サビ児管・児発管の資質向上を目指して~標準テキスト作成の挑戦~
「新ノーマライゼーション」2026年3月号
和洋女子大学
(全国サービス管理責任者・児童発達支援管理責任者協議会 テキストワーキングチームリーダー)
髙木憲司(たかきけんじ)
このたび発足した全国サービス管理責任者・児童発達支援管理責任者協議会(以下、全国サビ児管協議会)の活動の大きな柱として、現在、サビ管・児発管を対象とした「標準テキスト」の作成プロジェクトが進行しています。これまで標準化されたものが十分に普及していない現状があり、支援の現場からは「サビ管として何をすべきか、拠り所となるテキストがほしい」という声も多く聞かれます。そこで全国サビ児管協議会では、中央法規出版と連携し、全国のサビ管・児発管が共通の理解を持ち、日々の実践に活かせる標準テキストの作成に着手いたしました。
テキスト作成にあたっては、まず「基礎研修」のテキスト化を最優先課題として取り組んでいます。2026年1月に開催したテキストワーキングチーム会議での協議を経て、私たちは以下の3つの基本方針を固めました。
第一に、「サビ管・児発管のアイデンティティの確立」です。現行の国の研修カリキュラムには明示されていませんが、私たちはあえて「サービス提供の基本的な考え方」の講義冒頭に、「サビ管・児発管の役割」そのものを問う章を設けることにしました。また、現場で曖昧になりがちな「管理者とサビ管・児発管の役割の違い」についても、「サービス提供のプロセス」の中で明確に解説します。特に小規模な事業所では、一人が管理者とサビ管を兼務することも多く、役割分担が不明瞭になりがちです。本来果たすべき指導・助言機能を全うするためにも、この両者の違いを整理することは極めて重要だと考えています。
第二に、「利用者主体のアセスメントの深化」です。従来のアセスメントの講義は、生活介護、就労、児童といった分野ごとに分かれていましたが、今回のテキストでは構成を見直しました。まずアセスメントの「総論」をしっかりと学び、その上で「知的・精神障害」「身体障害」「就労」「児童」といった障害特性やライフステージに応じた視点を深める構成としています。これにより、形式的な聞き取りではなく、利用者のニーズを深く捉えるための実践的な視点を養うことを目指します。
第三に、「演習の質の向上」です。研修における演習は、受講者が実践力を養う重要な場です。しかし、単に事例をなぞるだけでは効果は限定的です。そこで本テキストの演習部分では、詳細なモデル事例そのものを掲載するのではなく、都道府県の研修講師が地域の実情に合わせた事例を作成・運営するための「ポイント」や「演習の進め方」を解説する、いわば「講師向けのガイド」としての機能を重視しました。これにより、全国どこで受講しても、質の高い演習が提供される体制を後押ししたいと考えています。
また、効率的かつ効果的な学習環境の提供も目指しています。相談支援専門員初任者研修と共通する講義内容については、既存の相談支援専門員用テキストを活用しつつ、e-ラーニング動画においては、主語を「サビ管・児発管」に置き換えて学んでいただき、相談支援の視点を学びつつ、それを自らの現場にどう落とし込むかを、サビ管業務に精通した講師が解説する予定です。テキスト自体もスライドの羅列ではなく、個人学習にも適した「文章中心」の構成とし、しっかりと読み込めるものに仕上げていきます。
今後のスケジュールとしては、「基礎研修」テキストの次年度の完成を目指しており、その後、「実践研修」のテキスト作成にも着手し、基礎研修と実践研修の内容が有機的に連動するよう、執筆者間での連携も密に行っています。
このテキストが、日々現場で奮闘するサビ管・児発管の皆様にとっての確かな「羅針盤」となり、ひいては障害のある方々の豊かな地域生活を支える礎となることを願ってやみません。完成まで今しばらくお待ちいただけますよう、お願い申し上げます。