ペースト食に込めた想いと、楽しむ心

「新ノーマライゼーション」2026年4月号

スナック都ろ美 キャラ弁部 部長
濱崎幸枝(はまざきゆきえ)

私の息子は9番染色体短腕欠損異常があり、身体的にも知的にも重度の障がいがある重症心身障がい児です。日々多くの支援を必要としながら生活しています。もともとはきざみ食を食べていましたが、2019年に高熱をきっかけに嚥下機能が大きく低下し、それまでの食事が難しくなり、ペースト食へと変わりました。

嚥下機能が落ち始めた頃、大好きだったご飯に興味を示さなくなり、口に入れても飲み込めない、体重もどんどん減っていく……。そんな姿を見るのは本当に辛く、大きなショックを受け、どうしていいのか分からず食事を作ることも介助することも苦しくなり「もう無理だ」と思ったこともあります。

それでも、私の沈んだままの気持ちが息子にも伝わってしまうのではないかと感じ、まずは自分が前を向こうと思うようになり、きざみ食の頃に楽しんでいたキャラ弁をペースト食でも作ってみようと考えました。

難しいかもしれないと思いながらも挑戦し、試行錯誤をしながらにんじんのオレンジ、ほうれん草の緑、かぼちゃの黄色など、食材の自然な色を生かして彩りを工夫しました。気づくと「作らなければ」という義務感が「作りたい」という気持ちへと変化していました。

私の気持ちが前向きになると、息子もそれを感じ取ったのか、少しずつ食べる量が増えていきました。日によって波はあるものの、食事の時間は重苦しいものから、穏やかな時間へと変わっていきました。

この経験から私がいちばん大切だと感じたのは、「楽しむこと」です。食事は栄養をとるための大切な時間ではありますが、作る側も、介助する側も、そして食べる本人も、少しでも楽しいと感じられる工夫があれば、その時間は変わるのだということを体感したからです。

ペースト食のお弁当作りでは、彩りを意識し、自分自身や介助する方々が楽しいと思えることを心がけています。

当時は嚥下機能が落ちたときのショックをどう受け止めればよいのか、痩せていくわが子にどう向き合えばよいのかという情報は、ほとんど見つけられませんでした。孤独で不安に押しつぶされそうな気持ちをどう支えればよいのか、具体的な食事の工夫や相談できる場所があればどれほど救われただろうと思います。

親の気持ちに寄り添う情報や、同じ立場の方とつながれる場が身近にあると、とても心強いなと思います。

これからもいろいろな壁にぶつかることもあるかと思いますが、息子とともに食事の時間を楽しいものにしていきたいと思っています。