[英国]議会が手当制度における医学評価についての報告書を公表

リハ協ブログ2023年4月15日より転載

2023年4月14日、下院議会の労働年金委員会(Work and Pensions Committee)は、「手当制度における医学評価(Health assessments for benefits)」という報告書を公表しました。

英国の手当制度には個人自立手当(Personal Independence Payment:PIP)、雇用・生活支援手当(Employment and Support Allowance:ESA)、ユニバーサルクレジット(Universal Credit:UC)、障害者生活手当(Disability Living Allowance:DLA)、参加手当(Attendance Allowance:AA)等、その受給要件として障害や健康状態の評価が含まれるものがあります。医学評価は、外部の事業所に委託して実施されているのですがいろいろな問題が指摘されています。

英国政府は労働能力評価(Work Capability Assessmen:WCA)の廃止を含む医学評価の方式の大規模な見直しを行うと発表しましたが、それが実施されるまでには数年かかる見込みです。

議会は医学評価に関して政府がやるべきことについて勧告するためにこの報告書を作成しました。

勧告の主な内容は次のようになっています。

  • 医学評価が申請者に対して身体的および精神的影響を与えるかについて外部からの評価ができるように詳細なデータを公開する。
  • 評価の透明性を向上させるために評価を実施する事業所に対してビデオまたは音声記録を義務付ける。
  • 評価結果が訴えにより裁判で覆された事例を研究し、評価担当者に確実にフィードバックする。
  • 新型コロナウイルス感染症の影響で、リモート審査と書類審査が活用されるようになったが、すべての審査をデジタルプラットフォームに向けて移行するのではなく代替形式を維持する必要がある。
  • 評価の根拠となる情報の取り扱いについてガイドラインに基づき実施されているかを確認できるようにする。
  • 多くの重度障害者が働いていることから、PIP、ESA、UCで実施されているような再評価を終了するための基準を単純に労働能力にリンクすることは適当ではない。

詳しくは下のサイトをご覧ください。(寺島)
https://publications.parliament.uk/pa/cm5803/cmselect/cmworpen/128/report.html#heading-7

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