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「アジア太平洋障害者の十年」最終年記念フォーラム 大阪フォーラム報告書

第12回リハビリテーション・インターナショナル(RI)アジア太平洋地域会議 「アジア太平洋障害者の十年」推進キャンペーン(RNN)大阪会議
第22回総合リハビリテーション研究大会 国際職業リハビリテーション研究大会

「アジア太平洋障害者の十年」最終年記念フォーラム組織委員会

項目 内容
開催日 2002年10月21日~23日
備考 この報告書は、日本万国博覧会記念協会のご協力により作成いたしました。

障害者権利実現へのパートナーシップ/OSAKA FORUM

OSAKA FORUM
10月21日
開会式・全体会・レセプション

OSAKA FORUM
10月22日
RI全体会・分科会
第25回総合リハ研究大会
国際職業リハ研究大会

OSAKA FORUM
10月23日
研究発表
展示
交流風景

OSAKA FORUM
10月23日


はじめに

上田 敏
アジア太平洋障害者の十年最終年記念フォーラム
大阪フォーラム実行委員会 委員長
日本障害者リハビリテーション協会副会長

 1993年~2002年は、国連アジア太平洋経済社会委員会(ESCAP)が定めた、アジア太平洋障害者の十年であった。この期間内にわが国はもとよりアジア太平洋地域の諸国および地域で障害のある人のQOL(人生の質)向上と権利確保に向けての運動がさまざまなかたちで行なわれ、大きな成果をあげた。
 地域レベルの活動として特筆すべきものは、日本の提唱ではじまったアジア太平洋障害者の十年推進NGO会議(RNN)主催による毎年のアジア太平洋障害者の十年推進RNNキャンペーン会議である。これは1993年の日本(沖縄)からはじまり次の国と地域で開催された。

1994年 フィリピン、マニラ
1995年 インドネシア、ジャカルタ
1996年 ニュージーランド、オークランド
1997年 韓国、ソウル
1998年 中国、香港
1999年 マレーシア、クアラルンプール
2000年 タイ、バンコク
2001年 ベトナム、ハノイ

 このアジア太平洋障者の十年推進RNNキャンペーン会議は地域内の障害のある人同士の、また、障害のある人と障害関連専門家との間の交流を推進することに大きく貢献し、同時に、開催国の障害のある人の地位向上の運動を大きく励まし、一般社会および政府レベルの障害問題への関心を高めるのに役立った。
 2002年はアジア太平洋障害者の十年の最終年であり、それを記念し10年を総括するとともに、引き続く第2のアジア太平洋障害者の十年(2003年~2012年)に向けて新たな出発点を定め、方向性を固めるための行事が企画された。
 わが国では前年から「アジア太平洋障害者の十年最終年記念フォーラム組織委員会」(委員長八代英太衆議院議員)が組織され、「障害者国際会議推進議員連盟」(代表橋本龍太郎衆議院議員)も結成され、記念フォーラム行事として札幌フォーラム(第6回DPI世界会議、10月15日~18日)と大阪フォーラム、またキャンペーンとして3つのテーマ(1.「欠格条項」総点検、2.「市町村障害者計画」策定推進、3.「情報バリアフリーとIT環境の整備」推進)による全国キャンペーンが行なわれた。
 大阪フォーラムでは、10月21日~23日、大阪府大阪市および堺市において次の4会議が並行して開催された。

  1. 第12回リハビリテーション・インターナショナル(RI)アジア太平洋地域会議
  2. 「アジア太平洋障害者の十年」推進キャンペーン(RNN)大阪会議
  3. 第25回総合リハビリテーション研究大会
  4. 国際職業リハビリテーション研究大会

 第1日目の開会式およびパネルディスカッションは4会議の合同で大阪国際会議場で行なわれ、第2日は4会議別々に、また第3日は1~3の会議が合同で行なわれた。また閉会式においては、障害者の権利実現へのパートナーシップに関する大阪宣言を発表した。
以上をもって大阪フォーラムの報告書の序言とするが、大阪フォーラムの成功のために尽力くださった多くの方々、団体に心から感謝の念を捧げたい。
2003年3月20日

「アジア太平洋障害者の十年」最終年記念フォーラム
大阪フォーラム報告書

目次

はじめに 上田 敏(アジア太平洋障害者の十年最終年記念フォーラム 大阪フォーラム実行委員会委員長、日本障害者リハビリテーション協会副会長)

