一般社団法人全国サビ児管協議会の発足にあたって

「新ノーマライゼーション」2026年3月号

一般社団法人全国サビ児管協議会 代表理事
酒井京子(さかいきょうこ)

障害福祉サービスをめぐる現状

2025年11月22日、全国障害者総合福祉センター(戸山サンライズ)にて一般社団法人全国サビ児管協議会設立記念研修会が開催され、法人として発足いたしました。

障害福祉サービスを取り巻く環境は、この十数年で大きく変化してきました。

サービス管理責任者・児童発達支援管理責任者(以下、サビ児管という)という役割は2006年の障害者自立支援法の施行により配置が義務化されました。当時、障害者自立支援法に対してさまざまな反対がある一方で、法の施行により障害のある人たちが自立した社会生活を送ることができるよう新しい支援のあり方が始まる期待感もありました。サービス管理責任者・児童発達支援管理責任者研修において、その実現のためのサビ児管のあるべき姿や支援のあり方を示し、育成を目指し分野ごとの研修がスタートしました。

その後、制度改正や報酬改定が重ねられ、サービスの量的拡大が進みました。財政制度分科会(令和7年11月11日開催)の資料によると、2015年から2024年の10年間で営利法人による運営の事業所数は2倍に、営利法人以外による事業所数は1.1倍の増加になっています。本来は福祉の営みである事業がサービス業となり、当初思い描いていた風景とは違うものとなっていることは否定できません。不適切事案で処分される事業者が後を絶たない今、私たちが真正面から向き合うべき課題は「質の向上」です。

現在、障害福祉サービス事業所数は全国で約10万を超え、延べ約180万の人がサービスを利用しています。それぞれの事業所にサビ児管が配置されており、事業所において提供するサービスの要となります。障害者総合支援法第42条および児童福祉法第21条の5の18等において、事業者にはサービスの質の評価と向上に努める責務が明確に規定されており、その中核を担う専門職が、サービス管理責任者および児童発達支援管理責任者、いわゆる「サビ児管」です。サビ児管は、アセスメント、個別支援計画の作成、モニタリング、職員への指導助言など、サービス提供プロセス全体に責任を持つ存在であり、利用者の自己決定を尊重し、意思決定支援を具体化する役割を担っています。

全国サビ児管協議会発足の経緯

しかし現場では、制度運用の複雑化、人材不足、地域格差、研修体制の課題など、多くの悩みが共有されています。特に令和元年度から始まった新たな研修体系では、基礎研修後2年以上のOJTを経て実践研修を受講する仕組みとなりましたが、そのOJTの内容や質の担保が十分とはいえず、各事業所任せになっている実態も明らかになっています。厚生労働科学研究による調査でも、新体系全体への評価は一定程度得られている一方で、OJTのあり方が大きな課題として浮かび上がりました。

このような現状の中で、全国のサビ児管が分野や地域を超えてつながり、学び合い、専門性を高め続ける場の必要性が強く認識されるようになりました。サービス管理責任者・児童発達支援管理責任者指導者養成研修(以下、指導者養成研修という)の講師間でその必要性について検討した結果、その思いが結実し、「一般社団法人全国サビ児管協議会(以下、協議会という)」が発足しました。

本協議会の目的は、障害福祉サービスの質の向上と障害者の権利擁護を確実なものとするため、全国のサビ児管が専門性を高め、実践を共有し、互いに学び合う場を継続的に提供することにあります。背景には、障害者権利条約の理念である“Nothing About Us Without Us(私たちのことを、私たち抜きに決めないで)”の精神があります。個別支援計画を「支援者の計画」にするのではなく、本人主体の計画として実効性あるものにしていく。その責任と使命を自覚した専門職のネットワークが必要なのです。

設立にあたっては、指導者養成研修講師、学識経験者、全国の各種事業団体、相談支援関係団体など、多様な立場の実践者が呼びかけ人となりました。これは特定の分野や法人に偏らない、横断的・全国的な組織を目指す意思の表れでもあります。

協議会の活動内容

協議会発足にあたり協議会に期待する内容を事前にアンケートで尋ねたところ、「サビ児管の悩みが解決できる場」や「サビ児管研修のあり方についての情報交換の場」「サビ児管という専門職の地位の向上」「政策提言」などの声が多くありました。

それを踏まえ、本協議会の活動は大きく三つの柱で構成されています。

第一は「研修・教育」です。法定研修をより効果的なものとしていくための補完的役割の研修の開催や実践的な学びの場を提供します。OJTの質の向上、指導者育成、スーパービジョンのあり方など、現場の課題に即した研修を企画します。また、各都道府県で開催するサビ児管研修のテキスト作りも行っていきます。

第二は「情報交換・ネットワーク形成」です。地域や分野を超えた交流の機会を設け、現役サビ児管の悩みや実践を共有します。SNSやオンラインも活用し、孤立しがちな立場にあるサビ児管がつながり続けられる基盤を整えます。

第三は「情報発信」です。現在、ホームページやSNS等で情報発信できるよう準備中ですが、研修や実践の実態を把握し、制度や研修体系の改善につながる提案を発信していきます。また、それぞれの地域における研修の工夫などの、地域の動きも発信していきます。都道府県レベルでは、神奈川県や鹿児島県など、先駆的な取り組みも展開されています。段階的・継続的な育成の仕組みづくり、ファシリテーター養成、オンライン研修の工夫など、各地の実践には学ぶべき知見が数多くあります。本協議会は、それらを全国で共有し、地域格差の縮小にも貢献したいと考えています。

私たちはあらためて問い直します。「私たちは何屋なのか」と。制度の担い手である前に、利用者の人生に伴走する専門職であること。その使命と専門性を社会に示していくことが、サビ児管の地位向上にもつながります。指導者養成研修で繰り返し伝えてきている「誰のための・何のための」支援なのかにこだわり続け、全国すみずみのサビ児管に伝えていきたいと考えます。OJT指導マニュアルの普及、若手育成プログラムの開発、災害時支援ネットワークの構築、世代交代の時代を迎える中で、次の担い手を育てることも重要な課題です。

全国サビ児管協議会は、サビ児管一人ひとりが孤立せず、誇りをもって実践を積み重ねられる社会を目指します。そして何より、障害のある人が地域で自分らしく暮らし続けられる社会の実現に向けて、専門職としての責任を果たしていきます。


全国サビ児管協議会団体会員入会審査申し込みフォーム

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※入会審査の日程は追ってご連絡をさせていただきます。

この件に関するお問い合わせは
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