アンケート調査結果報告

Ⅰ-1 実施概要

 

1.調査の目的

 本調査は、相談支援並びに権利擁護の概念の明確化並びに権利擁護実現に向けた具体的な相談支援手法のあり方等について検討し、権利擁護実現に向けた相談支援体制のあり方について明らかにするための基礎資料として、以下の対象にアンケート調査を実施した。

 

2.調査方法

(1)調査対象
    市区町村アンケート調査 :1,810 市区町村(全数)
    委託相談支援事業所アンケート調査 :1,587 事業所
  相談支援従事者アンケート調査 :相談支援事業所(直営または委託)で相談支援に従事する職員(各事業所1名)を対象。
     
(2)実施時期
  平成20 年12 月  
     
(3)調査票の配布・回収
  調査票の配布・回収は郵送法で実施。
     
(4)回収状況  
  市区町村アンケート調査 :646 市区町村(回収率35.7%)
  委託相談支援事業所アンケート調査 :461 事業所(回収率29.0%)
  相談支援従事者アンケート調査 :694 人(うち直営158 人、委託536 人)
     
(5)調査項目
 本調査では、相談支援事業=障害者の権利を擁護するための活動であるとの前提に立ち、以下の項目について実態を把握した。
  (主な調査項目)  
  ①相談支援事業の実施体制(窓口時間、相談員数、相談受付方法、等)
  ②相談支援の実施状況(利用者数、相談内容、等)
  ③障害者の権利擁護のための支援として取り組んでいること
  ④相談員に求められる要件
  ⑤相談支援事業の課題
  ⑥過去1年間に利用者の権利が侵害されていると感じた事例

 

Ⅰ-2 調査結果の概要

 

1 相談支援事業の実施状況 ~相談支援事業所調査結果より

(1)職員体制

 回答のあった654 相談支援事業所の相談員数(実人数)は、1事業所平均3.4 人であった。このうち、非正規職員は1.7 人と半数を占める。また兼務者は2.2 人であり、専従者割合は3 分の1程度であった。
 委託相談支援事業所の特徴をみると、相談員数(実人数)は1事業所あたり3.0 人であり、直営事業所(同4.7 人)に比べて人数が少ない。委託相談支援事業所の相談員のうち、非正規 職員は1.7 人と半数以上を占めており、直営事業所(同1.6 人)と比較すると非正規職員の割合が高い。また、兼務者も1.7 人を占めており、半数以上の相談員が他業務との兼務で相談支援に従事している。
 一方、直営事業所では相談員数(実人数)は1事業所あたり4.7 人と委託相談支援事業所に比べて多いが兼務者も3.6 人を占めており、専従者数は1事業所あたり1 人程度である。また、兼務している業務のうち支給決定を担当している人数は1事業所あたり1.8 人を占める。支給決定と相談支援業務を兼務することによる利益相反の問題も懸念される。
 また、障害当事者の職員がいる事業所は、全体では58 事業所(8.9%)であった。直営事業所では6 事業所(3.1%)、委託事業所では52 事業所(11.3%)であり、障害当事者相談員のいる相談支援事業所は少ない状況となっている。

 

(2)相談窓口の状況

 相談支援事業所がその役割を果たし、利用者のニーズに応えるためには、相談を受け付ける(ニーズを発見する)体制や仕組みが重要となる。
 相談受付時間をみると、曜日では土日に相談を受け付けている事業所は多くなく、時間帯では24 時間相談を受け付けている事業所は24.2%(直営4.7%、委託32.3%)であった。また、相談受付方法では、「来所」「電話」「個別訪問」などの実施割合は高いが、「FAX」「E メール」「グループ・地域訪問」などの実施率は半数程度にとどまっており、特に直営事業所における実施 率が低い状況であった。

 

(3)相談活動の実績(平成19 年度)

 平成19 年度における相談活動実績をみると、1事業所平均の相談実人数は268 人※(直営248人、委託285 人)であり、相談員一人あたり83.2 人※(直営77.6 人、委託96.9 人)であった。
 また、委託相談支援事業所に対して受付方法別の相談件数を尋ねたところ、1事業所平均では「電話」による相談が1,168 件で最も多く、次いで「来所」(446 件)、「個別訪問」(317 件)の順となっていた。
 相談が入る経路については「障害の本人から」が32.3%で最も多く、次いで「家族から」(22.7%)、「行政から」(16.2%)、「福祉関係機関から」(12.6%)、「医療機関から」(7.8%)の順であった。
 また、上記以外の相談経路として、(特別支援)学校等の教育関係機関、就労先企業やハローワーク等の就労関係機関のほか、地域住民組織や親の会、友人・知人など様々な経路で相談が寄せられている事業所もみられた。このように、相談支援事業所が障害当事者を含め、関係する様々な機関・関係者に周知されていることが、相談支援業務を行う上では必要なことといえる。

 

(4)最近1年間に行った相談支援にかかわる活動

 過去1年間に行った相談支援にかかわる活動では、「制度やサービス内容、利用方法に関する情報提供や助言」(72.3%)、「福祉制度やサービス利用に関する相談・支援」(68.5%)、「専門機関や地域の社会資源に関する情報提供や助言」(67.3%)など、制度やサービス、社会資源に関する情報提供等が上位を占めた。これらの実施割合は特に直営事業所で高い。また、「福祉サービス支給決定に関する相談・支援」や「施設や病院への入所・入院の支援」なども委託事業所に比べて直営事業所での実施割合が高い。
 一方、直営事業所に比べて委託事業所の実施率が高い項目は、「生活スキル等の社会生活力を高めるための支援」、「遊び・余暇支援」、「調理、買い物等直接生活支援」など生活する上で基礎的な面に対する支援や、「地域住民、関係機関に対する障害に対する理解促進を図るための普及啓発」、「地域住民ボランティアの育成」など啓発や地域づくり活動に関連するものが多い。
 直営事業所、委託事業所ともに「保育所、幼稚園、学校等の進路選択における不本意な選択への対応」や「本人が容疑者になるなど、何か事件(トラブル)を起こした時の支援」、「地域住民による差別や偏見に対する対応」などの実施率は10%台であった。これらの項目は対象者自体が少ないために実施率が低くなっているとも考えられるが、別の要因としては教育関係機関や司法関係機関、地域住民等との関係づくりが弱いためとも考えられる。

 

(5)障害者の権利擁護のための支援として行っていること

 障害者の権利擁護のための支援として行っていることを尋ねたところ、「利用者が必要なときに、いつでも相談できる体制がとられている」と回答した事業所が48.0%を占めた。これは、相談窓口の開設曜日・時間帯などの実態からすると矛盾する回答であり、“必要なときにいつでも”という認識が回答者によって異なっていることが考えられる。
 また、「必要に応じて、地域福祉権利擁護事業の利用援助を行う」(44.8%)や「必要に応じて、成年後見制度の活用(利用援助)を行う」(42.8%)など関連事業の利用支援に関する事項も上位を占めており、特に直営事業所の回答率が高くなっている。
 一方、支援の方針や方法に関しては、「方針の選択にあたっては、本人意思を最優先させる」(44.2%)、「必要と判断すれば、利用者からの相談の有無にかかわらず介入していく」(38.4%)などが上位を占めるが、回答率は決して高くはない。また、「障害のある本人が有する権利について、本人を啓発していく」や「障害のある本人が有する権利について、地域住民や関係機関を啓発していく」など障害者の権利啓発に関する活動を行っている事業所は30%を下回っており、本人や地域住民に対して障害者の権利を意識した働きかけはまだまだ進んでいない実態が伺える。

 

(6)相談支援の質を高めるための取組

①相談員として大切なこと

 相談支援事業所の管理者からみて相談員として大切なことを尋ねたところ、「相談の内容を正しく聞き、理解できること」(51.8%)や「相談者と信頼関係を結べること」(46.3%)が上位を占めた。

②相談の質を高めるために事業所内で行っていること(委託事業所のみ)

 また、委託相談支援事業所において、相談の質を高めるために事業所内で行っていることを尋ねたところ、「所内でのカンファレンスを実施している」(45.6%)や「必要に応じて、所外の他の専門職(ドクター、臨床心理士等)の助言を受けられる」(38.0%)、「管理職によるスーパーバイズを実施している」(25.2%)などが上位を占めた。
 一方で、「相談支援業務に関する手引きや心得等を作成している」や「障害当事者、家族、地域住民等を交えた、相談事業の評価を行っている」は各々10%程度の実施率にとどまっている。相談支援の質を高める上では、業務の標準化や事業所外関係者を含めた事業評価なども重要と考えられることから、これらは今後の取り組み課題といえよう。

③終結についての基準(委託事業所のみ)

 相談支援ケースの終結について、「一定の基準や考え方を設けている」と回答した委託相談支援事業所は8.5%にとどまり、「特に設けていない(ケースバイケース)」が60.5%を占めた。

④相談支援業務の評価に関する基準等

 相談支援業務の評価に関する基準等について、「基準や尺度を設けている」と回答した自治体は5 自治体(0.8%)、委託相談支援事業所は18 事業所(3.9%)にとどまっている。逆に、「特に設けていない(今後も予定はない)」と回答した割合は、自治体では79.9%、委託相談支援事業所では43.8%を占めた。
 相談支援業務に対する明確な評価基準がないということは、業務内容(目的、方法、効果等)が明確化・共有化されていないことの裏返しとも考えられる。今後、相談支援事業の質を高めるためには、委託相談支援事業所のみでなく、委託元の自治体も含め、相談支援事業の意義や方法論、評価手法など十分に検討していくことが必要と考えられる。

⑤他機関と協議や調整を行う機会(自立支援協議会を含む)

 相談支援に関係する諸機関との協議の場や地域自立支援協議会は、障害を持つ人が抱える困難さを直接的な支援あるいは地域課題としての取り組みによって解決を図るための重要な機会である。
 委託相談支援事業所において、他機関と協議や調整を行う機会について尋ねたところ、「必要に応じて、本人・関係機関による個別支援会議、ケース会議を実施(不定期)」している事業所が71.6%を占めた。また、「地域自立支援協議会のなかで、具体的なケース検討を行っている」や「地域内の行政や相談支援事業所等の関係機関で、ケース検討を行うための会議を定期的に開催」している割合はともに37%程度を占めており、定期的な協議の場を設けている事業所も少なくない。
 また、地域自立支援協議会の活動内容を尋ねたところ、「地域情報や地域課題を公民で共有する場となっている」と回答した割合が最も高く、自治体、委託相談支援事業所ともに50%前後を占めた。また、「地域課題について、解決策を検討するための仕組みができている」と回答した割合は、自治体では31.0%、委託相談支援事業所では41.4%、「新たな政策提言や改善策等を検討し、提案する場となっている」と回答した割合は、自治体では28.6%、委託相談支援事業所では23.9%であった。この結果からは、地域自立支援協議会は情報共有や地域課題の検討機会として一定程度機能しているが、新たな政策提言や改善にまでつなげられている割合はまだ多くないことがわかる。
 一方、「地域自立支援協議会は未設置である」と回答した自治体は20.4%、「地域自立支援協議会は設置されているが、上記にあてはまる活動はしていない」と回答した自治体は12.1%であり、回答を得た自治体のうち約3分の1の自治体において地域自立支援協議会の設置・運営がうまく進んでいない実態が伺える。

 

(7)相談支援事業実施による効果と今後の課題

 委託相談支援事業所に対し相談支援事業実施による効果を尋ねたところ、「個別の支援を通じて、地域の他の関係機関とのネットワークが深まった」と回答した事業所が58.6%で最も多く、次いで「訪問等アウトリーチの活動により、ニーズの発見や掘り起こしが可能となった」(46.4%)の順となっている。
 ただし、「利用者の権利を守るために、民間ならではの取組ができるようになった」、「地域の障害に対する理解や権利擁護についての意識・実践が深まった」など、民間の立場からの利用者の権利擁護への取組や意識啓発等に関する効果を挙げている事業所はわずかであった。
 一方で、相談支援事業の今後の課題として感じていることの上位には、「個々の支援を通じた、関係機関の情報共有や連携、資源開発を深めていくこと」(60.6%)や「相談支援の質を高めていくこと」(48.6%)、「相談支援事業の人員確保等のための予算を確保すること」(42.4%)などが占めた。特に、委託相談支援事業所では予算確保が2 番目に位置しており、事業所運営や相談支援の質を担保する上での予算確保が切実な問題となっていることが伺える。

 相談支援事業の今後の課題の中で「特に課題と感じていること」について、直営および委託相談支援事業所に自由記述方式で尋ねたところ、226 件の回答が寄せられた。記載内容を分類すると、上位には「(人材を確保するための)予算(委託料)確保」が最も多く、次いで「相談支援の質向上」、「相談支援事業の周知」、「ニーズの掘り起こし」、「関係機関とのネットワーク」、「人材育成・確保」、「地域自立支援協議会の活用」などが挙げられている。
 ただし、「公民の連携」等に関連する意見の中には、委託相談支援事業所から『行政から何を委託されているのかはっきりしない』、『行政は窓口としての相談支援としか捉えていない』、『ともすればケースの丸投げや押し付け合いになる』など、自治体に対する不信感を表す回答も寄せられている。

