[財務省] 障害福祉サービスの見直しを議論

令和7(2025)年11月11日、財政制度等審議会・財政制度分科会は、障害福祉サービスの見直しを議題にしました。

その主な内容は次のようになっています。

ポイント
障害福祉サービス等の総費用額(自立支援給付費+利用者負担)は、中でも2024年度は11.3%増加。職員処遇改善などの喫緊の課題に対応しつつ、サービスの質の確保と総費用額の抑制を両立させる取り組みが必要。
障害福祉サービスの改革の必要性
・障害福祉サービス等の総費用額(自立支援給付費+利用者負担)は、利用者の増加や一人当たり利用額の増加により、直近10年間で約2倍に増加。
・利用者負担割合は他のサービスと比べても僅少であり、医療・介護保険制度にも増して障害福祉サービス等報酬(=サービス料金)の上昇や利用料の増加による負担増を利用者が感じにくく、供給サイドである事業所の増加に応じて、総費用が増加しやすい構造。こうした中、サービスの質の確保と総費用額の抑制を両立し、制度の持続可能性をどのように確保していくかが大きな課題。
障害者福祉サービスの類型別の状況
・障害福祉サービスは、従来、施設系や日中活動系の割合が高かったが、就労系や居住支援系の割合が増加。(障害福祉サービスの総費用の伸びに対する寄与度も大きい。)
・こうした総費用額の伸びが大きいサービスでは、営利事業所数の参加も大きい。
障害福祉サービスの総費用額の増加要因
・近年の障害福祉サービスの総費用額の伸びを分析すると、過去10年間、利用者数の増加に加えて一人当たり総費用額も増加。更に2024年度は総費用額が急上昇(+11.3%)しているが、その主な要因は、2024年度の障害福祉等サービス報酬(サービス料金)改訂(+1.12%)を大きく上回る一人当たり費用額の伸び。
・【改革の方向性】(案) 今後、総費用額急増の具体的な要因や背景を速やかに分析した上で、2024年度障害福祉等サービス報酬改定等の政策意図に沿わないものがある場合には、早急に対策を講じる必要。
障害福祉分野の職員の処遇改善
・経済・物価動向が変化する中で、障害福祉分野の職員の処遇改善は喫緊の課題
・2024年には、福祉・介護職員の基本給等で5.3%、一時金等を含む平均給与額で6.5%の賃上げ(定期昇給込み)が実現する一方で、1事業所当たりの総費用額(=自立支援給付と利用者負担の合計であり、施設・事業所の収益の大宗を占める)は、2024年度において7.7%増加。
【改革の方向性】(案)
・2024年度障害福祉サービス等報酬改定を踏まえた処遇改善の状況や、経営状況等の実態を把握・検証した上で、介護分野の処遇改善に向けた 対応を睨みつつ、事業者の経営形態やサービス内容に応じた効果的な対応を検討する必要。
 ※今後公表される障害福祉サービス等経営概況調査(無作為抽出された事業所のうち一定割合が調査に回答)結果の国保連データ(1事業所当たり総費用額の算出根拠)との整合性等を勘案しつつ、経営状況等の実態を把握していく必要。
・同時に、今後労働力人口が減少していく中にあって、サービスの質を維持・向上していくためには、生産性向上を通じた業務の省力化・効率化が不可欠。]
障害福祉サービスの質の確保
・障害福祉サービスの事業所数が増加する中で、虐待件数も10年間で約4.5倍に増加。中でも、グループホームは約34倍と なっており、全体の約3割を占めるに至っている。
・他方で、都道府県等による事業所への運営指導の実施率は低く(16.5)、厚生労働省の指針で定める水準(3年に1度)に未達。
サービスの質の確保のための自治体の権限強化
・令和7年度予算執行調査に当たって自治体の意見を聴取したところ、事業所の指定等に関して自治体の権限を強化すべきと考 える自治体が多く、その具体的な方法としては、指定基準の見直しや総量規制等を掲げる自治体が多かった。
【改革の方向性】(案)
・厚生労働省においては、こうした自治体の意見などを踏まえつつ、今年度中に行うこととされている第8期障害福祉計画(令和9-11年度)に係る基本指針の策定や令和9年度障害福祉サービス等報酬改定に向けて、具体的な議論を開始すべき。
グループホーム①(指定基準の見直し)
・介護保険制度の認知症グループホームでは各職務について要件が定められている一方で、障害福祉サービスのグループホームにおいては、一部の職務(サービス管理責任者等)を除き、資格や実務経験、研修受講等の要件が定められていない。
・また、他の障害福祉サービスと比較しても、管理者に要件がない点や、資格等の要件があるサービス管理責任者に常勤が求められて いないなど、指定基準は緩やかに設定されている。
・実際に、資格や実務経験を有さない従事者が多いことが明らかになっており、こうした資格・職務経験等の欠如が、安易な事業参入やサービスの質の低下、利用者とのトラブルの原因となっているとの指摘がある。
【改革の方向性】(案)
・サービスの質の確保の観点からは、介護保険制度も参考にし、管理者、世話人及び生活支援員の資格要件や障害福祉サービスに従事した実務経験 要件、研修修了要件等を、既存の利用者に予期せぬ影響がないよう留意しつつ、令和9年度報酬改定において指定基準として定めるべき。
・サービス管理責任者については、常勤要件について再考のうえ、例えば、最低勤務時間を、令和9年度報酬改定において指定基準として定めるべき。
グループホーム②(総量規制)
・グループホームについては、事業所(特に営利法人)数が急増している中、支援の質の低下が懸念されるといった指摘がなされてい る一方、他のサービスは対象となっている総量規制の対象サービスとなっていないが、地方自治体からは対象化を求める声がある。
・総量規制にあたり参照されるサービス提供量の「見込み」については、過去の変化率(実績)により定めている自治体が多く、伸び率の高いサービスについては、仮に総量規制を導入したとしても、伸び率の抑制が効きにくい状況。
【改革の方向性】(案)
・現在厚生労働省社会保障審議会障害者部会で議論が行われているが、グループホームについても、総量規制の対象に加え、指定等を行う自治体が、各自の判断により、地域の事情に合わせた指定を行うことができるようすべき。
・地域差の解消等の観点からは、過去の実績のみに依らない「見込み量」の推計方法を、厚生労働省が統一的に示すべき。

詳しくは、下のサイトをご覧ください。(寺島)
https://www.mof.go.jp/about_mof/councils/fiscal_system_council/sub-of_fiscal_system/proceedings/material/20251111zaiseia.html