10月21日 開会式
主催者挨拶及び特別講演 八代英太(最終年記念フォーラム組織委員会委員長)
主催者挨拶 レックス・フリーデン(RI会長 アメリカ)
常陸宮正仁殿下お言葉
◆来賓挨拶
   森田次夫(厚生労働大臣政務官)
   太田房江(大阪府知事)
   磯村隆文(大阪市長)
   大海渡桂子(国連アジア太平洋経済社会委員会(UNESCAP)事務局次長)
   キッキ・ノードストローム(国際障害同盟(IDA)議長 スウェーデン)

10月21日【RI/RNN/総合リハ/職リハ 合同プログラム】
10月21日
◆基調講演
   ハリー・ファン(RI顧問 中国香港特別行政区)
   マヤ・トーマス(障害者リハビリテーション政策アドバイザー・研修マネージャー インド)
   ベングト・リンドクビスト(国連社会開発委員会特別報告者 スウェーデン)
◆パネルディスカッション
   まとめ(アーサー・オライリー(前RI会長 アイルランド))

10月22日【RI/総合リハ】
10月22日
◆RI全体会 障害者差別禁止への取組み ―アジア太平洋地域の現状・課題・展望―
   ワン・シン・シアン(中国障害者連合 中国)
   セタラキ・マカナワイ(フィジー障害者インターナショナル(DPI)フィジー)
   ウマ・トゥリ(RIアジア太平洋地域教育委員会副委員長 インド)
   ヘレン・ミーコシャ(オーストラリア女性障害者協会会長 オーストラリア)
   ヒュン・シク・キム(RIナショナル・セクレタリー 韓国)
   リチャード・アルセノ(貧困撲滅委員会障害者センター代表 フィリピン)
   北野誠一(桃山学院大学社会福祉学部教授)
   ナリワン・チンタカノンド(社会福祉協議会事務局長 タイ)
RI分科会1  社会
  障害者とは何か:最新の障害概念の発展とその意義
   エルキ・ケンパイネン(RI社会委員会委員長 フィンランド)
   佐藤久夫(RIアジア太平洋地域社会委員会委員長 日本社会福祉事業大学教授)
   上田 敏(日本障害者リハビリテーション協会副会長)
 RI分科会2 教育
  障害児の教育権 ―すべての障害児に教育を―
   ウマ・トゥリ(RIアジア太平洋地域教育委員会副委員長 インド)
   ツレ・ジョンソン(ヨテボリ大学 スウェーデン)
 RI分科会3 職業
  職業リハビリテーションおよび障害者雇用分野におけるパートナーシップ
   オフィリア・チャン(中国香港特別行政区)
   朝日雅也(埼玉県立大学保健医療福祉学部講師)
   ジェーソン・マッキー(ジョブ・プレースメント(就労支援機関) オーストラリア)
 RI分科会4 アクセシビリティー
   クリスティ・ウィルソン(国立障害・リハビリテーション研究所 アメリカ)
   ロバート・フットマン(前リージェンシーパーク・リハビリテーション工学センター所長中国香港特別行政区)  
   ヤン・イングバール・リンドストローム(スヴェリ会長 スウェーデン)
   スティッグ・ベッカー(スウェーデン障害者研究所 スウェーデン)
 RI分科会5 バリアフリー観光
   ハンドヨ・チャンドラクスマ(地域に根ざしたリハビリテーション(CBR)開発・研修センター インドネシア)  
   ビーナス・イラガン(DPI世界議長 フィリピン)
   ジャン・ルイ・ビグヌーダ(国連アジア太平洋経済社会委員会(UN ESCAP)代表 タイ)
   沓名豊明(メディカルリンクス株式会社)
 RI分科会6 国際協力
   宮原千絵(国際協力事業団(JICA)企画・評価部環境・女性課)
   ブラーム・プラカッシュ(アジア開発銀行地域協力・持続的開発局、貧困撲滅・社会開発課課長 マレーシア)
   黒川千万喜(トヨタ財団 顧問)
◆第25回総合リハビリテーション研究大会
   関 宏之:総論
   辻  一:第1分科会 ハードルのない地域 ―バリアフリーを考える
   尾上浩二:第2分科会 当事者性について考える ―自立生活
   牧口一二:第3分科会 障害者を締め出さない社会 ―欠格条項について
   楠 敏雄:第4分科会 障害者プランの現状と新障害者プランへの課題