 

2 市町村障害者相談支援事業の取り組み状況 ~自治体調査より

(1)市町村障害者相談支援事業の実施方法とメリット

 自治体調査では、市町村障害者相談支援事業の実施方法(直営、委託)と、実施方法別のメリットを尋ねた。

①市町村相談支援事業の実施体制

 回答のあった646 自治体の市町村相談支援事業の実施体制をみると、「指定相談支援事業所に委託」が66.6%、「直営と委託双方により実施」が17.6%、「自治体が直営で実施(委託は未実施)」が12.2%を占めていた。自治体が直営で実施しているのは、人口規模が3 万人未満の自治体で多くなっている。

②実施方法別のメリット

 自治体が直営で実施するメリットとしては、「窓口が1本化されることで包括的に対応でき、利用者にとって便利である」(55.0%)、「行政が行うことで中立公正性が保たれる」(46.1%)が主な回答であった。財政面での効率さや保健師等専門職による対応については、人口規模が小さい自治体ほど回答率が高くなっている。
 また、その他の記載内容をみると、「窓口が分かりやすい」、「情報が集まりやすい」、「相談者に安心感がある」、「相談と同時に必要な手続きを行うことができて効率的である」、「直接的に相談支援を行うことで地域での課題を把握しやすい」などの意見が寄せられている。

 一方、委託に関しては、「民間事業所に委託することで、専門性を活かした手厚い対応が可能となる」(71.5%)、「相談窓口が増えることで、利用者にとって選択の幅が広がる」(56.3%)などのメリットがあると考えている自治体が多い。
 なお、「行政機関だけでは保障できない利用者の権利の擁護が可能となる」は21.4%にとどまっており、相談支援事業の委託によって利用者の権利を擁護するという意識は高くはないことが伺える。

 

3 相談支援従事者の活動状況と意識 ~相談支援従事者調査より

(1)相談支援従事者の活動状況

 回答のあった694 人(直営158 人、委託536 人)の相談支援従事者が主担当として活動しているケース数をみると、10 件未満が22.8%、10~20 件未満が18.6%であり、0 件も含めると20件未満の割合が約半数を占める。勤務先(直営または委託事業所)別にみると、直営事業所勤務者では10 件未満が約半数を占め、平均でも19.9 件と、委託事業所勤務者平均40.9 件の半数程度にとどまっている。

 また、主担当として活動しているケースのうち、個別支援会議を行っている件数は、「5 件未満」30.8%、「5~10 件未満」20.2%であり、全体の平均では8.7 件にとどまっている。勤務先別 にみると、直営事業所勤務者では0 件が24.1%、「5 件未満」が35.4%を占めており、平均でも6.0 件であった。一方、委託事業所勤務者の平均は9.4 件となっている。

 上記のように、委託事業所に比べて直営事業所の回答者では主担当ケースや個別支援会議を開催しているケース数が少ない結果が出ているが、これは直営事業所が人口規模の小さい(人口3 万人未満)自治体に多いことも影響していると考えられる。

 相談支援業務を遂行する上で現在連携を取っている機関等をみると、上位には「障害福祉サービス事業所」や「市町村」、「他の相談支援事業所」、「医療機関」、「社会福祉協議会」などが挙げられている。勤務先別にみると、直営事業所勤務者では委託事業所勤務者に比べて「他の相談支援事業所」(直営61.4%、委託90.3%)や「地域自立支援協議会」(直営34.8%、委託61.4%)などと連携している割合が低くなっている。特に、地域自立支援協議会に関しては、地域における様々な課題を共有し解決に向けた検討を行う場として期待されていることから、直営事業所の積極的な参加が望まれる。

 

(2)現在の職場で行っている業務

 現在の職場で行っている業務内容を尋ねたところ、「個別ケースワークや生活支援」(83.4%)、「行政、関係機関との連絡調整や交渉」(82.0%)、「個別の訪問活動」(81.7%)、「個別支援会議の主催・参加」(79.8%)などが上位を占めた。勤務先別にみると、ほとんどの業務において直営事業所勤務者よりも委託事業所勤務者の回答割合が高くなっており、特に「個別支援計画の作成」や「直接生活支援」では大きな差が生じている。
 委託事業所勤務者のみの回答をみると、先に挙げた上位項目の他には「地域自立支援協議会への参加」(64.7%)、「地域のネットワーキングや資源開発」(50.6%)など関係機関と協働する機会や、「グループや地域への訪問活動」(51.1%)、「直接生活支援」(47.0%)などが続いている。

 

(3)最近1年間に行った相談支援

 最近1年間に行った相談支援活動の内容を尋ねたところ、相談支援事業所の回答と同様、制度やサービス、社会資源等に関する情報提供や相談などが上位を占めた。
 勤務先別にみると、「福祉サービス支給決定に関する相談・支援」については直営、委託ともに差はないが、「家族関係や対人関係に関する相談・支援」、「生活スキル等の社会生活力を高めるための相談・支援」、「自己理解や障害受容に関する相談・支援」、「遊び・余暇支援」、「調理、買い物、通院同行等の直接生活支援」などは、委託事業所勤務者に比べ直営事業所勤務者での実施率が低い。

 

(4)相談員の仕事をしていくうえで大切と考えること

 相談員の仕事をしていくうえで大切なことを3つまで選択してもらったところ、「相談者と信頼関係を結べること」(62.5%)が最も高く、次いで「自己決定、本人主体を意識していること」(53.2%)、「相談の内容を正しく聴き、理解できること」(48.7%)の順であった。
 また、その他に記載された内容をみると、相談支援従事者としての対応技術(抱え込まずにネットワークで支援する、相談者の思いを引き出す、寄り添う等)とともに、相談支援従事者自身のメンタルコントロールの必要性なども挙げられている。

 

(5)障害者の権利擁護のための取組

①障害者の権利擁護のための支援として行っていること

 障害者の権利擁護のための支援として行っていることでは、「利用者が、必要なときにいつでも相談できる体制をとっている」と回答した割合が最も高く68.9%を占めた。また、地域福祉権利擁護事業や成年後見制度の活用(利用援助)など関連事業の利用支援や、支援方針(「利用者から相談がない場合でも、必要と判断すれば支援に入る」「方針の選択にあたっては、本人意思を最優先させる」)などが上位を占めている。
 また、その他に記載された内容をみると、本人意思の尊重や代弁機能としての支援、その前段としてのコミュニケーション支援、本人や家族等への意識啓発活動などの他、直接生活支援やサービス等利用支援、関係機関との支援体制構築などが挙げられており、相談支援業務のほとんどの場面が障害者の権利擁護活動につながっていることが伺える。

②最近1年間に担当したケースの中で、利用者の権利が侵害されていると感じたこと
 最近1年間に担当したケースの中で、「利用者の権利が侵害されている」と感じたことの有無を尋ねたところ、回答者全体では45.1%が「ある」と回答していた。特に、委託事業所に勤務する回答者では半数以上が「ある」と回答している。
 相談支援事業所にも同様の質問をしているが、「ある」と回答した事業所の割合は15.0%にとどまっており、相談支援事業所と従事者間でも認識に大きな差がみられた。
 利用者の権利が侵害されていると感じたケースについて自由記述方式で概要記載を求めたところ、740 件余りの事例が寄せられた。
 記載内容を分類したところ、「経済面・金銭面に関する問題」(年金・預金が家族等に生活費として遣われる、訪問販売による被害等)が最も多く26.0%を占めていた。また、「福祉サービスに関する問題」(家族や支援者に都合のよい計画作成、地域資源の不足、制度上の利用制約等)や「虐待」(暴力・暴言、ネグレクト等)、「生活状況に関する問題」(外出させない・閉じこもっている、保護者の養育能力が低い等)などの事例が上位を占めた。また、就労や住まい、教育、交通など、生活全般にわたる分野において事例が報告されている。
 上記のように、年金等の搾取や暴力・ネグレクトなど見えやすい権利侵害事例が回答の中心を占めたものの、犯罪的な要素を含む事例から日常生活の中で本人意思が尊重されないような事例、各種制度運用によって本人が不利益を被っている事例など、障害者の権利が生活の様々な場面で侵害される危険性があることが読み取れる。
 また、回答者によっては金銭搾取や暴力・ネグレクトなど見えやすい事例だけでなく、気づきにくいことや、権利侵害に該当するのかどうか判断がつかない事例も寄せられており、障害者の権利侵害に対する相談支援従事者の意識にかなり幅があることが伺える。

③「権利擁護」という側面からみて、相談支援を行っていくうえで困難を感じること

 「権利擁護」という側面からみて、相談支援を行っていくうえで困難を感じることの有無を尋ねたところ、回答者の半数以上が「ある」と回答していた。特に、委託事業所勤務者では「困難を感じることがある」と回答した割合が6 割近くを占めている。

 困難さを感じることについて具体的に記述してもらったところ、235 件の回答が得られた。
内容分類を行ったところ、「本人と家族等支援者との意識・ニーズの相違」、「支援者の意識や対応スキル」、「家族による権利侵害」、「家庭への介入」、「本人の意思尊重」、「当事者本人の意識」等に関する困難さが上位を占めた。また、「地域資源の不足」や「制度運用」に関すること、虐待等の問題に介入するための「法的根拠」など、法制度面での困難さを指摘する意見も挙げられている。

 

(6)今後よりよい相談支援活動を行っていくうえで必要なこと

 相談支援活動を行っていくうえで必要と考えていることをみると、「個別支援を通じた地域のネットワーク力の強化」(78.8%)や「スーパーバイズを受ける機会の確保」(68.6%)、「個別事例を通じた研鑽機会の確保」(65.7%)、「医療、司法等の専門家・機関等から助言を受ける機会の確保」(65.4%)など、地域でのネットワークの強化やスーパーバイズ等の機会確保が上位を占めている。今後、地域自立支援協議会を通じた自治体や関係諸機関とのネットワークを強化し、地域全体で障害者を支える体制づくりが望まれていると考えられる。

 

Ⅰ-3 調査結果の詳細

1 相談支援事業の実施状況 ~相談支援事業所調査より

 

(1)職員体制

①相談員数(実人数)

 回答のあった654 相談支援事業所の相談員数(実人数)は、回答事業所全体の平均では3.4 人であった。内訳をみると、「1人」が22.0%、「2人」が23.9%であり、2人以下の少人数で運営している事業所が半数近くを占めている。
 直営・委託別にみると、平均相談員数は直営事業所では4.7人、委託事業所では3.0 人であり、委託事業所では相談員数が2人以下の割合は48.8%を占めていた。

図表1-1 相談員数(実人数)

 

図表 1-2 相談員数(実人数)

No.   回答事業所計 直営事業所 委託事業所
回答数 構成比% 回答数 構成比% 回答数 構成比%
1 1人 144 22.0% 37 19.2% 107 23.2%
2 2人 156 23.9% 38 19.7% 118 25.6%
3 3人 122 18.7% 35 18.1% 87 18.9%
4 4人 80 12.2% 27 14.0% 53 11.5%
5 5人以上 129 19.7% 50 25.9% 79 17.1%
  無回答 23 3.5% 6 3.1% 17 3.7%
  合計 654 100% 193 100% 461 100%
  平均 3.4 人 4.7 人 3.0 人

②相談員数(非正規職員、兼務者)

 相談員の中で、非正規職員数および他業務との兼務者数を尋ねたところ、回答事業所平均では非正規職員数は1.7 人(=相談員実人数の約半数)、兼務者は2.2 人(=相談員実人数の3 人に2 人の割合)であった。

図表 1-3 相談員数(非正規職員)、図表1-4 相談員数(兼務者)

 

  図表 1-5 相談員数(非正規職員)

No.   回答事業所計 直営事業所 委託事業所
回答数 構成比% 回答数 構成比% 回答数 構成比%
1 0人 71 10.9% 44 22.8% 27 5.9%
2 1人 112 17.1% 28 14.5% 84 18.2%
3 2人 36 5.5% 10 5.2% 26 5.6%
4 3人 31 4.7% 8 4.1% 23 5.0%
5 4人 18 2.8% 5 2.6% 13 2.8%
6 5人以上 16 2.4% 7 3.6% 9 2.0%
  無回答 370 56.6% 91 47.2% 279 60.5%
  合計 654 100% 193 100% 461 100%
  平均 1.7 人 1.6 人 1.7 人

 

  図表1-6 相談員数(兼務者)

No.   回答事業所計 直営事業所 委託事業所
回答数 構成比% 回答数 構成比% 回答数 構成比%
1 0人 37 5.7 11 5.7 26 5.6
2 1人 144 22.0 30 15.5 114 24.7
3 2人 85 13.0 28 14.5 57 12.4
4 3人 43 6.6 29 15.0 14 3.0
5 4人 30 4.6 20 10.4 10 2.2
6 5人以上 41 6.3 27 14.0 14 3.0
  無回答 274 41.9 48 24.9 226 49.0
  合計 654 100 193 100 461 100
  平均 2.2 人 3.6 人 1.7 人

