高齢者の運転適性に関する研究(1)
NO.1
森 二三男 *
項目 | 内容 |
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発行月日 | 1986年 3月 |
転載元 | 高齢者問題研究 No.2巻 93~107頁(発行: 北海道高齢者問題研究協会) |
A Study of Driving Aptitude for Elderly Driver
Fumio Mori
目次
Abstract
In our county,now we are faced with the aging society, At the same time this and the
progress of society on wheels are both of important facets of social change in Japan recently.
Therfore we can not ignore the trafficproblems of the aged. The pupose of this study is to clarify
the driving aptitude for the elderly by means of Psychological Aptitude Test. Test battery
consists of the three performance tests and it involves all instrumental test,by using the testing
devices.They consisted of various types such as multiple choice reaction.speed anticipation
reaetion and eye-hand coordination test. The Ss were 363 healthy elder drivers from 60 to 79 years
old and also 75 controlled drivers from 50 to 59 years old.
The results were analysed in the variety of ways and those scores were compared with each
other in test items separetely. First, the elderly made more error than the controlled in mnltiple
choice reaction test. Especially the error reation increased rapidly over 67 years old.Next,
average reaction time(RT)shortened following to age in speed anticipation reaction test but this
RT delayed inversely over the age 70. Finally,in the eye-hand coorlination test,the elderly made
much error along with the aging as well as the first. Results obtained in this study indicate that
perhaps driving task Perfornance may be fell down rapidly in quality over 67 years old.
Further.the changes of RT in speed anticipation reaction test suggests to differentiate iote
two opposite directioton,one reduce and another delay over the age 70. From this findings it is
assumed that a person’s manuveraditity during his drving deteriorate as he ages. But in all
elderly persons.it should not be considered to restrict his traffic mobility in daily life as far as he
try to recognize enough his driving aptitude himself.
1 研究の目的
わが国は21世紀にそなえて高齢化社会にふさわしい生活システムを創出して高齢者の社会活動を促進し、彼等の参加を助長する必要に迫られている。
既に1970年代には日本はスウェーデンや英米諸国と同じ高齢化社会の仲間入りをしたのであるが、この隊列への参入は遅れたもののその後の長寿化率は超加遠的にすすみ、フランスの65歳人口が総人口の8パーセントを超えて14パーセントヘと6パーセント増加に126年かかったのに比べわが国ではその10分の1の期間で同率に達してしまったのである。
したがって欧米諸国のように高齢化への漸進的対策をとることができた国々とは異なりわが国では現在の時点で早急な対策をたてなければならないわけである。
ところで自動車による交通事故が社会問題となりはじめたのは昭和40年前後からで当時は運転免許証を持つ高齢者は極めて僅少であったから若年ドライバーの暴走運転が注目のまとになり高齢者の運転適性が話題になることはなかったのである。
しかしその後超加速的なモータリゼーションの結果と免許所持者の高齢化、増大により最近は年齢の高い人々の運転適性の問題がクローズアップしてきたのである。
従来わが国における加齢と運転をめぐる調査研究は国際交通安全学会(IATSS)、あるいは交通科学協議会などに発表されてきたが安全適性の視点から高齢運転の問題へのアプローチは極めて少ないように思われる。
生体にとってはもともと加齢に伴なう日常生活動作の哀退は抗しがたい事実として認めざるを得ないが、このことによって高齢者の活動力が低下してモビリテイ(mobility移動可能性)が制約され社会参加を阻まれることは問題である。この制約を克服する手段としての自動車の利用は積極的な高齢者対策としてその効果を期待できるであろう。
さらに高齢運転者の交通事故における特徴のひとつとして、加害よりも被害事故が多くしかも運転者の全死亡事故者数の約4分の1を占めると言われるほど致死率が高い。*1 このことは黙視できない重要な検討課題であることを指摘しなけれぱならない。
これは加齢による機敏性manuverability(マヌーパラビテイ)の低下に帰結するという見かたが一般的であるとは言え社会的に日常生活のなかで自動車の利用がごく常識的なこととなってしまった現実にもかかわらず、高齢者の運転の安全確保のための配慮を欠いていることに原因があるということである。
したがって本研究はとくに心理学的な面から、高齢者の運転適性を検討して高い信頼性と妥当性をもつ適性診査の指標をみいだし、高齢運転者の走行時における危険度をチェックするうえに有効かっ適切な指針をみいだし、さらに加齢と運転可能性の限界を考察して長寿社会における交通安全対策を示唆する知見を提供することを目的として試みようとするものである。
* 北海道大学医療技術短期大学部
*1 小笠原祐次、1979、高齢化社会と老人の交通問題、IATSS review,vo15,
主題・副題:
高齢者の運転適性に関する研究(1) 93~94頁
著者名:
森 二三男
掲載雑誌名:
高齢者問題研究
発行者・出版社:
北海道高齢者問題研究協会
巻数・頁数:
No.2巻 93~107頁
発行月日:
西暦 1986年 3月
登録する文献の種類:
(1)研究論文(雑誌掲載)
情報の分野:
(1)社会福祉
キーワード:
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