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習志野市障害者福祉に関する調査 結果報告書

No.1

平成8年3月

習志野市

項目 内容
立案時期 平成8年3月

目次

序章 調査の概要

第1章 身体障害者調査

第2章 身体障害児調査

第3章 精神薄弱者(児)調査

第4章 精神障害者調査

第5章 障害を持たない市民の意識調査

資料編 調査票

序章 調査の概要

第1節 調査の概要

1 調査の目的

 本調査は障害を持つ市民の日常生活や行政施策に対する意識、意見、要望等を集約、解析するとともに、障害を持たない市民の福祉に対する意識の把握を行うことにより、「習志野市障害者基本計画」策定の基礎資料とすることを目的とする。

2 調査対象者

 本調査は、障害を持つ市民を次の4つに分類し、それぞれ調査を行うとともに、障害を持たない市民に対する意識調査を行った。

調査名 対象者 対象者数
1.身体障害者調査 身体障害害者手帳を取得している18歳以上の市民全員 1,931人
2.身体障害児調査 身体障害害者手帳を取得している18歳未満の市民全員 64人
3.精神薄弱者(児)調査 療育手帳を取得している市民全員 395人
4.精神障害者調査 習志野保健所デイケアクラブ、習志野会に通う者および調査期間中に保健所の窓口相談に訪れた者のうち調査に同意した者 -
5.障害を持たない市民の意識調査 身体障害手帳および療育手帳を取得していない20歳以上の市民(住民基本台帳より等間隔無作為抽出) 300人

3 調査方法および調査期間

 調査方法:郵送配布・郵送回収
 調査期間:平成7年9月21日~10月3日

(注)身体障害者調査については、身体障害者・聴覚障害者の一部に聞き取り調査を行った。
(注)精神障害者調査については、障害者本人のプライバシーの保護に最大限の注意をはらう必要があり、本人の同意なしに既存の台帳を本調査に用いることは好ましくないと判断した。このため、今回の調査では、上記にあるとおり、習志野保健所のデイケアクラブ、習志野会に通う者および調査期間中に保健所の窓口相談に訪れた者のうち、調査への同意を得た者を対象に調査を行った。また、調査期間終了後に対象者の家族を中心に懇談会を行い、この結果を踏まえて調査結果の分析をとりまとめている。なお、これらの調査は習志野保健所の協力によって行われた。

4 回収結果

調査名 対象者数 有効回答者数 有効回答率
1.身体障害者調査 1,931人 1,384人 71.7%
2.身体障害児調査 64人 44人 68.8%
3.精神薄弱者(児)調査 395人 279人 70.6%
4.精神障害者調査 - 21人 -
5.障害を持たない市民の意識調査 300人 197人 65.7%

5 報告書をみる際の留意点

  1. 「精神薄弱」という用語については、現在、さまざまな議論があり、この用語に代えて「知的障害」「精神発達遅滞」等の用語を用いようとする考え方がある。しかし、本調査においては「精神薄弱」に代わる新しい用語について現段階で関係者間の一致をみていないこと、法律上の用語として「精神薄弱」を使わざるを得ない部分があることから、従来どおり「精神薄弱」を用いることとした。また、本文中で使用している「精神薄弱児」とは18歳未満の者、「精神薄弱者」とは18歳以上の者をさす。

  2. この報告書の第1章第2節「調査結果のまとめ」では、調査の結果をよりわかりやすく説明するため、自由記入に書かれた意見や、精神障害者調査における懇談会において出された意見の中から特徴的なものを事例として紹介しながらまとめを行った。したがって、ここで紹介されている事例はかならずしも回答の多かった意見であるとはかぎらない。

  3. 本文で使用している図表および文章中において、一部選択肢を省略しているものもある。

第2節 調査結果のまとめ

1 身体障害者調査のまとめ

(1)身体障害者像のスケッチ

7割が“中途障害者”
 「身体障害者」というと、「車いすに乗った、生れながらの障害者」という印象が普及しているものと思われるが、実は18歳以上の身体障害者手帳保持者の7割が18歳以降に障害を受けた“中途障害者”であり、しかも「生れながらの障害者」は回答者総数の8%にすぎない。

「車いす」ばかりが「障害者」ではない
 「障害者=車いす」を連想させる肢体不自由は全体の5割であり、残りの半数は内部障害、さらに残りを視覚障害と聴覚・平衡機能障害、音声・言語・そしゃく障害などが占めている。これらのうち、内部障害や聴覚・平衡機能障害、音声・言語障害では外見からは障害の有無はわかりにくく、それゆえに日常生活で不都合を感じていることが多い。
 また、今回の調査では、障害の種類によって日常生活で困っていることや市に対して望んでいることが大きく異なっていることが明らかになっている。障害者基本計画の策定においては、「身体障害者」を漠然とした1つのイメージで捉えるのではなく、個々明確に異なる対象の集まりとして捉えるところから出発していくことが必要である。

4割が高齢者
 身体障害者の4割が高齢者である。しかも、高齢期の身体障害者の7割以上が40歳代以降に障害が発生したものである。このため、40歳代以降に障害を受けた高齢者が身体障害者全体のなかで30%を占めている。
 全国的な動向として「障害の高齢化」が指摘されているが、これは「もともと障害を持っていた人が高齢者になった」のではなく、人口構成の高齢化とともに「加齢により障害発生した」者の絶対数が増加した現象として捉えるべきである。
 なお、65歳以上の障害者は老人保健・福祉サービスの対象となる。本計画では、「障害の高齢化」への対応として、障害の性質上、老人サイドのサービスを受けられない高齢者へのきめ細かい支援をいかに図るかという視点で捉えていくことが適当であると思われる。

(2)日常生活の状況

肢体不自由では日常生活で介助を必要とする者が多い
 日常生活のなかで何らかの介助を必要としている者(1-2-1)は306人(22%)、このうち、肢体不自由が7割を占めており、各障害種類のなかで最も介助を必要としている。特に重度肢体不自由284人のうち入浴介助が必要な者が52%を占める。
 自由記入では、24時間介護が必要な90歳の女性をみている介護者から、障害者本人の息子も息子の妻も60歳を超えており、現在の週1回のホームヘルプサービスとデイサービスでは介護を続けていくことが困難な状況が報告されている。
 「障害の高齢化」は、主に人口の高齢化によって引き起こされたものであることから、家族の高齢化、あるいは介護者の高齢化をも発生させながら進行していく現象であるということも推測できる。

(3)外出の状況

肢体不自由や視覚障害では外出頻度の少ない者が多く、主に道路環境や公共施設が未整備なことで困っている
 視覚障害と肢体不自由の外出の頻度(1-3-1)が特に少なく、月2回以下とめったに外出しない者がそれぞれ4割・3割となっている。
 視覚障害と肢体不自由の者が外出するうえで困っていること(1-3-3)をみると、両者ともに「道路や駅に階段が多い」や「利用する建物の設備が不備」「車などに危険を感じる」などがあげられている。
 この件について自由記入のなかでは、「敬老会の会場のトイレが障害者用でないために、出席できない」など、道路環境や公共施設が未整備なために外出できない者や、「エスカレーターにあわせて足を踏み出すのが怖い」として、障害者にやさしいまちづくりを進めるうえで、エスカレーターの問題を指摘している者もみられる。

聴覚・平衡機能障害障害では外出の際に人と話をすることが困難なことで困っている
 一方、聴覚・平衡機能障害では、外出頻度は月2回以下の者が17%と、視覚障害や肢体不自由ほどは少なくはない状況であるが、外出するうえで「人と話をするのが困難」が46%、「車などに危険~」が28%となっている。「車などに危険~」については聴覚障害をもつ回答者から、「後からくる自動車や自転車が聴覚障害と気付かずに警笛等をならしても、本人にはまったくわからないために危険な目に合う。聴覚障害者が外見では障害をもっているとわからないだけに危険である」として、「後からくる自動車や自転車などから認識されやすい聴覚障害者用マーク」の考案が提案されている。

(4)生活で困っていること

肢体不自由は将来の介護や経済的な不安を抱えている者が多い
 肢体不自由の者が現在の生活で困っていること(1-8-2)では「将来の介護のこと」が27%(181人)で、他の障害種類に比べて割合として多くみられる。また、「経済的なこと」(21%)や「医療のこと」(18%)も比較的多い。
 このうち、「将来の介護のこと」については、主な介助者の状況(1-2-1)において、「配偶者」が半数近くを占める状況のなかで、配偶者が高齢化したり、障害が発生して介護ができなくなった場合のことを不安に感じているものと思われる。
 また「経済的なこと」について自由記入に回答した者の中からは、働き盛りのときに障害を受け、「子どももまだ学生の時だったため、学費、生活費、医療費がかかり困りはてた」という声が寄せられている。肢体不自由は壮年期以降に発生する者が多いため、世帯収入の中心者が障害者になり、働けなくなる場合などは事態が深刻であるものと思われる。

聴覚・平衡機能障害では「情報が得られないこと」、内部障害は「医療のこと」
 聴覚・平衡機能障害を持つ者が現在の生活で困っていること(1-8-2)は「必要な情報が得られないこと」であり、具体的な例として「病院や銀行で名前を呼ばれてもわからない」「電車の事故による遅れの情報が聞こえない」「災害時にラジオ情報などがえられない」などの意見が寄せられている。聴覚・平衡機能障害では18歳以降に障害発生したものが3割を超えており、人生の途中で突然失聴した人の不安は深刻なものがあろう。
 一方、内部障害は「医療のこと」「経済的なこと」で困っている者が多い。具体的な例として「人工透析を週3回受けており、病院からの帰りは血圧低下のためタクシーを使うと、1年分のタクシー券が1か月でなくなる」がある。内部障害も壮年期以降に障害発生した者が66%を占めており、医療費の負担や家計収入の減少などに困っている状況が発生していることもあるものと思われる。

