第4章 取り組み事例「高槻地域生活総合支援センターぷれいすBe」
第2節 各ケースの記録
(1)各ケースの属性
ケースA | ケースB | ケースC | ケースD | ケースE | |
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属性 | 女性 10歳代 知的障害 精神障害重複 統合失調症 |
男性 20歳代 知的障害 |
男性 10歳代 知的障害 自閉傾向あり |
男性 20歳代 知的障害 |
女性 20歳代 知的障害 |
生活歴 |
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家庭環境 |
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経済環境 |
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接点開始利用開始 |
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利用終了後 |
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(2)各ケースの支援経過
以下、各ケースの支援経過を記載する。なお、内容は支援をしていく中で大きな変化があったポイントを記載している。矢印はその変化にもとづいた継続的な支援をさしている。
図表4-4-1 ケースAの支援経過
図表4-4-2 ケースBの支援経過
図表4-4-3 ケースCの支援経過
図表4-4-4 ケースDの支援経過
図表4-4-5 ケースEの支援経過
(3)各ケースの支援のポイント
ここでは、各ケースの支援の特徴を示す。特に、支援を実施することで生じた利用者の行動変容に着目してそのポイントを示す。
①Aケース
現在は2ヶ月に1回のペースで精神科に通院しており、就寝前に抗精神病薬を服薬している状況である。幻聴、妄想(特に恋愛妄想)があり、入浴等一人の環境になると独語等が見られる。統合失調症による精神障害の重複により、情緒が不安定になりやすく、対人関係においてもトラブルが生じやすい。
支援方針を検討していく中で、本人と次の支援内容を話し合いのうえ決めた。
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多人数の刺激により大声を発したり泣いたり、情緒が落ち着かない日々が続いていたが、試行錯誤で環境作りを行っていくうちに、情緒も落ち着き、作業もできるようになっていった。
★インシデントポイント:支援していく上でのターニングポイント
10か月を経過した段階で、具体的な環境作りの対応として、次のようなことを行った。これらの変化が、その後の本人の自信やモチベーションにつながっていったといえる。
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2年間でできるようになったことが本人の自信にもつながり、さらに自分でできることを増やしていきたいと、継続した希望が出ている。就労継続支援B型事業への移行等を視野に、社会生活力プログラムなどを活用し、さらに多くの課題に取り組んでいく予定である。金銭管理のプログラムにも取り組み始めた。
②Bケース
本人は「就労したい」という気持ちが強く、事業所の利用を通じて、様々な仕事を体験し、好きな仕事を見つけていきたいという希望を持っていた。これらの仕事体験に付随して、自立した生活が送れるよう、身だしなみ、対人関係コミュニケーション、金銭管理などのスキルを取得する機会を、社会生活力プログラムへの参加により得ている。また、身だしなみチェックシート、コミュニケーション意思カード、達成度チェック表など、視覚的にわかりやすい道具も活用している。
★インシデントポイント:支援していく上でのターニングポイント
カフェの仕事へのあこがれを持ち続けていることが、掃除や軽作業(紙パック)の仕事も確実に一人でできるようになっていくモチベーションとなっている。
カフェ実習が実現してからも、課題(立ち仕事をこなす体力作り)や、新たな仕事内容(接客、コーヒーの抽出など)に対しても真摯に取り組み、仕事の幅を拡げていっている。どんな実習にもやりがいを感じ、責任を持って遂行する力がついてきている。
さらに今後もクリーニングや外部企業への実習など、さまざまな仕事体験の可能性が広がっており、自立訓練の期限後は、就労移行支援事業の利用に移行して、それらの体験を実現していく予定である。
③Cケース
大きな音(例:雷、オートバイ、風船等、お祭り等)にパニックになることがあり、軽度の知的障害に加え、自閉症的な症状を有しているケースである。天候不順などにより本人の気分で引きこもりに近い生活になってしまうこともあるが、一人で家で過ごせているため、家族は大きな問題点とはとらえていない。就労希望ではあるが、現実認識はまだまだ弱いのが現状である。
★インシデントポイント:支援していく上でのターニングポイント
本人の好むカフェ作業での作業に参加できるようになったことで、会社で実習を行いたいという意欲につながった。このような意欲から、仕事をサポートする仕組みにつながり、企業でのアルバイトにつながり働くことの楽しさを知ることができるようになったといえる。
天候不順などにより気分の落差が大きく引きこもりに近い生活になり、その結果、安定した通所に結びつかなかった。支援者は本人のこれまでの経過を十分に理解し、事業所の新しい環境に慣れるように支援を継続したため、このような結果につながったといえる。
本ケースにおけるストレングスモデル的支援に関しては、Cケースがカフェ実習に大変興味関心を示し又その作業を大変好んだことに着目し、カフェ実習を積極的に支援の中に取り込んでいった点が挙げられよう。その結果、天候不順や気分の落差により継続的な通所に結びつかなかった点を克服したと思われる。
④Dケース
これまで家族と共に生活しており、穏やかに生活してきている。就労を目標としており、その前段階として社会生活スキルを向上させることを希望している。
★インシデントポイント:支援していく上でのターニングポイント
本人の好むクリーニング作業を実施し、作業しやすいように自助具を工夫することで、作業に自信が持てるようになり、率先して事業に参加できるようになった。支援者は本人のこれまでの経過を十分に理解し、事業所の新しい環境になれるように支援を継続したため、このような結果につながったといえる。
本ケースにおけるストレングスモデル的支援としては、Dケースがクリーニング作業を好むことに着目し、クリーニング作業を積極的に支援に取り込んでいった点が挙げられよう。
⑤Eケース
身だしなみチェックシートの活用、石けんの箱詰め、地図やドライワイパーなど本人の好むものを取り入れたレクリエーションを実施。支援者の関係構築が十分にできるようになる。本人が失敗しても、本人の根気強い性格が失敗を克服する原動力となった。
例えば、Eケースが実施していた作業に関しては、当初失敗することがあった。しかしながら、自助具を用い又本人の根気強い取り組みにより失敗を克服し、難易度の高い作業も可能になってきた。
Eケースの場合、本人・家族及び支援者側も長期的目標として、就労ではなく、社会生活スキルの向上を位置づけている。よって、本ケースにおけるストレングスモデル的支援としては、事業所内における作業のほかに余暇活動を積極的に取り入れ、本人が強く興味関心を示したパソコンや陶芸等を積極的に取り入れ、事業所の活動を楽しくしていった点が挙げられよう。