地域発~人をつなぐ地域をつなぐ-「はたらく」を通じた“モノづくり”と“生活のひろがり”~ワークセンター小路の取り組み~

「新ノーマライゼーション」2026年2月号

社会福祉法人讃良福祉会ワークセンター小路 管理者
久澤貢(ひさざわみつぐ)

「やった~」「またがんばるぞ~」との声が響き、大きな拍手が起こりました。これは前日の販売会で予想以上の売り上げがあったことを報告した時の利用者の声でした。こうした光景は、販売会の後だけでなく、毎月の給料日の売り上げ発表の時に目標を達成した班が表彰される時も同様の歓声と拍手が起こります。利用者の中で「はたらくこと」が給料アップへの期待と次の仕事への意欲につながっていることを実感できる場面です。もちろんはたらくことが給料に反映しているという流れがわかりにくい人もいますが、みんなで働き、みんなで喜ぶことは、とても大切な時間になっています。

2001年4月の開設以来、ワークセンター小路はどんなに障害が重くても「はたらくことを大切にする」を事業所の基本理念に設定してきました。当時の“通所授産施設”から障害福祉サービスへの移行によって“生活介護”の事業所になってからも「はたらく」という課題をどう具体化し、実現していくのかに悩み、仕事内容を変えたり、縮小したりと試行錯誤を繰り返してきました。その後、販売の場を地域の保育所や高齢者施設、そして大きな商業施設へと広げていくことで、より多くの人に製品を見てもらう機会ができました。そして製品が売れ出すと「もっとみてもらいたい」「もっと買ってもらいたい」という利用者の製品づくりへの意欲につながってきていました。

しかし、コロナ感染の広がりによって販売の場が減少してしまい、「つくっても売れないから…」と悲観的になったこともありました。「ピンチをチャンスに変える」ということで製品カタログを作成し、地域にポスティングをしました。その結果、地域の人たちや会社からの注文が入り、売り上げは徐々にあがってきていました。

また製品づくりもここ7~8年で大きく変わってきました。手織りや木工では専門的技術を持った職員が利用者と一緒に“モノづくり”に携わり、オリジナリティのある商品をどんどん生み出しています。手織班からは、おにぎりの形をした“おにぎりさん”、木工班利用者が描いたいろいろな自画像をモチーフにした“バランスたけちゃん”などは、「かわいい!」「おもしろい!」と販売会では人気の商品です。今、コンスタントに売れている“れんこんの鍋しき”は時に売り切れ、注文が追いつかないこともありました。

2024年度は年間延べで67か所(日数でいえば100日余)の販売の場がありました。一人でも多くの人たちに見てもらいたいという思いが「つくる」だけでなく、「売る」を軸に並行してきたことが結果につながってきています。地域の方が製品を買いに施設を訪ねてきてくれたり、次の販売会を聞きに来たりする場面も増えてきています。こうした活動の積み重ねが利用者の「はたらく」喜びにとなり、「もっと頑張らなあかん」や「たくさん給料がほしい」の声が利用者の中から普通に聞こえてくる環境となっています。コロナ禍で販売が減り、給料が下がり、「くやしい」と涙した利用者の姿を見て、あらためて「はたらく」と「生活をする(=たくさんの給料を得ること)」大切さを実感しました。

そして今、利用者の加齢や技術の継承等々の課題が出始めています。その課題に向き合いながら、重い障害をもつ人たちの「はたらくこと」の夢を育て、一人の社会人として社会につながっていく支援をどうつくっていくのかを問い続けたいと思います。