(5)サービスの周知度、利用状況、利用意向

情報提供体制の点検と充実が求められている
 サービスの周知度(1-9-4)では、「電車・バスの運賃割引」(50%)など数項目のサービスを除けば10%~30%台のものが多い。これは身体障害者にかぎらず、身体障害児や清新薄弱者(児)を含めた障害者(児)に共通している。サービスの周知度は利用状況、利用意向にも影響するものであるため、今後は周知を高めていく努力が求められているといえる。もっとも、情報が得られなくて困ったこと(1-10-2)が「ある」と答えた者は7%と少なく、ある程度の情報は広く届いているものと思われるが、必要な人に必要な情報が届けられているとまではいえず、現在の福祉情報の提供のあり方を見直していく必要がある。
 福祉機器の入手先(1-10-1)では「広報」が最も多いものの、その割合は52%となっており、決して高いとはいえない。
 情報提供のことで困っている具体的な例(1-10-2)として、「福祉手当や特別障害者手当ての制度がわからない」「福祉サービスにどんなものがあるのか知らなかった(手当てやホームヘルパーの派遣など)」「手続きがわからないために、早くから(障害に)なっていたが、診断されなかった」「市役所から通知がなく、制度がわからなかった」などや「新しい制度ができても広報等を見落とすこともある」ため、「個人宛に通知して」という意見も寄せられている。さらに障害のために生活が困窮し、新聞をとれないので、広報が届けられない者もいるのである。

2 身体障害児調査のまとめ

(1)身体障害児像のスケッチ

人数としては決して多くはないが、身体障害児固有の問題を抱えている
 身体障害児は回答者総数44人(対象者数64人)と数的には決して多くはない。身体障害者も含めた障害障害者(児)1,428人に占める18歳未満の身体障害児の割合は3%である。
 身体障害児のなかで、日常生活の中で1つでも介助が必要な者は14人(32%)で、その介助はほとんどすべてを親が行っており、調査記入者も8割が親となっている。
 本調査では、身体障害児およびその家族が抱える固有の問題状況に焦点をあてて、結果のまとめを行った。

(2)身体障害児をめぐる主要な課題

 身体障害児をめぐる主要な課題をさぐるために、今後の重点施策(2-11-1)と自由記入の結果をみると、両者に共通してみられる項目として、「身体障害児への理解促進」「身体障害児のための教育の充実」「卒業後の受入れ体制(働く場の確保)」「道路・建物・駅などの整備」があげられる。

健常者が意識している以上に、周囲の人々の理解不足を敏感に感じとっている
 社会参加を促進するために大切なこと(2-7-2)をみると、「地域や社会の人々が障害児を受け入れるよう、障害児に対する理解を深める」が48%で最も多くなっており、理解が不足なために身体障害児の社会参加が制約されている状況がうかがえる。この結果は、多くの健常者が意識している以上に、身体障害児やその家族は周囲人々の理解不足を敏感に感じとっている状況をものがたっているものと思われる。また、自由記入のなかからは、「幼い頃から特殊学級や養護学校などに区別されているために、健常者の理解が得られないのではないか」「障害者(児)と健常者との隔たりのないところといえば習志野市と必ずいわれるようにしてほしい」という声もよせられている。

毎日通う場であるだけに、身近な地域への通学を望んでいる
 身体障害児のための教育の充実については、通園・通学で困ること(2-6-4)をみると、42%が「通うのが大変である」と答えている。また、ボランティアによる手助けの意向(2-8-4)でも「外出の付添いや送迎」を望んでいる者が21%となっており、教育内容の充実面よりも、身近な地域への通学の求めているものと思われる。自由記入をみると、船橋養護学校に通う児童の親からは、「市内に肢体不自由児の通う学校がないことがとても不便で困難である」と、毎日通う場だけに大きな不都合を抱いている状況が寄せられている。また、障害児と健常児を区別しない教育を求める意見もみられた。

通所施設の整備と雇用機会の促進が重要な課題となる
 卒業後の受入れ体制については、将来利用したい施設等(2-9-1)で「通所施設」(18%)が最も多いことや、今後の重点施策(2-11-1)で「障害者(児)の働く場の確保」が比較的多いことから、身体障害児よびその家族にとって大きな問題になっているものと思われる。
 そこで、身体障害者の就学・就業状況(1-6-1)をみると、就学・就業せずに自宅にいる者が青年期で24%、壮年期で45%となっており、特に青・壮年期の重度の者395人のうち204人(52%)が自宅である。こうした状況を背景に、自由記入にもあるとおり、特に重度の障害をもつ身体障害児やその家族にとって、高等部卒業後の問題が深刻なものであるようすがうかがえる。
 また、軽度の身体障害者においても青・壮年期の者88人のうち21人(24%)が自宅である。軽度の者の就業形態(1-6-2)は一般就労が約8割と多く、身体障害者の一般就労への雇用機会の促進を図ることが、身体障害児およびその家族の日常生活における不安を軽減することにもなっていくのである。
 また、現在の生活で困っていること(2-8-2)では、「教育・学習」や「療育・訓練のこと」があげられているが、その具体的な内容はなお明らかでない。今後のヒアリング調査や障害者団体等との懇談会などを通じて、追跡していく必要がある。

3 精神薄弱者(児)調査のまとめ

(1)精神薄弱者(児)像のスケッチ

 精神薄弱者(児)調査の有効回答者数279人のうち、18歳未満の精神薄弱児は70人(25%)、18歳以上の精神薄弱は208人(75%)、年齢不明が1人である。精神薄弱の年齢層は、同279人のうち、青年期の者が63%を占め、高齢期の者はいない。身体障害者が青年期以降の中途障害者が多いのに対し、精神薄弱者(児)では3歳児健診までに障害がわかるものが多い。
 ここでは、精神薄弱者(児)およびその家族が抱える問題状況に焦点をあてて、結果のまとめを行う。また、就学年齢にある精神薄弱児と就学後の精神薄弱者では日常生活の状況や困っていることが異なっている面があるため、精神薄弱者を中心に両者共通の課題を整理したうえで、精神薄弱児に固有な課題を分けてまとめを行った。

(2)精神薄弱児および精神薄弱者に共通する主要な課題
 精神薄弱者(児)をめぐる主要な課題をさぐるために今後の重点施策(3-10-1)と自由記入の結果をみると、児・者ともに共通してみられる課題として、「働く場および通所施設・作業所等の充実」「精神薄弱者(児)への理解の促進」「医療の充実」などがあげられる。

精神薄弱児では通所施設、精神薄弱では入所施設や地域で自立生活できる施設を望んでいる
 「働く場の確保および通所施設・作業所等の充実」については、精神薄弱児にとっては卒業後の受入れ体制の問題、精神薄弱にとっては親なきあとの生活の問題であり、意味合いが異なっている。将来利用したい施設等(3-8-1)をみると、精神薄児では「通所施設」が最も多く、親と同居することが前提となっているのに対し、精神薄弱者では「入所施設」が最も多い。また、今後の重点施策(3-10-1)において、精神薄弱者の方が「入所施設の整備」や「生活寮・グループホーム・通勤寮の整備」が多くみられることからも親なきあとへの不安の強さがうかがえる。
 こうした両者の違いはみられるものの、卒業後の就労環境や居場所の問題が大きな問題であることは共通している。就学・就業の状況(3-5-1)では、就学年齢の精神薄弱児ではほとんどの者が通園・通学あるいは仕事についているのに対し、精神薄弱者では作業所等も含め仕事についている者は6割に満たない(56%)。残りの者は2割(21%)が施設に入所し、1割強(14%)が自宅にいるのである。

一般就労の環境整備をしていくことが、通所施設の有効利用にもつながる
 就業の形態(3-5-3)をみていくと、仕事をしている精神薄弱者(児)120人の内訳は、最重度・重度の32人(27%)に対し、軽度が85人(71%)と多数を占める。このうち、最重度・重度の者はほとんどが福祉的就労となっているのはやむを得ないことであるが、軽度の者でも85人のうち福祉的就労が34%を占めている。このため、福祉的就労についている者のなかでは軽度の者が最も多く、約半数を占める。
 こうした状況は、通所施設の整備が求められているなかで、新たな施設を整備していくことはもちろん重要なことであるが、就労環境を整備し、福祉的就労を行っている軽度の者が一般就労へとシフトしていくことにより、施設の有効利用を図ることが可能な状況であることを示している。
 なお、自由記入からは「市の公共施設何か所にも小さな軽食コーナーをつくり、そこで働くなど、今流行のハーブ園など市営でつくりそこで働くなど、単に作業所をつくるだけでなく、もっと多様な場も考えていただけたらと思います。」と、多様な働く場の確保についての提案をしている意見もみられる。

理解促進に対する期待は非常に高いものの、その具体的な不都合は明らかになっていない
 精神薄弱者(児)が積極的に社会参加するための条件(3-6-2)において、「地域の人々が障害者(児)を受け入れるよう、障害者に対する理解を深める」が精神薄弱児の73%、精神薄弱の44%となっており、前述の身体障害児にもまして多くの者が期待している。また、外出するうえで困ること(3-3-3)においては、「人と話をすることが困難」が比較的多い。これに関係する具体的な事例は寄せられてはいないが、“ひとりで外出して道に迷った”などのときにも周囲の人々が気軽に声をかけることができるようになれば、現在よりも安心して外出できる、ということを期待しているのではないかと思われる。
 しかし、本調査においては、障害者(児)に対する理解不足のため社会参加や外出が制約されている状況はうかがえるものの、このことを含め具体的にどのような局面で理解不足による不都合を抱いているのかはまだ明かにはなっていない。この問題が解決しないかぎり、計画策定においてもどのような理解促進を図っていけばいいのかを定めることはできない。この点については、ヒアリング調査等を通じて今後明らかにしていく必要がある。
 なお、障害に対する理解不足を生じている原因については、4歳の子どもを持つ親からは「幼稚園から皆と同じがあたりまえ、少しでも変わった子はのけものにされる。大きくなったらそれが深刻になってイジメ、自殺など…」と、幼いうちから健常児と分けられてしまうことが理解不足の原因であると指摘しつつ、公立幼稚園への障害児の受入れを求める意見が寄せられている。精神薄弱児を抱える親からの意見・提案では「障害児への理解促進」と「ともに学べる教育環境の整備」を同じ問題として捉えているものがみられた。

