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【第2部】シンポジウム「みんなのネットワークで支える障害をもつ人たちの暮らし」

徳竹●準備が整ったようですので、第2部に移らせていただきたいと思います。第2部は、「みんなのネットワークで支える障害をもつ人たちの暮らし」と題しましてシンポジウムを行います。永田祐さんのコーディネートで、シンポジストとして笠原さん、武田さん、小田島さんにお願いしたいと思います。早速ではございますが、司会を永田さんにお渡ししたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

永田●それでは第2部を始めさせていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。座ったままで失礼させていただきます。

私のほうは、司会をさせていただきますので、皆さんにお聞きするまでのちょっとした時間なんですけれども、ただ、自立支援協議会ですね、こちらのほうを少し簡単に最初ご紹介して、その後シンポジストの皆さんにお話をいただきたいと思っております。

こちらに今、スライドを1枚出していただきました。それから第2部のタイトルは「みんなのネットワークで支える障害をもつ人の暮らし」というタイトルを付けさせていただいています。単に自立支援協議会の機能とか、そういったものを議論していくだけではなくて、地域で障害のある方が暮らしていく、そのためにどんな仕組みが必要なんだろうか、その様なことを今まで検討をしてまいりました。

我々のプロジェクトは非常にシンプルで簡単なものです。一つは、地域で暮らしていく障害のある方を支援するときに、一つの事業者だけでやれることというのは当然限界があるだろうと。ですから多くの方が集まって知恵を出し合って考えていく必要があるのではないか。

それからもう一つは、一人ひとりを支えていくだけではなくて、1人の問題を地域の問題、みんなの問題にして、それで新しい仕組みを作っていくと。そういったことも必要になってくるだろうということで、そういったことを考えていく、そういう場が必要だろうと。国としては、そういう場として、この地域自立支援協議会というものを想定しているのだろうということで、こういったことを少し研究してみようということで始めました。

こちらの、今、スライドに出していただいているところを見ていただければわかりますが、第1部のほうでも、若干最後にお話をしていただきましたが、相談支援事業者が事業を構築していく際に、中核的な協議の場であるというふうに位置づけられているわけです。残念ながら、多くの市町村でこういったことが正しく理解されているかと言いますと、ちょっと怪しいところがあるわけですけれども、ただ、長期的に見た場合は、こういった場が非常に重要になってくるだろうというふうに考えております。

まだ法律的な明確な位置づけはないわけですけれども、自立支援法の中でも、相談支援事業の中で、そうした協議の場を設けていくということが書かれておりますので、それに則って地域自立支援協議会というものが作られ始めているといったところが現状だと思います。

当然そういうことですから、実施主体は、相談支援事業の実施主体でもある市町村ということになってきます。ただし先ほどもお話にあったように、提携を組んで複数の市町村で、この自立支援協議会を設置するということも可能になっております。今日、武田先生のほうからご報告いただきますB圏域のお話ですね。圏域で自立支援協議会を作っている一つの例だと思います。

みんなで知恵を出し合うわけですから、メンバーはできるだけいろんな方に入っていただこうということで、相談支援事業者を中核にして、保健・医療・福祉、それから学校とか、雇用・企業。障害者団体の方や権利擁護の方、学識経験者の方、それから社会福祉協議会等、そういった地域の福祉の関係者が集まる、そういう場にしていくんだと。

機能としては、こちらのほうにも書かせていただいていますけれども、一つは情報の共有ということですよね。皆さんで、いろんな地域の情報、それから先ほども話ありましたが、この人、この1人の方が地域で暮らしていくときに、どんな困難があるのか、何が必要なのか。そういった情報を共有していく場であるということが一つ言われているわけです。

それから二つ目のところですけれども、困難事例を調整したり考えたりしていく場にしていこうと。こんな方が今地域で暮らしたいと言っているんだけれども、こんな困難がある、どうしようかということをみんなで共有して一緒に考えていく。

それから…社会資源の開発と改善ですね。そういう困難事例を検討していく中で、これが足りない、この地域でこういうことが不足しているよね、じゃあ、こういうことをやっていこうよ、こういうものが必要じゃないかといったことを、例えば次に書いてある、障害者福祉計画とか地域福祉計画に反映させていくということですね。とか、政策として反映させていく。社会資源の開発とか改善につなげていくということも大切な役割だろうというふうに考えています。

こういったような機能を期待されている自立支援協議会。他にも書いてありますよね。あと教育機能とか、そういったことも入ります。例えばそういった困難ケースを検討していく中で、相談支援事業者の方もスキルアップをしていくとか、そういった効果も当然期待をされているわけです。そういった自立支援協議会の期待される機能というのが、果たしてどうして果たされていないのか。実際どうなっているのか。そんなことを少し考えていきたいなというふうに思っております。

今回、発表していただく順番で座っていただいています。一番奥の、先ほどご紹介していただきましたが、笠原さんのほうから、まず全国的な状況の調査をしましたので、全国的な状況についてご報告をいただきます。

続きまして武田先生のほうからは、B圏域での具体的な事例を通じて実態のほうをより細かくご報告していただこうと思っています。

最後に小田島さんのほうから全体を総括していただいて、自立支援協議会の機能とか、今後のあり方の展望をお話していただこうというふうに考えております。

それでは早速始めていきたいと思います。最初は笠原先生のほうから自立支援協議会の全国的な状況について、ご報告いただきたいと思います。お願いいたします。

笠原●はい。関西国際大学の笠原と申します。私からは自立支援協議会の全国調査の結果を報告したいと思います。協議会にはいろいろ期待されている機能とか、こんなふうにやったらいいんじゃないかということはあるんですが、実際どうなの?というところを、全国的な傾向から見ていただくということです。

今日は北海道から沖縄まで、それぞれ各地からおいでになっているということですので、皆さんの地域の現状と照らし合わせながら聞いていただけたらと思います。それからお手元にあります資料には全ての調査結果を資料として載せているのですが、全部報告していますと時間が足りませんので、適宜飛ばしながら発表したいと思います。

まず最初に調査の目的です。この研究会では生活の面でいろんな段階がとぎれとぎれにならないように、ライフステージを包括し全体的にとらえられるような支援システムのあり方に関心があった。そこで、安心して継続的に地域で生活する、そのための相談できる体制を築くということで、自立支援協議会に着目をしました。研究の大きな目的としましては、まず各地域の自立支援協議会の「協議内容」、具体的にどんなことを話し合っているのだろうか、またどんな「機能」がうまくいっているのかいないのか、その2点に焦点を当てて調査を行いました。次お願いします。

スライドの3番ですね。調査の方法ですけれども、対象はそれこそ北海道から沖縄まで、全国津々浦々の市町村約2,000か所を対象としました。実施時期は2007年の10月から11月にかけてですので、まだ協議会が始まって間もない段階での調査ということです。回収率は60%で、このような調査にしてはかなり回収率が高く、そこに皆さんの関心の高さも表れているのではないかなと思います。質問項目は厚生労働省が出している様々な資料を集めまして、その中に書かれていることを参考に作成しました。

ではここから結果に移っていきます。スライド4番の問1です。「自立支援協議会の設置」率ということで、まずは設置していますかいませんか、という単純な質問です。これは平成19年の10月の段階では、約半々ですね。「設置している」と「設置していない」が、ほぼ半々に分かれたということです。これからさらに半年ぐらい経ちまして、厚生労働省の調査がありました。この段階では65%が設置して、今年度中にさらに20%ぐらいが設置予定ということですので、順調に進んでいれば今年度中に85.8%の協議会が全国にできているということが予測されるわけです。