 

③相談員の保有資格

相談員の保有している資格をみると、直営事業所と委託事業所では大きく異なっている。
 直営事業所に所属している相談員では、「保健師」が約半数を占めているのに対し、委託事業所に所属 している相談員では「社会福祉士」(56.6%)や「精神保健福祉士」(40.1%)などソーシャルワーカー資 格所有者が多い。

図表1-7 相談員の保有資格

 

  図表1-8 相談員の保有資格

No.   回答事業所計 直営事業所 委託事業所
回答数 構成比% 回答数 構成比% 回答数 構成比%
1 社会福祉士 305 46.6% 44 22.8% 261 56.6%
2 精神保健福祉士 234 35.8% 49 25.4% 185 40.1%
3 介護福祉士 127 19.4% 9 4.7% 118 25.6%
4 介護支援専門員 157 24.0% 32 16.6% 125 27.1%
5 保健師 106 16.2% 95 49.2% 11 2.4%
6 看護師 51 7.8% 27 14.0% 24 5.2%
7 臨床心理士 14 2.1% 1 0.5% 13 2.8%
8 理学療法士、作業療法士、言語聴覚士 9 1.4% 4 2.1% 5 1.1%
11 保育士 69 10.6% 10 5.2% 59 12.8%
12 社会福祉主事 205 31.3% 36 18.7% 169 36.7%
 13 その他 104 15.9% 40 20.7% 64 13.9%
  合計 654 100% 193 100% 461 100%

 

④障害当事者職員数

 障害当事者の職員がいる事業所は、全体では58 事業所(8.9%)であった。直営事業所では6事業所(3.1%)、委託事業所では52 事業所(11.3%)であり、障害当事者相談員のいる相談支援事業所は少ない状況となっている。

 

 図表1-9 障害当事者職員数

No.   回答事業所計 直営事業所 委託事業所
回答数 構成比% 回答数 構成比% 回答数 構成比%
1 0人 522 79.8% 160 82.9% 362 78.5%
2 1人 35 5.4% 3 1.6% 32 6.9%
3 2人以上 23 3.5% 3 1.6% 20 4.3%
  無回答 74 11.3% 27 14.0% 47 10.2%
  合計 654 100% 193 100% 461 100%
  平均 0.2 人 0.1 人 0.2 人

⑤相談支援専門員養成研修修了者

 相談支援専門員養成研修を修了した職員数を尋ねたところ、回答事業所全体の平均では2.0 人(相談員実人数の59%)であった。
 直営事業所では研修受講の義務はないため、「0 人」の事業所が40.9%を占めている。一方、委託事業所 の平均では2.2 人(相談員実人数の76%)が養成研修を修了していた。

図表1-10 相談支援専門員養成研修修了者

 

  図表1-11 相談支援専門員養成研修修了者

No.   回答事業所計 直営事業所 委託事業所
回答数 構成比% 回答数 構成比% 回答数 構成比%
1 0人 96 14.7% 79 40.9% 17 3.7%
2 1人 183 28.0% 38 19.7% 145 31.5%
3 2人 176 26.9% 27 14.0% 149 32.3%
4 3人以上 175 26.8% 34 17.6% 141 30.5%
  無回答 24 3.7% 15 7.8% 9 2.0%
  合計 654 100% 193 100% 461 100%
  平均 2.0 人 1.4 人 2.2 人

 

⑥区分認定調査の研修受講者数(委託事業所のみ)

 委託相談支援事業所の職員のうち、障害程度区分認定調査の研修を受講した人数を尋ねたところ、回答事業所の6 割以上に受講者がいると回答しており、委託相談支援事業所の平均では1.5 人となっていた。

 

 図表1-12 区分認定調査の研修受講者数

No.   回答数 構成比%
1 0 人 136 29.5%
2 1 人 105 22.8%
3 2 人 91 19.7%
4 3 人 55 11.9%
5 4 人以上 39 8.5%
  無回答 35 7.6%
  回答数 461 100%
  平均 1.5 人


図表1-12 区分認定調査の研修受講者数

 

⑦管理責任者のプロフィール(委託事業所のみ)

 委託相談支援事業所に対して管理責任者のプロフィールを尋ねたところ、「専門職」が58.4%で最も多い。「障害の当事者」や「障害のある当事者の保護者」の割合はわずかであった。

  図表1-13 管理責任者のプロフィール

No.   回答数 構成比%
1 専門職 269 58.4%
2 障害の当事者 5 1.1%
3 障害のある当事者の保護者 15 3.3%
4 一般行政職(経験者) 58 12.6%
5 その他 71 15.4%
  無回答 43 9.3%
  回答数 461 100%


図表1-13 管理責任者のプロフィール

 

⑧支給決定担当兼務者(直営事業所のみ)

 

 直営の相談支援事業所において、職員が支給決定の担当と兼務している人数を尋ねたところ、70%以上の事業所で支給決定担当の兼務者がいると回答しており、平均人数は1.8 人であった。

 図表1-14 支給決定担当兼務者

No.   回答数 構成比%
1 0 人 39 20.2%
2 1 人 71 36.8%
3 2 人 28 14.5%
4 3 人 43 22.3%
  無回答 12 6.2%
  回答数 193 100%
  平均 1.8 人


図表1-14 支給決定担当兼務者

 

(2)相談窓口の状況

①相談受付曜日

 回答事業所の相談受付曜日をみると、月曜日~金曜日まではほとんどの事業所で相談を受け付けているが、土曜日や日曜日に相談を受け付けている事業所は多くはないことがわかる。特に、直営の相談支援事業所では土曜日や日曜日に相談を受け付けている割合は10%未満であった。

 

 図表1-16 相談受付曜日

No.   回答事業所計 直営事業所 委託事業所
回答数 構成比% 回答数 構成比% 回答数 構成比%
1 日曜日 119 18.2% 9 4.7% 110 23.9%
2 月曜日 617 94.3% 187 96.9% 430 93.3%
3 火曜日 635 97.1% 189 97.9% 446 96.7%
4 水曜日 624 95.4% 189 97.9% 435 94.4%
5 木曜日 635 97.1% 189 97.9% 446 96.7%
6 金曜日 637 97.4% 189 97.9% 448 97.2%
7 土曜日 229 35.0% 15 7.8% 214 46.4%
  無回答 9 1.4% 4 2.1% 5 1.1%
  合計 654 100% 193 100% 461 100%


図表1-15 相談受付曜日

 

②相談受付時間

 相談受付が「24 時間対応」と回答した事業所は24.2%を占めた。ただし、この多くは委託相談支援事業所であり、直営事業所では9 事業所のみであった。

 図表1-18 24 時間対応

No.   回答事業所計 直営事業所 委託事業所
回答数 構成比% 回答数 構成比% 回答数 構成比%
1 24 時間対応である 158 24.2% 9 4.7% 149 32.3%
2 いいえ 496 75.8% 184 95.3% 312 67.7%
  合計 654 100% 193 100% 461 100%

図表1-17 24 時間対応

 相談受付時間は、朝8 時または9 時から夕方5 時~7 時頃までという事業所が多数を占めている。

 図表 1-19 相談受付開始時間

No.   回答事業所計 直営事業所 委託事業所
回答数 構成比% 回答数 構成比% 回答数 構成比%
  7時台 1 0.2 0 0.0 1 0.2
  8時台 63 9.6 23 11.9 40 8.7
  9時台 464 70.9 165 85.5 299 64.9
  10 時以降 35 5.4 0 0.0 35 7.5
  無回答 91 13.9 5 2.6 86 18.7
  合計 654 100 193 100 461 100

 

 図表 1-20 相談受付終了時間

No.   回答事業所計 直営事業所 委託事業所
回答数 構成比% 回答数 構成比% 回答数 構成比%
  16 時以前 3 0.5 0 0.0 3 0.7
  16~17 時台 353 54.0 145 75.1 208 45.1
  18~19 時台 182 27.8 41 21.2 141 30.6
  20 時以降 21 3.2 1 0.5 20 4.3
  無回答 95 14.5 6 3.1 89 19.3
  合計 654 100 193 100 461 100

 

③相談窓口の設置方法(直営事業所のみ)

 直営相談支援事業所の相談窓口の設置方法をみると、「障害分野単独で設置」している割合が60.6%を占めるが、「他の分野とあわせて設置」している事業所も34.2%を占めた。

  図表1-21 相談窓口の設置方法 図表1-22 窓口に併設している分野
No.   回答数 構成比% No.   回答数 構成比%
1 障害分野単独で設置 117 60.6% 1 児童 43 65.2%
2 他の分野とあわせて設置 66 34.2% 2 高齢 45 68.2%
  無回答 10 5.2% 3 その他 19 28.8%
  合計 193 100%   無回答 2 3.0%
          合計 66 100%

 

④相談窓口の設置場所、設置数(直営事業所のみ)

 直営の相談支援事業所が相談窓口を設置している場所は、「役所や出張所の中」が83.9%を占めており、「役所の外に設置」している割合は9.3%にとどまった。
 また、窓口の設置数は「1 か所」が68.9%を占めているが、「3 か所以上」設置していると回答した事業所も10.4%ほどみられた。

  図表1-21 相談窓口の設置方法   図表1-22 窓口に併設している分野
No.   回答数 構成比% No.   回答数 構成比%
1 役所(含出張所等)の中に設置 162 83.9% 1 1か所 133 68.9%
2 役所の外に設置 18 9.3% 2 2か所 12 6.2%
  無回答 13 6.7% 3 3か所以上 20 10.4%
  合計 193 100%   無回答 28 14.5%
          合計 193 100%
          平均 1.6 か所

 

⑤相談受付方法

 相談の受付方法をみると、「来所」「電話」「個別訪問」は多くの相談支援事業所で実施されているが、「FAX」や「Eメール」は50%程度、「グループ・地域訪問」は35%にとどまった。

 図表1-25 相談受付方法

No.   回答事業所計 直営事業所 委託事業所
回答数 構成比% 回答数 構成比% 回答数 構成比%
1 来所 647 98.9% 190 98.4% 457 99.1%
4 電話 635 97.1% 179 92.7% 456 98.9%
2 個別訪問 586 89.6% 149 77.2% 437 94.8%
5 FAX 330 50.5% 70 36.3% 260 56.4%
6 E メール 323 49.4% 62 32.1% 261 56.6%
3 グループ・地域訪問 232 35.5% 35 18.1% 197 42.7%
7 その他 41 6.3% 4 2.1% 37 8.0%
  無回答 6 0.9% 3 1.6% 3 0.7%
  合計 654 100 193 100 461 100

 

その他の記載内容
・病院や入所施設、作業所、生活介護などへ訪問
・通院・買い物等の同行支援
・外出先での面談やピアカウンセリング
・サロン活動を通じての相談
・身体障害者相談員または行政担当者と訪問
・手紙
・行政窓口での出張相談コーナーの設置。
・市町村巡回定期相談会(毎月 1 回)
・各市町への定期巡回

 

 

⑥相談の対象者

 多くの事業所では3障害当事者及び保護者や介護者などが相談の対象者となっている。
 また、「その他」に記載された内容をみると、障害当事者を支援する側である教育機関や行政、医療機関、福祉サービス事業所等の職員などからの相談や、手帳は所持していないが生活面で何らかの支障が出ている人、虐待が疑われる人など、幅広い対応をしている事業所もあることが伺える。

 

 図表 1-26 相談対象者

No.   回答事業所計 直営事業所 委託事業所
回答数 構成比% 回答数 構成比% 回答数 構成比%
1 身体障害者(児) 575 87.9% 185 95.9% 390 84.6%
2 知的障害者(児) 562 85.9% 184 95.3% 378 82.0%
3 精神障害者 546 83.5% 178 92.2% 368 79.8%
5 当事者の保護者や介護者、関係者 531 81.2% 169 87.6% 362 78.5%
4 高齢者 145 22.2% 54 28.0% 91 19.7%
6 その他 84 12.8% 12 6.2% 72 15.6%
  無回答 12 1.8% 5 2.6% 7 1.5%
  合計 654 100% 193 100% 461 100%

 

 「その他」の記載内容(主なもの)

◇支援者、関係機関 ◇障害当事者等
・養護学校教員
・他施設の職員等
・行政・病院等関係者
・民生児童委員
・HP ワーカー、ハローワーク等職員
・発達障害児(者)
・精神を兼ねる身体・知的障害者
・高次脳機能障害者
・虐待が疑われる児
・手帳を所持してはいないが、発達障害があるのではと思われる人
・特に診断なく手帳ももっていない方
・障害が疑われ、生活面で何らかの支障が出ている方
・高齢者の場合、介護保険優先の原則のもと、相談に応じる

 

(3)相談活動の実績(平成19 年度)