医療の問題は身近な医療機関での受入れの問題と専門的機関に通う際の支援が求められている
 障害に関して利用した施設や関係機関(3-4-1)では、「医療機関」を利用した者が精神薄弱児で8割、精神薄弱者が6割となっており、両者ともに医療機関との関わりは密接である。精神薄弱児が医療のことで困ること(3-4-2)では「専門的な治療を行う医療機関が身近にない」が40%で最も多い。これに対し精神薄弱者では同じ設問で特に集中している項目はみられない。
 一方、今後の重点施策(3-10-1)をみると、精神薄弱児では「専門的な医療機関の確保」よりも「障害者を診療してくれる医療機関の確保」の方が多くなっている。生活の不都合としては、専門的な医療機関の方が大きな問題であっても、今後の施策としての実現性が薄いため、このような結果になっているものと推測される。
 計画策定においては、身近な医療体制の整備を図ることとともに、遠くにある医療機関に通うために発生するさまざまな不都合への支援を検討していく必要がある。

(3)精神薄弱児に固有の主要な課題

 精神薄弱児をめぐる主要な課題としては、「健常者とともに学べる教育環境の整備」「福祉情報の提供体制の整備」があげられる。

教育では“交流”ではなく“統合”を求める声もある
 「健常者とともに学べる教育環境の整備」については、今後の重点施策(3-10-1)のなかで「障害者(児)のための教育の充実」が44%で3番目に多い項目となっている。そこで就学の状況(3-5-2)をみると、通学先の内訳について、小学校のうちは特殊学級、養護学校および普通学級に通学する者がみられるものの、中学校では普通学級に通う者はみられず特殊学級か養護学校のいずれかに限られ、高等学校では養護学校に通学する者しかみられなくなるという結果が示されている。また、幼稚園に通う者はみられなかった。
 前述の意見とは別の4歳の子どもを抱える親からは「同年齢の健常児の子どもからうける刺激は非常に重要で、学齢前にその体験はぜひともさせたいのです。しかし市の方では“週に1回交流の機会を設ける云々”といい…(中略)。私たちは“交流”を求めているのではなく“統合”を願っているのです。週1回の交流では単にお客さんとして“○○ちゃん”という見方を他の園児に強調させるだけにすぎないのです。」と、公立幼稚園や保育所への“統合教育”の実現を求める意見が寄せられている。また、このほかにも、小中学校における普通学級への受入れと高校の特殊学級の設置を求めている意見も寄せられているほか、障害を持たない市民の意識調査からも同様の意見が出されている。
 現在、障害児教育において国は、本人の能力を最大限伸ばし、健全な発達を促す意味から養護学校や特殊学級への受入を推進する方針を示しており、統合教育については方針が示されていない。また、本調査では統合教育を求める者がどれだけいるのかは明らかではなく、むしろ少数であることも考えられるため、統合教育を即時に市の方針として打ち出していくことは困難である。しかしながら、計画策定においては、たとえ少数意見であるとしても明確に打ち出された要望に対しては、十分な議論を踏まえ、明確な姿勢を打ち出していく必要があろう。

個々人のニーズに即したきめの細かい情報提供が求められている
 福祉情報が得られなくて困ったこと(3-9-2)では精神薄弱児の16%が「ある」と答えており、精神薄弱者の8%を上回っている。そこで福祉情報の入手先(3-9-1)をみると「友人・知人が61%でもっとも多く、ついで「県・市・保健所・福祉事務所など」と「広報」が43%で並んでいる。これらのうち、「友人・知人」は情報源として不確実な要素が大きく、「福祉事務所等」においては情報の受け手が一つひとつ積極的にアプローチしていかなければ情報を得られない場合が多い。また、「広報」は幅広い情報を受けることはできるが、個々人のニーズに即した情報提供機能を求めることは困難である。今回の調査の結果をみるかぎり、精神薄弱児(および障害者全体)は「精神薄弱(児)のための情報」の提供を受けているとはいえない状況となっており、このことがサービスの周知度(3-8-2)においても全体的に周知度が低い結果をもたらしているものと思われる。
 精神薄弱児・者の決定的な違いは、精神薄弱児では、この時期に障害がわかる者が多いため、親としてもわが子の障害を受け入れなくてはならないという精神的なショックに直面しなくてはならないこととともに、肉体的・精神的な発達が著しいなかで、幼・小・中・高と短いサイクルでライフステージが変化していくことである。家族はライフステージが変わるごとに新たな不安を抱えることになる。それゆえにきめの細かい情報提供や相談体制が求められるのである。
 精神薄弱者においても「広報」は40%と少ない状況となっているものの、「障害者団体や親の会、家族の会など」(45%)からの組織的な情報が得られるため、困っている状況が少ないものと推測される。ただし、いずれにしても広報の占める位置が低い状況にあって、精神薄弱者(児)、特に精神薄弱児およびその家族にむけたきめの細かい情報提供の確立が重要な課題となろう。

4 精神障害者調査のまとめ

(1)精神障害者像のスケッチ

 精神障害者に対する実態調査では、障害者本人のプライバシーの保護に最大限の注意をはらう必要があり、本人の同意なしに既存の台帳を本調査に用いることは好ましくないと判断した。このため、今回の調査では、「第1節 調査の概要」でもふれたとおり、習志野保健所のデイケアクラブと習志野会に通う者および調査期間中に保健所に相談に訪れた者を対象に、あらかじめ本人およびその家族の同意を得て調査を行ったところ、21人の回答が寄せられた。
 一方、精神障害者をめぐる全国的な動向としては、精神障害者150万人のうち、通院患者70万人(『わが国の精神保健』厚生省:昭和63年度より)、人口1万人あたり57.3人であるから、人口15万人の本市では単純計算で約860人の通院患者がいることになる。
 したがって、本調査の回答者は本市における精神障害者の一部の層に限られている点をふまえる必要がある。
 本調査の回答者は、年齢は20歳代~40歳代の者が多く、無回答を除く全員が家族と同居しており、今後の生活(4-2-2)では「家族のいる自宅」で暮らしたい者が67%で最も多い。家族間の関係が良好な者が多いことをうかがうことができる。

(2)精神障害者をめぐる主要な課題

 精神障害者をめぐる主要な課題としては、「精神障害者に対する理解促進」「社会会復帰の促進」「相談体制の整備」および「障害者自身による多様な居場所づくりへの支援」があげられる。

まず市役所職員からの意識啓発を求めている
 今後の重点施策(4-4-1)では「障害者の理解促進」が最も多い項目となっている。自由記入や本調査の回収後、調査対象者の家族を中心に行った懇談会からは、「心臓や肝臓がわるいのと同様に脳の病気にすぎない」にもかかわらず、病気の性質上公表できない苦しみが訴えられている。また、話し相手や手助けしてくれる人に関する要望(4-2-2)において、「何かと話し合える仲間」を最も強く求めている状況や、自由記入において孤独感をうったえている状況も、障害に対する理解が乏しい現状のなかで発生している現象であると考えることができる。
 精神障害者に対する理解促進を図るための具体的な方策として、懇談会の参加者から、まずは「少しでも広報に載せてほしい」との要望があった。また、「市の職員自体が精神障害を理解していない」として、精神障害者のための予算が認知されたり、広報に掲載してもらえるためには、市民への理解の前に、まず福祉課以外の課も含めた市役所職員全員に向けた意識啓発を求める意見が寄せられていた。

病気を理解し、病気のペースに合わせながら働ける職場が求められている。
 現在の生活の状況(4-2-1)では、現在就業している者はパート・アルバイトが2人(10%)だけである。それゆえに現在の生活費(4-2-3)はほぼ全員が家族の負担によっているものの、今後の生活費(4-2-3)は6割以上が自分で稼いだり、年金等により家族以外の負担でまかないたいと希望している。そこで今後の日中の過ごし方(4-2-2)をみると、「就労したい」が42%と最も多い。このように、現在の生活は家族に依存しているものの、今後は自分で生活費をまかなうべく就労を希望している姿が浮かび上がってくる。
 また、今後働くうえで大切な条件(4-2-2)では、「病気を理解し、疲労時に休暇のとれる職場」や「パートなど短時間働ける職場」「相談・援助担当者のいる職場」があげられており、病気への理解と、自分の病気のペースに合わせながら働けることがなにより重要であるという結果になっている。就労に関する具体的な事例として、懇談会で報告された事例を紹介する。

「うちの子は病院デイケアや県の障害者職業センターにも行ったが、ここはお金がもらえない。そこでアルバイト情報誌で仕事をみつけて行くが、この子は病識がないため、病気のことを公表せず、一般の人として働いており、本人としてはかなり無理している。やめるときは対人関係でやめる。いっそのこと、はっきり病気だとみとめて、それでも雇ってくれるところを探しだした方がいいと思うのだが。
 調子のいい頃は1年くらい続くが、なにかつまずくと…。このところ、一日中ふとんに入っている。それで、病院デイケアに以前は行っていたものの、自分は卒業したといっている。自分の気持ちとしては一人前に働きたいというのがある。」