10月23日【RI/RNN/総合リハ 合同プログラム】
10月23日
◆全体会 アジア太平洋障害者の十年の評価とポスト十年への取組み
   ナロン・パティバツァラキ(前タイ上院議員 タイ)
   D.W.チャン(エデンハウス 韓国)
   高田英一(全日本ろうあ連盟副理事長)
   D.T.ヴァン(ブライト・フューチャーグループ ベトナム)
◆全体会 ポスト十年への取り組みを考える ―新たなRNNの枠組みと活動を中心に―
   ビーナス・イラガン(DPI世界議長 フィリピン)
   J.B.マンロー(国際育成会連盟アジア委員会(II)ニュージーランド)
   ベニー・チェン(RIアジア太平洋地域委員会 中国香港特別行政区)
   小椋武夫(世界ろう連盟アジア太平洋事務局(WFD))
   福島 智(世界盲ろう者連盟(WFDb)
   メアリ・オヘイガン(精神医療利用者・生還者世界ネットワーク(WNUSP)ニュージーランド)
◆特別分科会 医学リハビリテーション
   ハンドヨ・チャンドラクスマ(地域に根ざしたリハビリテーション(CBR)開発・研修センター インドネシア)  
   マーティン・グラボイス(RI医学委員会委員長)
   佐藤徳太郎(国立身体障害者リハビリテーションセンター総長)

10月23日 閉会式
◆主催者挨拶
   板山賢治(最終年記念フォーラム実行委員会委員長)
   八代英太(最終年記念フォーラム組織委員会委員長)
◆次期各会議主催者代表挨拶
   ナリワン・チンタカノンド(第13回RIアジア太平洋地域会議、2006)
   丸山一郎(APDF(RNN新組織)キャンペーン、2003)
   佐藤徳太郎(第26回総合リハビリテーション研究大会、2003)
   尾上 攻(職業リハビリテーション研究大会、2003)
来賓挨拶 木原敬介(堺市長)
大阪宣言 趣旨説明 松井亮輔(RI副会長)
      朗読   ビーナス・イラガン(DPI世界議長 フィリピン)