次はスライド5番の1-2、「協議会の設置方法」です。これは先ほど永田さんからも説明がありましたけれども、協議会を設置するには、大きく分けて二つのパターンがあるわけです。一つは市町村ごとに作っていくという方法です。これが表で言うと1番、「市町村単独」というものです。それから市町村ごとと言いましても、地域の規模や事情に応じて、市町村ではできない場合がありますので、その場合は「複数の市町村」で作っていくということがあります。これが2番から5番に当たるわけです。それから「作っていません」。これが6番「未設置」です。結果を見てみますと、まず「作っていません」という「未設置」が約半数ですね。49.3%です。残りの半分はどうかといいますと、「市町村単独」で作っているのは、そのまた半分で4分の1ぐらい。そして「複数の市町村」で共同で作っていますよというのが、またその半分で25%。25%、25%、50%という感じになりました。表の2番から5番をちょっと細かく見てみますと、「複数市町村」の共同設置の場合でも、「障害保健福祉の圏域」で作っている場合と、「それ以外」のパターンとあります。すごく少ない数ではありましたけれども、圏域以外で設置しているという場合もありました。

次はスライド6番の問2、「設置の経緯」です。一応この時点で半分ぐらいが作っていますよ、ということだったんですけれども、どんな経緯で作ったかというところに着目しましたところ、全く新しくゼロからこの組織をどういうメンバーにして、どういうふうに作り上げていこうかと「新たな組織化」をしたというのが8割。全体の8割ですので大半を占めました。一方、調整会議とか個別支援会議とか、何か今まで話し合いを積み重ねてきたところから移行したのが全体の2割ぐらい。青い部分、ブルーの部分ですね、2割ぐらいを占めました。

7ページの問3、「個別支援会議の実施」です。これは今の問2にも関わるところなんですけれども、では今までの話し合いでどんなことをやっていましたか?という問いですね。個別支援会議というのは、皆さんもよくご存じだと思うんですけれども、ある人の支援をどういうふうにしていったらいいのか方向性を検討する。自立支援協議会の関連で言えば、いわゆる「困難ケース」と言われているようなケースを検討していく、その方向性を見ていくというようなものだと思います。これを自立支援協議会を設置する前にやっていましたか、ということで聞きますと、半分をちょっと超える55%が「実施していました」という回答でした。

次の問4ですね。8ページ。問4を見ますと、今度は「サービス調整会議」。これは先ほどの問3の「個別支援会議」が、ある人の支援の方向性を決めるものだというのに対して、今度はその方向性、ある人の暮らしを実現していくために、どんなふうに支援をしていったらいいのか、具体的に組み立てていく場面というふうに考えられます。これも半数ちょっとが自立支援協議会を作る前に実施していたという結果になりました。実際には、個別支援会議とサービス調整会議を一緒にやっている場合もあると考えられますので、同じぐらい、大体半分ぐらいのところがやっていたよという結果になったかと思います。

では次にスライド9番。次にやってみましたのは、問3「個別支援会議」と問4の「サービス調整会議」について、これらをやっていたところとやっていなかったところで、自立支援協議会を設置する経緯に何か関係があるかどうか、クロス集計をしてみました。その結果わかったことは何かというと、協議会を作る前に「個別支援会議」、一人ひとりの個別のケース会議ですよね、それをやっていた。あるいは「調整会議」をしていた市町村では、協議会をゼロから作るのではなくて「従来の組織から移行」したよ、今までの話し合いの積み重ねを生かしながら移行したよ、という傾向があることがわかりました。全部が全部というわけではないんですけれども、どちらかというとそういう傾向があることがわかりました。

スライド10番。今までの話は、どういうふうにして自立支援協議会を作りましたか、という話です。ここからは、一旦立ち上げた協議会の中で、みんなでどんなことを話し合っていますかということです。「協議項目」とは、どんなことを話し合っていますかということです。ここに1番から27番まで、いろいろな項目が書いてあるんですが、これは自立支援協議会に期待されている6つの機能というものがありまして、それを中心に考えているわけです。ちょっと簡単に説明いたします。お手元の資料を見ていただいたほうが見やすいと思うんですけれども、番号で言うと6番、7番、8番ですね。これは協議会の「情報機能」というものです。情報交換するとか情報共有する。一人のところで抱え込まないで、みんなでそれを共有していくということです。それから9番、10番、11、12。この辺りは「調整機能」に関するものです。これは皆さんで情報を共有した後に、じゃ、どうしたらいいんだろうかということで、いろいろ知恵を出し合って調整をしていく。その機能に関することです。その次が13番、14番、15番ですね。これが「開発機能」というものです。これは、みんなで話し合いをしました。情報交換もして調整もした。けれども、今、地域にある資源ではどうもうまく成り立たない部分がある。では新しくこういうことをやってみよう。サービスを新たに開発していく、いろいろな方法をみんなで検討していくという開発に関する部分です。それから17、18、19、20の辺りですね。これは「教育機能」に関するものです。これはみんなで話し合いをしたり、どうやったらもっといい支援になるのか考えたりする中で、関わっていく支援者や関係者の専門性を高めていく。そういった研修であるとか、教育の機能ということが期待されているわけです。さらに21番、22番、この辺りは「権利擁護」に関することです。ちょっと番号は戻るんですけれども、最初、1番から6番にあたるところですね、これは「評価」の機能。地域の中には、いろいろなサービス提供機関があるわけですけれども、そこがうまいことやっているのか、本当に利用者の立場に立ってサービス提供しているのか、そこをきちんと見ていきましょうという評価に関するところです。あと残りは、相談支援を「強化」していく、もっとよくしていくためにどうしたらいいかという項目であるとか、研究会の最初の目標であります「ライフステージを包括した支援」をしていくために、こんなことをやっていますかというような質問を設定しまして、全部で27問の質問を作りました。この1から27に関して、5段階で評価をしてもらいました。つまり、「協議する予定さえない」、「全く協議していない」、「年に1回から2回は協議している」、「月に1回」、「週に1回」の5段階で話し合いをしているかいないかということを答えてもらいました。実際に協議しているか、話し合っているかいないかという、客観的な事実を問う質問であります。

では次に結果をお話しします。スライド11番の5-1です。まずは「月1回は話し合っていますよ」あるいは「週に1回は話し合っていますよ」それを二つ合計しまして、上位5項目。つまり比較的よく話し合われている上位5つの項目です。内容を見ていただきますと、情報交換とか情報を共有していく、関係者も含めて情報交換をしていくという、「情報機能」に関すること。それから調整をしていく、ネットワークを作って具体的な解決方法を考えていく「調整機能」に関すること。これが比較的協議されている項目に挙がってきたわけです。

次は問5-2。12番のスライドですが、今度は「年に1回から2回ぐらい話し合っていますよ」という上位5項目です。この調査を実施したのは、協議会が始まってから半年ぐらいです。その間、1回しかまだ協議していないというところもかなりありましたので、まずはとりあえず手始めに、こんなことから話し合ってみたということに該当すると思います。この内容を見てみますと、先ほどと同じように、「情報」の共有とか情報交換をしていくということ。それから「ネットワーク」を作り上げていくということ。こういった項目に関しては、大体5割から6割弱の協議会で話を、年に1回か2回ぐらいはしていますよという結果が出ました。

次は13番のスライド。問5-3です。今度は逆に「協議する予定さえありません」あるいは「まったく協議していませんよ」、その上位5項目です。ここを見ていただきますと、今度は「評価」とか「教育機能」に関することが中心です。重度包括支援事業の評価、審査会のチェックといった評価に関すること、それから人材育成、教育に関すること、この辺りはほとんど手が付けられていないということがわかったわけです。

では次のスライドに移りまして14番、問6です。この項目は、先ほどの問5と同じです。今度はこの項目を使って何を聞いたかといいますと、ではその話し合いがうまくいっていますかいませんか。「機能」していますかいませんか、ということです。これも同じように「まったく機能していない」から「よく機能している」まで5段階で評価をしてもらいました。その結果です。

次の15番。問6-1。「やや機能している」、「よく機能している」の上位5項目を見てみますと、これまた先ほどの問5「話し合っているかどうか」と同じような項目が並んできます。情報交換とか情報の共有に関すること、あるいはネットワークを作っているとか、調整する、「情報機能」あるいはその「調整機能」に関することが比較的よく機能している上位に上がってきました。