 アンケートの結果からは、病気を理解してくれる職場を増やしていくことがそのまま課題としてあげられるものの、一方では、本人が自分の病気を前向きに認めていくことなしには、就労の促進を図ることは困難である。
 精神障害者本人の病気を認めたくないという気持ちと精神障害者に対する周囲の人々や職場の理解の問題は裏腹の関係であり、精神障害者に対する地道な理解促進を重ねながら徐々に解決していく類の問題であると思われる。現在のような状況のもとで、デイケアから一般就労への速やかな移行を期待することは困難であろう。それゆえに、将来利用したい施設(4-3-4)で「福祉作業所」が最も多くあげられているように、社会復帰のための中間的施設等の整備が重要なのである。

いつでも相談にのってくれる専門家の相談窓口が求められている
 話し相手や手助けしてくれる人に関する要望(4-2-2)では、「なにかと話し合える仲間」や「いつも親身になって相談に乗ってくれる専門家」を求めている。また、自由記入のなかでも本人の精神状態が不安定のときにいつでも相談に乗ってくれるケースワーカー、保健婦などが常駐している場所を求める意見が寄せられている。
 一方、困りごとの相談先(4-3-2)は家族と医師が7割以上と圧倒的に多いものの、医師については、医療で困ること(4-3-1)として「かかりつけの医師が近くにいない」という状況もみられる。
 現在の相談体制の問題点として、懇談会のなかから、保健所の精神障害者相談員による相談は月1回のみであるため、いつでも相談できる体制ではないことが指摘されていた。
 こうしたことを背景に、医師に相談するまでもなく、いつでも気軽に相談できる場所として、上記の自由記入のような場所が求められるのであろう。

障害者自身による多様な居場所づくりへの支援が求められている
 今後の重点施策(4-4-1)で「障害者のサークル活動などの拠点の整備」が33%と比較的多くみられる。また、「なにかと話し合える仲間」を求めている状況とあわせて考えると、仲間と過ごせる場所を求めている状況がうかがえる。この点について、懇談会からは「作業をしなくても集える“たまり場”」「『デイケアはかったるいので、ここに行ってごろごろしようかな』という場所」づくりが提案されていた。在宅精神障害者が地域にでられるように、多様な居場所づくりが求められているのである。
 また、懇談会での発言によると、このような場所は現在の作業所のなかの自主活動が発展してできていくのが一番実現しやすいとのことであり、市としては、このような障害者自身の主体的な取り組みに対し、どのような支援が行えるのかを定めていくことも課題の一つとなる。
 以上のほか、「精神障害者証明書」の周知度(4-3-3)については、21人中14人が「知らなかった」と答えている。このことから、精神障害者およびその家族は、サービスや制度、その他に関する情報がうまく得られていない状況が予想される。

5 障害を持たない市民の意識調査のまとめ

(1)障害を持つ市民との関わりについて

障害者問題への関心は7割が示しており、男性よりは女性、年齢では40~50歳代が強い
 市民の障害者問題に対する関心(5-2-3)は、「非常に関心がある」(15%)と「ある程度関心がある」(54%)を合わせて7割となっており、関心は強いといえる。特に男性よりは女性、年齢層では40歳代以降でより強くなる傾向がみられる。
 また、障害者問題に関心がある理由(5-2-3)については、「最近、テレビや雑誌等で、障害者に関することを目にしたり、聞いたりするから」(56%)と「自分の身内や、近所、知り合いに障害を持った方がいるから」(47%)が多くなっている。
 障害を持つ市民との関わりの状況(5-2-1)では、全体として34%がこれまでに何らかの手伝いをしたことが「ある」としており、女性の方がやや多い。その内容は荷物を持ってあげたり、階段の昇降や道路横断のときに手を貸すといったものが多くみられる。

障害者との接点が増えることにより、障害者問題への関心は一層強まっていく
 障害を持つ市民との関わり状況と障害者問題への関心相互の関係(5-2-3)をみてみると、これまでに何らかの手伝いをしたことがある者においては9割が関心をよせており、両者の間には強い相関関係がみられる。
 一方、これまでに何らかの手伝いをしたことがない者について、障害者問題への関心をみてみると6割が関心を寄せており、関わりの経験がなくてもある程度の関心を寄せている状況となっている。
 こうした人の姿をイメージする一例として、30歳代の女性からは、回答者自身がこれまでに障害者と接した経験がないため、手を貸すことが「親切なのかありがた迷惑なのか」わからずに躊躇してしまい、「コミュニケーションをとる機会があれば、気軽に声をかけられるのに」という意見がよせられている。また、40歳代の男性からは「…現実は日々の生活に追われて、休日ぐらいはゆっくり休みたいという偽らざる本音である。」「ごく一般の人々ができることを目標にしてほしい。たとえば、習志野市では障害者の荷物をもったり、歩行の手伝いをするのが当たり前になるといった状況を生み出すべく活動することを期待する。」という意見をよせている。
 障害者問題に興味を持っているから手を貸すのか、手を貸したから興味を持ったのかは明らかとはいえないものの、障害を持つ市民と持たない市民が接する場が増えることにより、より気軽に声をかけられることとなり、あわせて障害者問題への関心はより一層強まっていくことが期待できる。

(2)ボランティア活動について

関心は高い(67%)ものの「実際に活動している」人(2%)は少なく、「できればしてみたい」(43%)が多い
 ボランティア活動への関心(5-3-1)については、「非常に関心がある」(13%)と「ある程度関心がある」(54%)を合わせると67%が関心をよせており、男性よりは女性、年齢では40~50歳代で関心が強い。
 これに対し、現在のボランティア活動の状況(5-3-2)では、「現在活動をしている」は2%で、95%が「活動していない」と答えており、活動への関心が高い割には、実際に活動している者が非常に少ない状況となっている。
 また、今後の活動意向(5-3-4)では、「ぜひ活動したい」が2%、「できれば活動したい」が43%となっており、特に男性よりは女性、年齢では20歳代および40歳代以降で「できれば活動したい」とする者の割合が高い。活動したい内容は、全体的として「障害者や高齢者の日常生活の援助」(35%)、「手話・点訳・朗読活動」(25%)などが多いものの、男性や20歳代では「社会福祉施設や機関に対する援助」が多くみられるなど、性別、年齢別によって傾向が異なっている。

一人ひとりの都合に合う時間で参加できる場の設定と具体的な活動内容のPRが大切
 活動していない主な理由(5-4-2)は、「仕事や家事が忙しく時間がとれないから」が56%で特に多く、次いで「活動したい気持ちはあるがきっかけがつかめないから」も25%と比較的多くみられる。
 このうち、「仕事や家事が忙しく時間がとれないから」という意見は、回答者一人ひとりの生活のあり方にも異なるが、基本的には生活の中におけるボランティア活動の優先順位の問題として捉えることができる。すなわち、設問のなかで「ボランティア活動」と問いかけられたときに、各回答者はそれぞれのボランティア活動へのイメージを漠然と抱きつつ、現在の生活のスタイルやリズムを変えてまで参加するほどのものではないと判断したものも56%の数字は含まれていると考えられるのである。このような層では、ボランティア活動に参加することが回答者自身にとって大切な意味を持ちうるのであれば、積極的に時間をつくって参加することになろう。
 また、「活動したい気持ちはあるが、きっかけがつかめないから」という意見に関連し、自由記入ではボランティア活動に興味はあるものの、情報が少ないという意見もみられた。
 今後、ボランティア活動の促進を図るうえで、より多くの人が都合のよいときに、短い時間で参加できる場を設定していくこととともに、市民一人ひとりにとって、ボランティア活動に参加することがどのような意味があるのかを判断しやすくするために、具体的な活動内容や活動の魅力をPRしていくことが大切であるものと思われる。

(3)障害者(児)が住みよいまちづくりについて

現在のまちは道路・交通環境が不便なために障害者(児)にとって“住みにくい”と思っている
 自分の住んでいる地域が障害者(児)にとって住みよいまちだと思うかどうかといった地域の評価(5-4-1)については、「住みやすい」(6%)と「やや住みやすい」を合わせた“住みやすい”が21%、「やや住みにくい」(23%)と「住みにくい」(22%)を合わせた“住みにくい”が46%、「わからない」が32%となっている。
 住みにくいと思う理由(5-4-2)については、「道路の段差が多かったり、盲人用信号機が少ないなど外出しにくい」(50%)と「交通機関が利用しにくい」(49%)に回答が集中している。
 自由記入の内容をみると、回答者自身が高齢のため歩行が困難になってきたり、ベビーカーを使った経験から、不便さを実体験した立場からの意見もみられる。

「障害者」を多様な存在の集まりとした、正しい理解の普及が求められる
 また、住みにくいと思う理由の他の項目をみてみると、「地域住民の理解や協力がない」は12%、「身近に障害者の働く場所が少ない」が8%、「利用しやすい医療機関が少ない」が6%にとどまっている。これらの項目は、身体障害者(児)調査や精神薄弱者(児)調査、精神障害者調査で、いずれも現在不都合を抱えている者が多い重点項目である。
 道路環境や交通環境は視覚的にわかりやすいうえに、回答者自身が不便さを実体験した例もあり、直接障害者(児)との接点はなくても指摘しやすい項目であるといえる。これに対し、理解や、就労の場、医療の問題は障害者(児)に固有の問題としての性格が強く、身近に障害を持った者と接していないかぎり気がつきにくい項目でもある。
 このような結果が得られた背景として、日常生活における障害者(児)との接点が少ないなかで、多くの市民には“健常者”と“障害者”が概念として区別され、「障害者=車いす」というイメージが形成されているようすがうかがえる。
 しかしながら、本計画の対象者の多くは、“健常者”と明確に分かれる存在としての“障害者”ではなく、“健常者”が疾病や事故のために「障害」を抱えるようになった者が多くを占めており、“健常者”が持つ日常性の延長に存在しているのである。そして「障害者」とは、あくまでもそれぞれ異なる不都合を抱えている人たちの集まりであって、漠然とした1つのイメージで括られるものではない。
 障害を持つ市民が抱える日常生活の不都合に対する支援を行う施策を体系化しようとする本計画を市民と共有化していくためには、これらのことについて、幅広く市民との共通理解を形成していく努力が求められるのである。