見学先

参加者数


10月21日【開会式

10月21日 主催者挨拶及び特別講演
大阪フォーラム開会挨拶及び特別講演

八代 英太
最終年記念フォーラム組織委員会委員長

 親愛なるアジア太平洋の障害者の仲間たち!
 ようこそ秋の日本、大阪へおいでくださいました。
 心から歓迎を申し上げます。
 今日から3日間、1993年から始まったアジア太平洋障害者の十年を振り返りながら来年から始まる第2の10年に期待と夢を抱きながら熱い議論を展開したいと思います。
この開会式に際して、常陸宮殿下のご出席を賜り、心から感謝申し上げます。
 親愛なる皆さん!
 この地球上には60憶の人々が生き、その10%はなんらかの障害をもちながら苦しみつつも胸を張って生きています。そしてアジア太平洋はその内60%の人口であり、単純に計算しても3億6000万人の障害者が生きていることになります。更に紛争の絶えないこの地域には内戦や国と国との衝突で多くの障害者が作られてもいます。
親愛なる皆さん!
 この地域は発展途上の国も多く、貧困にあえぎ、障害をもったが故に自立の道、社会参加の道をも閉ざされている障害者も数え切れない程おります。
 こうした状況を少しでも改善し、障害者が力強く社会参加する方法を探し求める思いに立って1993年から「アジア太平洋障害者の十年」が始まったのです。
 日本の福祉は着実に推進されて参りましたが、アジアの中の日本であることを考えても、私たちはこうした10年のデケイドを通して、いかに福祉の協力ができるか、いかに苦しみを分かち合えることができるかを模索し、JICAのバックアップも要請し、各省庁とも連系し、あるいはESCAPとも共同歩調をとりながら多くの国々と友情と連帯の輪を広げて参りました。
 例えばこの10年のスタートと同時に沖縄から始まったRNNのキャンペーン、RIとの協力のもと、リハビリテーションの推進、DPIという当事者組織による指導者養成の為のプログラム、また多くのNGOが二国間の草の根交流の実践など、このアジア太平洋の障害者のために多くの汗を流してきました。
 親愛なる皆さん!
 あっという間の10年でした。言語、文化、いろいろ異なるアジア太平洋の中にあっても微笑みを交わし、熱く手を握り合い、共に歌い、汗を分かち合いながら夢中で走り続けました。
 その間、アジア太平洋は経済危機にも見舞われ、せっかくまいた福祉の種が芽も出せないまま、花も咲かせないまま枯れ果ててしまったプロジェクトもいくつかありました。そんな時、もう一度種をまこう、もう一度肥やしを入れて耕し直そうと多くの仲間から励まされてきました。
 10年は瞬く間に過ぎました。
あと10年欲しい、アジアの国々から声が沸き上がり、再び大きな目標を掲げて更なる10年の延長がESCAP総会に於いて決議されたのです。
 親愛なる皆さん!
 終わりは新たな始まりでもあります。この大阪フォーラムはこれからの10年の青写真をみんなが知恵とペンで書き込み、デザインするフォーラムでもあります。先週開催された北海道札幌会議に於いても激しく、熱い議論が展開されました。特に国連の特別委員会でも審議が始まった「障害者の権利条約」の早期批准に向けて活発なワークショップでした。私たちは人間として権利は当然保証されなければなりませんが、障害をもったことによって不当な差別がいろいろな所で見られます。私たちの生きる権利を地球上に住む全ての人の権利と表裏一体として勝ちとることが大切です。
 「私たちは物乞いにはなりたくない! 私たちに自立の機会を与えて欲しい!」アジア太平洋の隅々からそんな声をよく聞きます。なんとしても国連に提案された「障害者権利条約」を早期に批准させるために各国の政府、あなたの国に進言してゆきましょう。
 親愛なる皆さん!
 常日頃障害者福祉に高い関心をお持ち頂いている常陸宮様にも今後の10年の成果をしっかりお見せしなければと思います。
 親愛なる皆さん!
 来年から始まる「アジア太平洋第2の十年」をなんとしても成功させましょう。この10年は誰のためのものではなく、私たち自身のものなのです。ひるまず、ためらわず、堂々と声を出しながら障害という坂道を登ってゆきましょう。
 アジア太平洋50ヵ国が共に手をとり合いながら元気に坂道を登ってゆきましょう。
 親愛なる皆さん!
 1983年から始まった「国連障害者の十年」は「完全参加と平等」がテーマでした。来年から始まる私たちの第2の十年はどんなフラッグ・テーマを掲げるべきでしょうか。あまりに沢山掲げたいテーマがあります。バリアフリー?、障害者の権利?、万人の為の社会?、などなどです。
 繰り返し申し上げます。この大阪フォーラムで今後のテーマ、目標を皆さんで作り上げてください。
 親愛なる皆さん!
 嬉しいことに日本政府とタイ政府の協力によって来年にはタイのバンコクに「アジア障害者センター」が完成します。私たちのフラッグを掲げる私たちの城です。
 IT時代を迎えて、このセンターを情報の発信地としてアジア太平洋50ヵ国を結び合い、お互いの心を結び合って、実り多い10年を歩みたいと思います。
 この大阪フォーラムのこの会場は、国連障害者の10年の記念ホールです。
 ここから日本の障害者福祉が発信されているように、アジア太平洋はバンコクから障害者福祉のノウハウを発信してゆきます。
 親愛なる皆さん!
 今月の初め、マニラに於いてアジア開発銀行の「貧困と障害者に関するワークショップ」が開かれ、私は基調講演をさせて頂きました。
 その時次の様な発言を致しました。
 「とかく政府と政府の取り決めはジャングルに降る雨のようになりがちである。てっぺんだけが雫で濡れて木の根元まで水滴は落ちない。支援や援助も同じで行政や組織の上層部だけに潤いをもたらすような場合も少なくない。てっぺんの葉と根元の葉を結ぶようにする役割は障害者自身であり、NGOやコミュニティーのリーダー達である。しっかり手を結んでアジア開発銀行の『貧困削減プログラム』に障害者問題を組み入れて欲しい」と訴えました。
 日本のJICAも、アジア開発銀行も、政府間協定も、NGOもお互いにノウハウを出し合いながら実りの多い支援策をこの10年に成し遂げたいと思います。その成功のカギを持っているのは私たち自身であることを忘れてはなりません。
 親愛なる皆さん!
 誰しも障害者になろうとしてなったわけではありません。また障害をもった子供を産もうと願った両親もおりません。
 しかし、この地球上には6億人もの障害者がいて、この地域には3億6000万の障害者がおります。この全ての人が幸せに人生を謳歌する時代が来たとしたら、この地球上から争いはなくなり、貧困は消え、人間として幸せな社会が誕生する筈です。
 親愛なる皆さん!
 我々はその礎になろうではありませんか。
 私たちが幸せになることは全ての人が幸せになることでもあるからです。
 私たちは来年からが真の私たちの21世紀だとの思いに立ち、万人の為の21世紀になるよう力強く前に進み、汗を流しつつこの坂道を登ってゆきましょう。
 ようこそ日本へ。ようこそ大阪へ。心からの歓迎を表明してご挨拶と致します。