今度は「まったく機能していない」、「あまり機能していない」、残念ながらあまりうまくいっていない5項目です。ここでも問5と大体同じように、審査会のチェックとか「評価」に関すること、あるいは「権利擁護」に関することは、話し合われていないことなので機能していないということがわかったわけです。

今度17番のスライドですが、ここまでずっと報告をしてきて、研究会のテーマとして質問項目の中にそっと盛り込んだ、ライフステージに関する項目が全然引っかかりませんでした。上のほう、下のほう、どっちにも引っかかりませんでしたので、ここでちょっとピックアップしてみたいと思います。ライフステージ移行の観点から、この調査では3つの項目を組み込みました。1つはライフステージの観点から、記録データ、様々なデータを「関連機関に引き継ぐ」かどうか。あるいは将来予測されるような危険性について、お互いに情報交換や共有をしているかどうか。それについては、残念ながら「協議する予定さえない」、「まったくしていない」で、大体8割ぐらいを占めました。この二つに比べて、ちょっとだけ話し合っているよというのが、次の、「学校や商工会議所などとの連携」という部分です。ここは年に1~2回または月に1回というものを合わせて35%ぐらいのところが協議しているということになりましたので、ちょっとはましかなということがわかりました。それから同じ項目を今度は、うまくいっているかいっていないか、「機能」しているか、していないかという観点から聞きましたところ、残念ながらあまり機能していない。スライドで黄色く網かけしている部分ですが、これもちょっとは機能しているよということで言えば、「学校や商工会議所などとの連携」というのが、他の二つに比べて少しうまくいっているということがわかりました。

ここまでは選択肢で5段階評価で、「うまくいっている」から「いっていない」まで評価してもらったんですが、どんなふうにうまくいっていますかということを、自由記述で具体的に書いていただきました。そこから幾つか、「あ、こういうことがあるんだ」というのをピックアップしましたので、少し紹介してみたいと思います。うまくいっていることの例としましては、先ほどから申し上げていますように、「情報機能」とか「調整機能」に関することが中心でした。例えば【例1】、【例2】を見ていただきたいんですけれども、みんなで顔見知りになること。意外と素朴なことですけれども、顔見知りになることで地域の課題が共有されました。あるいは、障害者福祉関係者以外の方とも情報交換や意見交換ができるようになった、そういった「情報の共有」ということ。それがまたちょっと進みますと、「情報の共有」をもとにした「困難事例の解決」、【例3】ですね。あるいは【例4】で言いますと、今まで三障害バラバラだったのが、集約されて体系化されるようになっていった。そういった「調整機能」がうまくいっているという例が出てきたわけです。【例5】で言いますと、「ライフステージに応じた支援」を行うことができたというような、まさに私たちの研究会でも強調したようなことも挙がってきました。

19番のスライドです。先ほどの1つ前の7-1では、「情報」とか「調整」に関することで、これは、データでも比較的よく機能しているということが出てきたんですけれども、意外と自由記述で多かったのが、「運営の方法」、「運営体制」に関する意見なんです。これも幾つか紹介したいのですが、ざっと集約すると、どうやら専門部会を置いて役割分担をするとうまく機能するのではないかということが言えそうなわけです。まず【例1】、【例2】、【例3】を見ていただきますと、いろいろな「部会」ですね。啓発部会ですとか療育部会、そういった部会を置いて活動することでより専門的な検討ができるとか、より深く検討ができるとか、課題解決に向けた連携を取ることができるというように、部会を置くと具体的な話し合いができるという記述がありました。加えて【例4】、【例5】を見ていただきますと、ただ部会をバラバラに置いているということではなくて、それぞれの部会、ここではワーキンググループと書いてありますが、それぞれの専門性の部会を通じて自立支援協議会全体を形作っていく、ネットワーク化していく。あるいは普段の実践の上にそれを積み上げていく形でこういった協議会ができていく、うまくいくんだというような記述がありました。この辺りはまた、次の話、武田先生や小田島さんの話にもつながっていくことと思います。

ここまでが機能の具体的な例ですが、パワーポイントの資料の一番後ろ、私の発表資料の一番後ろのところに、もう少し詳しい自由記述の抜粋があります。永田さんが資料を作ってくださいました。また帰り道にでもゆっくり見ていただけたらいろいろ参考になると思います。

ではここからちょっとスライドを何枚か飛ばしまして、ページで言いますと、1ページめくって右下26番のスライドまで飛ばしてください。問9-1。26番のスライドです。この質問は何かと言いますと、協議会にどんな人、メンバーが参加しているんですか、という質問です。これを見てみますと、9割以上の協議会で置いているメンバーとして挙がってきましたのが、サービス事業所、それから相談支援事業所、そして行政職員、障害者の当事者団体、教育関係団体。この辺りは9割以上の協議会でメンバーを置いているということがわかりました。

今度は逆に、自立支援協議会への参加が少ない事業所、メンバーの上位5項目です。下から見ていきますと、権利擁護の関係団体。それから高齢者介護の関係機関、民間企業、この辺りは5割ぐらいにとどまっているというわけです。それから発達障害の支援センター、保育所。7割、8割程度ということがわかりました。

ここからちょっとまた飛ばしまして、今度は問11。29番というスライドまで飛ばしてください。問11。ちょっと話が戻るようなんですけれども、先ほどの「どんなふうにうまく機能していますか」の例、具体的な自由記述の例のところで、「専門部会」を置いていると具体的に検討できるというような話があったんですけれども、その「専門部会」を置いていますかいませんか、という質問です。これも大体半分ですね。「専門部会を設置している」と「設置していない」が半々に分かれました。

今申し上げましたように、「専門部会」を置いているかいないかは、ほぼ半数に、半々に分かれるんですけれども、「専門部会」を置くことでよりうまくいく項目にはどんなことがあるんだろうかということで、またクロス集計、バッテンの集計をしてみました。統計的な検定というのをやるんですがそれが有意に出た、つまりうまく機能しているよという結果が出たものだけピックアップして並べたのが30ページのスライドの表です。白い部分と黄色い部分があります。白い部分と、お手元の資料では網かけの部分です。まず白いほうを見ていただきますと、これは先ほどからずっと出ていますように、「情報交換・情報共有」とか、あるいは「調整」、ネットワークを作っていくというような項目です。これはただ単純集計をしているだけでも比較的うまくいっているという結果が出た項目ですね。一方黄色く、お手元の資料ではグレーに網かけをしている項目、これは今までの問5や問6ではそんな上位に上がってこなかった項目なんです。例えば「入所の調整」をするとか、あるいは地域の「社会資源の一覧」を作ったり「マップ」を作ったりする。あるいは制度にないインフォーマルな「社会資源の開発」をしていく。すなわちこれは、「調整」であるとか「開発」に関することですね。これは「専門部会」を置いているほうがうまくいっているという傾向があることがうかがえます。また黄色く、グレーに塗ってある下のほうを見ていただきますと、「資質向上」。専門職、あるいは専門職以外の人の「教育」に関することも、「専門部会」を置いているほうが比較的うまくいっているという結果が出たわけです。あとは加えて言うならば、「ライフステージ移行」の観点、これもあんまり上位に上がってこなかった項目なんですけれども、「専門部会」を置くとうまくいっている傾向があるよということが明らかになりました。

次のスライドは目が痛くなるような小さい字がいっぱい書いてあるんですが、今の具体的なデータを数字で示したものですので、どうしても関心のある方は後でご覧いただけたらと思います。