第3節 身体障害者調査結果の概要

1 身体障害者の状況

  1. 障害の種類では半数近くが肢体不自由。

    • 肢体不自由は脳血管障害(27%)と骨間接疾患(18%)が多い。
    • 重複障害は28%。

  2. 障害の程度では半数近く(47%)が重度障害者。

    • どの障害種類においても重度が4割以上。

  3. 年齢では4割が高齢者。

    • どの障害種類でも高齢者が多い。

  4. 障害の原因では「疾病」が52%と多い。「事故」は16%。

    • どの障害種類においても「疾病」が4~6割、「事故」が1~2割。

  5. 70%が青年期以降に障害が発生した“中途障害者”。

    • 半数以上が壮年期以降に障害が発生。
    • 視覚障害、聴覚・平衡機能障害は「出生前または出生時」がやや多い。
    • 特に聴覚・平衡機能障害は3歳までに3割が障害発生。
    • 肢体不自由、内部障害では壮年期に集中。

2 日常生活動作や介助の状況

  1. 介助の必要性は「入浴」(20%)が最も多く、他では10%前後。

    • 肢体不自由で介助の必要性が高く、「入浴」が3割。
    • 重度障害者では「入浴」が3割。

  2. 主な介助者は「配偶者」が半数近くを占める。

  3. 介助の年数は半数が5年以上の長期介助。

  4. 介助費用を支払っている者は53人(17%)。

    • 5万円以上は28人(9%)、10万円以上は17人(6%)。
    • 介助費用を支払っている実人数は肢体不自由が最も多い。

3 外出の状況

  1. 外出経験は9割。しかし、週2~3回以下の者が46%。

    • 視覚障害、重度障害、高齢者の外出頻度がやや低い。

  2. 外出の目的は「通院」(60%)と「買い物」(59%)が多い。

    • 視覚障害は「通勤・通学」「旅行」「知人宅訪問」が他より少ない。

  3. 外出するうえで困ることは「道路や駅の階段」「建物の設備」「車が危険」。

    • 視覚障害は「道路や駅の階段」と「車が危険」。
    • 肢体不自由は「道路や駅の階段」と「建物の設備」。
    • 聴覚・平衡機能障害では「人との話」で困っている。

4 障害に関して利用した施設や関係機関について

  1. 障害に関して利用した施設や関係機関ではどの障害でも「医療機関」が最も多い。

  2. 医療や機能訓練のことで4割が困ることを感じている。

    • 内訳は「気楽に往診を頼める医者」(15%)と「専門的な治療を行う医療機関」(15%)。
    • どの障害でも3割~4割が「困っている」。

5 住宅の状況

  1. 住宅の種類では「持ち家」が7割近く、「民間賃貸住宅」は約1割。

  2. 4割の者が家賃やローンを支払っており、月額5万円以上が23%。

  3. 住宅改造は「改造した」が11%、「改造したい」が36%。

    • どの障害種類、障害程度でも3割以上が「改造したい」。

  4. 改造した場所、したい場所は「トイレ」と「風呂」が中心。

  5. 老朽化や構造的な問題などにより約半数が住宅について困っていることがある。

    • 軽度でも4割以上が困っていることがある。

6 就業の状況

  1. 作業所等も含め就業者は30%、「自宅にいる」が50%。

    • 重度障害者では56%が「自宅にいる」。

  2. 就業している者の仕事の種類は「勤め(正規)」が51%、作業所・授産施設は1%(6人)。

  3. 仕事収入は20万円未満が48%。

  4. 仕事の不安や不満は「収入が少ない(21%)や通うのが大変」(16%)。

  5. 仕事についていない者のうち、37%(253人)が「仕事をしたい」。

    • 青年期の就労意向は63%、壮年期では49%。

  6. 253人のうち自分にあう仕事がみつからずに働いていない人は42人(17%)。

    • 主な理由は「病気のため」(47%)、「高年齢のため」(25%)。

  7. 仕事をするうえで重要なことは仕事の内容が適していることや通勤の利便性。

7 地域の行事や活動への参加状況

  1. 65%が「参加していない」。参加しているのは20%。

  2. 参加するために最も大切なことは、「障害者自身の積極性」(34%)。

    • 次いで「交通機関や道路の整備」、「参加しやすい機会づくり」、「障害者に対する理解」。

8 普段の生活の困りごとなどの状況

  1. 今後の生活で充実させたいことは「健康づくり」が44%で最も多い。

    • 次いで「交流」(20%)、「衣食住など生活面」(19%)、「余暇の面」(15%)。
    • 高齢になるほど「健康」に集中し、青年期ではより幅広い面での充実を望んでいる。

  2. 現在の生活で困っていることは「将来の介護」「経済的なこと」「医療のこと」。

    • 青年期、壮年期では「経済的なこと」、高齢期では「将来の介護」で最も困っている。
    • 障害により傾向が異なっており、聴覚・平衡機能障害では「情報が得られないこと」、視覚障害と肢体不自由では「将来の介護」、内部障害では「医療のこと」で最も困っている。

  3. 悩みや困ったことの相談相手は「家族・親戚」が74%、次いで「医師」(29%)。

    • 「相談する人はいない」は4%。
    • どの年齢層でも「家族・親戚」が最も多いものの、年齢層が若くなるほど「友人・知人」が多くなり、年齢層が高くなるほど「医師」が多くなる傾向がある。

  4. ボランティアによる手助けは26%が「希望している」。

    • 特に集中している項目はなく、さまざまな手助けが求められている。
    • 視覚障害や聴覚・平衡機能障害では4割が求めており、視覚障害では「外出のときの付添いや送迎」や「代読や点訳」、聴覚・平衡機能障害では「手話通訳」が特に多い。
    • 重度の4割近くがボランティアを希望している。

9 施設やサービスの利用状況や利用意向

  1. 将来利用したい施設等は「入所施設」が109人(8%)、「地域で生活できる施設」が98人(7%)、「通所施設」が44人(3%)。「特にない」が約半数(51%)。

  2. 補装具の所有状況および交付希望は障害により異なっており、特に聴覚・平衡機能障害の「補聴器」への希望が高い。

    (注)( )内の数値は(所有状況→交付希望)
    ・視覚障害では「安全つえ」(40→15%)、「眼鏡」(36→12%)
    ・聴覚障害では「補聴器」(68→51%)
    ・肢体不自由では「歩行補助つえ」(43→17%)、「車いす」(25→12%)、「装具」(22→11%)
    ・内部障害では「眼鏡」(21→5%)、「ストマ用装具」(17→14%)

  3. サービスの周知度、利用状況および利用意向では、経済的支援に関するものは比較的周知・利用されており、利用意向も高いものの、在宅支援に関するものは、周知度、利用状況、利用動向となっている。

  4. 肢体不自由の重度では

    (注)( )内の数値は(周知度→利用状況→利用動向)
    「電車・バスの運賃割引」(48→23→19%)
    「福祉タクシー」(54→31→22%)
    「医療費の給付や助成」(43→37→20%)
    「ホームヘルパーの派遣」(37→10→17%)
    「ショートステイ」(30→9→13%)
    「訪問指導」(25→13→10%)
    「訪問看護」(24→6→15%)

10 福祉情報の入手状況

  1. 福祉情報の入手は「広報」(52%)「県・市・保健所・福祉事務所等」(42%)が中心。

    • 「どこからも得ることはない」は4%。

  2. 情報が得られなくて困ったことが「ある」は7%、「ない」が63%。

11 今後の重点施策

  1. 全体としては「道路・建物・駅の整備」や「医療費の軽減」「障害者(児)への理解促進」など。

    • 視覚障害では「道路・建物・駅の整備」「医療費の軽減」「専門的な医療機関の確保」。
    • 聴覚・平衡機能障害では「福祉機器・補装具等の普及・促進」「コミュニケーションの確保」。
    • 肢体不自由では「道路・建物・駅の整備」「診療してくれる医療機関」「障害者(児)への理解促進」。
    • 内部障害では「医療費の軽減」「専門的な医療機関」「障害者(児)への理解促進」。

12 世帯の状況

  1. 課税状況では所得税で「課税」が55%、「非課税」が24%など。

    • 市町村民税の課税は「所得割を課税」が49%、「均等割のみ課税」が9%、「非課税」が17%。
    • 生活保護受給世帯は3%。
    • 年金は「障害年金・障害基礎年金」が29%、「障害年金以外の年金」が34%、「受給していない」が22%。
    • 各種手当は「特別障害者手当」が9%、「その他公的な手当」が8%。

  2. 世帯収入の中心者は回答者本人が45%、「配偶者」が25%。

  3. 同居家族は「ひとり暮らし」が10%、「配偶者」が61%、「子ども」が45%。

第4節 身体障害児調査結果の概要

1 身体障害児の状況

  1. 回答者総数44人のうち、肢体不自由が36%、聴覚・平衡機能障害が23%。
  2. 6割が重度障害で、重複障害は37%。
  3. 年齢は「0~4歳」が11%、「5~9歳」が32%、「10~14歳」が27%、「15~17歳」が10%。
  4. 障害の原因は「事故」は5%、「疾病」が48%、「不明」が43%。
  5. ほとんどの者が4歳までに障害発生。「出生前または出生時」が52%、「0~4歳」が25%。

2 日常生活の動作や介助者の状況

  1. 介助の状況は、「トイレ」が36%、その他は20~30%台。9割が親による介助で費用はかからない。
  2. 介助の年数は8割が5年以上の長期介助。

3 外出の頻度

  1. 9割近くがほぼ毎日外出している。外出の目的は「通勤・通学」が9割。
  2. 外出するうえで「道路や駅の階段」「建物の設備」の面などで7割以上が困っている。