10月21日 主催者挨拶
主催者挨拶

レックス・フリーデン
リハビリテーション・インターナショナル会長

 常陸宮殿下、来賓、同僚、友人のみなさん、今日ここで、皆様にご挨拶することができて、大変光栄に思っています。八代議員、たいへん素晴らしい発表をしていただき、ありがとうございました。あなたがおっしゃったことを踏襲し、そして夢を実現し、そしてビジョンを共有したいと思います。
 今日の世界には誤ったこと、不正がたくさんありますが、そういった社会の悪をただす為の知識や技能といったものを残念ながら私達個人は持っていません。しかし、ここに集まっている方がたは、英知や知識や経験を持ち、障害がある人達の地位を全世界で向上させるために必要な手腕を持っていらっしゃいます。
この重要なフォーラムを始めるにあたり、私は皆さまがたに呼びかけたい。今、行動をとってください。私たちは国連の障害者権利条約ができるまで待つことはできません。それぞれの国の経済が発展するまで待つことは出来ません。政府の指導者が我々に声をかけてくれるのを待つことはできません。障害のある人たちが、平等な地位と権利を持つことができるように今、行動を起こしましょう。インフラや公共サービスの利用において同等のアクセスができるようしましょう。教育や雇用に均等の機会を得られるようにしましょう。虐待や、飢餓がなくなるように今、行動を起こしましょう。世界中の、障害にかかわる、また障害を持った人々に対してなされているあらゆる種類の抑圧に終止符を打たなければならないのです。このフォーラムに集まった皆さん、どうか私と一緒に、障害のある方もそうでない方も、共に行動を起こすための道を探して下さい。政府の方がたもNGOの方がたも共に動いて、私達が今行動を起こす力になって下さい。八代議員は山に登るお話をされました。山頂への最後の一マイルが一番苦しい道のりなのです。私達の前進を実感させて下さい。私達は確かに進んできましたが、最後の1マイルが残っているのです。登るための力を貸して下さい。
 総てのスポンサーの方々に感謝いたします。ここに足を運んで下さった総ての皆さんに感謝します。最後に、リハビリテーション・インターナショナルの仲間を代表して、大阪フォーラムにようこそ。
ありがとうございました。


10月21日 常陸宮正仁殿下お言葉
常陸宮正仁殿下お言葉

 1993年、国連・アジア太平洋経済社会委員会において決議された「アジア太平洋障害者の十年」は本年で、最終年を迎えました。
 その記念フォーラムの開会式が、ここ大阪府・大阪市および堺市において開催されることを大変嬉しく思います。
 1981年に、国連が障害者の「完全参加と平等」のテーマの下に、全世界が取り組んだ「国際障害者年」から20年が経ちました。
 このフォーラムは、今日までのアジア太平洋地域での取り組みの成果を振り返り、今後の障害者の自立と社会参加促進の道を探る重要な会議であります。
 障害のある人もない人も、全ての人に麗しい福祉の街づくりをすすめる国際都市・大阪で開催されることは誠に意義深いものと思います。
 本フォーラムの開催をひとつの契機として、わが国の障害者施策のさらなる推進がはかられ、アジア太平洋地域の障害のある方の社会参加が一層促進されていくことを心から期待します。
 終わりに、アジア太平洋地域の国々、また世界各国から参加された障害をもつ皆さん、リハビリテーションの専門家の皆さん、このフォーラムに関わった多くの方が、忌憚のない意見を交わし、21世紀を切り開く道を示す会議となることを望むと共に、皆さんにとってより親善の交流を深めるよい機会として、思い出に残る素晴らしい国際フォーラムとなることを願ってやみません。