1枚飛ばしまして32ページの項目です。ここでまたクロス集計をしてみました。ここでは何を見たかったかといいますと、これまで自立支援協議会を設置する前に「個別支援会議」をやっていたかいないか。あるいは自立支援協議会設置前に「サービス調整会議」をやっていたかいないか。ということと、「専門部会」を置いたか置かないかということの関係です。クロス集計をしてみたところ見事結果が出まして、協議会を作る前に「個別支援会議」や「サービス調整会議」を設置していた市町村では、協議会に「専門部会」を置く傾向があるよということがわかったわけです。これはもうちょっと平たく言うと、今まで「個別支援会議」とか「サービス調整会議」で話し合いを積み重ねてきたところでは、それをもうちょっとシステム化しうまく仕組みにしたのが協議会だと言えるかもしれませんし、あるいはこの人の暮らしをどうしたらいいんだろうか、というところからスタートして話を積み上げていった。その結果協議会ができて、「専門部会」を置くに至った、そういうことが言えるのではないかと思います。

では長くなりましたが、最後にまとめていきたいと思います。この調査では何を見たかったかと言いますと、各地域の自立支援協議会ではどんなことを協議しているのかという話し合いの内容、それと、それがうまくいっているのかいないのかという実態把握をするために調査を行いました。その結果、「協議内容」、話し合いの内容としましては、地域の現状とかいわゆる困難事例に関する「情報交換」とか「情報の共有」。一人のところで抱え込まないで、それをみんなで共有していこう、そういったことが中心でした。一方「評価」に関することとか、より高度な専門性に関すること、あるいは「教育」に関すること、この辺りはまだまだ話し合いがなされていないということがわかりました。では、これらがうまくいっているかいないかという「機能」のことに関しましては、協議すなわち話し合っていることはうまく機能しているということに表れています。また、協議しているという項目の上位に上がらない項目、すなわち全体的な傾向としてはあんまり話し合っていないんだけど、実はうまくいっているところもある。それには「専門部会」を置いているかいないかということが、何かどうやら一つのキーになっているのではなかろうかということがわかったわけです。

それから最後ですね、「ライフステージ」を包括した障害者の支援システムのあり方の検討、これが研究会のテーマでもあったわけなんですが、残念ながら、ライフステージということを意識した項目に関しては、あまり話し合いの対象になっていないということがわかりました。ただこれも「専門部会」を置くことで、こういったことを意識した支援につながるという可能性が示唆されたわけです。

この報告はあくまでも全国調査の結果ですので、各地域の状況とか、個別の検討内容というものはあまり具体的に見えてきません。実際どうなのかということについては、武田さんや小田島さんのご報告をじっくり聞いてみたいと思います。すみません、長くなりましたが、以上で全国調査の結果報告といたします。ありがとうございました。

永田●ありがとうございました。全国調査ということで、どちらかと言うと、統計的にどうなのかということを整理していただきました。ただ、その中から、幾つか、大体半分ぐらいのところが設置をしていると。今まとめていただいたので細かいことは申し上げませんが、専門部会とか、それから今までの話し合いとか協議の蓄積というものが、何となくこの自立支援協議会を有効に機能させていく上で重要なキーになっているのではないかということが、調査の結果からは少し示されているということをご報告いただきました。笠原さんのほうからも今おっしゃっていただきましたが、実は場所を含めて少しケーススタディのようなものをしていただいたのが次の武田先生のご報告になります。主にB圏域の事例ですね。今言っていただいた機能、自立支援協議会に期待されている機能を少し頭の隅に置いていただいて、また支援の方は、自分がご参加されたりする場合もあると思いますので、そういったところを少しイメージしていただきながら聞いていただければと思います。それでは武田先生、よろしくお願いします。

武田●はい、よろしくお願いします。私のほうからは、今、司会のほうから紹介していただいたように、「A県B圏域」の事例を使わせていただいて議論を掘り下げていきますので、ご了承いただきたいと思います。

まず1つ目のスライドで入れさせていただいたのは、これは先ほど司会の永田先生のほうから地域自立支援協議会の説明が簡単にありましたけれども、一応枠組みとしては、その上に都道府県の自立支援協議会を置くという位置づけになっています。そこのところで、簡単に言えば、地域自立支援協議会をもう少し専門的な立場でバックアップしていくために、都道府県に都道府県自立支援協議会を置くということになっています。メンバー構成は、相談支援事業、保健・医療関係者、学校、雇用機関、企業、障害者団体、市町村、学識経験者等ということで、先ほどの全国調査で構成メンバーのところでもあったようなメンバーが想定されています。

そして次のスライドですけれども、これは先ほど司会のほうから紹介しました地域自立支援協議会の枠組みということです。機能についても、先ほどの時間で説明していただきましたので割愛しますが、これもメンバーとしては先ほどと同じように、相談支援事業者を中心として、保健・医療、学校、雇用機関、企業、障害者団体、権利擁護関係者、学識経験者等ということで構成することを想定されています。そして、このB圏域がではどれに当たるのかというところですけれども、先ほどの永田先生の説明では、あるいは天田さんの話の中にもありましたけれども、小規模な市町村などで、そこだけで開催するのが難しい場合等は、複数市町村による共同実施が可能というところであったり、あるいは全国調査の中で複数市町村による開催という、協議会の設置という形態がありましたけれども、そこに当たるのかなということです。

そして調査の概要ですけれども、たくさん、いろんなやり方でさせていただきました。何回も足を運ばせていただきまして、一つは圏域自立支援協議会に関する聞き取りということで、合計4回、そちらの事務局のほうにお邪魔してお話を伺いました。それとあと協議会の運営委員会のほうにもオブザーバーとして参加させていただきました。それと、B圏域のほうは2市1町からなる圏域なんですけれども、そのうちの1つの市にあります地域自立支援協議会のほうの聞き取りもさせていただきました。それともう一つは、その1つの市にあります、施設のネットワーク会議という、これは地域自立支援協議会ができる以前に、幾つかの施設が集まりまして、つまりサービス提供事業所が中心になって、既に行われていた社会資源のネットワークのほうにも聞き取りをさせていただきました。その他、研修会とか個別支援計画に関する聞き取りとかも併せてさせていただきました。

そして聞き取り調査の枠組みですけれども、ちょっと小さいですけど、主にこの辺のカテゴリーに分けて聞き取りを進めてまいりました。地域自立支援協議会の状況、概要について説明していただいた、そして、設立までの経緯を説明していただきました。それと協議会の構造、組織について説明していただきました。そして構成として、各委員会、専門部会等がどのような名称で、どのような役割を果たしているのかということについても聞き取りをしました。そして参加団体は何なのか、現在までの活動の状況、協議会を設置したことによる効果はどうだろうか、圏域内に存在するその他のネットワークは何があるのか、あるいは既存のネットワークと自立支援協議会との関係はどういうものなのか、それらをふまえて今後の課題について聞き取り調査を進めました。今ざっと言いました、お聞きいただいてわかると思いますけれども、全国調査のカテゴリーと連動した聞き取りをしていきました。

それと、それについての細かな聞き取りの内容なんですけれども、それはもう小さすぎて、このパワーポイントでは全く見えないので、私のパワーポイントの後のほうに、ネットワーク図がありまして、その裏から3ページにわたって細かな聞き取りの内容が書かれておりますので、また後ほどご参考にしていただけたらと思います。

この後は、そこに書かれているものの中から特筆すべきものを少しピックアップしてご紹介させていただきます。

まず設立までの経緯ですけれども、まず最初に、A県の場合は、福祉圏域ごとに障害児者の総合相談支援センターということを設置しまして、そこが自立支援協議会よりも先に動いていたというのが時間的にはあります。そこが、じゃあ、B圏域の相談支援のあり方というのをどうしていけばいいのか、一体このB圏域、どういう課題があるのかということを、まず話し合いましょう、そのあり方をみんなで考えましょうということで、「相談支援のあり方検討会」というのが開催されました。そこに参加した団体というのは、行政、総合相談支援、そして各市、村の相談支援事業、それから保健所、教育関係、それとか養護学校とかが参加して「あり方検討会」が開催されました。その中で話し合われていた内容の中から、いずれしばらくして広域的な相談支援のネットワークということで、圏域の自立支援協議会に当たるものがスタートしていきます。