①相談実人数

 平成19 年度の相談実人数を尋ねたところ、回答事業所全体の平均では268 人※であったが、「50 人未満」も19.6%を占めるなど、事業所により大きくバラツキがみられた。

 ※相談人数のカウント方式が自治体ごとに異なっている可能性があるため、ここでは回答のうち上位3%を除く平均値で示した。

 

 図表1-28 相談実人数(平成19 年度)

No.   回答事業所計 直営事業所 委託事業所
回答数 構成比% 回答数 構成比% 回答数 構成比%
1 50 人未満 128 19.6% 59 30.6% 69 15.0%
2 100 人未満 105 16.1% 14 7.3% 91 19.7%
3 200 人未満 112 17.1% 21 10.9% 91 19.7%
4 500 人未満 86 13.1% 24 12.4% 62 13.4%
5 1000 人未満 38 5.8% 7 3.6% 31 6.7%
6 1000 人以上 55 8.4% 16 8.3% 39 8.5%
  無回答 130 19.9% 52 26.9% 78 16.9%
  合計 654 100% 193 100% 461 100%
  平均 268 人 248 人 285 人
  職人1人あたり 83.2 人 77.6 人 96.9 人

 ※回答数のうち上位3%を除く平均値である。


図表1-27 相談実人数(平成19 年度)

 

②相談件数(委託事業所のみ)

 委託相談支援事業所に対して、相談方法別の相談件数を尋ねたところ、「電話」による相談が最も多く、次いで「来所」「個別訪問」の順となっていた。

 図表1-29 相談方法別の相談件数

  来所 個別訪問 グループ 電話 FAX E メール その他
0 件 0.2% 1.1% 18.2% 0.7% 23.4% 20.8% 6.3%
~50 件未満 16.7% 15.8% 17.6% 6.3% 12.8% 15.8% 7.2%
~100 件未満 12.8% 7.6% 2.8% 6.5% 1.3% 1.7% 3.3%
~200 件未満 13.9% 19.3% 2.6% 8.0% 1.1% 2.0% 3.7%
~500 件未満 22.3% 22.3% 1.3% 19.1% 0.9% 2.2% 3.7%
~1000 件未満 10.4% 13.0% 0.9% 14.1% 0.2% 0.4% 2.0%
1000 件以上 9.8% 4.8% 0.2% 30.6% 0.0% 0.0% 2.0%
無回答 13.9% 16.1% 56.4% 14.8% 60.3% 57.0% 72.0%
回答数 461 461 461 461 461 461 461
平均件数 446 件 317 件 52 件 1,168 件 22 件 38 件 254 件

 

③相談経路の内訳(委託事業所のみ)

 委託相談支援事業所における相談経路の平均割合をみると、「障害の本人から」が32.3%で最も多く、次いで「家族から」(22.7%)、「行政から」(16.2%)、「福祉関係機関から」(12.6%)、「医療機関から」(7.8%)の順となっている。
 その他に記載された内容をみると、(特別支援)学校等の教育関係機関、就労先企業やハローワーク等の就労関係機関のほか、地域住民組織や親の会、友人・知人など様々な経路で相談が寄せられている事業所もみられた。

 図表 1-30 相談経路

  障害の
本人から
家族から 行政から 福祉関係
機関から
医療機関
から
その他
0 割 0.0% 0.0% 0.0% 0.0% 0.0% 0.0%
~3 割 44.7% 62.9% 68.3% 72.0% 60.7% 25.6%
4~6 割 23.1% 12.8% 8.2% 2.8% 0.2% 0.9%
7~9 割 14.2% 4.8% 1.7% 0.4% 0.2% 0.2%
10 割 0.2% 0.7% 0.0% 0.2% 0.0% 0.0%
無回答 17.9% 18.9% 21.7% 24.5% 38.8% 73.3%
回答数 461 461 461 461 461 461
平均割合 32.3% 22.7% 16.2% 12.6% 7.8% 8.4%

 

 その他の記載内容

関係機関等 関係者等
学校、教育事務所
特別支援学校、保育園等
障がい児親の会等から
こども家庭センター
就労先企業、派遣会社等、ハローワーク
別の相談機関
警察
民生委員、自治会、近隣住民等
地域ネットワーク委員、地域ボランティア
知人、友人など
市議会議員
他の利用者の家族
当事者からの紹介

 

④利用者の傾向

 相談支援事業所の利用者の属性について平均割合をみると、「障害当事者」が約6 割、「障害当事者以外」が約4 割を占めている。
 また、相談の対象となった障害当事者の年齢分布では、「18 歳未満」が17.5%、「18~39 歳」「40~64 歳」が各々34~37%、「65 歳以上」が11.9%を占めていた。

 

(4)市町村からの委託内容

①平成 20 年度に受託している市町村相談支援事業の内容(委託事業所のみ)

 委託相談支援事業所が市町村から受託している事業内容をみると、「市町村障害者相談支援事業」はほとんどの事業所で受託しているが、「市町村相談支援機能強化事業」や「住居入居等支援事業(居住サポート事業)」などを受託していると回答した事業所は少なかった。

No.   回答数 構成比%
1 市町村障害者相談支援事業 437 94.8%
2 市町村相談支援機能強化事業 127 27.5%
3 住居入居等支援事業(居住サポート事業) 75 16.3%
4 成年後見制度利用支援事業 33 7.2%
5 その他 20 4.3%
  無回答 11 2.4%
  回答数 461 100%

図表1-33 受託している市町村相談支援事業の内容

 

②市町村障害者相談支援事業受託の対象となる範囲(圏域)

 委託相談支援事業所が受託している市町村障害者相談支援事業の範囲(圏域)をみると、「事業所が所在する単一市区町村」が39.3%、「複数市区町村」が35.6%であった。

No.   回答数 構成比%
1 事業所が所在する単一市区町村 181 39.3%
2 複数市区町村 164 35.6%
  無回答 116 25.2%
  回答数 461 100%

図表1-34 市町村相談支援事業の対象範囲(圏域)

 

(5)最近1年間に行った相談支援にかかわる活動

 過去1年間に行った相談支援にかかわる活動では「制度やサービス内容、利用方法に関する情報提供や助言」(72.3%)、「福祉制度やサービス利用に関する相談・支援」(68.5%)、「専門機関や地域の社会資源に関する情報提供や助言」(67.3%)など、制度やサービス、社会資源に関する情報提供等が上位を占めた。これらの実施割合は特に直営事業所で高い。また、「福祉サービス支給決定に関する相談・支援」や「施設や病院への入所・入院の支援」なども委託事業所に比べて直営事業所での実施割合が高い。
 一方、直営事業所に比べて委託事業所の実施率が高いものは、「生活スキル等の社会生活力を高めるための支援」「遊び・余暇支援」「調理、買い物等直接生活支援」など生活する上で基礎的な面に対する支援や、「地域住民、関係機関に対する障害に対する理解促進を図るための普及啓発」「地域住民ボランティアの育成」など地域づくりに関連するものが多い。

 

 図表 1-35 最近1年間に行った相談支援にかかわる活動(その1)

No.   回答事業所計 直営事業所 委託事業所
回答数 構成比% 回答数 構成比% 回答数 構成比%
1 制度やサービス内容、利用方法に関する情報提供や助言 473 72.3% 179 92.7% 294 63.8%
9 福祉制度やサービス利用に関する相談・支援 448 68.5% 172 89.1% 276 59.9%
2 専門機関や地域の社会資源に関する情報提供や助言 440 67.3% 158 81.9% 282 61.2%
4 家族関係や対人関係に関する相談・支援 416 63.6% 128 66.3% 288 62.5%
8 福祉サービス支給決定に関する相談・支援 413 63.1% 170 88.1% 243 52.7%
15 就労に関する相談・支援 389 59.5% 138 71.5% 251 54.4%
23 施設や病院への入所・入院の支援 351 53.7% 140 72.5% 211 45.8%
21 医療・健康管理相談(適切な医療等につなげる支援) 335 51.2% 104 53.9% 231 50.1%
5 生活スキル等の社会生活力を高めるための相談・支援 328 50.2% 86 44.6% 242 52.5%
24 施設や病院からの退所・退院後の地域生活を整える支援 319 48.8% 112 58.0% 207 44.9%
33 個別支援に関するネットワークの構築・維持・改善 294 45.0% 84 43.5% 210 45.6%
3 自己理解や障害受容に関する相談・支援 287 43.9% 81 42.0% 206 44.7%
17 住まいの確保にかかわる相談・支援 275 42.0% 91 47.2% 184 39.9%
19 経済的困窮や多重債務相談への対応 259 39.6% 86 44.6% 173 37.5%
22 遊び・余暇支援 259 39.6% 60 31.1% 199 43.2%
37 地域自立支援協議会の運営に対する支援及び各専門部会の運営 250 38.2% 72 37.3% 178 38.6%
  回答数 654 100% 193 100% 461 100%

 

図表 1-35 最近1年間に行った相談支援にかかわる活動(その2)

No.   回答事業所計 直営事業所 委託事業所
回答数 構成比% 回答数 構成比% 回答数 構成比%
11 福祉サービス利用にかかわる事業者等への苦情への対応 225 34.4% 85 44.0% 140 30.4%
7 自己決定や意思表明の手続確保のための支援 219 33.5% 65 33.7% 154 33.4%
13 就園・就学に関する相談・支援 219 33.5% 89 46.1% 130 28.2%
34 地域住民、関係機関に対する障害に対する理解促進を図るための普及啓発 211 32.3% 49 25.4% 162 35.1%
39 自治体の障害者計画等の策定・進行管理への参画 187 28.6% 71 36.8% 116 25.2%
12 調理、買い物等の直接生活支援 168 25.7% 39 20.2% 129 28.0%
26 家族や関係者による放置、養育拒否、問題の無視への対応 146 22.3% 57 29.5% 89 19.3%
27 家族や関係者による年金の使い込み等の経済的虐待への対応 131 20.0% 40 20.7% 91 19.7%
10 認定審査や支給決定に対する苦情や異議申し立てへの対応 130 19.9% 65 33.7% 65 14.1%
18 住まいの確保にかかわる困難さや差別への対応 127 19.4% 27 14.0% 100 21.7%
35 地域住民ボランティア等の育成 127 19.4% 26 13.5% 101 21.9%
28 家族や関係者による身体的暴力への対応 120 18.3% 45 23.3% 75 16.3%
16 卒業後の進路、就職に際しての不本意な選択への対応 112 17.1% 42 21.8% 70 15.2%
30 家族や関係者による心理的虐待への対応 112 17.1% 35 18.1% 77 16.7%
31 地域住民による差別や偏見に対する対応 109 16.7% 39 20.2% 70 15.2%
6 ピア・カウンセリング 104 15.9% 20 10.4% 84 18.2%
36 障害のある人と地域住民との共同作業・体験の機会づくり 104 15.9% 23 11.9% 81 17.6%
20 詐欺等の消費者被害への対応 103 15.7% 28 14.5% 75 16.3%
25 本人が容疑者になるなど、何か事件(トラブル)を起こした時の支援 103 15.7% 35 18.1% 68 14.8%
38 指定相談支援事業者に対する専門的な指導、助言等 90 13.8% 37 19.2% 53 11.5%
14 保育所、幼稚園、学校等の進路選択における不本意な選択への対応 66 10.1% 21 10.9% 45 9.8%
32 関係者・機関や行政による差別や偏見に対する対応 61 9.3% 12 6.2% 49 10.6%
29 家族や関係者による性的虐待への対応 44 6.7% 18 9.3% 26 5.6%
  無回答 123 18.8% 9 4.7% 114 24.7%
  合計 654 100% 193 100% 461 100%

 

