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韓国-障害者差別禁止及び権利救済等に関する法律

崔 栄繁仮訳(2008年4月22日版)

目次

翻訳者からのコメント

1.訳語について

  • 韓国は障害者を「障碍人」と標記しますが、日本語にあわせて「障害者」としました。
  • いわゆる「合理的配慮」は原文では「正当な便宜提供」となっておりますが、「正当な便宜供与」としました。
  • 仮訳ですので、転載等はご遠慮ください。<

2.内容への若干のコメント

  • 障害の程度・範囲については、医学モデル的な韓国の福祉法に沿った書きぶりになっている(第2条)。
  • しかし、「障碍に基く差別」の範囲がかなり広い(第4条)。 。
    • 不利益取り扱い
    • 間接差別(第4条の1)-2)
    • 合理的配慮の拒否(第4条の1)-3)
    • 不利な待遇を表示・助長を直接行う広告あるいは効果(までも!)(第4条の1)ー4)
  • また第6条「差別禁止」で過去の経歴や推測されることを理由にした差別を禁止しているので、同報における障害の定義を実質的に広げている。 
  • 合理的配慮(本法では「正当な便宜供与」)は第4条の②、適用除外は第4条の③に規定されている。
  • 各論部分を見ると、合理的配慮の適用範囲の「段階的範囲」を大統領令で定めるとなっている。解釈の仕様では合理的配慮の対象範囲の拡大を担保しているともいえ、逆に最初に適用される範囲を狭める効果もありうる。しかし、合理的配慮という新しい概念の導入について、各界の同意を得るための斬新なアイディアだと思われる。
  • 各論部は基本的に「差別禁止」⇒「合理的配慮義務」という構造。
  • 第28,29条「母・父性権・性」の規定は韓国の社会背景が読み取れる。
  • 障害女性、障害児童、精神障害者には特に条項を設けて言及(第3章)。
  • 救済については、国家人権委員会が管轄となる。国会人権委員会は勧告の権限しかなく、ここでの救済ができない場合は、当該案件は法務大臣に移る、という形になる。
  • いわゆる民法型だが、「差別」について厳格な要件を満たした場合の刑事罰も準備している。
  • 挙証責任について、「立証責任の配分」47条で条項を設けて定めている。これは、実質的には加害者側が障害に基く差別がなかったことを立証しなければならなくなっている。