ちょっと資料が前後して申し訳ないんですけれども、それのネットワーク図が先ほどの27パワーポイントの最後のほうに、B圏域障害児者総合支援ネットワーク「ほっとねっと」ということで、資料として添付させていただいております。それもちょっと細かい字なので、また後ほど参考にしていただければと思います。

スライドのほうに戻りまして、そこの相談支援のあり方検討会のところで話し合われた内容として、もともと既存の、スライドで言えば下から2段目の「特別支援協」と書いてあるところですけれども、特別支援教育に関する協議会というのが、既存のネットワークとしてありました。それともう一つ隣の、発達障害に関する協議会、それと一番左側の「A施設協」というのが、先ほど聞き取りをさせていただいたという、施設を中心としたサービス提供事業所の協議会です。その三つのうち、施設の協議会を除く、つまり括弧の中に入っている、特別支援教育と、それから発達障害に関する協議会が、自立支援協議会設置後、そのまま専門部会に移行されたという道をたどっています。それともう一つ、プラス、「就労支援(新)」と書いてありますけれども、圏域の課題として、やはり就労支援の課題というのは大きいだろうということで課題抽出されたものが、これも後に自立支援協議会の専門部会のほうに移行しています。そしてもう一つは「生涯支援」と書いてありますけれども、これが先ほど笠原さんのほうからもありました、我々が注目していたライフステージで連動していくという部分での、分断せずに人生を通じて支援を提供していくことが必要なのではないかということで、このあり方検討会の中で、そこを相談支援がどう作っていくかという話題が出て、これも課題だなと。ただこれは、そのまま専門部会に移行されたのではなくて、どちらかというと運営委員会の基本方針のほうに取り込まれていきました。そのようにして、相談支援のネットワークということで圏域自立支援協議会が設立ということになります。

設立時のポイントですけれども、たくさんある中で主なものを6点抽出しています。①番②番は先ほどお話ししたとおりです。総合支援センターと、あり方検討会が開催された。そして行政の関わりですけれども、2市1町、温度差は少しあるけれども、行政は終始1メンバーとして参加というスタンスで、好意的に参加しているという状況です。1メンバーとしてというのは、主導権は握っていない。と言って消極的でもなく、中心的なメンバーの1人として参加している。この辺の関わりがあるので、圏域自立支援協議会は動いていっているという形で、説明していただいた総合支援センターのジェネラル・マネジャーは言っていました。それと④番ですけれども、既存のネットワーク会議と新規のネットワーク会議のネットを企図、ということは、ちょっと謎かけみたいですけれども、個と個のみならず、ネットワークとネットワークを連携していくという意図があって、専門部会に特別支援教育なんかを残して、そことどう連携していくか、ネットワークとネットワークをどう連動していくかみたいなことも一つあったということでありました。そして2市1町の相談支援事業者は運営委員として参加しています。中核的役割を果たしています。つまり相談支援が中心となるネットワークが構築されているということです。ネットワーク図については、先ほどご紹介したように巻末についています。

そして、そのような経緯で設立されたB圏域の自立支援協議会ですけれども、その構成としては、主に肯定的な側面と、それから否定的な側面とがあります。まず構成について肯定的ととらえられる側面ですけれども、協議会の運営費用が、先ほど申し上げたみたいに、自立支援協議会が立ち上がる前に、総合相談支援センターというのが立ち上がって、そこに予算がついています。そこの委託費、つまり、総合相談支援センターの業務として、この圏域の自立支援協議会というのが運営されていると。つまりいろんな議論の中で、事務局をどこがやるのかということが各地で課題になっているということを耳にしますけれども、B圏域の場合は、そこの事務局機能というのは総合相談支援センターが担っているということです。そして2点目は、運営委員会、専門部会へは、それぞれの所属機関の業務で参加している、つまり参加メンバーは業務内、それぞれの所属する機関、団体の業務として参加しています。業務ということは、交通費とか時間とか、労力とかについては、それぞれの機関でというふうになっています。そして3点目は、運営委員会は実務者レベルを中心に構成されているということです。これもよく、いろんなところで耳にするのは、団体の長ばかりが集まっていて、なかなか現場の実情と合わない、実際動かないということが聞かれますが、B圏域の場合は実務者レベルを中心に構成しているということです。そして4点目は、参加団体については、行政も含めて極めて良心的ということです。これも先ほど少し申し上げました。

これに対して一方、少しこれは課題にもつながっていくと考えられるんですが、否定的な側面として、運営委員会・専門部会とも当事者の参加がない、今のところはないというところが否定的側面として指摘できるのではないかと思われます。そして2点目は、結局二大法人の施設長が…と考えられている側面。これ、どういうことかと言いますと、総合相談支援センターのセンター長が、この圏域内にある、ある法人の施設長がやっておられて、そして圏域マネジャーをされているのも、圏域内の別の法人の施設長がやっているということなので、圏域内の中では、結局は大きい法人の二つの法人がやってるんでしょ、みたいな見方もされていることは否めないということも、ご本人が指摘しておられました。そして3つ目は、市町村社会福祉協議会の参加が消極的ということです。これは個人的にはすごくもったいないなと思って、永田先生がその辺、ご専門なので、どうなのかなというのを、昨日もお話をしていたんですけれども、せっかく障害とか高齢とかの枠を超えて、さらに地域住民まで対象にネットワークを作る立場にある社会福祉協議会の活動が少し鈍いという辺りが、否定的側面として挙げられていました。そして4点目は、圏域内には閉鎖的な施設・事業所が存在していると。先に肯定的な側面で、参加団体は行政も含めて良心的と指摘しましたけれども、参加団体じゃないところ、つまり「そういうところには、ちょっとうちは」みたいなところがやっぱりあって、そういうところというのは、なかなかネットワークにも入ってこないし、連携も取りにくいというような状況があるということを指摘しておられました。そして5点目は、専門部会の構成に若干の偏りが見られるということで、先ほど笠原先生のほうから、専門部会が設置されているところは、というお話もありましたけれども、内容を見ていくと、どういう構成メンバーで構成されているのかと見ると、やはり少し偏りが見えるなというところが否定的側面として指摘できるのではないか。

次のスライドで、そのメンバー構成を表にまとめたものがありますが、先ほどちょっとご紹介したように、発達障害の部会なんかが、既存のネットワークをそのまま専門部会に移行したという部分があるので、既存のものプラス相談支援みたいな形で、少し、専門部会なので、その筋の専門家の人たちが集まって集中的に検討していくという方向性は、いいのはいいとは思うんですけれども、自立支援協議会のもともとの理念というのが、福祉だけに限らず広く地域全体の課題として、ということで、取り組んでいきましょうという理念がある中では、その中に設置された専門部会の中を、あまり専門的にしすぎると、結局は議論されている内容というのも、専門家の中の、さらに専門家で話をするみたいな偏りが出てきてしまったり、あるいは広がりが少し欠けてしまったりということにつながるのではないかというところがあったりすると思います。

そして、ちょっと時間がないので次々行きますけれども、自立支援協議会の運営ですけれども、月1回の運営会議、そして随時の専門部会を開催。ただ、これも専門部会がなかなか少しずつ動き始めた部会もあるというような状況で、これからだということをおっしゃっていました。そして3番目、年1回の総会で情報を共有ということ。ただこれも、本当は共有という意味では、年2回ぐらいやらなければいけないんだけど、ということをおっしゃっていました。でも「どうしてできないんですか?」と言うと、やはりマンパワーの問題が大きいと。これはやっぱり、事務局機能を総合相談支援というところで受けているにもかかわらずマンパワーの問題があるということは、これ、何かの業務を、本来業務をやりながら事務局を受けたところなんていうのは、とてもとてもそんな余裕はないよ、なんていうことを示唆していると思われます。