4 障害に関して利用した施設や関係機関

  1. 「医療機関」89%、「教育機関」57%、「児童相談所」34%、「社会福祉施設」30%。
  2. 4割が専門的な医療機関や機能回復訓練ができる機関が身近になくて困っている。

5 住宅の状況

  1. 「持ち家」が57%、「社宅・公務員住宅等」が25%、「公営住宅」が11%。
  2. 家賃は55%が支払っており、5万円以上が34%。
  3. 住宅改造をした者は11%、今後のニーズは39%。
  4. 改造した場所は「トイレ」「玄関」、今後改造したいのは「風呂」「トイレ」。

6 就学・就業の状況

  1. 43人(98%)が通園・通学しており、うち「小学校(部)」が51%、「中学校(部)」が16%、「高等学校(部)」が23%。

    • 「小学校(部)」では「普通学級」に55%、「養護学校」に23%
    • 「中学校(部)」では「普通学級」に29%、「養護学校」に29%
    • 「高等学校(部)」では「普通学級」に50%、「養護学校」に30%

  2. 通園・通学で42%が「通うのが大変である」。また、「友達ができない」が12%。

    • 年少者ほど困っている者の割合が高く、特に小学校・小学校部に通う障害児はさまざまなことで困っている。

  3. 卒業後は40%が大学等への進学を希望。

7 地域の行事や活動への参加状況

  1. 52%が参加している。「参加していない」は39%。
  2. 積極的に参加できるための条件は、「障害者に対する理解」と「参加しやすい機会」づくり。

8 普段の生活の困りごとなどの状況

  1. 充実させたいのは「友人等との交流」(55%)や「学業面」(43%)。
  2. 困っているのは「教育・学習のこと」(43%)や「療育・訓練のこと」(23%)。
  3. 相談相手は「家族・親戚」が84%、「学校の先生」が34%、「友人・知人」と「医師」が30%。
  4. ボランティアの希望は30%、特に「外出時の付添いや送迎」(21%)が多い。

9 施設やサービスの利用状況や利用意向

  1. 将来利用したい施設等は「通所施設」が18%、「特にない」が32%。
  2. 補装具の所有状況と交付希望では、「補聴器」「装具」「車いす」。
  3. サービスの周知度では、「補装具の交付・修理」や経済的支援に関するものは比較的よく周知されているものの、その他のサービスでは重度でも半分以下のものが多い。
  4. 利用状況では「補装具の交付・修理」や経済的支援に関するものに集中しているが、利用意向ではより多様なサービスの利用を希望している。

10 福祉情報の入手状況

  1. 福祉情報の入手先は「広報」が59%、「市・保健所・福祉事務所」が43%、「友人や知人」が39%、「会社や学校」が34%。
  2. 情報が得られなくて困ったことが「ある」は16%、「ない」は71%。

11 今後の重点施策

  1. 「障害者(児)への理解促進」(50%)、「障害者(児)のための教育の充実」(48%)、「働く場の確保」(39%)、「道路・建物・駅などの整備」(34%)。

12 世帯の状況等

  1. 課税状況は所得税を「課税」が73%、「非課税」が5%。
  2. 世帯収入の中心者は「父母」が91%。
  3. 同居家族では「母親」が91%、「父親」が89%、「兄弟姉妹」が33%、「祖父母」が18%。
  4. 調査の記入者は「父親・母親」が80%。

第5節 精神薄弱者(児)調査結果の概要

1 精神薄弱者(児)の概要

  1. 回答者総数279人のうち、精神薄弱児が25%(70人)、精神薄弱が75%(208人)。

    • 青年期が63%を占め、壮年期は11%、高齢期の者はいない。

  2. 3歳児健診までに障害を確認するものが多い。(精神薄弱児の86%、精神薄弱の74%)。

  3. 精神薄弱児・精神薄弱ともに最重度・重度が合わせて4割。

  4. 療育手帳を受けた時期は18歳未満が多い(精神薄弱の70%)。

    • 精神薄弱児では9歳までに85%が手帳を受けるが、精神薄弱では33%。

  5. 3割が重複障害があり、特に最重度では6割に重複障害。

  6. 精神薄弱の20%が施設入所。

2 日常生活の動作や介助者の状況

  1. 「外出」「意思の伝達」で要介助が多い。

    • 最重度の精神薄弱者(児)では「外出」で84%、「意思の伝達」で65%が要介助。

  2. 主な介助者は「親」が7割以上。

  3. 何らかの介助を受けている者の介助の年数では、精神薄弱者の76%が10年以上。

  4. わずかだが介助費用の高額支払者もいる。(月額5万円以上が児で2人、者で3人)。

3 外出の状況

  1. 精神薄弱者の2割近くは月に数回、あるいは全く外出していない。
  2. 精神薄弱者は児にくらべ、外出の目的が少ない。
  3. 外出するうえでは「人と話をすることが困難」や「車などに危険を感じる」ことが困る。

4 障害に関して利用した施設や関係機関

  1. 「児童相談所」「医療機関」「社会福祉施設」「教育機関」は児・者ともに利用が比較的多い。

  2. 精神薄弱児の4割は「専門的な治療を行う医療機関が身近にない」ことで困っている。

5 就学・就業の状況

  1. 就学年齢の精神薄弱児はほぼ全員就学しているものの、作業所等を含め仕事についている精神薄弱者は6割弱。残りは「入所施設」(21%)や「自宅」(14%)など。

  2. 就学状況では、小・中・高と進学するにつれ、就学形態の多様性が限られてくる。

    • 小学校(部)では養護学校(31%)、特殊学級(59%)、普通学級(10%)
    • 中学校(部)では養護学校(57%)、特殊学級(43%)
    • 高等学校(部)では養護学校(100%)
    • 幼稚園に通っている者はいない。
    • 卒業後の進路では「就職したい」が42%

  3. 就業状況では、一般就労と福祉的就労が半数ずつだが、最重度・重度ではほとんどが福祉的就労

    • 仕事からの収入も一般就労と福祉的就労で大きく分かれるが、いずれにしても収入額が少ないことに不満を持つ者が多い。
    • 仕事にはつかず自宅にいる者の37%(7人)が「仕事をしたい」。これらの者が仕事をしないのは、「病気のため」が4人、「自分に合う仕事がみつからない」が2人。
    • 仕事をするうえで大切なことは「雇用主の障害者に対する理解」、「仕事の内容が適している」など。

6 地域の行事や活動への参加状況

  1. 精神薄弱者の参加が少ない。(参加しているのは精神薄弱児の57%、精神薄弱者の27%)
  2. 積極的に参加するための条件は、「障害者に対する理解」(73%)と「参加しやすい機会」(34%)

7 普段の生活の困りごとなどの状況

  1. 精神薄弱児が今後の生活で充実させたいことは「友人や仲間や地域の人々との交流」や「仕事や学業面」、精神薄弱者では「健康維持や健康づくり」や「友人や仲間や地域の人々との交流」。
  2. 精神薄弱児が現在の生活で困っていることは「教育・学習」「就労・自立生活」「療育・訓練」、精神薄弱者では「将来の介護」「就労・自立生活」。

8 施設やサービスの利用状況や利用意向

  1. 精神薄弱児が将来利用したい施設等は「通所施設」(54%)、精神薄弱者では「入所施設」(30%)
  2. 「福祉手当」「税の控除」「相談や指導」「電車・バスの運賃割引」については、周知度・利用状況ともに高い。最重度の今後の利用意向では、これらに加えて「ホームヘルプ」や「ショートステイ」の利用意向が比較的高い。

9 福祉情報の入手状況

  1. 精神薄弱児では「友人・知人」(61%)、精神薄弱者では「障害者団体等」(45%)からの入手が多い。「広報」は精神薄弱児では43%、精神薄弱者では40%で、それぞれ第2の位置。
  2. 精神薄弱児で情報が得られなくて困ったことがある者は16%、精神薄弱者では8%。

10 今後の重点施策

  1. 児・者ともに「働く場の確保」への要望が最も強い。(精神薄弱児で38%、精神薄弱者で63%)。

    • 精神薄弱児では「働く場の確保」(63%)、「通所施設・作業所等の整備」(51%)など。
    • 精神薄弱者では「働く場の確保」(38%)、「診療してくれる医療機関の確保」(35%)など。

第6節 精神障害者調査結果の概要

1 精神障害者の状況

  1. 年齢は20~40歳代が86%、男性が6割、ほぼ全員が家族と同居。
  2. 20歳代までに81%が発病している。

2 現在の生活の状況

  1. 仕事はできないが身のまわりのことだけはしている者や、家業を手伝っている者が多い。

3 今後の生活について

  1. 今後暮らしたい場所は「家族のいる自宅」が67%、「ひとりでアパート等で暮らす」が10%

  2. 今後の日中の過ごし方は「就労したい」が43%、「デイケアやいこいの家などで仲間と過ごす」が19%

  3. 働くうえで大切なことは、病気への理解と、自分の病気のペースに合わせて働けること。

    • 「病気を理解し、疲労時に休暇のとれる」(43%)、「パートなどの短時間働ける」(29%)

  4. 話し相手や手助けしてくれる人に関する要望では「なにかと話し合える仲間がほしい」が33%、「いつも親身になって相談に乗ってくれる専門家」が29%

4 生活費について

  1. 現在の生活費は「家族の負担」が9割。
  2. 今後の生活費は「自分で稼ぐ」(48%)をはじめ、6割が家族の負担以外でまかないたい。

5 医療や保健・福祉サービスについて

  1. 現在の診療形態は通院が76%、入院が19%
  2. 往診してくれる医者がいるのは10%。訪問看護は14%が受けている。
  3. 医療や訓練について困っていることは、「ある」が48%
  4. 困りごとの相談先は「家族・親戚」(86%)と「医師」(71%)が中心。
  5. 「精神障害者証明書」は67%が「知らなかった」。
  6. 希望する援助制度は特に集中する項目はなく、多岐にわたる。
  7. 精神障害者保健福祉手帳は52%が取得の意向あり。
  8. 将来利用したい施設は「福祉作業所」が24%、「特にない」が38%

