機関とのパートナーシップが必要であり、今後数カ月間このようなパートナーシップが求められています。

さらに詳細はhttp://www.itu.int/wsis/

アジア地域におけるこれまでの経過

「APTアジア太平洋情報社会サミット」(2000年10月31日~11月2日 日本・東京)
アジア・太平洋電気通信共同体(APT)主催による世界情報社会サミット・アジア地域会合が東京で開かれ、「ITを通じたアジア太平洋ルネサンスを目指して」という東京宣言が採択されました。東京宣言(日本語訳)は以下のURLで参照できます。
http://www.soumu.go.jp/joho_tsusin/whatsnew/apt/summit_001102.html
ICTセミナー
2002年の6月12日から14日にかけてバンコクで行ったセミナー 報告は、下記にあります。
http://www.wsis-japan.jp/documents/ngo_17.pdf
「アジア太平洋障害者の10年(1993-2002)」最終念ハイレベル政府間会合(20002年10月25日~28日本の大津・滋賀)
国連アジア太平洋経済社会委員会主催による上記の会合が開催されました。アジア太平洋障害者のための、インクルーシブで、バリアフリーな、かつ権利に基づく社会に向けた行動のためのびわこミレニアム・フレームワークが検討・採択されました。このフレームワークのなかの情報、通信および支援技術を含む情報通信へのアクセス優先領域における目標と行動に関連して世界情報サミットについて言及している。詳細は以下のURLを参照ください
http://www.dinf.ne.jp/doc/japanese/intl/bf/index.html#mokuhyou-f
「世界情報社会サミットアジア地域連合」の開催(2003年1月13日~15日、東京)
日本の総務省、外務省、および国連ESCAPの共催で、「世界情報社会サミット」の成功に向け、日本が積極的に貢献するため、情報社会の進展に対応した取組について議論を行い、その成果をアジア地域からのサミットへの寄与として提出していくため、アジア地域会合を開催いたしました。会合には、約49カ国・地域の代表のほか、21の国際機関、民間企業53、116のNGO団体から約600人が参加しました。
詳細:http://www.wsis-japan.jp/japanese/
内閣総理大臣の挨拶:http://www.kantei.go.jp/k/speech/2003/01/14_1.html
東京宣言:http://www.kantei.go.jp/jp/koizumispeech/2003/01/14wsis.html
「ICTとジェンダーに関するフォーラム(Forum on ICT and Gender : Optimizing   Opportunities)」の開催(2003年8月20日~23日にかけてマレーシア・クアラランプール)
マレーシア政府がホストとなり、多くの国際団体との共催(APT, APWINC, COL, GKP, ITU, UNESCAP,UNESCO)で開催されました。
詳細:http://www.globalknowledge.org/gender2003/index.cfm?menuid=4
宣言と勧告:http://www.globalknowledge.org/gender2003/index.cfm?menuid=27

世界情報社会サミットの障害に関わるイベントについて

12月12日の9時30分からWSIS 市民社会部門 Disability Family GroupおよびDAISY コンソーシアムによる「Global Forum on Disability in the Information Society」と題するフォーラムを予定しています。詳細は以下のURLを参照してください。
http://www.wsis-online.net/smsi/classes/smsi/events/ICT4D-events-42780/event-view