10月21日 来賓挨拶
祝辞

厚生労働大臣政務官
森田 次夫

 アジア太平洋地域諸国から御出席の皆様、本日ここに常陸宮殿下のご臨席を仰ぎ「アジア太平洋障害者の十年」最終年記念大阪フォーラムが盛大に開催されますことは、私の大きな喜びとするところであります。
 1993年から始まりました「アジア太平洋障害者の十年」は、今年で最終年を迎えることとなりました。この間、各国におかれましては、本会議にお集まりの皆様が中心となって、障害者の方々の福祉の向上に積極的に取り組んでこられました。
 我が国におきましても、1992年に採択された「アジア太平洋障害者の十年行動課題」を踏まえ、1993年には「障害者対策に関する新長期計画」が策定され、又障害者の自立と社会参加の促進などを目的として障害者基本法が制定されました。これにより、障害者の自立を支えるサービスに関する基盤整備の推進、障害者の職業能力の開発による雇用機会の拡大など、各分野で大きな成果を上げることができたと考えております。
 この度、この十年の成果を評価し話し合うとともに、新しい十年に向けた取組を提案していくための本会議が日本で開催されますことは、我が国にとりましても誠に有意義な機会であります。
 この会議を機として、アジア太平洋地域諸国の関係者の交流がさらに深まり、障害者の福祉向上のために国際協力が一層進み、実りある発展がもたらされますことを祈念いたしております。
 我が国政府といたしましても、この分野における国際交流及び国際協力を、今後とも強力に推進してまいる所存であります。
 本会議が成功をおさめられ、御参集されました皆様が、それぞれの地域において、今後も活動が着実に前進されていくことを心から祈念いたし、私の祝辞といたします。

平成14年10月21日


10月21日 来賓挨拶
知事祝辞

大阪府知事
太田 房江

 深まりゆく秋の大阪に、常陸宮殿下のご臨席を仰ぎ、「アジア太平洋障害者の十年」最終年記念フォーラムが盛大に開催されますことは、この上ない喜びであり、880万府民を代表して、ご参加の皆様を心より歓迎申し上げます。
 この大阪フォーラムにおいて、十年間のアジア太平洋地域での取組や蓄積された経験が総括され、その成果が世界中から参加された皆様と共有されますことは、大変意義のあることであり、このようなフォーラムが大阪で開催されますことを地元知事として大変誇りに感じております。
 開催に向けご尽力をいただいた、フォーラム組織委員会の皆様をはじめ多くの方々の並々ならぬご熱意とたゆまぬご努力に心から敬意を表しますとともに深く感謝申し上げます。
 大阪は、バリアフリー社会への取組をはじめ、相手の立場を思いやり、互いに違いを認め合い、助け合う精神を育んできたまちです。
 大阪府といたしましては、この精神を次の世代に引き継ぎながら、大阪フォーラムの開催を機に、人権の尊重を社会の基本にすえ、障害のある方もない方もすべての人が自立し、生き生きと暮らすことがごく当たり前のこととして定着していく「やさしさを育むまちづくり」を一層進めて参りたいと考えております。
 今日から3日間、意見交換や交流など、皆様には大変お忙しいスケジュールになると思いますが、ご滞在中に、ぜひ、「食いだおれのまち」ともいわれております大阪の味や、庶民的な風土にもふれていただければ幸いです。
 結びに、活発なご議論を通じまして、障害者の完全参加と平等の達成に向けた新しい波がこの大阪から発信され、世界に向けて力強いうねりとなって広がっていくことを願いましてあいさつとさせていただきます。
平成14年10月21日