そしてもう一つ、自立支援協議会の運営の個別ケースということですけれども、個別ケースがどう位置づけられているかという視点から見ていくと、個別支援会議あるいは困難ケースについても、含めても自立支援協議会とは別枠の開催になっているということでした。つまりこの圏域の自立支援協議会で、個別のケースを話をするということは、ほとんどないということをおっしゃっていました。「じゃあどうするんですか?」ということをお話を聞いてみると、それはさらに2市1町の市町村自立支援協議会でやってもらわないと、みたいなことをお話ししていましたが、どうもいろいろ考えていくと、先ほどの前段で、地域自立支援協議会の役割って何なの? あるいはメンバー構成はどうなの?と言ったときに、市町村で難しい場合に圏域でという、つまり圏域の中心メンバーというのは、地域自立支援協議会の役割を果たさなければならない部分があるということから考えると、やっぱりこの個別ケースをどうしていくかというのが、B圏域の今後の課題、これから作ったものが、実際動いていくのかどうかというところに関わってくるのかなということがわかっているということです。

そして後、小田島さんが、課題とか論点、拾っていただけるということなので、簡単に項目だけご紹介していくと、B圏域の自立支援協議会のもつ課題として、ネットワークにかかってこないケースへの対応、つまり相談に上がってこない、あるいは、先ほどご指摘したように、一部の施設による抱え込みになっているケースなどをどうしていくかという課題。あるいは圏域2市1町の地域自立支援協議会をどうしていくか。個別ケースをどうしていくかというような課題。それと圏域内の社会資源、特に入所系の事業所との連携をどうしていくかという課題。そして相談支援事業に求められるスキルの整理と向上。何をどういうふうに向上していけばいいのかというところ、天田さんの話の中でも、1丁目1番地という話がありましたけれども、そうは言われても、期待される役割がすごく大きくて、じゃあそのすごく大きいけど、一体それは何なのか、それをどう向上していけばいいのかという課題。そして生活状況の異なる個別ケースの位置づけをどうしていくか。あるいは現在は当事者の参画がない状況を、今後どうしていくかという課題があると思っています。

その次のスライドは、今、なかなか上手に動いていっていない、立ち上げたばかりの2市1町の地域自立支援協議会が、違った形で、違ったタイプの自立支援協議会を作っていたので、今後の動向を見ていく上でも少し参考に付けさせていただきました。A市は相談支援事業を中心としたネットワーク、協議会を作っています。B市はサービス提供事業所を中心としたネットワークで協議会を運営しようとしています。C町については、すべての、相談支援も、サービス提供事業所も集めた総合的な社会資源が参加するような形の自立支援協議会を作っています。

そしてそのさらに次に論点の整理がありますが、これは、この後の小田島さんの部分と重なると思われますので、少しざっとだけ目を通していただいて、小田島さんの話につながっていったらなということです。ちょっと最後、中途半端な感じになりましたけど、時間の都合でもあります。私が全部最後までしゃべるわけにはいかないので、この辺でご報告を終わらせていただきたいと思います。どうもありがとうございました。

永田●ありがとうございました。全国調査に引き続きまして、B圏域の事例を通して、では実態としてどうなのかという具体的な課題なんかも挙げていただきました。最初の全国調査のところでは、やっぱり専門部会が重要だろうということを申し上げたんですが、一方で、その専門部会というものをどういうふうに機能させていったらいいのかが少し課題になっているとか、それからやはり個別ケースを大事にすべきだろうというふうなところを話してきたわけですけれども、一方で、個別ケースが、今、自立支援協議会から、B圏域では少し切り離されてしまっている状況があるとか。それからやはりネットワーク、ネットワークって流行りなんですね。みんなで集まりましょうというふうになるんですけれども、どうもちょっと最近、いろんなネットワークがありすぎて、我々もいろいろ仕事で忙しいのに、これも行かなきゃいけない、あれも行かなきゃいけないというような状況で、ちょっと屋上屋の感があるのではないかというようなご指摘もいただきました。

研究として全国調査と、それからケーススタディをやってきたわけですけれども、そのことを合わせまして、それでは今後、この自立支援協議会を、地域のネットワークの核として、それから地域の皆さんが協働していくための一つの場として、どうやって機能させていくことができるか。その辺りを、少し二つの研究の結果をふまえて、小田島さんのほうからまとめていただきたいなと思いますけれども、よろしくお願いいたします。

小田島●はい。それではもうちょっとの辛抱ですから、皆さん、もう少しお付き合いください。今、永田さんがかなりまとめてくれましたが、一応、笠原さんが全体の調査、そして武田さんが一つの地域で見えてきた状況というのをご説明したかと思います。さて私も、その二人のお話を聞いて、あるいはそういう調査をする中で、じゃあ一体、自立支援協議会とは、やっぱり何なんだろう?という思いが非常にありました。それで、今、永田さんがまとめてくれたようなことも含めて、一体論点と言うか、何がよく自分でわかっていないかなと思い整理して4つの論点にまとめてみました。(スライド2枚目「論点」参照

この4つ、どういうふうにまとめたかと言うと、まず一つは、「自立支援協議会は何をしようとしているのか。」結果的に自立支援協議会は何なんだろうというのが、やはり最終的にわからなくなるなという思いがあります。先ほども天田さんの説明の中にも、自立支援協議会という形だけ先行してしまって、なかなか追いつかないという話があったと思うんですが、なぜそんなことになっているのか。実際私も仕事をする中で、私どもの施設の利用者さんを地域へ出すときに、うちは1年ぐらいでどんどん出して行き、調整をワーカーにやってもらうんですが、地域へ調整に行ってきたワーカーに「どうだった?」と聞くと、「自立支援協議会で協議しましたよ」、なんて話、ひと言も聞かないんですね。つまりはそのぐらい、実感として我々持てていない。それは一体どういうことなのか、今はちゃんと整理すべきだろうと思います。

次に、自立支援協議会、先ほど笠原さん、そして武田さんの中にも機能と役割というものを、国が考えているものも含めて整理していますが、いろんな機能があるんですよね。そんなにいっぱい、できるんですか?という素朴な疑問があります。

それから「権限や責任」。これ、結構ある話しですが、Aさんのことを話し合って「それは無理ですよ」と言って帰ってしまう。じゃ、Aさんはどうするのと。誰が責任持ってくれるのか。自立支援協議会の誰が、最終的な責任を持っているの?と。これも、やはりちゃんと整理しておかないと、みんな何か言いたいことだけ言って帰ってしまうという思いがあったので、これも整理しなきゃなと思いました。

最終的には、誰が自立支援協議会を発展させて、継続させていくのかという点を考えなければと思っています。その核となるのかなというこのように4点をしっかりと整理すべきだろうなと思ったところです。

まず、最初の論点、「地域の中で自立支援協議会は何をしようとしているのか?」(3枚目のスライド「地域の中で自立支援協議会は何をしようとしてるのか」)まさにこれは機能ですね。機能と役割は、どんなものがあるのかという点ですが、まず国は自立支援協議会を立ち上げるときにスライドに示す3点をやろうよと言っているんですね。「相談支援事業の充実」。それから「複数のサービスを適切に結びつけて調節」。それで「社会資源の改善及び開発」です。実は、この3点は、自立支援協議会と言う前、私が厚労省にいたときに、障害者ケアマネジメントというのをかなり力を入れて推進してきました。相談支援事業も同様です。相談支援事業は、平成8年ぐらいからスタートしたと記憶しています。そうすると今年は平成21年でしょ。自立支援法が施行されたのが平成18年ですか。10年、12年というスパンで、また同じことを、より進めましょうと言っていることなんですね。と言うことは、自立支援協議会と言う前から、こういうものはあったということです。ではなぜこういうことがあったのか。実はこれって、いわゆるケアマネジメントの実施体制をいかに充実するかなんですね。私としては個人的に残念なんですが、私が厚労省にいる間に、相談支援事業は一般財源化された。そこは先ほど、天田さんのほうから説明があったとおりの理由で一般財源化されたんですが、それによってある意味、非常にやりづらいよという批判を受けたのも事実であります。相談支援がうまく回らないと、やはり障害者の生活は支えられないだろうと。あるいは一人ひとりの、その人らしく生きるということは実現しないだろうと。要するにケアマネジメントの体制を整備するということは、とりもなおさず、その人らしく暮らし続ける、こういった社会を作っていくという、厚労省で言えば平成8年のときから言っている、この思いというものを、より発展されるものだということに違いはないだろうと。まずここを押さえなければと思いました。

