快適生活・暮らしのヒント-理想の環境で自分らしく楽しむ

「新ノーマライゼーション」2026年3月号

田中典子(たなかのりこ)
NPO法人ハイヒール・フラミンゴ 理事

私は先天性の障害で左足の膝下と左手の指3本の欠損で生まれました。周りの人から義足や手を見られたくないという思いがあり、また皆と同じようにできないといけない気がして、少し力んで生きてきました。義足の装着方法は義肢装具士の方に聞けばわかりましたが、障害の悩みは誰にも相談したことがありませんでした。どうしてもできないことは障害があるから仕方がないと諦めて生きてきました。

現在は主人と先住犬の柴犬と最近受け入れた保護犬との4人家族(笑)で暮らしています。遠方には3人の息子がいます。最近3人目の孫が生まれました。息子家族に会えることが楽しみで愛犬との生活を満喫しています。購入した自宅で生活を始めた頃は、坂道と階段で転ぶことがあり、義足だから仕方がない、と考えていました。すると主人が階段を作り替えてくれました。階段の高さ、幅、滑り止めと踏み込んだ時クッションになるマットを設置して何度も上り下りをして私の足の踏み込み具合、足を上げる高さを確認してくれました。改良し完成(図1)し、かなり楽になり転ぶことがなくなりました。
※掲載者注:写真の著作権等の関係で図1はウェブには掲載しておりません。

また私の誕生日に息子たちがサプライズでブーツを贈ってくれました。ですが、義足の足首の幅や甲にブーツがあたり履くことができませんでした。義足だから仕方がない、飾っておこうと諦めていました。ところが義肢の会社の靴課の人から「改造してみましょう!」と提案がありました。息子たちからのプレゼントをぜひ履かせてあげたいと思ってくださり何度も打ち合わせした後、見事完成し、初めてお洒落なブーツを履くことができ、とても嬉しかったです(図2)。靴課の皆さんの諦めない心とパワーに驚き、感謝の思いでいっぱいでした。
※掲載者注:写真の著作権等の関係で図2はウェブには掲載しておりません。

義足ユーザーは靴選びが大変です。義足は自分の足首や甲の高さと異なるため長靴は履けません。義足はだんだん進化し、ヒールは昔より履きやすくなってきましたが、大雨の日は長いビニール製の長靴が履けたらどんなに良いだろうと思っていました。ある日主人が男性用で少しサイズの大きな長靴を提案してくれました。試着すると、義足でもスポッと入りスルッと脱げる。長靴なので少々ゆったり目でも大丈夫。すぐに購入しました。もう雨の日も濡れません。長靴の脱ぎ履きもスムーズ。これまで女性用にこだわって探していたけれど、視野を広げ違う方向から探したり周りの人にも相談したりさまざまな意見に耳を傾けることで、肩の力が抜け、大変と感じていたことが快適に楽に過ごせることもあると感じ始めました。生活できる環境ではなく生活したい環境で自分流に楽しく生活していきたいと思います。