10月21日 来賓挨拶
ごあいさつ

大阪市長
 磯村 隆文

 常陸宮殿下ご臨席のもと、「アジア太平洋障害者の十年」最終年記念大阪フォーラムが盛大に開催されましたことを心からお喜び申しあげます。「障害者の権利実現へのパートナーシップ」をメインテーマとするこのフォーラムが、ここ大阪で開催されましたことは誠に光栄であり、内外からお越しの皆様方を、大阪市民を代表して心から歓迎申しあげます。
 1993年に始まった、アジア・太平洋地域の「障害者の完全参加と平等」を目標とする「アジア太平洋障害者の十年」が、本年、最終年を迎えるにあたり、このフォーラムにおいて、これまでの活動の成果の上に、今後を展望されますことは誠に意義深く、皆様方のご熱意とご尽力に深く敬意を表する次第であります。
 我が国におきましては、障害者福祉サービスについて、来年度から、これまでの「措置制度」から、障害者が事業者を選択しサービスを受ける「支援費制度」に移行するなど、社会福祉制度全体が大きな転換期を迎えております。
 こうした中、大阪市では、平成10年に策定した「大阪市障害者支援プラン」が本年最終年を迎えることから、ノーマライゼーションの理念に基づき、障害者が住み慣れた地域で安心して生活できるよう、新たな「障害者支援計画」の策定を進めるとともに、本格的な少子・高齢化に対応した施策の推進に努めております。
 今後とも、市民が誇りに思い、ゆとりと豊かさを実感できるまちづくりに取り組んでまいりますので、皆様方の一層のお力添えを賜りますようお願い申しあげます。
 「アジア太平洋障害者の十年」最終年記念大阪フォーラムが大きな成功を収められますよう、また、本日ご出席の皆様方のご健勝、ご多幸をお祈り申し上げまして、ごあいさつといたします。

平成14年10月21日


10月21日 来賓挨拶
来賓挨拶

大海渡 桂子
国連アジア太平洋経済社会委員会(UN ESCAP)事務局次長

 常陸宮殿下、八代英太議員・組織委員会委員長、レックス・フリーデンRI会長、ご来賓の皆様、ご参加の皆様、国連ESCAP事務局長に代わり、皆様に開会式の場をお借りしてご挨拶します。まず最初に、八代英太組織委員長のリーダーシップのもと、この一連の国際的会議開催の労をとられた皆様に心から「おめでとうございます」と申し上げます。アジア太平洋障害者の十年の成功は、政府、国連、そして地域のNGOのパートナーシップのたまものと思っています。この意味でこのような国際フォーラムにおいて地域イニシアティブにより、様々な当事者の間の共同の評価において重要な役割を果たしたと思います。
 大阪フォーラムには4つの会議が含まれており、そのなかに、アジア太平洋障害者の十年を推進するためのキャンペーン2002も含まれております。これは1993年沖縄で開かれたキャンペーンを第1回とする、10回のキャンペーンの最後であります。このキャンペーンは毎年開かれ、この10年が終わる今年終了します。この地域のキャンペーン活動の成果について振り返ってみたいと思います。
 行動課題の実施のためNGOのかかわりを強化するためにRNNが1993年10月の沖縄での会議で設立されました。
 国連ESCAP事務局長もこの会議に参加しました。この会議でRNNが地域のキャンペーンを組織し、このアジア太平洋障害者の十年が終わるまでの10年間、毎年開きましょうということになりました。
 RNNはアジア太平洋障害者の十年の意識高揚に積極的な役割を果たしました。さまざまな革新的な活動を行なってきました。
 たとえば、この十年のロゴのコンテストがRNNによって組織され、その受賞者が94年のキャンペーンで発表されました。95年にはRNNがアジア太平洋障害者の十年のテーマソングを選んでいます。これはソウルで開催されました。また、ポスターのコンテストは、97年のソウルのキャンペーンで発表されました。RNNの貢献は非常に大きなものがあります。このアジア太平洋障害者の十年のロゴは、国連ESCAPでも、アジア太平洋障害者の十年を表すシンボルとして採用しています。この地域キャンペーンの主要な貢献は実は2001年、ハノイで開かれたキャンペーンのハノイ宣言の採択にあるかと思います。この宣言は、全ての参加者達の願いを反映したものであり、国連ESCAPの地域の諸政府に対して、アジア太平洋の十年をさらに十年延長することを求めるものでありました。それぞれの政府に対して障害者の権利条約の締結に向けての話し合いを行い、特別委員会でそれを支援することを求めています。
 NGOの要請に応じ、国連ESCAP地域内政府は、今年5月、決議58/4の決議のなかで、21世紀におけるアジア太平洋地域の障害のある人のバリアフリーで、インクルーシブな、権利に基づく社会の推進をおこなうことを決議しました。皆さん、ご存じのように、この議決文により2003年から2010年まで、新しいアジア太平洋障害者の十年が延長されることになりました。この決議の実施を求めて国連ESCAPでは地域の行動枠組みのドラフトを作成しました。これを琵琶湖ミレニアムフレームワーク、インクルーシブで、バリアフリーな権利に基づく社会をアジア太平洋の障害者のために促進するということで名前をつけております。
 これは琵琶湖という名前をとっています。琵琶湖は、日本で最も大きな湖、滋賀県に位置しています。琵琶湖ミレニアムフレームワークの草案はこの大阪フォーラムの直後に滋賀県大津市で開催されますアジア太平洋障害者の十年を終結するESCAP最終年ハイレベル政府間会合において採択されることになっています。
 これが採択されれば、琵琶湖ミレニアムフレームワークはこの地域の政府に対して地域政策に関して提案することになり新しい十年に向けてゴールを達成するため関連当事者に対しても提案することになります。この琵琶湖ミレニアムフレームワークは、慈善的アプローチから開発のため権利に基づくアプローチというパラダイムシフトを実現します。琵琶湖ミレニアムフレームワークは目標を達成するための戦略として、障害問題に権利に基づくアプローチを推進することを選んでいます。この観点で、この大阪フォーラムが、「障害者の権利のためのパートナーシップ」というテーマを持っていることは非常に時宜を得たものであります。この成果を踏まえて、各国政府はパートナーシップを組み国際運動を繰り広げて障害のある人の権利条約の締結のために協力していただきたいと思います。
 みなさん、このNGOのフォーラムの成果を受けて、大津で開かれますハイレベル政府間会合でも様々な議論がなされることを祈っています。この達成を踏まえ、進歩、そして残る課題をふまえ、アジア太平洋障害者の十年のこの機会を得て我々はインクルーシブな、バリアのない、権利に基づく社会が2003年から2012年の次の10年で 構築されることを願っています。
 皆さまの議論の成功、会議の成功をお祈りしています。
 どうもありがとうございました。

