第3回アジア太平洋CBR会議
ジェンダーとインクルーシブネス
Centre for Disability in Development (CDD)の経験
コーディネーター
CDD, バングラデシュ
イントロダクション
本稿では、Centre for Disability in Development (CDD)がそのプログラムとプロジェクトを通じて、ジェンダーとインクルーシブネスについて得た経験と学びについて述べる。
Centre for Disability in Development (CDD)は、障害のある人々をより包含した社会づくりを目的とした、営利を目的としない組織で、1996年に設立された。
CDDのミッションは、このような社会づくりを次の方法によって実現することである。よりインクルーシブなコミュニティになるようコミュニティを教育すること。それと同時に、障害のある人々に必要なサポートを提供して彼らが社会に参加できるようにすること。
この方法によって障害のある人々が、何人とも同等の権利、自由、尊厳、生活の質を与えられることができる。
長期にわたる障害とインクルージョンの分野での経験を通じて、CDDは障害のある女性が総じてなおざりにされ、人権を否定されていることを学んだ。
この事実を考慮して、差別是正措置の考えをもって、すべてのプログラムとプロジェクトにおいてCDDは常に女性の参加に重点を置いてきた。
バングラデシュの事情:障害のある女性の状況
バングラデシュの女性の状況はいまだかなり遅れている。
しかし、女性のエンパワメントが急速に進んでいることは疑念の余地がない。
不運なことに、障害のある女性に関してはそうではない。彼女たちは排除、ネグレクト、虐待、様々なかたちで二重に差別されている。
彼女たちはしばしば開発の機会、意志決定プロセス、社会化の外に置かれている。司法へのアクセスがないことからしばしば身体的、精神的虐待の被害を受けている。
家族のレベルにおいて、障害のある女性はしばしば健康である権利を否定されている。
障害のある女性が深刻な健康状態に陥っても、家族は彼女たちを医者や病院に診せない。
障害のある女性が教育を受ける権利は侵害し続けられており、彼女たちは教育システムの外に置かれ続けている。
CDDの手法
CDDではジェンダーとインクルージョンの問題をすべてのプロジェクトとプログラムで考慮している。
CDDがジェンダーインクルーシブネスを実現する過程で画期的な出来事がいくつかあった。
大きな出来事のひとつは、ジェンダーポリシーを策定し、公式の枠組みにそのポリシーを徐々に埋め込んでいったことである。
その他の出来事に、ある女性スタッフをジェンダーの重点人物として割り当てたことがある。
また、苦情処理制度を設立したことも重要な出来事に挙げられる。
この制度によって、ジェンダーの重点人物にアプローチし、女性の権利が侵害されたケースで公的な苦情を申し立てる権限が、CDDのスタッフメンバーに与えられる。
In its recruitment policy gender issue is addressed as following way:
priority of recruitment woman with disability, man with disability, woman and man.
ジェンダー問題に関するCDDの採用ポリシーは、障害のある女性、障害のある男性、女性、男性の順に優先して採用することとなっている。
CDDはまた、ジェンダー問題に関してスタッフの能力を開発するトレーニングを、プロジェクトにおいて実施することを奨励している。
パートナーレベルでの取り組み
CDDの主な強みはパートナー団体であるので、CDDはパートナー団体がそれぞれジェンダーポリシーを発展させ、実施するよう促進している。
いくかの事例では、CDDはパートナー団体がジェンダーポリシーを形成するのを支援し、ジェンダーのトレーニングを企画した。
それぞれのプロジェクトにおいて、トレーニングを受ける受益者のうち40~50%を障害のある女性・少女を採用するよう基準が定められたCDDは 多くの女性を混合グループに加えて自助グループに組織した。自助グループでは、メンバーのうち最低40%が障害のある女性であった。
このことで障害のある女性はグループが発展するプロセスに参加する、大きな機会を得た。彼女たちはリーダーシップを持って人前に出ている。
CDDはまた様々な特殊な障害のニーズに取り組んでいる 例えば言語障害と聴覚障害のある人々、視覚に障害のある人々、盲ろう者などである。
これらの人々の特別ニーズに取り組みながら、CDDはジェンダー特有の点と 障害のある女性と少女がさらなる困難に直面していることを学んだ。
カジョール・ラッカは脊髄を損傷した女性で、地方で活動しているCDDのパートナーNGOが彼女を見つけた。彼女はCDDが実施した障害インクルーシブな減災のプロジェクトでグループの一員となった。
短期間のうちに彼女はこのグループとコミュニティの重要なスポークスパーソンになった。彼女は地方政府と災害マネジメント委員会を説得し障害問題を現在プログラムに含めるよう政策提言する取り組みに数多く参加した。
CDDはまた障害のある人々が衣料品工場で働けるようにするよう、既成の衣料品セクターの上層部を説得する新しいプログラムを開始した。
既成の衣料品業者をインクルーシブにするためのプログラムが行われ、そのための方策が実施された。
このプログラムで2名が指定され、採用プロセスをインクルーシブにする過程に関わった(求人広告、面接、職務説明書等)。衣料品メーカーのアクセシビリティについて評価し、合理的な配慮を行うための提言を行った(身体障害のある人々を1階に配置する、勤務時間を柔軟にする)。
CDDが開始した様々なプログラムの結果起こった変化
約20年間、CDDは障害の分野で活動してきた。この間CDDは多くのプログラム、プロジェクトを実施し、障害のある人々、とりわけ障害のある女性の生活に起こった変化を経験してきた。