7 今後の重点施策

  1. 「障害者(児)への理解促進」「サークル活動などの拠点の整備」「デイケアの充実」などが多い。

第7節 障害を持たない市民の意識調査結果の概要

1 回答者の状況

  1. 年齢各年齢層にほぼ分布しており、性別は女性がやや多い。
  2. 職業は「勤め人(正規の社員)」(30%)や「専業主婦」(24%)が多い。
  3. 家族構成は「夫婦と子ども」の核家族世帯が59%。

2 障害を持つ市民との関わり

  1. 障害者への手伝いをしたことがあるのは34%。男性よりは女性、年齢では40歳~50歳代が多い。

  2. 回答者自身が手助けを受けた経験があるのは22%。男性(17%)よりも女性(27%)の方が多い。

  3. 障害者問題の関心は69%が「ある」。性別では女性、年齢別では40歳代以上が7割以上と強い。

    • 障害者への手伝いの経験がある人は関心も高い。
    • 関心がある理由は、「テレビ、雑誌等で」(56%)と「身内や知り合いにいるから」(47%)。

  4. 「ノーマライゼーション」は半数以上が「聞いたこともない」

3 ボランティア活動について

  1. ボランティア活動への関心は67%が持っており、特に女性や40~60代の関心が強い。
  2. 現在の活動状況は95%が「活動してない」。

    • その理由は「忙しくて時間がとれない」(56%)、「きっかけがつかめない」(25%)。

  3. 今後「活動したい」は44%、特に女性や20歳代、40~60歳代で活動意向が高い。

    • 活動したい内容は「障害者の日常活動の援助」が最も多いものの、性・年齢により格差がある。

4 障害者が住みよいまちづくりについて

  1. 自分の住んでいる地域は46%が「住みにくい」と思っている。
  2. その理由は道路・交通環境が不備だから。

第1章 身体障害者調査

第1節 回答者自身の状況

1-1-1 障害の種類

身体障害者の48%は肢体不自由
 身体障害者を障害の種類別にみると、肢体不自由は48%、内部障害は25%であり、肢体不自由が身体障害者の約半数を占めている。

図表 1-1-1 障害の種類
区分 人数(%)
総数 1,384(100.0)
視覚障害 118(8.5)
聴覚または平衡機能 122(8.8)
音声・言語・そしゃく機能 54(3.9)
肢体不自由 660(47.7)
内部障害 351(25.4)
脳原性機能障害 21(1.5)
知的障害 2(0.1)
その他 19(1.4)
無回答 37(2.7)

肢体不自由は脳血管障害が多い

 肢体不自由者の疾病名については、「脳血管障害」が27%で最も多く、次いで「骨間接疾患」(18%)と続いている。

図表 1-1-2 肢体不自由者の疾病名
区分 人数(%)
総数 784(100.0)
脳血管障害 211(26.9)
骨間接疾患(骨折など) 143(18.2)
リウマチ性疾患 58(7.4)
脳性麻痺 42(5.4)
脊髄損傷 42(5.4)
脊髄性小児麻痺 35(4.5)
進行性筋肉萎縮性疾患 22(2.8)
その他 168(21.4)
わからない 15(1.9)
無回答 48(6.1)

身体障害者の28%が重複障害をもつ

 重複障害の状況については、28%の回答者が重複障害をもっており、そのうち2種類の障害が20%、3種類以上の障害をもっている者が8%となっている。
 2種類の障害をもつ者の障害の組み合せをみると、「肢体不自由と内部障害」や「肢体不自由と音声・言語」などが比較的多い。

図表 1-1-3 重複障害の個数と主な組み合せ
区分 人数(%)
総数 1,384(100.0)
重複障害がある 389(28.1)
- 2種類の障害 276(19.9)
- 肢体不自由と内部障害 67(4.8)
肢体不自由と音声・言語 56(4.0)
聴覚障害と音声・言語 27(2.0)
聴覚障害と肢体不自由 25(1.8)
視覚障害と肢体不自由 20(1.4)
視覚障害と内部障害 20(1.4)
その他 61(4.4)
3種類以上の障害 113(8.2)
重複障害はない 965(69.7)
無回答 30(2.2)

1-1-2 障害の程度

半数近くが重度障害者
 障害の程度については、重度(1・2級)が47%、中度(3・4級)は35%、軽度(5・6級)は11%となっており、重度障害者が半数近くを占めている。

図表 1-1-4 障害の程度
回答者総数=1,384 単位:%
重度(1・2級) 47.0
中度(3・4級) 35.1
軽度(5・6級) 11.1
無回答 6.9

どの障害種類でも、重度が多い
 これを障害の種類別にみると、視覚障害、聴覚・平衡機能障害において重度の割合がやや多くなっているものの、どの障害種類においても重度の割合が4割以上となっている。

図表 1-1-5 障害の種類別にみた障害の程度 単位:人(%)
区分 総数 視覚障害 聴覚・平衡機能障害 肢体不自由 内部障害
総数 1,384(100) 118(100) 122(100) 660(100) 351(100)
重度 650(47.0) 69(58.5) 67(54.9) 284(43.0) 177(50.4)
- 1級 357(25.8) 46(39.0) 13(10.7) 100(15.2) 174(49.6)
2級 293(21.2) 23(19.5) 54(44.3) 184(27.9) 3(0.9)
中度 486(35.1) 19(16.1) 21(17.2) 260(39.4) 140(39.9)
- 3級 223(16.1) 10(8.5) 9(7.4) 125(18.9) 55(15.7)
4級 263(19.0) 9(7.6) 12(9.8) 135(20.5) 85(24.2)
軽度 153(11.1) 19(16.1) 23(18.9) 86(13.0) 6(1.7)
- 5級 86(6.2) 13(11.0) 2(1.6) 54(8.2) 5(1.4)
6級 67(4.8) 6(5.1) 21(17.2) 32(4.8) 1(0.3)
無回答 95(6.9) 11(9.3) 11(9.0) 30(4.5) 28(8.0)

1-1-3 性別・年齢

65歳以上の高齢者が4割
 年齢については、青年期(18~39歳)が10%、壮年期(40~64歳)が47%、高齢期(65歳以上)が41%となっており、高齢の身体障害者が多いことに留意する必要がある。

図表 1-1-6 年齢
回答者総数=1,384 単位:%
青年期(18~39歳) 9.5
壮年期(40~64歳) 46.6
高齢期(65歳以上) 41.3
無回答 2.6

どの障害種類でも高齢者が多い
 これを障害の種類別にみると、視覚障害および聴覚・平衡機能障害において、高齢期の割合がやや多くなっているものの、全般的にどの障害種類においても、高齢期が多くみられる。

男性の方が多い
 性別については、男性が55%、女性が41%と男性の方が多くなっている。

図表 1-1-7 障害の種類別にみた性別・年齢 単位:人(%)
区分 総数 視覚障害 聴覚・平衡機能障害 肢体不自由 内部障害
総数 1,384(100) 118(100) 122(100) 660(100) 351(100)
性別 766(55.3) 54(45.8) 66(54.1) 351(53.2) 227(64.7)
571(41.3) 58(49.2) 53(43.4) 291(44.1) 115(32.8)
年齢別 青年期 131(9.5) 9(7.6) 29(23.8) 68(10.3) 18(5.1)
- 18~19歳 22(1.6) 1(0.8) 2(1.6) 14(2.1) 2(0.6)
20~29歳 41(3.0) 3(2.5) 8(6.6) 21(3.2) 7(2.0)
30~39歳 68(4.9) 5(4.2) 19(15.6) 33(5.0) 9(2.6)
壮年期 645(46.6) 49(41.5) 37(30.3) 322(48.8) 181(51.6)
- 40~49歳 138(10.0) 8(6.8) 12(9.8) 64(9.7) 43(12.3)
50~59歳 311(22.5) 22(18.6) 18(14.8) 159(24.1) 88(25.1)
60~64歳 196(14.2) 19(16.1) 7(5.7) 99(15.0) 50(14.2)
高齢期 572(41.3) 55(46.6) 54(44.3) 253(38.3) 146(41.6)
- 65~69歳 193(13.9) 13(11.0) 9(7.4) 89(13.5) 65(18.5)
70歳以上 379(27.4) 42(35.6) 45(36.9) 164(24.8) 81(23.1)

※総数は無回答の者を含む。

1-1-4 障害の原因

半数が「疾病」、「事故」は16%
 障害の原因については、「事故」によるものが16%、「疾病」によるものが52%、不明が19%となっており、「疾病」によるものが半数を占めている。

図表 1-1-8 障害の原因
回答者総数=1,384 単位:%
事故 15.7
疾病 51.5
不明 19.1
無回答 13.7

どの障害種類でも「疾病」が多い
 これを障害の種類別にみると、どの障害種類においても「事故」が1~2割、「疾病」が4~6割という状況となっている。ただし肢体不自由では「事故」によるものが比較的多くみられ、視覚障害や難病では「疾病」によるものがやや多くみられる。

