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第三回アジア太平洋CBR会議 – 東京 – 日本、2015年9月

社会の変革とさらなる発展のため『インドネシア障害とハンセン病のケア運動(GPDLI)』とハンセン病および障害のあるメンバーが担う役割

ヌア・ペルダメンタ・タリガン1、ヘルメン・マンダラガス・フタバラト

要旨

障害とハンセン病はインドネシアの草の根組織にとって重要な分野である。「インドネシア障害とハンセン病のケア運動(GPDLI)」と呼ばれるインドネシアの障害とハンセン病に関する私たちの組織は、地域に根ざした全国的な運動であり、その運動により、ジャカルタをはじめとするインドネシアにおいて、ハンセン病に関わるスティグマや差別が大きく減った。コミュニティ開発の初期段階に障害のある人が関わっているが、ハンセン病患者・回復者もともに関わることが大変重要である!我々はこの二つのコミュニティを区別することはしない。我々の運動では、若者や学生を巻き込み、より幅広く、一貫性のある、持続可能な取組みを行っている。立ち止まってのんびりし、リラックスするのではなく、かつてないほど幅広く、大規模な効果を収めるためにこれまで以上に努力する。GPDLIの運動は一貫して様々な手法をとっているが、それ以上に今でもボトムアップのアプローチを採っている。将来はインドネシア大統領にハンセン病に由来する障害について明示的かつ率直に語るようになってもらいたいと考えている。というのも、最上級、中級、下級のレベルの政府が、意識的にかつ素早く行動することによって、ますます悪化している個人および家族、コミュニティに対する偏見と差別の問題を根絶することができると考えるからである。我々は一貫してかつ継続的にあらゆる種類のアプローチを採っている。

はじめに

インドネシアの障害者コミュニティの生計、貧困削減、社会サービス(保健、教育、エンパワメント)は、国の独立60年を経ても十分に向上したとは言えない状態である。むしろ地域社会の開発もいまだ途上にあり、障害者の生計と貧困削減の問題はともに見過ごされてきたが、一方でネットワークの構築、政府や企業、一般の理解も進んできたため、最も基本的な、人命の尊厳に基づく課題の解決には近づいている。

しかし、こうした課題は既に存在しているにも関わらず、取り組みには熱意が欠けており、地域の中で、継続的に真剣に活動する組織が存在していないと、我々は考えている。上記の目的に照らして、彼らには重要な使命があるものの、前首相(現在の首相はジョコウィ)の下、現行の省庁の仕事では十分に生かされておらず、ひとつの課題に対する部署間の協力もうまく進んでいない。こうした問題は、社会省のみならず、インドネシア国内のすべての関係者・受益者の関心と責任にかかわるものと考えている。インドネシアでは多数の障害者が混乱の中にある。

インドネシアの障害者

この地域では過去数年にわたり、障害者の問題を人権の問題として認識し、経済・社会・政治の分野で障害者が直面する課題に向けた取り組みは、公共の場でも貢献できるということを主張する努力を重ねてきた。インドネシアに見られる進展としては、国連障害者の権利条約(UNCRPD)への署名に向けての努力、インドネシア障害者福祉向上のための国家行動計画(NAP)(2004-2013)の策定、雇用及び職業についての差別待遇に関するILO第111号条約の批准がある。障害者の職業リハビリテーション及び雇用に関するILO第159号条約批准に向けた第一歩も踏み出した。インドネシアには人数枠規定(43/1998)があるが、若い障害者の雇用の選択肢へのアクセスは、今なお非常に限られている。

総合的・持続可能な解決への提案

政府機関や公立・私立の組織等が連携する充実した活動が、インドネシアでは必要だと我々は考えている。我々はこれまで、障害とハンセン病に関わる、深く根差した問題についての啓発を進め、国連グローバルコンパクトネットワーク・インドネシア、YKDK、PPDI、障害とハンセン病関係の諸団体、ビナ・ヌサンタラ大学、国際的な活動等と連携してきた。ネットワークを構築して地域でのプロジェクトを進め、覚え書きを交わし、ハンセン病患者にパソコン、ミシン、各種トレーニングを提供した。現在は、ハンセン病患者による事業開発に取り組んでいる。政府、とりわけ社会省とジャカルタ特別州知事・副知事からの変わらぬ支援により、全省庁・地方政府が障害者・ハンセン病のインクルージョンへの意識向上が期待される。