ちょっと蛇足ですけれども、私が言うケアマネジメントというのは、介護保険やあるいは一部で言われる利用調整のためのシステムのことを指しているのではなくて、あくまでも一人ひとりの住民、あるいは障害者の方たちが自分らしく生きるために、みんなでどう支えるか、こういう仕組み、それから必要な資源を開発していく、そういう、社会のある意味、上から制度が下りてくるのに対して、下から一人ひとりの生活を大事にすることで作っていく、社会の一つのありようだと思っております。そういう意味で、ケアマネジメントを使っているとご理解いただければと思っています。だいぶ時間が押してきてしまいました。

次のスライドです。(4枚目のスライド「自立支援協議会6つの機能①」)にこの中に6つの機能として自立生活というのを整理しています。これは時間がないので、もう既に笠原さんがさっき問5、問6のところで説明したようなこと、そこが全部機能ですから、ざっと、見てください。3番まで行きます。これですね。で、1枚変わって、(5枚目のスライド「自立支援協議会6つの機能②」)ここがミソです。なぜ2枚目になるか。4つ目、教育機能、これですね。5つ目、権利擁護機能。こういうことになっている。6.評価機能、この6つに整理されているところがあると思うんですね。これが調査の中でも、項目ごとにすべて反映されたということです。

ではこれ、全部やるのかい?というのが、私の次の疑問になるわけです。それで次のスライドを用意しまして(6枚目のスライド「自立支援協議会は地域の重層的な機能ネットワーク」)、ちょっと見てほしいのが、この赤い台形、これが自立支援協議会の鉄筋だろう。やっとビルの鉄筋が組み上がりました。こんなデカいものだと地上100メートルもあろうかというぐらいのものができました。それは何をするための鉄筋だろうと言ったら、一人ひとりの生活を支えるための支援協議会という形であると。なるほど。成熟度のところを見てください。途中で実線が点線になっているんですね。実は、このそれぞれの箱の中に、6つの機能を当てはめてみたんです。2階部分にあたる「調整・情報機能」。これはどういうことかというと、やはり一人ひとりの個別の課題や、その地域の抱えている課題を、地域の中で共有しようよ、あるいは地域の中で発信していこうよというのが情報機能なんですね。そこには具体的な課題とか、一人ひとりの生き方、そういう困難さというのがなければいい。ここが、何て言うんだろう、空想でね、多分こうだろうから、こういうものがあったほうがいいよね、みたいな情報発信では、長続きしないんだろうと思うんですね。具体的な個の状況の情報を共有する、あるいは発信するということの、その一人ひとりの生活のために、何がどういう支援が必要か、どういうサービスが必要かという調整機能、この二つが自立支援協議会のベースであり、基本ですよと。さっきの笠原さんの調査の中で、自立支援協議会としてうまくいっている機能、よくやっている機能というのは、まさにここだったんですね。6、7、8、9、10という項目が、ここに当たるんですね。ということは、そこしかやっていないように、調査では見えるんですが、逆に言うと、そこから始めることが大事で、そこから始めない自立支援協議会というのはあまり意味がないよというのが調査で出ていたのかなと。つまりここから始めないことには何も始まりませんよということだと思うんです。

そして次に来るのは開発機能です。そこで見えてきた課題にどう対応していくのか。既存のサービスで足りるのか足りないのか。足りないんだったら、地域の財産とすべく開発していこうよと。こういうことが重要。ここも、昔からケアマネジメントで言われているところです。多分この三つの機能が成熟していく。情報・調整がうまくいくようになり、そこがネットワーク化され、そして開発までいくところ、ここまでできると、かなり自立支援協議会としては成熟しましたよということが言えるのかなと思うんです。

じゃあ、あと三つの機能をどうとらえるの?私はこれ、独断ですがこの三つというのは、ある意味でオプショナルに考えたらどうかなと思うんです。この三つも含めて六つの機能ができることは理想ですけれども、最初にこの上の三つを見るんじゃなくて、下の三つから発生する、どういう資質の向上が必要なの?どういう意味で権利擁護していかなきゃいけないの?どういう人たちを権利擁護しなきゃいけないの?あるいはサービスをどう評価していくの?ということは、情報機能、調整機能、開発機能という三つがあって初めて生まれるものなんじゃないかなというふうに私としては整理します。だから何も自立支援協議会を難しく考えるんじゃなくて、ここをまず充実させるというところから出発しませんか?というのが私の提案でもあります。

で、そこは地域の実情をふまえて成熟させることが肝要だから、その地域の状況によって考えてはどうなんですか?というふうに整理してみると、何をしようとしているのかなというのは、ある程度、私なりには整理がついたと、納得しているところでございます。

次に権限と責任の問題ですが(スライド7枚目「機能別に見る権限と責任」)、前提として、サービスを実施する責任というのは、当然市町村側にありますね。つまりはサービスの実施に対する責任、も市町村にある。では自立支援協議会というのはどうなの?というのが次に来るんですけれども。ちょっとここは遊びながら作ってみたので、これが正しいかどうかというのは非常にわかりづらいかもしれません。この6つの機能を、どっちに権限と責任があるのかと考え丸を打ってみたら、丸が全部付いてしまいました。全部付いてしまいましたが、ちょっと高低があるかなと思い二重丸に変えてみました。例えば調整機能では、最初は行政がサービス調整をやるけど、できるだけ協議会に移していったほうがいいというようなことで矢印を入れてみました。そういう中で見たときに、やはり権利擁護というのは、一義的に自治体が負うべきだろうと、強い責任を持っている。ただしそれを支えていくという意味では、協議会であり、一人ひとりの後見人であり、我々支援者だと思うんですね。そういう意味で、ここはちょっと両方になります。次に評価機能ですが、二つに付いているのは、評価する内容によって、自治体、要するに行政に対しての評価も必要だろうし、協議会自体も評価される必要があると。そうすると、協議会がまだ発展していないうちは、評価機能を自治体が中心になってやっていけばいいなと思うんですが、協議会が成熟してくれば、評価権をしっかり持っていってほしいなと思っていて、逆に言うと、この公的なサービス、前提となる公的なサービスの部分も、協議会が評価してくれると、それが協議会として地域の意見を行政にぶつけていく、あるいは障害福祉計画を作るときの一つのシステムになってくるのかなと思って、こういう矢印を作ってみました。そうすると、次に自立支援協議会の評価責任というのはどこにあるの?自立支援協議会全体をどうとらえるのかといったときには、公的なサービスと併せて総括的な責任を市町村が取るべきだろうなと。だけども、自立支援協議会の成熟に合わせて、できるだけこういう矢印ができるようになってくると面白くなってくるのかなというふうにまずは整理しました。

そして次に、もう一度同じものになりますが、(スライド8枚目「権限と責任の整理」)これはさっき言ったように市町村ですよね。協議会として見るならば、県のレベルの協議会もありましたよね。さっき武田さんが説明してくれました。これ、両方の自治体がまず総括的な責任を取れよと。で、これは先ほど谷口さんと天田さんの議論からちょっと出ていましたけれども、もし法定化されるのであるならば、当然市町村の設置義務というのもが、努力義務になるのか義務になるのかというのはありますけれども、強くなることが考えられる。私は自治体を悪く思っていませんけれども。どちらにしろ、メリットもデメリットも出るよというふうに思ってもらえばいいと思います。