関わりのある障害のある女性・少女の数は大きく増加した。
CDDが設立されたとき、教育や経済活動の場で障害のある女性・少女が参加している姿を見つけることはほとんど不可能だった。これは社会の保守性が徹底していたためである。
しかし今では、障害のある少女が教育システムに包含され、彼女たちが新たに自信を得て学業を続けている例が多くある。
今では我々には、障害のある女性が様々なセクターで自己雇用したり、賃金雇用をされている多くの事例がある。彼女たちはトレーニングと融資を受け、小規模なビジネスを始めている。
障害のある女性たちの人生における最大の変化は、彼女たちがいまリーダーとなっていることである。
CDDのさまざまなパートナー組織が活動を行っている分野で、障害のある女性がグループを率い、地方政府や国家、さらには国際社会への政策提言を行っている数多くの事例がある。
先にカジョール・ラッカについて触れたが、彼女は今では災害対策の分野で障害運動の国際的な存在になっている。
CDDが学んだこと
コミュニティの一般の人々に全く能力がないと考えられていた障害のある女性たちが政策提言に関わると、彼女たちの能力を実際に示すことができるため、より容易にターゲットグループを説得することができる。
障害のある女性がお金を稼ぎ、家族への貢献できるようになると、家族の意志決定プロセスに関わることができるようになる。
家族の男性(夫、父、兄等)がジェンダーとインクルージョンのトレーニング に参加することが重要である。これは障害のある女性・少女たちが家族から積極的な支援をたくさん受けられるようになるためである。
リーダーシップトレーニングによって障害のある女性たちが羽ばたくのを支援することができる。まるで彼女たちがまゆを破り蝶になるように。
主な挑戦
障害のある女性・少女の家族はたいてい彼女たちに対して過保護である。このことが彼女たちにとって、メインストリームの社会、開発に参加する主な障壁となっている。教育はメインストリームの教育システムに障害のある少女たちを包含するための主な挑戦である。
地域コミュニティと地方政府は、障害のある女性・少女に対していまだ慈善的な姿勢と固定観念を持っており、彼女たちが社会に貢献できる一員となりうることを信じていない。
障害のある女性の保健問題は総じて、家族が彼女たちにお金を支出しないでおこうとすることにより起こるネグレクトである。家族は彼女たちの健康問題を、簡単なものでも深刻なものでも、彼女たちを家に閉じ込めておくことで解決しようとする場合が多い。
一般的な傾向として、障害のある少女がいることをコミュニティから隠す傾向がある。これはコミュニティの人々から家族全員に対して否定的な態度を取られ、家族が社会的な危機に陥ることを恐れるためである。
障害のある家族(特に女性・少女)を 一般のコミュニティに参加させてあげるよう家族を説得することは大変困難である。
結論
CDDがこの冒険的な事業を始めて行ったとき、女性たちはとても臆病で自分たちの声を上げるのを恐れていた。
しかし、CDDのリーダーシップとグループ開発のトレーニングを受け、グループで活動して実際的な経験を得てからは、彼女たちはどんどん自信を持つようになった。
男性のグループメンバーと平行して、地方政府のさまざまな役人にアプローチし始めた。
彼女たちは今では、地方政府やその他のさまざまなサービスにアクセスする能力を持っている。彼女たちはまた政府の役人に政策提言し議論している。
このようなプロセスを経て、将来女性がリーダーシップを取ることが実現していく。
我々はバングラデシュでインクルーシブな社会が実現するものと希望を持っている。そこでは女性がリーダーとして重要な役割を果たしているだろう。
CBRマトリックスとCDD
Health 保健
Promotion | 健康増進 |
Prevention | 原因の予防 |
Medical Care | 医療 |
Rehabilitation | リハビリテーション |
Assistive Device | 支援機器 |
Education 教育
Early Childhood | 幼児用 |
Primary | 小学校教育 |
Secondary and Higher | 中・高等教育 |
Non-formal | ノンフォーマル教育 |
Lifelong learning | 生涯学習 |
Livelihood 生計
Skills development | スキル開発 |
Self-employment | 所得創出(自営を含む) |
Wage-employment | 賃金雇用 |
Financial services | 金融サービス |
Social protection | 社会保護 |
Social 社会
Personal assistance | パーソナル・アシスタント |
Relationships, marriage and family | 交友関係・結婚・家族 |
Culture and arts | 文化・芸術 |
Recreation, leisure and sports | レクリエーション・余暇・スポーツ |
Justice | 司法 |
Empowerment エンパワメント
Advocacy and communication | アドボカシーとコミュニケーション |
Community mobilization | コミュニティを動かすこと |
Political participation | 政治への参加 |
Self-Help Groups | 自助グループ |
Disabled Peoples Organizations | 障害当事者団体 |
CDDはパートナー団体と協力してCBRマトリックスのすべてのコンポーネントをカバーしている。カバーしている要素は陰をつけたものである。
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