 「その他の活動」記載内容

障害者団体連絡協議会事務局/障がいを持つ親の会、窓口/相談支援事業所連絡会(毎月)
コミュニケーションの支援/コミュニケーション支援(手話通訳や要約筆記)の利用をすすめるための支援
在宅の障害者で家に閉じこもりがちな方の社会参加を支援/生活スキル向上の為の教室開催(パソコン教室)/障害者が気軽に話し合える場所の提供と支援(ピアサロンの開催)
ピアサロン活動
発達障がい児の家庭生活に対する療育的相談、アドバイス等
当事者のボランティア育成
9 名のスタッフの内7 名が障害者ケアマネジメント従事者または相談支援従事者で、また6 名が身体に障害をもつ者で、障害者が抱えるさまざまな悩みや問題を共有し「同じ仲間」「対等な立場」でサポートしているのが特徴です。また、各障害別(肢体、視覚、聴覚など)の勤務体制(曜日の設定)を行い、障害別に相談が受けやすい体制を常時模索し、精神的なフォローと解決への支援を行うと同時に、○○町においても社会福祉センターの会議室を借用し、毎週金曜日の午後に○○町在住のピアサポーター等4 名体制で出張相談を行っています。
小学校に特別支援学級設置の希望があり、相談者である障がい児の保護者、学校、行政等と協力して設置が実現できた。(就学前児童が対象)
市直営事業所の新体系移行計画策定について/市直営事業所利用者のケアプラン作成、ケアマネジメント
市内知的障害関係事業所の指定相談事業受託実施している各相談員とのネットワークによる専門相談員等の実施
両親の高齢化に伴い、身上監護、財産管理など成年後見人制度の利用について、身近な弁護士を紹介
精神障害者生活支援事業(デイケア)/臨床心理士相談
当事者活動支援
障害者社会参加促進事業、生活訓練事業当事者によるパソコン活用出来るように訓練指導等による生活の質の向上を図り、社会復帰を促進する。
自立支援協議会設立にむけての話し合い。市内委託相談支援事業所間話し合い。
サービス事業所人材確保に関する相談/サービス事業所事業展開に関する相談/地域ネットワークの構築に関する相談
主に精神の人で行き場所のない人を中心に「ドロップイン」の場(茶話会や、小集団、実習何もしない)として20~30人位が毎日出入りしています。
相談支援事業者の連絡会、スキルアップ研修/相談機関関係者(行政、施設、ハローワーク等)への窓口での相談対応についての研修会/障害者相談員と民生委員との連携体制の構築を目的とした研修会
当事業以外にヘルパー派遣事業を行うことで自閉症児童や視覚障害者の相談及びヘルパー派遣で困ったとき所長が移動支援や居宅介護支援(通院を含む)を必要に応じてヘルパーとして対応している。
(発達や教育に)障害が疑われる幼児と家族のための遊びの教室→児童ディサービス等につなげていく。/家族や関係者に対する障害理解を図るための支援(勉強会)

 

(6)障害者の権利擁護のための支援として行っていること

 障害者の権利擁護のための支援として行っていることを尋ねたところ、「利用者が必要なときに、いつでも相談できる体制がとられている」と回答した事業所が48.0%を占めた。また、「必要に応じて、地域福祉権利擁護事業の利用援助を行う」(44.8%)や「必要に応じて、成年後見制度の活用(利用援助)を行う」(42.8%)など関連事業の利用支援に関する事項も上位を占めており、特に直営事業所の回答率が高くなっている。
 一方、支援の方針や方法に関しては、「方針の選択にあたっては、本人意思を最優先させる」(44.2%)、「必要と判断すれば、利用者からの相談の有無にかかわらず介入していく」(38.4%)などが上位を占めるが、回答率は決して高くはない。また、「障害のある本人が有する権利について、本人を啓発していく」や「障害のある本人が有する権利について、地域住民や関係機関を啓発していく」など障害者の権利啓発に関する活動を行っている事業所は30%を下回っている。

 図表 1-36 障害者の権利擁護のための支援として行っていること

No.   回答事業所計 直営事業所 委託事業所
回答数 構成比% 回答数 構成比% 回答数 構成比%
1 利用者が必要な時に、いつでも相談できる体制がとられている 314 48.0% 102 52.8% 212 46.0%
7 必要に応じて、地域福祉権利擁護事業の利用援助を行う 293 44.8% 100 51.8% 193 41.9%
5 方針の選択にあたっては、本人意思を最優先させる 289 44.2% 92 47.7% 197 42.7%
6 必要に応じて、成年後見制度の活用(利用援助)を行う 280 42.8% 101 52.3% 179 38.8%
2 必要と判断すれば、利用者からの相談の有無にかかわらず介入していく 251 38.4% 63 32.6% 188 40.8%
11 地域全体の理解促進や社会資源の開発に向けて地域自立支援協議会を活用する 203 31.0% 55 28.5% 148 32.1%
8 行政等と本人との間で見解の相違が発生した時には、本人の側にたって支援する 185 28.3% 39 20.2% 146 31.7%
10 本人の生活課題の解決や希望する生活のために地域の社会資源を開発する 179 27.4% 46 23.8% 133 28.9%
3 障害のある本人が有する権利について、本人を啓発していく 172 26.3% 46 23.8% 126 27.3%
9 本人が有する権利について、地域住民や関係機関を啓発していく 145 22.2% 31 16.1% 114 24.7%
4 必要に応じて相談のためのコミュニケーションAID を用意している 41 6.3% 7 3.6% 34 7.4%
  無回答 162 24.8% 12 6.2% 150 32.5%
  回答数 654 100% 193 100% 461 100%

 

(7)相談支援の質を高めるための取組

①相談員として大切なこと(3つまで選択)

 相談支援事業所の管理者からみて相談員として大切なことを尋ねたところ、「相談の内容を正しく聞き、理解できること」(51.8%)や「相談者と信頼関係を結べること」(46.3%)が上位を占めた。
 直営・委託別にみると、直営事業所では委託事業所に比べて「適切な指導・助言ができること」を重視している割合が高く、委託事業所では「自己決定、本人主体を意識していること」や「相談の背後にある環境や関係性を分析できること」を重要視している割合が高い。

 図表 1-37 相談員として大切なこと(3つまで選択)

No.   回答事業所計 直営事業所 委託事業所
回答数 構成比% 回答数 構成比% 回答数 構成比%
1 相談の内容を正しく聴き、理解できること 339 51.8% 110 57.0% 229 49.7%
4 相談者と信頼関係を結べること 303 46.3% 110 57.0% 193 41.9%
5 自己決定、本人主体を意識していること 264 40.4% 36 18.7% 228 49.5%
6 相談の背後にある環境や関係性を分析できること 227 34.7% 47 24.4% 180 39.0%
8 適切な指導・助言ができること 205 31.3% 76 39.4% 129 28.0%
9 福祉制度等必要な法律・制度に関する知識を有していること 182 27.8% 61 31.6% 121 26.2%
2 相談の内容を共感的に受け止められること 155 23.7% 23 11.9% 132 28.6%
3 相談者の話を引き出せること 153 23.4% 42 21.8% 111 24.1%
7 適切な機関が紹介できること 127 19.4% 26 13.5% 101 21.9%
11 障害種別ごとの専門知識を有していること 114 17.4% 29 15.0% 85 18.4%
10 障害種別ごとのサービス提供経験を有していること 65 9.9% 3 1.6% 62 13.4%
12 専門資格を保有していること 13 2.0% 3 1.6% 10 2.2%
13 その他 16 2.4% 2 1.0% 14 3.0%
  無回答 73 11.2% 6 3.1% 67 14.5%
  回答数 654 100% 193 100% 461 100%

 

 「その他」の記載内容

相談員自身の視点など 対応技術など
・本人が今どのような状態になっているのか、多角的な視点で見立てる事。
・人として同じ立場で話が聞けること
・出会った相談にはそれがどんな相談でも誠実にお応えする
・障害のある人のくらしに接した経験とそこからの疑問も持てるような自分なりの考えがあること
・人権思想
・相談者自身の健康な体、危機管理。
・モニタリング
・足でかせぐこと。スピード。
・正しい対応方法ができること
・資格に関係なく、経験を有するものの相談がより効果的。
・実務経験
・地域や関係機関への説明コーディネイト能力
・すべての分野における広い知識を関係機関とのネットワークをもっていること
・関係機関と連携していくための手法を持っていること
・個別ケースに必要な社会資源の開拓。

 

②相談の質を高めるために事業所内で行っていること(委託事業所のみ)

 委託相談支援事業所において、相談の質を高めるために事業所内で行っていることを尋ねたところ、「所内でのカンファレンスを実施している」(45.6%)や「必要に応じて、所外の他の専門職(ドクター、臨床心理士等)の助言を受けられる」(38.0%)、「管理職によるスーパーバイズを実施している」(25.2%)などが上位を占めた。
 一方で、「相談支援業務に関する手引きや心得等を作成している」や「障害当事者、家族、地域住民等を交えた、相談事業の評価を行っている」は各々10%程度の実施率にとどまっている。

図表1-38 相談の質を高めるために事業所内で行っていること

No.   回答数 構成比%
1 所内でのカンファレンスを実施している 210 45.6%
3 必要に応じて、所外の他の専門職(ドクター、臨床心理士等)の助言を受けられる 175 38.0%
2 管理職によるスーパーバイズを実施している 116 25.2%
4 相談支援業務に関する手引きや心得等を作成している 60 13.0%
5 相談支援者による権利侵害に関するひやり・はっと事例の収集や検証を行っている 55 11.9%
6 障害当事者、家族、地域住民等を交えた、相談事業の評価を行っている 46 10.0%
7 その他 42 9.1%
  無回答 143 31.0%
  回答数 461 100%


図表1-38 相談の質を高めるために事業所内で行っていること

 

その他の記載内容

(研修会、勉強会等への参加)
・研修会等への参加
・県研修、他事業所との事例検討
・法人内生活支援センターの連絡調整会議やケアプラン学習会の実施
・県内相談従事者間の研鑽を常時連携して実施
(業務運営面)
・報告・相談を徹底し、適宜、問題点の整理や意見交換を行っている。
・所内の会議等で相談支援に関するスケジュール、実績報告等の実施
・どんなささいなケースでもチームアプローチを心掛けている
・絶えず事業所訪問を行っている
・人事考課
(仕組みとして)
・支援センター運営協議会を設置
・委託機関への自己評価シートの提出
・市内のコーディネーターの連絡会等の活用
・県内で相談支援事業のネットワークを作っている
・自立支援協議会での研修を受けている
・自立支援協議会の専門部門で事例検討会議や情報共有、地域ネットワーク構築を行っている
・自立支援協議会への活動報告
・圏域内外の相談支援事業所との定例会
・自立支援協議会の中に相談支援部会を設け活用している

 

③他機関と協議や調整を行う機会(委託事業所のみ)

 委託相談支援事業所において、他機関と協議や調整を行う機会について尋ねたところ、「必要に応じて、本人・関係機関による個別支援会議、ケース会議を実施(不定期)」している事業所が71.6%を占めた。また、「地域自立支援協議会のなかで、具体的なケース検討を行っている」や「地域内の行政や相談支援事業所等の関係機関で、ケース検討を行うための会議を定期的に開催」している割合はともに37%程度を占めた。

図表1-39 他機関と協議や調整を行う機会

No.   回答数 構成比%
1 必要に応じて、本人・関係機関による個別支援会議、ケース会議を実施(不定期) 330 71.6%
3 地域自立支援協議会のなかで、具体的なケース検討を行っている 172 37.3%
2 地域内の行政や相談支援事業所等の関係機関で、ケース検討を行うための会議を定期的に開催 171 37.1%
4 その他 17 3.7%
  無回答 100 21.7%
  回答数 461 100%


図表1-39

その他の記載内容
・区内で、事例検討、ケース検討、勉強会等を定期的に行なっている。
・定期連絡会・ホームヘルプ会議でケース検討会議。
・事業所(サービス提供)連絡会を定期的に実施
・地域福祉ネットワーク会議。
・圏域連絡会・ワーカー連絡会等での事例検討。
・障害者生活支援連絡会議・就労支援ネットワーク会議
・地域自立支援協議会に出席している
・委託相談事業者間で定期的なケース検討、情報交換を行う
・研修会やケースカンファレンス(事例検討会)での話し合いの場
・県の相談支援専門員の研修を受けた有志で作っている
勉強会にて定期的課題や現状を話し合っている。→青森県障害者ケアマネジメント研修会
・定期的にケース会議を実施
・市内支援センター連絡会
・市役所に相談員を派遣しており保健師等、他職種とは日常的に協議
・市町村定期巡回相談会にて個別支援会議(困難事例等)も実施
・研修会の開催
・市内のコーディネーター連絡会等の部会での検討

 

④終結についての基準(委託事業所のみ)

 相談支援ケースの終結について、「一定の基準や考え方を設けている」と回答した委託相談支援事業所は8.5%にとどまり、「特に設けていない(ケースバイケース)」が60.5%を占めた。

 図表 1-40 終結に関する基準

No.   回答数 構成比%
1 一定の基準や考え方を設けている 39 8.5%
2 特に設けていない(ケースバイケース) 279 60.5%
  無回答 143 31.0%
  回答数 461 100%


図表 1-40 終結に関する基準

 

 終結の基準や考え方の具体的な内容としては、対象者の死亡や転居、入所施設への入所などによる場合のほか、以下のような回答が寄せられた。

(終結の基準や考え方について)
サービス事業所等、生活基準を支える人や機関が整い、当事者自身がマネジメントなどが出来るくらいにエンパワメントが高まったときに「一旦終結」とし、1~3ヶ月のモニタリングを待ち、問題なければ終結としている。
新規にサービス利用を希望されるケースは、必要なサービス事業所を一緒に探し、事業所につながれば、2~3ヶ月の見守り、調整を終え、終結するようにしている。困難事例や、サービス事業所担当者等関係づくりに時間を要する場合は6 ヶ月~1 年の経過をみて問題なければ終結としている。目標に沿っていきある程度ゴールに達成すれば一旦終結するようにしている。
当初の生活課題等がある程度解決し、目的を達成したと判断したときに、終結にしている。
相談にいたった具体的内容が一定の解決となり、その他継続的支援が特に必要ない、あるいは何かあった時、当事者または家族よりヘルプが入ると判断した時は「済みケース」としている。
(判定方法について)
支援経過を全員分確認する会議において終結を決めている
委託相談事業所の定例会(月1回)において検討している
支援チームにおいて、全員一致で解散してもよいという結論にいたった時
終結に当たって検討会を行っている。本人にそれでよいか確認し、いつでも再会できることを伝えている。
引っ越し等では終結とはしない。当事者が「死亡」した時でも周囲に問題が残れば終結とはしない。

