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国連世界情報社会サミット(World Summit on the Information Society : WSIS)

WSISフェーズ2報告(障害者コーカスの活動に視点をおいて)

野村美佐子
(財)日本障害者リハビリテーション協会 情報センター次長

第2フェーズ世界情報社会サミットは11月16日から18日にかけてチュニジアのチュニスにあるクラムセンターで開催された。政府、民間セクター、国際機関、NGOなどが所属する市民社会から19,401人がこのサミットに参加した。以下障害者コーカスの活動に視点をおいてチュニスサミットを報告する。

チュニスサミットの成果

2003年にジュネーブで開催された第1フェーズ世界情報サミットで発表した「基本宣言」と「行動計画」に基づいて、実施する方策や体制などについて事前の準備会議(PrepCom)を通じて話し合ってきた。具体的にはデジタル・ディバイド解消のための資金メカニズム、インターネットガバナンスと関連課題、及びジュネーブとチュニスにおける決定の実施及びフォローアップに焦点をあて討議を重ねてきた。最終的な文書は9月に行われた第3回事前会議においてはまとまらず中断という形式を取り、まさにサミットの始まる3日前から再開され、前日の23時にやっと合意に達した。

最終公式文書として、「チュニスコミットメント」、「情報社会に関するチュニスアジェンダ」が発表された。この中で特に注目したいのは2006年第二四半期までに、マルチステークホルダーの政策対話のためのンターネットガバナンスフォーラム(IGF)会合をギリシャで開催するという合意である。今回のサミットで終了するのではなく、新たな活動が始まることになる。

合意された「情報社会に関するチュニスアジェンダ」の文書の中には、「障害者を含めたすべての人々のアクセスを推進するためのユニバーサルデザインの概念の形成と支援技術の利用に特別な注意を払う。(90-e)」という部分があるがこの文言はディサビリティコーカスの啓蒙の努力の結果である。

また今年の1月に起こったスマトラ沖大地震による津波により14万人の生命が奪われたこともあり、早期警報・管理・緊急通信におけるICTツールの利用活用についても、公式文書の中で明確に示している。

第2回情報社会における障害者グローバル・フォーラム

フォーラムはチュニスサミットの同時イベントとしてDAISYコンソーシアムとBASMA障害者雇用促進協会により15日と18日の2回にわけて開催された。これはICTと障害者に関する認識を高める非常に良い機会であり、障害者自身にとっても障害者が利用できるICTプログラムを知る機会となる。その目的は以下の3つにある。

  • (1)世界的にアクセシブルな情報とコミュニケーションの推進
  • (2)ICTに関するベストプラクティスの知識の共有
  • (3)WSISの成果によるさらなる開発の実施、監視、評価の世界的連携の確立

 フォーラムは、障害者コーカスのフォーカルポイントである国立身体障害者リハビリテーションセンター研究所障害福祉研究部長の河村宏氏によりコーディネートされ、チュニジアの大統領夫人の挨拶でプログラムが始まった。このフォーラムの中で障害者のインターネットのアクセス、教育と研修、携帯電話技術、雇用、キャパシティビルディング、知識共有のグローバルな図書館、ソーシャルインクルージョン、マルチステークパートナーシップ、読み書きに有効なマルチメディア、災害対策、障害を持つ先住民などの課題に取り組むことができ、情報社会における障害者のチュニス宣言を採択した。18日の本会議でこのイベントについて河村氏より報告とこの宣言の紹介があった。

また障害者の権利条約の特別委員会に参加するキッキ・ノードストロームをはじめとするIDAのメンバーも参加しており、利条約についてチュニス宣言の中で以下のように謳っている。
「すべての政府に対して、障害者の権利に関する国際条約は、障害者の情報と通信のアクセシビリティに関して強力な要素を含んでいるのでこの条約の交渉、採択、批准および実施のプロセスを特に国内法の施行を通し支援することを要請する。」

このフォーラムに2日合わせて200人ぐらいの参加者があり、障害者の参加も目立った。障害者の宿泊、移動、会議場のアクセシビリティについては、障害者のコーカスが確認、および支援を行った。

第2回情報社会における障害者グローバル・フォーラムの詳細

UNESCO主催の「ICTと障害者」ワークショップ

私が所属をしているIFLA(国際図書館連盟)の障害サービス委員会(LSDP)にもスピーカーとしての要請があり、私が代表して図書館サービスにおける障害者のICT支援について話をした。LSDPは多くの図書館と情報サービスに関する様々なガイドラインを作成してきたが、DAISY技術というICTの利用が障害者の情報のアクセスを高めていくという趣旨のプレゼンとなった。

プレゼンテーションの内容(英語)