自分らしく地域で生きる
「新ノーマライゼーション」2025年12月号
折田涼(おりだりょう)
ボクは大阪で親元を離れヘルパーを利用して自立生活をしている人工呼吸器ユーザーです。自立生活を始めて15年目になります。
もともと大人になったら親元を離れて自立生活すると思っていました。始めたきっかけはNPO法人ポムハウスが助成金を得て行った「医療的ケアの必要な人の生活支援モデル事業」のモデルとして、友人と2人でルームシェア生活を行ったことです。
この事業は、医療的ケアの必要な人の自立生活を実践的に構築しながら、地域で自立生活をしたいと思う人をサポートできるように相談や自立生活体験のための部屋の提供や見学などの支援を行うというもので、2009年から2年間行われました。
そこで親元を離れての自立生活の楽しさを知り、事業終了を機に一人暮らしを始めました。
まずは地元で家探しをしました。ストレッチャーのまま入ることのできる間取りや介助を受けながら入れるお風呂等の条件に合う家はなかなか見つからず、50件以上見て回りました。半年以上かかってやっと条件に合う家が見つかりました。その家には約10年ほど住みました。現在は実家を譲ってもらい、親に家賃を払いながら一人暮らしをしています。
利用している制度は重度訪問介護で、月に1317時間支給されています。ヘルパーが1人なら十分な支給時間ですが、ボクは常時2人のヘルパーを使っているので月に1488時間必要です。足りない分は事業所の持ち出しや少し負担してヘルパー派遣を受けています。
ボクは地域の幼稚園・小学校・中学校・高校とずっと分けられることなく地域の学校に通い、今も地域で生活しています。少しでも価格が安いお店をめぐって買い物したり、散歩をしたり、お祭りなどのイベントがあれば行ってみたりといった感じです。最近は、庭で育てた野菜を食べています。ゴーヤが豊作でした。
そしてできるだけ出かけることを心がけています。地域で生活をして、買い物やイベントに参加をすることで、呼吸器をつけていてもストレッチャーに乗っていても地元で生活していることをみんなに知ってもらえると考えています。正直買い物が面倒だと思うこともあるし、ネットショップを利用することもありますが、それでもできるだけ出かけています。
今年は大阪・関西万博を楽しみました(写真)。一度行ったらとても楽しくて、合計5回も行きました。優先入場があったり、人工呼吸器を充電できる場所があったり、安心して楽しめました。
※掲載者注:写真の著作権等の関係で写真はウェブには掲載しておりません。
地域で自立生活を送ってきてよい点を聞かれることがありますが、施設に入ったり、学校でも分けられたりしたことがないので地域以外の生活を知りません。ですからよかった点といわれると想像するしかないです。それでも外出中に知り合いに声を掛けられて、久しぶりに再会すると懐かしいですし、声を掛けられるととても嬉しいです。やはりボクが地域で暮らしていきたいと思う一番の理由は、知り合いに会えるからだと思います。また、一人暮らしは全部自分で決められるというメリットがあります。当然自分で決めたことには責任が発生しますが、それでも自己決定権があるのはメリットです。
しかし、課題もあります。それは時間数とヘルパー不足です。時間数は上記のとおり、171時間不足しています。ヘルパーさんは現在15人関わってくれていますが、慢性的な人手不足なのでもう少し増えたらいいなと思っています。ヘルパーさんの中にはボクに関わって初めて医療的ケアを知った人もいます。一緒に過ごすことで手技を覚えてもらえるので未経験の人でもできるようになります。
課題はまだありますが、それでもボクは一人暮らしをしてよかったと感じています。この記事を読んで、一人暮らしを考えている人、迷っている人の一助になればいいなと思います。