 

⑤相談支援業務の評価に関する基準等

 

 相談支援業務の評価に関する基準等について、「基準や尺度を設けている」と回答した自治体は5 自治体(0.8%)、委託相談支援事業所は18 事業所(3.9%)にとどまっている。逆に、「特に設けていない(今後も予定はない)」と回答した割合は、自治体では79.9%、委託相談支援事業所では43.8%を占めた。

 図表1-41 相談支援業務の評価基準

No.   自治体 委託事業所
回答数 構成比% 回答数 構成比%
1 基準や尺度を設けている 5 0.8% 18 3.9%
2 現在検討中、今後作成予定 113 17.5% 169 36.7%
3 特に設けていない(今後も予定はない) 516 79.9% 202 43.8%
  無回答 12 1.9% 72 15.6%
  合計 646 100% 461 100%

図表1-41 相談支援業務の評価基準

 

⑥地域自立支援協議会の活動内容

 地域自立支援協議会の活動内容を尋ねたところ、「地域情報や地域課題を公民で共有する場となっている」と回答した割合が最も高く、自治体、委託相談支援事業所ともに50%前後を占めた。
また、「地域課題について、解決策を検討するための仕組みができている」と回答した割合も、自治体では31.0%、委託相談支援事業所では41.4%を占めた。
 一方、「地域自立支援協議会は未設置である」と回答した自治体は20.4%、「地域自立支援協議会は設置されているが、上記にあてはまる活動はしていない」と回答した自治体は12.1%であり、回答を得た自治体のうち約3分の1の自治体において地域自立支援協議会の設置・運営がうまく進んでいない実態が伺える。

 図表1-42 地域自立支援協議会の活動内容

No.   自治体 委託事業所
回答数 構成比% 回答数 構成比%
1 地域情報や地域課題を公民で共有する場となっている 359 55.6% 221 47.9%
2 地域課題について、解決策を検討するための仕組みができている 200 31.0% 191 41.4%
3 権利擁護にかかわる課題について検討する場が設けられている 83 12.8% 115 24.9%
4 相談支援にかかわる人材育成について検討する場が設けられている 46 7.1% 47 10.2%
5 新たな政策提言や改善策等を検討し、提案する場となっている 185 28.6% 110 23.9%
6 地域自立支援協議会は設置されているが、上記にあてはまる活動はしていない 78 12.1% 38 8.2%
7 地域自立支援協議会は未設置である 132 20.4% 52 11.3%
  無回答 22 3.4% 30 6.5%
  合計 646 100% 461 100%

図表1-42 地域自立支援協議会の活動内容

 

(8)相談支援事業実施による効果と今後の課題

① 効果(委託事業所のみ)

 委託相談支援事業所に対し相談支援事業実施による効果を尋ねたところ、「個別の支援を通じて、地域の他の関係機関とのネットワークが深まった」と回答した事業所が58.6%で最も多く、次いで「訪問等アウトリーチの活動により、ニーズの発見や掘り起こしが可能となった」(46.4%)の順となっている。
 ただし、「利用者の権利を守るために、民間ならではの取組ができるようになった」、「地域の障害に対する理解や権利擁護についての意識・実践が深まった」など、民間の立場からの利用者の権利擁護への取組や意識啓発等に関する効果を挙げている事業所はわずかであった。

 図表 1-43 相談支援事業実施による効果

    回答数 構成比%
5 個別の支援を通じて、地域の他の関連機関とのネットワークが深まった 270 58.6%
2 訪問等アウトリーチの活動により、ニーズの発見や掘り起こしが可能となった 214 46.4%
1 窓口対応(開設時間等)が広がることで、利用者の利便性が高まった 168 36.4%
8 相談支援事業を通じた公民の連携・協働が深まった 143 31.0%
3 相談支援事業が、当事者や地域に理解・認知されるようになった 139 30.2%
4 相談支援事業の重要性についての認識が公民で共有できた 68 14.8%
6 個別の支援を通じて、新たな社会資源の開発や改善が進んだ 53 11.5%
7 利用者の権利を守るために、民間ならではの取組ができるようになった 34 7.4%
9 地域の障害に対する理解や権利擁護についての意識・実践が深まった 18 3.9%
10 その他 2 0.4%
  無回答 30 6.5%
  回答数 461 100%

図表 1-43

 

②今後の課題と感じていること

 相談支援事業の今後の課題として感じていることの上位には、「個々の支援を通じた、関係機関の情報共有や連携、資源開発を深めていくこと」(60.6%)や「相談支援の質を高めていくこと」(48.6%)、「相談支援事業の人員確保等のための予算を確保すること」(42.4%)などが占めた。
 特に、委託相談支援事業所では予算確保が2 番目に位置しており、事業所運営や相談支援の質を担保する上での予算確保が切実な問題となっていることが伺える。

 

 図表 1-44 相談支援事業の今後の課題

No.   回答事業所計 直営事業所 委託事業所
回答数 構成比% 回答数 構成比% 回答数 構成比%
5 個々の支援を通じた、関係機関の情報共有や連携、資源開発を深めていくこと 396 60.6% 126 65.3% 270 58.6%
7 相談支援の質を高めていくこと 318 48.6% 129 66.8% 189 41.0%
9 相談支援事業の人員確保等のための予算を確保すること 277 42.4% 73 37.8% 204 44.3%
2 個別あるいはグループ訪問を進め、相談ニーズを掘り起こしていくこと 225 34.4% 63 32.6% 162 35.1%
4 相談支援の意義や重要性について、公民で認識を共有していくこと 205 31.3% 79 40.9% 126 27.3%
6 権利擁護の取組推進に向けて、地域自立支援協議会を活用していくこと 167 25.5% 47 24.4% 120 26.0%
6 権利擁護の取組推進に向けて、地域自立支援協議会を活用していくこと 167 25.5% 47 24.4% 120 26.0%
3 相談支援事業の内容(委託の仕様書)を、当事者や相談支援事業所の参画により充実させていくこと 147 22.5% 48 24.9% 99 21.5%
1 窓口対応時間帯・曜日の拡大などを進めること 139 21.3% 41 21.2% 98 21.3%
10 相談支援事業の成果を地域に見せていくこと 113 17.3% 39 20.2% 74 16.1%
8 相談支援事業所間の相談の質のばらつきをなくす/高めていくこと 51 7.8% 51 26.4% - -
11 特にない 3 0.5% 1 0.5% 2 0.4%
12 その他 20 3.1% 6 3.1% 14 3.0%
  無回答 32 4.9% 8 4.1% 24 5.2%
  合計 654 100% 193 100% 461 100%

 

※委託相談支援事業の課題(委託元自治体と受託事業所の回答比較)

 委託相談支援事業の課題について、委託元自治体と委託相談支援事業所の回答を比較してみると、「個々の支援を通じた、関係機関の情報共有や連携、資源開発を深めていくこと」が最も高いことは同じであるが、委託元自治体では「相談支援の質を高めていくこと」や「相談支援の意義や重要性について、公民で認識を共有していくこと」、「相談支援の内容(委託の仕様書)を、当事者や相談支援事業所の参画により充実させていくこと」などの回答率が委託相談支援事業所よりも高くなっていた。

 図表1-45 相談支援事業の今後の課題

No.   自治体 委託事業所
回答数 構成比% 回答数 構成比%
5 個々の支援を通じた、関係機関の情報共有や連携、資源開発を深めていくこと 296 68.8% 270 58.6%
7 相談支援の質を高めていくこと 250 58.1% 189 41.0%
4 相談支援事業の人員確保等のための予算を確保すること 164 38.1% 204 44.3%
9 個別あるいはグループ訪問を進め、相談ニーズを掘り起こしていくこと 156 36.3% 162 35.1%
2 相談支援の意義や重要性について、公民で認識を共有していくこと 163 37.9% 126 27.3%
8 権利擁護の取組推進に向けて、地域自立支援協議会を活用していくこと 118 27.4% 120 26.0%
10 相談支援事業の内容(委託の仕様書)を、当事者や相談支援事業所の参画により充実させていくこと 134 31.2% 74 16.1%
6 窓口対応時間帯・曜日の拡大などを進めること 80 18.6% 99 21.5%
1 相談支援事業の成果を地域に見せていくこと 79 18.4% 98 21.3%
3 相談支援事業所間の相談の質のばらつきをなくす/高めていくこと 149 34.7% - -
11 特にない 6 1.4% 2 0.4%
12 その他 15 3.5% 14 3.0%
  無回答 6 1.4% 24 5.2%
  合計 430 100% 461 100%

図表1-45 相談支援事業の今後の課題

 

 《「その他」欄に記載された相談支援事業についての課題》

●相談支援の役割、機能の周知、評価
情報共有や連携の以前に相談支援の役割や機能を充分認識しその意義を共有できていないと、相談支援が空回りする(直営)
相談員の仕事の範囲や内容について、委託の仕様書を基本に中身を充実させていく必要がある。(直営)
まだまだこの事業を知らずに利用されない人がいるため、できるだけ多くの人に知ってもらう様、成果を報告するだけで(個人情報保護に留意して)、より多くの人に相談事業を利用していただく。(直営)
相談業務はなかなか成果がみえないものであるが支援するための入口として重要な業務であることから、意義や重要性について広くPRし、利用の向上、ニーズの掘りおこしにつとめなければならない。(直営)
相談支援業務を評価できるものがない。(直営)
成果の評価(委託)
●専門性=質の向上、継続性の確保
小さな町村であるほど担当者も少なく人事異動により全く別の部署から担当することになる。そこから一からの勉強、経験を積むことになり、専門性や継続性、質の向上を図ることが難しい。(直営)
相談支援の質を高めるためには、三障害に対した相談員の知識を深める工夫が必要と感じている。(直営)
継続的な関わりをどうやって持つか(直営)
相談員の質の向上(直営)
スキルアップを図るためには現場の中で湧いてくる疑問などを整理・解消するため情報交換や研修の場が必要不可欠(直営)
障害の種別、年齢、業務の分野を超えたケアマネジメントができる恒常的な相談支援専門員の育成(直営)
相談支援事業所間の相談の質のばらつき(困難ケースへの対応)(直営)
相談員をスーパーバイズできる人がいない。相談員の異動にともない相談の質が低下するおそれがある。県内の支援センターを見ると質のばらつきが著しい。現任者研修が必要。(直営)
●財源、相談支援体制、社会資源
相談支援事業に関する国の財政負担を交付税や総合補助金ではなく、負担金として安定した事業実施ができるように国に対応してもらいたい(直営)
相談に要する時間、人員に多くの量が必要になってくる。専門職を確保する財源が必要である。(直営)
3障害まとめて相談することができる体制の整備および維持。(直営)
相談支援事業を委託することもふくめて充実させていきたい(直営)
相談支援、自立支援協議会など都市的な視点での制度と感じられる。地方では事業者でもなく自立支援協議会の委員の委任も難しい。専門員の配置も難しく体制整備は不可能では?(直営)
相談支援従事者については、介護保険における包括支援センター職員のように複数の職員配置ができるよう資格や費用面で対応することが必要(直営)
規模の小さな町や村では相談支援と行政の区切りが難しい。専任職員(相談の)を確保することができないのが現状だと思います。(直営)
相談支援対応の時間など、またあわせて対応するスタッフの質の確保。大概の相談は日中などで対応が可能だろうが、夜間などの緊急時のものなどへ、どう対応するかが問題、その際には専門性を問われるような自体が多いので専門スタッフの確保(直営)
当事業所は市委託で主に身体障害児者、視覚障害者の相談を責任40万人口で2人の専任職員が対応しているが、この職員数を増やせる予算増が必要。自立支援協議会の事務局も担当するようになっているが、これに対する労力も大きな負担となり、適切な職員配置が望まれる。(委託)
事業として経営的に自立できること。相談員の成長に応じた報酬が保障できる。経験し成長すると法人負担か職種替えしなければならない(委託)
相談員が相談支援事業を通じて家族を養っていける程度の収入を確保すること(委託)
行政における相談員の確保が急務。民間まかせになると実態がわかりにくくなる。(委託)
障害特性に応じた事業体系の在り方(委託)
三障害(中でも発達障害の相談増えている)に対応出来るだけの専門的知識や社会資源を増やしていくこと。
●個別支援技術
当事者にとって本当に必要なサービスを掘りおこし提供できるようにすること。(直営)
相談ニーズを把握し、適確な支援に結びつけるために、ニーズ把握のためのスキルアップや掘りおこし、そして重複やそごのないように関係者(機関)の情報共有のための記録などが重要と考える。(直営)
社会資源が乏しいため本当に必要な資源を作り出すことが必要(直営)
相談ニーズの堀起こしや生活上の問題を有しているものの福祉サービス等の利用に拒否的、逃避的な行動を示す障害者等に対する働きかけ(直営)
当事者、家族、支援者のエンパワメント(直営)
ピアカウンセリングの実施(委託)
パーソナルな支援、生活支援の重要性。(委託)
潜在的クライエントの発見(委託)
●地域自立支援協議会の活用
これまで関係機関が集まる場がなかったこともあり、それぞれが抱える課題を共有できていなかった。意見を出し合うことで改善のための工夫や社会資源の開発につなげられるものがあると思われるため、地域自立支援協議会を活用して推進できたらと考えている。(直営)
相談支援を通じて積み重ねられた事例を自立支援協議会で検討し、情報共有、資源開発等へ結びつけることで地域での課題をクリアしていく。(直営)
自立支援協議会の運営についてより活発になるものにする。(委託)
●行政と民間の役割分担等
市町村と相談支援事業所関係機関が連絡調整を行うことにより支援が上手に行くと考えています(直営)
行政と事業所の役割が明確になりつつあります。公民の役割が果たせるように連携をとり協力しあうことが重要と考える。(直営)
関係機関の機能と役割分担が未整理(委託)
相談支援事業所として困難ケースについては相談をどこにすればよいのかを明確にしていただきたい。(委託)