地域の貧困削減策の受益者としての、ハンセン病患者・障害者のインクルージョンに向けた、アドヴォカシー戦略トレーニング・開発も行われている。権利条約第28条に則り、障害者と貧困削減策の受益者と位置付けるアドヴォカシー戦略を開発したところ、州は障害者の権利、いわば彼ら自身と家族が、衣食住の満たされた適切な生活水準での生活、生活条件の継続的な改善、障害に基づく差別のない、全面的な人権の実現と推進のために必要な手続きの行使の意義を理解し始めた。ビジネス界・社会が、まず積極的な役割を果たすことも求められる。

これまでにしてきたこと

政治的活動とロビー運動:GPDLIは「法律に影響を与える」提案に関わる活動を確認・財政支援を行ってきた(いわゆる「ロビー運動」)。DPR-RIや国会、地方・地区の政治の文脈に拠らず、障害者の権利条約の条文に特に関わる活動を展開した。我々は障害者の権利条約第28条と社会保障との関連に焦点を当て、平等な権利と義務について闘争を行った。

図(図の内容)

WHOガイドラインを改訂したCBRマトリックス:マヤ・トーマス氏の発表より

CBRマトリックスについて言うと、生計・社会・エンパワメント以外では進展が見られる。保健の分野では、我々は義肢装具でハンセン病患者(86名)を支援し、ビナ・ヌサンタラ大学と保健センターと協力して、ジャカルタ市庁に勤務する5,000名あまりを対象に、ハンセン病の検査診断を行った。また、50名あまりによる小グループ(10組)を作り、生計・企業に関するトレーニングを、過去3年間で108名を対象に実施した。学校から戻ってきたハンセン病患者の子弟約65名に、英語・算数・物理等の科目を指導し、大学や学校で数千名あまりに、障害やハンセン病に関する問題を講義した。

本物の変化:怖れや怯えに基づくのではなく、質の変化を伴う変化へ

望ましい変化が期待できるのは、法律、政策、プログラムの変革がなされることだ。今後われわれがなすべきアドヴォカシーには、嘆願書、抗議行動、会議などの形が考えられる。書簡も欠かせない。障害者の権利条約第28条の下、障害者の権利への意識向上を目的としたトレーニングを通して、個々の法律レベルでの実現は可能になると思われる。トレーニングへの参加によって、積極的な姿勢と活発なプログラムの運営が期待される。生活水準や相応の社会保護へのアクセスに関する課題は、草の根の活動・官僚的政府のいずれにおいても、理解と継続的なネットワークを構築してきた。

情報へのアクセスとコミュニケーションは、とりわけハンセン病患者、障害者にとって限られたものとなっている。これまでしばしば行く道を阻まれ、疎外されてきた人たちのエンパワメントのために、近い将来、こうした訓練が大きな関連と意義を持つことになるであろう。

参考文献

Inclusion International, The Human Rights of Adults with Learning Disabilities, Report submitted to The Joint Committee on Human Rights Committee Office, House of Commons, 24 May 2007, p. 2.

Asian Development Bank (ADB), International Labour Organization (ILO) and Islamic

Mempertanyakan Tanggung Jawab Sosial Perusahaan. WALHI (Wahana Lingkungan Hidup Indonesia) Jakarta. Penerbit Cipta Inovasi Sejahtera. Jakarta.(Questioning CSR?)

Solihin, Ismail. (2009). Corporate Social Responsibility. Jakarta: Salemba Empat.
http://www.global-csr.com/triplebottomline0.html


1 ヌア・ペルダメンタ・タリガンは、Gerakan Peduli Disabilitas dan Lepra Indonesia (GPDLI)の会長であり、ヘルメン・マンダラガス・フタバラトとともに同会を設立した-ウェブサイト: www.pedulidisabilitas.org。インドネシア・ジャカルタのビナ・ヌサンタラ大学博士課程/DRM(経営研究博士課程)学生-同大Character Building Development Centre (CBDC)講師。メールアドレス:nuahptarigan@gmail.com; nuah.tarigan@binus.ac.id – ヘルメン・フタバラトは同会の副会長で、本発表の登壇者である。


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