では、そうやって市町村の権限と責任が非常に高くなってどうかと言うと、ある意味、そこに参加している団体とか個人が従属的で曖昧な考え方になるんじゃないかと思うんです。(スライド9枚目「権限と責任の整理」)「どうせ責任は市町村が取るし、俺らが言っても市町村は聞いてくれないから」というような話になってきて、「いや、来いって言うから付き合いで参加しているんだけど」というようなことになっていく。そうすると、結局市町村に、「これやってよ」みたいな苦情だけになって、事業所の苦情の言い合いの場になってしまう。これが、一番困るんですね。この三つになってしまうというのが。(スライド9枚目上の「市町村の権限と責任がより高くなると、・自立支援協議会に集まる関係団体の中に市町村任せデイ意図するあいまいな考え方が強くなる。・お付き合い参加。・関係機関の日ごろの苦情や要望を言い合うだけの場」と帰している部分を指す)これは自立支援協議会がやってはいけないことなんだろうと私は思います。ここに書いている市町村の姿勢は、こういうように責任をどうせ市町村にあるからというふうに言わせないように、市町村も皆さんと同じ、支援協議会の1メンバーなんですよ、という姿勢を保つよう常に言い続けるということが必要かと思います。

それからもう一つ、関係団体の姿勢ですけれども、(スライド10枚目「関係団体の姿勢」)自立支援協議会で協議していることが、実は自分たちがサービスを提供するにもメリットがあるし、自分たちの利用者さんが困っていることに対してもスムーズな、みんなで話し合って足りないことを他が補ってくれるんだから、メリットあるんだよね、と思うことが重要だと思います。それからもう一つ、ここはしっかり押さえてほしいんですが、地域福祉という観点に立ったときには、自分たちのやっていることがその地域の生活に関与して影響しているという責任性の問題ですね。ここをちゃんと押さえておくことが重要だと思います。

スライド11枚目「権限と責任の整理」)やはり公的サービスというのは、安定的な提供ができるという意味で、非常に意味があるんですが、でもフレキシビリティに欠ける。やっぱり、公的に出す以上、財源の制限がある。そうすると当然、我々のこの5年間の研究の中でも、公助・互助・共助というものを言って、そのそれぞれの次元で捉えたサービスが必要だと言っていたと思うですが、やっぱり自立支援協議会で作るサービスというのは、公助にのみ頼るのではなくて、互助や共助のサービスを作るということが非常に求められる。それが資源開発ということであり、私はこれが中心だと思っています。

スライド12枚目「権限と責任の整理」)そうやってある程度権限や責任を持つことになるとそれ自体で、一人ひとりの障害者の生活に影響してしまい、左右するんだよということをしっかり押さえる。次に、スライド上の「専門部会による解決システムの確立」に関することですが、これ、怖いんですけどね、例えば、Aという当事者の方の、「私はこうしたいんだ」ということに対して、「いや、みんなで話し合って協議会で決めたけどね、あんたはこうはできないよ、もう協議会の決定だから」ということを絶対やってはいけないということです。それをやってしまったら、協議会の意味はないんだろうなというふうに思っています。それから、公的サービスが少ないことを理由に制限しないことと。先ほど言った、互助・共助のサービスとして、いろんなサービスを作っていくということが我々の業務にあるということを再認識しましょうねということです。

やはり重要なのは、一人の市民として普通に暮らすということを支えているんだということを、しっかり思う。そしてそのために、個別支援会議、つまりこれは、先ほどの情報機能のところで出ていましたが、その情報機能というところで語られる個別支援会議というものは、そこからすべてが始まるんですよということの認識を持つことです。そこがしっかりできていれば、自立支援協議会はそんなに形骸化することはないんだろうなと思っております。それから専門部会に関する私の見解をちょっと述べさせていただきますけれども、専門部会というのは、やはりその具体的な課題をどう解決するかというときに、全体で話し合いをするよりも、それに特化した会議を作るというニュアンスで認識するほうがいいのかなと思います。つまりは、専門部会がありそこで解決する具体的な課題があるとします。ここでの課題解決が終わったならば、この専門部会は潰せばいいかなと思っているんですね。ある先駆的な市では、専門部会と言わず、プロジェクトと言っているんですね。プロジェクト方式でやるから、完了すれば解散すればいい。それがいいんじゃないかなと思うんです、私は。なぜかと言うと、「専門部会」を残しておくと、検討する材料がないのに部会だけ残っているんです。何が起こるかというと、検討課題がないのにみんなが集まりましょうという、くだらない組織だけが残ってしまうので、それならばどんどんつぶして新しいものを作っていくぐらいの気持ちがあってもいいのかなと。そこで語られることというのは、誰のために、何のために、どのような資源を活用してと、具体的に語っていくことだろうと思います。

最後に誰が発展継続させるための核となるのかという課題です。(スライド13枚目)ちょっとここは調査から引き出していますが、最初の段階、自立支援協議会を立ち上げる段階で市町村の関与が大きいところというのは、やはりそれ以前に、個別支援計画会議とか、調整会議とかがあまりなくて、行政主導で一挙に設立したところだと思います。残りの2割のほうはどうなのかなって考えると、やはり以前から個別支援会議とか調整会議があって、ある程度地域の中で、自立支援協議会のイメージが持てたところではと思うのです。私が調査に入った高知県の日高村は、以前より、非常にいいネットワークが組めていましたので、自立支援協議会の立ち上げがごく自然に出来たところです。

スライド14枚目)比較的滑り出しがうまくいった地域とはどのようなところかと言うと、今までの武田さんや笠原さんの話で、相談支援事業が充実しているところでしょうし、それぞれの人の顔がわかって関係ができている。当然、この個別支援計画の調整もできているだろうと。行政との間に、結構いい関係ができたところというのは、うまく行っていたように、調査上私は見ております。その上で地域の核となる人物が、保健師とか市町村の担当であるとすごくいいんですよね。保健師さんって、すごく入り込んで安心感を地域の人に与えていて、その人が市町村の職員でもあるというんでしょ。そうすると、「ああ、あの人はよくやってくれる、あの人がやるなら、いいし、市町村がやるってことだから安心する。」というのが、結構滑り出しがうまくいっている地域で見える。それは人口規模によらず、かえって小さな市町村でできている話でしょう。

スライド15枚目)発展継続させるためには、やはり市町村がリーダーシップを発揮し、総括的管理はしますけれども、ある意味、幾つかの項目については協議会に段階的に分けていくという姿勢を持って付き合っていただけないかなと思っております。それから互いに評価する関係性を持つということが非常に重要だろうなと思います。それから先ほどもちょっと言いましたように、協議会は常にモニタリングをして、いらない部会はつぶしていってもいいんじゃないかなと考え、こういう弾力的な運用が必要だろうと思います。それから構成する団体、個人というのは、やはり自分も責任を持って行動するということを忘れないということなのかなと思いました。

だいぶ時間が押してしまって申し訳ありませんが、以上で私の発表を終わりにしたいと思います。

永田●はい、小田島さん、ありがとうございました。以上お三方からご報告をいただきました。今、小田島さんからいただいた報告の中で、幾つかの機能を少し段階的に整理をしたほうがいいんじゃないかというご提案ですね。6つぐらいの機能が期待されているんですけれども、やっぱりはじめの一歩としては、情報の共有をしっかりするということから始めていくことが必要なんじゃないかと。ただし情報の共有というのは、何となく共有するんじゃなくて、小田島さんが多分こだわっていらっしゃったのは、地域で暮らしている一人ひとりの方のニーズをきちんと。そこから出発しない情報共有というのは意味がないんじゃないかということもおっしゃっていたのかなと。具体的なニーズをきちんと見て、じゃあ、この人、どうするんだというところから調整、何が足りないから開発というところにつながっていけるんじゃないかということが、一つ大事なポイントとしてあって、もう一つは、権限の問題をかなり丁寧に議論していただいたんですね。市町村と自立支援協議会の権限がどうなのかということを、少し。特にネットワークというのは権限が曖昧になりがちなので、その辺のことを少し整理をしていただいたのかなと思っております。