 

《相談支援事業の今後の課題で「特に課題と感じていること」》

 相談支援事業の今後の課題の中で「特に課題と感じていること」について、直営および委託相談支援事業所に尋ねたところ、226 件の回答が寄せられた。そのうち、委託事業所からの回答数は196 件、直営事業所からの回答は30 件であった。
 記載内容を分類したところ、上位には「(人材を確保するための)予算(委託料)確保」が最も多く、次いで「相談支援の質向上」、「相談支援事業の周知」、「ニーズの掘り起こし」、「関係機関とのネットワーク」、「人材育成・確保」、「地域自立支援協議会の活用」などが挙げられている。
 ただし、「公民の連携」等に関する記載内容には、委託相談支援事業所から『行政から何を委託されているのかはっきりしない』、『行政は窓口としての相談支援としか捉えていない』、『ともすればケースの丸投げや押し付け合いになる』など、自治体に対する不信感を表す回答も寄せられている。

 図表 1-46 相談支援事業について「特に課題と感じていること」

  件数 割合
予算確保(人材確保) 46 20.4%
相談支援の質向上 36 15.9%
相談支援事業の周知 23 10.2%
ニーズ掘り起こし 18 8.0%
関係機関とのネットワーク 17 7.5%
人材育成・確保 17 7.5%
地域自立支援協議会の活用 17 7.5%
公民の連携 9 4.0%
社会資源の開発 6 2.7%
相談支援体制の強化 5 2.2%
委託事業所の立場 1 0.4%
委託内容の明確化 1 0.4%
職員の身分保障 1 0.4%
相談支援事業の存続 1 0.4%
相談窓口の総合化 1 0.4%
その他 27 11.9%
総計 226 100.0%

 

①予算確保(人材確保)
相談支援事業所は現在赤字であり、他事業からの操入まで対応している。市からの委託料の増額など収入増が必要である。
質の高いサービスを提供するためにはそれ担当の人材が必要であり、そのためにも人件費を含め必要経費分の予算は確保しなければならない。
障害者の地域生活を支援していく上で、また、精神障害者の地域生活移行に向けて、窓口となりうる重要な部門であるにも関わらず、委託費が低く、相談支援専門員をあて置きできる額ではない状況のため、委託先自治体への啓発と、それに伴う予算確保が早急に必要である。
地域の中での認知・理解はまだまだと思う。やっと少し関係機関などにも認知され始めたところ。
経済的な基盤弱い。委託費が安すぎる。このまま赤字が続けば存続が危うい。
窓口対応時間帯、曜日の拡大などを進めていきたいが、今の予算では職員を増やすことができず無理です。
人員確保のための予算確保。窓口中心から訪問中心とするには人手が足りない。
委託料では相談支援専門員の人件費が見合えず法人持ち出しとなっている。
現在の予算ではベテランに成長した職員にふさわしい給料が払えなくなる。
相談支援事業主体が市町村に移行されたことにより市町村の財政力次第では相談支援事業所の運営が困難になる可能性がある。
相談支援事業は一年間単位の委託事業であり、公募で数年に一回または毎年入れ替わる可能性もあり、定期的に相談員を確保したり、事業の予算を確保していくことが難しい場合もある。
地域活動支援センターとして、週5日間プログラムを提供しているため、実際に相談支援を行う職員は1名しかいない現状であり、対応できる相談に限界がある。そのため、プログラムを実施しながらも、他のスタッフが相談支援が行えるよう、人員を増やすための予算を確保したい。
多様なニーズ、件数の増加により専門員一人では対応が困難になっているため予算増が必要。
対象の範囲が5市6町に及ぶため、委託費の確保が大変である。(それぞれの自治体からの委託でそれぞれの交渉が必要)
相談支援の委託料が少なく兼務での仕事になっている。相談ニーズの掘り起こしについてもなかなか深まらない現状である。
より幅の広い、質の高い支援を実現していくための人員予算の確保。
予算が限られている為、マンパワー不足により、相談支援の質に限界がある。人員確保できるよう期待していた。
相談支援の質を高めるためにも人員確保等のための予算が必要。
人員確保。相談員の経験と、その質に見合った報酬が支払えない。
関係する市町村からの委託でようやく一人の相談員を確保するだけの予算収入であり拡大が難しい。相談支援の必要性より、行政事情を重視している市がある。
委託(市町村による)中核とした事業の進め方だけでは不十分であり指定相談支援事業所に対しても予算を配分すべきである
ニーズに対応できるよう人員確保のため予算が必要。
現在、当委託事業は赤字の状態であり、委託料の増加を希望している。
ニーズに対して支援員の体制が不十分。人員確保(予算)が必要。
相談支援の質を高めることが必要だが、その為には収入面で相談員自身の生活を安定させる必要がある。子供や親を養っていける収入が見込めない為、相談員が他業種に流れるばかりという状況になっている事に問題意識を感じる。
委託費からすると良い人材が流出してしまう心配や、施設からの繰り出しがいつまでできるのか、費用的な課題が最も大きいと感じている
相談支援の質を高めていくと共に、相談支援事業の人員確保等のための予算を確保すること、特に地域ごとでの事業に対する温度差が大きい。
NPO 法人で相談支援事業のみの運営を行っているために、予算を確保して人員の確保と質の高い相談支援の実施が重要な課題である。中立、公正で質の高い相談支援を実施していくためには高齢者の地域包括支援センター的な総合相談支援センターの設置が必要だと考えている。
当施設は精神障害者地域生活支援センターからの移行だが、相談支援業者のみの委託で、人数も削減され逆に仕事量が膨大となり、このままでは維持していくことすら困難である。(補助金2200万→(新体制移行後)委託料1600万)(相談員数:専任6名→4名)
ニーズに対応するための人材確保が予算上できない。
予算額が低く、適正な人員配置ができていない。また委託内容が多岐にわたり対応できていない。
当市の一相談機関への年間委託費は410万円。これでは最低条件として必要な複数配置が出来ないばかりか専門的な知識と経験を持ったベテラン相談員を配置できない。
相談対応の質向上のためにも人材確保をしたいが現在の委託費のみでは限界がある。(具体的な支援まで手がまわりきれていない)
限られた予算においては充分な人員確保は得られない。事業所従事者は日々ストレスをためており、また、ご利用者様にも充分な支援が行われていない。
予算については人材の確保という意味で大変重要である。
市町村の予算確保と相談支援専門員の人材確保と育成。
地域ではニーズがあるが人件費を考えると予算がきびしい状況である。
相談件数・困難事例の増加に対して、職員2 名体制のままでは必要な支援が行えなくなってきている。行政に活動をアピールすることで予算増・職員増(2→3 人)を目指すことが必要と感じている。
他の事業と兼務で行っているため予算の確保はかかせない。
地方特有とは思うが人材の確保と予算の問題。
相談に要する時間、人員に多くの量が必要になってくる。人員専門班の確保する財源が必要である。
人員配置と予算の関係ばらつきが多すぎる。

 

②相談支援の質向上
相談員の質の如何によって、利用者のニーズを上手に引き出せる。又は共感し、必要な判断で必要な機関へと連携可能となる故に質の向上を絶えず感じている。
相談支援の質の向上、とりわけ、障害が一本化され専門領域外の障害についての知識の向上が必要。
相談支援の質を高めていく:相談支援をさせて頂く中で支援者の情報の貧弱さから十分な支援が出来ないように思われる。様々な機会に合わせたスキルを高めていく必要がある。
間口は広くすべきであるが、種別ごとの専門の知識が必要。あとは関係機関とのネットワーク作り。
相談支援の整備と地域自立支援協議会を有意義なものとする。
相談支援の質の向上は欠かせないが、業務に追われなかなか機会がない。
市の複数の相談支援に、件数、質など大きなアンバランスがあり、全体の質を高めつつ均質化を目指すこと。それを以て、時間、曜日などの拡大を目指すこと。
相談支援員の量と質を確保すること。
予算の都合上相談員が1 名などで、質の向上を特に考えないといけない、評価がむずかしい。
相談支援の質を高めるため、職員の研修のあり方。
委託が継続していくよう、また委託金が先細りにならないよう相談の質をあげていく。
相談支援の質を高めていかないと聞き放しになるおそれがあり利用者側も不満が出てくる。
知的障害が中心になっており、今後精神障害者の相談に関わるスキルアップを図る必要を感じる。
ケアマネと違ってどこまでもケースが増えていく為1人の仕事量が年々増えてきて、パンクしてしまう。これでは次の人に引き継ぐにも無理。もっと相談事業にお金をかけていってほしい。ただしやる気のない所にいくらお金をかけても無駄なのできちんと成果を行政に提言、提示していくことが大切。
相談支援の質を高めていくことについては、その評価の方法等を具体化していく必要性を強く感じています。
まだまだ相談支援の役割、機能を公民で認識が共有されているとは思いません。業務の標準化と併せ、当事者(相談を利用する側)からの評価も必要と考えます。そのためにも当事者の主体性を高める支援が同時に必要と考えます。
地域間格差が感じられます。とかく担当する地域だけに目がいきがちですが、先進的な取り組みをされている所の情報等常に意識しながら、相談支援の質を高め、ある程度共通できる様式等も必要なのではないかと思っています。
精神障害、発達障害について、相談経験が少なく、相談支援の質を高めていくことは必要。
相談支援に携わる者(相談支援専門員、行政窓口担当者)の質を高めること。予算確保。
相談支援事業の内容を、当事者とともに考えること。又、自立支援協議会を通じて圏域全体の相談のしくみや流れを構築すること。
相談支援専門員として質の向上が必要。障害種別(発達障害(アスペルガー、LD)精神と知的障害の重複、手帳を取得できないケース等)が多様化しているとともに障害当事者のみならず。
ただ成果を見せていくだけでなく効果的に活動していく事が重要であり、最終、地域福祉力アップにつなげて行きたい。(地域で安心して暮らしていきたい)
幅広い相談に応じていくためには、相談支援の質の向上と広く地域の資源(人材含む)の把握が必要である。
相談支援事業所間の相談の質のばらつき(困難ケースへの対応)。
相談支援業務を評価できるものがない。相談員をスーパーバイズできる人がいない。相談員の異動にともない相談の質が低下するおそれがある。県内の支援センターを見ると質のばらつきが著しい。現任者研修が必要。
当事者、家族、支援者のエンパワメント。
相談支援対応の時間など、またあわせて対応するスタッフの質の確保。大概の相談は日中などで対応が可能だろうが、夜間などの緊急時のものなどへ、どう対応するかが問題、その際には専門性を問われるような事態が多いので専門スタッフの確保。

 