(日本語訳は、日本障害者リハビリテーション協会による)


10月21日 来賓挨拶
来賓挨拶

Kicki Nordstrom(キッキ・ノードストローム)
国際障害同盟(IDA)議長

 常陸宮殿下、来賓各位、ご出席のみなさま、そして友人の皆さん。
 まず最初に国際障害同盟(IDA)を代表してリハビリテーション・インターナショナルにたいして80周年記念のお祝いを申し上げます。リハビリテーション・インターナショナルは今やたくさんの経験を持った団体です。ぜひその経験を若い組織の仲間に分け与えてください。
 IDAは、7つの主要な国際組織を代表しております。そして私達は声を一つにして世界6億人の障害のある人たちが直面している問題に対応しております。6億人のうちおよそ4億の人達が、アジア太平洋地域に住んでいるのです。
 IDAは、次のような組織から構成されております。障害者インターナショナル、インクルージョン・インターナショナル(国際育成会)、リハビリテーション・インターナショナル、世界盲人会連合、世界ろう連盟、世界盲聾連盟、精神医療利用者・生還者世界ネットワークであります。
 アジア太平洋地域の経験は、大変に重要だと思います。特に世界の他の地域にとって、アジア太平洋の経験を活用させていただくことができます。政府も、非政府組織も同様です。
 IDAは、アジア太平洋の10年が大変効果的な役割を果たしたと思います。
 アジア太平洋障害者の十年のおかげで、障害のある人たちの権利を高めることができましたし、またこの人たちのニーズに対する意識も高めることができたと思っています。
 IDAは、アジア太平洋地域の政府、そして非政府組織との協力がアジア太平洋地域において、これからも続いていくと思います。2002年を超えた将来もこのような協力が続いていくと思います。
 IDAは、障害者権利条約の制定促進に対してもかかわってきました。
 私たちの、「我々のことについて、我々なしには何も決めない」というモットーで、障害者権利条約の制定のために協力してまいりました。
 私たちは、アジア太平洋地域のリーダーシップによってぜひ、障害のある人たちの参加を高めていきたいと思っています。特に重要な国際的なイニシアティブに対して参加をしてもらいたいと思います。2002年以降もぜひ協力してください。
 ありがとうございました。