③相談支援事業の周知
相談支援事業をみんなに知ってもらうことが必要だが、特に関係機関の方々に知ってもらい、恊働した支援が展開できると良い。
相談支援事業の予算確保が難しく、体制のバラツキが生まれ実質その重要性が認知されないでいる。
相談支援の必要性と当事者への認識・確保がより必要になってくる。
相談支援の意義や重要性は、個別のニーズの発見と支援を個別調整会議や事例発表等を通して、具体的に行政やサービス事業者等に知らせていく必要がある。
行政によっては相談支援を必要と感じていないのではないかという気持ちが拭いされない。反対に必要性を感じる行政はどんどん動いており、同じ都道府県内でギャップを感じる。
地域市民に対しての成果を公にする場。
一般の方々には、まだまだ認識されていないと感じる。
H18年に相談事業所が出来たばかりで、まだまだ地域に事業所の存在が知られていない。情報の周知が必要。
地域で孤立していて相談支援事業者につながっていない方への周知。
職員間で相談支援事業の確認が充分に共有できておらず、認識を高めてゆく取組が必要
直接的支援する事業と違い人数や時間数が評価になることが少ないのだが地域で自分らしく暮らすことに相談事業は必至であり、もっとその重要性が福祉全体に意識づけられなければいけないと切に思います。
まだまだ個々の事業所が動いているというレベルで「相談支援事業」としての共通のレベルでプラン~会議、実績評価がなされておらず、課題だと感じている。
相談対応全てが同じように対応できるものではなく、サービスにつながらないケースもあり得る。相談支援はサービスありきと言われるが、上述のように単に見守りや話し相手として関わり続けるケースがあり、このようなケースについての対応についても評価が必要。
関係機関だけでなく地域に認知され、障がい者自身が地域で自立し安心して生活していけるよう地域づくりが大切
相談支援所の成果について、数字以外の部分で提示していく必要あり。具体的な事例の紹介など。
相談支援は当事者がエンパワスメントされることにより問題解決されることも多い。そのため「結果」=相談支援という風にはなりにくいため事業の有効性は見えづらくわかりにくい。だからこそ事業の必要性を工夫して伝える必要がある。
相談支援事業所としての認知。いまだにどこに相談すればよいのかわからないと聞く。
障害者の地域での暮らしがあたりまえのものでありますように、理解がすすみ気軽な窓口でありたいと思う。
情報共有や連携の以前に相談支援の役割や機能を充分認識しその意義を共有できていないと、相談支援が空回りする
まだまだこの事業を知らずに利用されない人がいるため、できるだけ多くの人に知ってもらう様、成果を報告するだけで(個人情報保護に留意して)、より多くの人に相談事業を利用していただく。
相談業務はなかなか成果がみえないものであるが支援するための入口として重要な業務であることから、意義や重要性について広くPRし、利用の向上、ニーズの掘りおこしにつとめなければならない。

 

④ニーズ掘り起こし
相談のニーズはまだまだ地域に限っていると思われ、困っている人ほど手が届いていないような気がする。
精神障害者等、サービスにつながりにくいケースが多く、どのようにしてひろっていくかということと、地域活動支援センター(Ⅰ型)という事業の在り方が、本当に当事者のニーズに適したものとなっているのかを検討する必要がある。
行政との連携による相談ニーズの掘り起こし、地域自立支援協議会での取り組み。
対象者の把握とニーズの掘り起こし。
従来までの申請主義で、利用者の中であきらめにも似た感情がありそれが制度への理解不足になっていると思われ、潜在的ニーズの掘りおこしが大切と思われます。
ニーズの掘りおこしを進め危機的状況になる前に早く相談をうけて問題解決のための支援を行う。
相談支援事業所や従事者の数が少なく、ニーズ発見や掘りおこしまで手がまわらない。一般の人、障害のある人にも認知度は低い。
相談ニーズの堀おこし、支援の質の向上
まだまだニーズの掘りおこしは不十分で、地域の課題に対応していける相談支援体制を整備していくことが必要
市町によって相談支援についての意義を理解されてない場合もある。民生、児童委員との連携を図り、地域で埋もれているケースの掘りおこしを行う。
個別の支援を通じての地域のニーズを抽出できていないニーズの共有ができていないため議論がなく資源開発といった具体的活動になっていない。
個別の支援を通じての地域のニーズを抽出できていないニーズの共有ができていないため議論がなく資源開発といった具体的活動になっていない。
相談ニーズの掘りおこし→権利擁護の取り組みをすすめたい。そのためにも、まずは相談を受けることを中心に考えたい。
相談支援自体が少なく、ニーズの掘りおこしにまだまだ力を入れ、広報していかなければならない
当事者にとって本当に必要なサービスを掘りおこし提供できるようにすること。
相談ニーズを把握し、適確な支援に結びつけるために、ニーズ把握のためのスキルアップや掘りおこし、そして重複や齟齬のないように関係者(機関)の情報共有のための記録などが重要と考える。
相談ニーズの堀起こしや生活上の問題を有しているものの福祉サービス等の利用に拒否的、逃避的な行動を示す障害者等に対する働きかけ

 

⑤関係機関とのネットワーク
サービス提供事業者が受け持つ相談支援とトータルな総合特定支援事業とのタイアップ体制と人的確保。
上記の取り組みを進める中で、相談支援事業者のスーパーバイズ、権利侵害ケースや触法障害者、対応困難ケースについての支援を官民共働で深めていく必要がある。
マネジメント的な役割が明確になっていない中で、当事者、家族が自由にサービスを選択し、利用できる仕組みは「サービス依存」の障害者、家族を増やすだけである。少なくとも、サービス利用にあたっては、関係機関が集まり「個別支援会議」の開催をしたい。
個別の支援を通じた関係機関の情報共有や連携、資源開発を深めていくこと。地域自立支援協議会をどのように活用していくか。
ネットワークをもっと具体的に見える形にして、相談支援に従事する人が代わってもスムーズに連携ができるようにしていくことが課題。
ネットワーク連携が、日々の連絡調整情報交換だけで終わる場合が多い。連携と言うのならば、各専門職がどのように行動し、本人を支えるのか決めないと相談支援専門員の活動範囲だけが広がり、本人の全てを抱えることとなり、負担を閉じるようになってくる。
一人のライフステージに対してまず各関係機関(就労、教育、医療、福祉等)の支援の統一性を図る(チーム支援)
個人情報の保護のもと、関係機関等とのネットワークの構築。
市の福祉課も相談支援を継続して行っているが、情報共有、役割分担等、連携がうまくとれていない。
障害福祉課のケースワーカーとの連携をとって対応する事例が多くなった
地域で起こっている問題や長年続く課題について、協議し関係者、当事者含め、取り組んでいく必要性を感じている
行政や医療から相談支援事業につなげてきたケースの中で、もうすでに必要と思われるサービスにいくつかつなげた後で、何も改善されていなかったり、サービスをいろいろ提供することでよけいに調子が悪かったりした状態で、ふってこられたりすることもある。相談支援事業所と特に行政がスムースに連携をとるために、お互い共通した認識を持っておくことが必要だと切実に感じる。
障害者ケアマネジメントの重要性及び役割分担を明確にしていくこと
個別の支援を通じて、関係機関や地域のネットワークづくり、社会資源の開発を行えるようにすること。
相談員が一人で抱え込むことが多い為情報の共有を図り、関係機関との連携を図る
関係機関の情報共有や連携、資源開発を深めていくことが必要だが、他事業所との連携があまりとれていないのが現状である。一事業所で解決できない問題を関係機関と連携をとり、少しでも相談者のニーズに応えられるよう努めることが重要である。
特に教育分野との連携を深めること

 

⑥人材育成・確保
後任の育成。
相談支援員の定着性・経済の安定。
行政や他機関からの要望は多いが、応えるだけの人員がいない。
今後、増え続けるであろう相談件数を一人の職員でどのように対応をしていくかが課題となるだろう。
相談支援事業、人員確保と質の向上。現在一名で対応中であるが、業務充実のためには二名は必要と感じている。
委託相談支援事業所は4カ所あるが、それぞれワーカーが1名と人員が少なく、活動が制限されている。なんとか最低2名を確保したいと熱望している。
業務量の多さに対しての人員不足が大きな課題、給与の少なさも定着率を低下させます。
相談支援の役割について、公民で協議し、それに適した人員・人材確保と予算を確保すること。
相談支援のスキルアップ研修の場が少ない。
専従で職員が配置できておらず、人員の確保が優先課題
地域に根ざした相談支援事業所になることと合わせてマンパワーの充実を図ること
今の人員配置では地域で生活している障害者への支援が手薄な状態のため早急な人員確保が必要だと思われる。
相談業務を安易に考えている面があり、他人の人生に関わる重い仕事であることをまず共通理解していきたい。
相談支援専門員を専任することで相談支援事業を充実させていきたい
人口対比としての相談委員が少なく今後が不安
相談支援の質を高めるためには、三障害に対した相談員の知識を深める工夫が必要と感じている。
障害の種別、年齢、業務の分野を超えたケアマネジメントができる恒常的な相談支援専門員の育成

 

⑦地域自立支援協議会の活用
権利擁護の取組推進に向けて、地域自立支援協議会を活用していくこと。
相談支援事業の成果は、特に地域に対する評価を受けるものである。その為にも自立支援協議会における相談支援の果たす役割は高いと感じている。
相談支援の重要性を再確認し、法人の職員ではなく地域の職員として位置づけ、報告から見えてくる課題を地域で受けとめる。
自立支援協議会メンバーに関係民間人を増やすことと、事務局体制の強化確立がまだまだ不十分なこと。
自立支援協議会の活性化、活用について当事者のより積極的な参加及び、行政の課題に応じた機動性、反映性を求めたい。
権利擁護より保護の意識の高い地域で協議会が中心になって変えて行く。
自立支援協議会が1町のみ設置されている。残りの7市町村はまだ設置されておらず、具体的な動きがみられない。
専任の相談員の確保によりアウトリーチの積極的な介入と自立支援協議会の機能の充実によるネットワーク作り
自立支援協議会で地域の課題を共有し解決に向けてどう動いていくか(相談支援事業を評価をしてもらう)
地域自立支援協議会を活用して地域力の向上
スキルアップを図るためには現場の中で湧いてくる疑問などを整理・解消するため情報交換や研修の場が必要不可欠
これまで関係機関が集まる場がなかったこともあり、それぞれが抱える課題を共有できていなかった。意見を出し合うことで改善のための工夫や社会資源の開発につなげられるものがあると思われるため、地域自立支援協議会を活用して推進できたらと考えている。
相談支援を通じて積み重ねられた事例を自立支援協議会で検討し、情報共有、資源開発等へ結びつけることで地域での課題をクリアしていく。

 

⑧公民の連携
相談支援の意義、重要性についての公民の意識共有に止まるだけでなく、相談支援事業の実をあげるよう公民、連携強化
ともすればケースの丸投げや押し付け合いになる。どれだけ自治体が行政責任を自覚できるか。何かといえば、委託しているのに・・・と言われる。(=お金出してるのにそれくらいしてくれ)
公民で認識を共有することによりきめの細かい連携がとれ、一方だけは困難な相談内容であっても良好にすすめられるのではないかと思う
市町村が相談支援事業の必要性を感じること。
特に行政の意識が低く、窓口としての相談支援としてしか捉えていない。個々のケースについての問題解決と、自治体としての資源開発に対する意欲のなさがかみ合わない。
委託相談支援事業のあり方(行政との連携、所属施設とのつながり)
相談事業における行政と委託事業所の役割の明確化。例(行政の相談窓口の機能の活用、委託相談との役割分担、自立支援協議会、福祉計画における行政と相談事業の役割についてを明確にする事等。
市町村と相談支援事業所関係機関が連絡調整を行うことにより支援が上手に行くと考えています
行政と事業所の役割が明確になりつつあります。公民の役割が果たせるように連携をとり協力しあうことが重要と考える。
行政が委託しているにも関わらず、何を委託しているのかはっきりしないことが問題。

 

⑨その他
県中央から遠い僻地で、社会資源が乏しいので、この地域にみあった社会資源の開発が重要。
相談支援者の職員の身分保障の充実が必要である。(資格及び経験が豊かな者の他業種への転職が目立つ)
市の直営による相談事業所も活動している。現在は委託を受けているものの、将来について委託が継続していくのか不透明な点が多く、相談事業の存続が不安である。
総合補助金の中での相談支援事業では将来展望がもてない。国が予算的にきちんと責任を持つことを望ます。体系的な人材養成の仕組みが必要。委託の場合、地元自治体と良好なパートナーシップを築いていけるかが課題。障害者の課題は行政の怠慢が招いたものが多いように感じる。とすれば、障害者の気持ちを代弁すべき我々は、もっと行政に意見、追求をしていかなければならないように感じる。ただ、委託という補助金のつながりの関係になってしまうと、言いたいことが言えなくなる。行政の下請になって余計に障害者を苦しめてしまっていることがないだろうか、心配である。

 

参考質問

 最近1年間にかかわったケースの中で、利用者のおかれている状況について、「利用者の権利が侵害されている」と感じたケースの有無を尋ねたところ、「ある」と回答した事業所は全体の15.0%、「特にない」が24.0%、無回答が61.0%であった。
 直営・委託別にみても、「ある」と回答した割合にはほとんど差がないが、「特にない」と回答した割合は直営事業所39.9%、委託事業所17.4%と大きな差がみられる。

 図表 1-47 「利用者の権利が侵害されている」と感じたケースの有無

    回答事業所計 直営事業所 委託事業所
回答数 構成比% 回答数 構成比% 回答数 構成比%
1 「利用者の権利が侵害されている」と感じたケースがある 98 15.0% 24 12.4% 74 16.1%
2 特にない 157 24.0% 77 39.9% 80 17.4%
  無回答 399 61.0% 92 47.7% 307 66.6%
  合計 654 100% 193 100% 461 100%

「利用者の権利が侵害されている」と感じたケースがある

 


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