図表 1-1-9 障害の種類別にみた障害の原因 単位:人(%)
区分 総数 視覚障害 聴覚・平衡機能障害 肢体不自由 内部障害
総数 1,384(100) 118(100) 122(100) 660(100) 351(100)
事故 217(15.7) 13(11.0) 16(13.1) 149(22.6) 11(3.1)
- 交通事故 52(3.8) 2(1.7) 3(2.5) 42(6.4) 1(0.3)
労働災害 86(6.2) 6(5.1) 6(4.9) 50(7.6) 6(1.7)
その他の事故 52(3.8) 3(2.5) 2(1.6) 41(6.2) 1(0.3)
戦傷・戦病 19(1.4) 1(0.8) 3(2.5) 12(1.8) 2(0.6)
戦災 8(0.6) 1(0.8) 2(1.6) 4(0.6) 1(0.3)
疾病 713(51.5) 72(61.0) 48(39.3) 325(49.2) 216(61.5)
- 感染病 42(3.0) 0(0.0) 1(0.8) 20(3.0) 21(6.0)
中毒性疾患 9(0.7) 0(0.0) 0(0.0) 2(0.3) 7(2.0)
その他の疾患 355(25.7) 22(18.6) 17(13.9) 152(23.0) 136(38.7)
出生時の損傷 92(6.6) 16(13.6) 16(13.1) 51(7.7) 5(1.4)
その他 215(15.5) 34(28.8) 14(11.5) 100(15.2) 47(13.4)
不明 264(19.1) 19(16.1) 36(29.5) 114(17.3) 79(22.5)
無回答 190(13.7) 14(11.9) 22(18.0) 72(10.9) 45(12.8)

1-1-5 障害の発生時期

7割が青年期以降の発生
 障害の発生時期については、「壮年期(40~64歳)」が40%、「高齢期(65歳以上)」が15%となっており、壮年期以降の発生が半数以上を占めている。また、青年期以降に障害が発生した“中途障害者”は70%を占めている。

図表 1-1-10 障害の発生時期
回答者総数=1,384 単位:%
出生前または出生時 7.7
幼児期(0~3歳) 5.8
就学期(4~17歳) 7.1
青年期(18~39歳) 15.0
壮年期(40~64歳) 39.8
高齢期(65歳以上) 14.8
不明 5.0
無回答 4.8

視覚・聴覚障害は「出生前」、肢体不自由・内部障害は「壮年期」が比較的多い
 これを障害の種類別にみると、視覚障害、聴覚・平衡機能障害では「出生前または出生時」の発生が比較的多く、肢体不自由、内部障害は「壮年期」の発生が特に多くみられる。

図表 1-1-11 障害の種類別にみた障害の発生時期 単位:人(%)
区分 総数 視覚障害 聴覚・平衡機能障害 肢体不自由 内部障害
総数 1,384(100) 118(100) 122(100) 660(100) 351(100)
出生前または出生時 107(7.7) 19(16.1) 21(17.2) 54(8.2) 9(2.6)
幼児期(0~3歳) 80(5.8) 2(1.7) 22(18.0) 46(7.0) 2(0.6)
就学期(4~17歳) 98(7.1) 7(5.9) 17(13.9) 60(9.1) 11(3.1)
- (4~12歳) 64(4.6) 5(4.2) 17(13.9) 37(5.6) 3(0.9)
(13~17歳) 34(2.5) 2(1.7) 0(0.0) 23(3.5) 8(2.3)
青年期(18~39歳) 208(15.0) 14(11.9) 10(8.2) 103(15.6) 63(17.9)
壮年期(40~64歳) 551(39.8) 45(38.1) 18(14.8) 253(38.3) 179(51.0)
高齢期(65歳以上) 205(14.8) 19(16.1) 13(10.7) 98(14.8) 51(14.5)
不明 69(5.0) 6(5.1) 15(12.3) 23(3.5) 22(6.3)
無回答 66(4.8) 6(5.1) 6(4.9) 23(3.5) 14(4.0)

内部障害の4割以上は青年期から壮年期にかけて疾病により発生したもの
 障害種類別に障害の原因別発生時期をみると、視覚障害では壮年期および高齢期の疾病によるものと、出生前または出生時の疾病によるものが多く、聴覚・平衡機能障害では3歳までの疾病によるものが多い。
 また、肢体不自由では壮年期および高齢期の疾病によるものが多く、内部障害では青年期および壮年期の疾病によるものが内部障害全体の4割以上を占め、きわだって多くみられる。
 一方、図表1-1-9により、肢体不自由では事故によって障害が発生した者の割合が他の障害に比べて比較的高いことが明らかになっているが、そのなかでも青年期から壮年期にかけて事故で障害が発生したものが肢体不自由全体の15%を占めている。

図表 1-1-12 障害種類別にみた障害の原因別発生時期 単位:人(%)
障害種類別障害の原因 出生前または
出生時
幼児期
(0~3歳)
就学期
(4~17歳)
青年期
(18~39歳)
壮年期
(40~64歳)
高齢期
(65歳以上)
全体 1,384人 107(7.7) 80(5.8) 98(7.1) 208(15.0) 551(39.8) 205(14.8)
- 事故 217人 2(0.9) 8(3.7) 27(12.4) 67(30.9) 79(36.4) 18(8.3)
疾病 713人 81(11.4) 52(7.3) 46(6.5) 87(12.2) 277(38.8) 131(18.4)
不明 264人 18(6.8) 8(3.0) 16(6.1) 39(14.8) 115(43.6) 22(8.3)
視覚障害 118人 19(16.1) 2(1.7) 7(5.9) 14(11.9) 45(38.1) 19(16.1)
- 事故 13人 0(0.0) 1(0.8) 3(2.5) 4(3.4) 4(3.4) 1(0.8)
疾病 72人 15(12.7) 1(0.8) 2(1.7) 7(5.9) 26(22.0) 16(13.6)
不明 19人 2(1.7) 0(0.0) 2(1.7) 2(1.7) 10(8.5) 0(0.0)
聴覚・平衡機能障害 122人 21(17.2) 22(18.0) 17(13.9) 10(8.2) 18(14.8) 13(10.7)
- 事故 16人 0(0.0) 0(0.0) 1(0.8) 5(4.1) 5(4.1) 2(1.6)
疾病 48人 13(10.7) 11(9.0) 7(5.7) 1(0.8) 6(4.9) 7(5.7)
不明 36人 7(5.7) 6(4.9) 6(4.9) 3(2.5) 3(2.5) 0(0.0)
肢体不自由 660人 54(8.2) 46(7.0) 60(9.1) 103(15.6) 253(38.3) 98(14.8)
- 事故 149人 2(0.3) 5(0.8) 22(3.3) 42(6.4) 56(8.5) 13(2.0)
疾病 325人 44(6.7) 34(5.2) 27(4.1) 32(4.8) 111(16.8) 67(10.2)
不明 114人 6(0.9) 2(0.3) 5(0.8) 20(3.0) 54(8.2) 10(1.5)
内部障害 351人 9(2.6) 2(0.6) 11(3.1) 63(17.9) 179(51.0) 51(14.5)
- 事故 11人 0(0.0) 0(0.0) 1(0.3) 5(1.4) 3(0.9) 0(0.0)
疾病 216人 7(2.0) 2(0.6) 7(2.0) 44(12.5) 111(31.6) 27(7.7)
不明 79人 2(0.6) 0(0.0) 3(0.9) 11(3.1) 43(12.3) 9(2.6)

※構成比は各障害種類の人数を 100としたもの。

第2節 日常生活の動作や介助者の状況

1-2-1 介助の状況

介助が必要な身体障害者は、「入浴」が20%で最も高く、その他各動作で10%前後
 日常生活動作の一部または全部で介助が必要な身体障害者は、「入浴」が20%で最も高く、その他「衣服の着脱」が15%、「家の中の移動」が11%、「トイレ」が10%、「食事」が8%となっている。

図表1-2-1 介助の状況
回答者総数=1,384 単位:%
一人でできる 時間をかければ一人でできる 一部介助が必要 全部介助が必要 無回答
食事 76.0 8.5 4.0 3.5 7.9
トイレ 73.2 7.7 4.0 6.4 8.7
入浴 62.9 7.2 9.0 10.5 8.5
衣服の着脱 65.4 12.3 7.7 6.9 7.7
家の中の移動 70.9 9.8 4.8 5.7 8.8

肢体不自由の介助の割合が高い
 これを障害の種類別にみると、肢体不自由の「入浴」が29%で最も高く、特に肢体不自由が他の障害に比べて多い。また、どの障害種類においても「入浴」の割合が高い。

図表 1-2-2 障害の種類別にみた介助の状況 単位:人(%)
日常生活動作 総数
1,384(100)
視覚障害
118(100)
聴覚・平衡機能
122(100)
肢体不自由
660(100)
内部障害
351(100)
食事の介助が必要 104(7.5) 12(10.2) 4(3.3) 58(8.8) 4(1.1)
- 一部介助 56(4.0) 6(5.1) 2(1.6) 33(5.0) 4(1.1)
全部介助 48(3.5) 6(5.1) 2(1.6) 25(3.8) 0(0.0)
トイレの介助が必要 144(10.4) 10(8.5) 5(4.1) 96(14.5) 3(0.9)
- 一部介助 56(4.0) 4(3.4) 1(0.8) 39(5.9) 3(0.9)
全部介助 88(6.4) 6(5.1) 4(3.3) 57(8.6) 0(0.0)
入浴の介助が必要 270(19.5) 19(16.1) 8(6.6) 186(28.2) 14(4.0)
- 一部介助 125(9.0) 11(9.3) 2(1.6) 85(12.9) 13(3.7)
全部介助 145(10.5) 8(6.8) 6(4.9) 101(15.3) 1(0.3)
衣服の着脱の介助が必要 203(14.7) 16(13.6) 6(4.9) 139(21.1) 7(2.0)
- 一部介助 107(7.7) 8(6.8) 3(2.5) 76(11.5) 6(1.7)
全部介助 96(6.9) 8(6.8) 3(2.5) 63(9.5) 1(0.3)
家の中の移動の介助が必要 146(10.5) 15(12.7) 6(4.9) 92(13.9) 4(1.1)
- 一部介助 67(4.8) 10(8.5) 1(0.8) 43(6.5) 3(0.9)
全部介助 79(5.7) 5(4.2) 5(4.1) 49(7.4) 1(0.3)

1つでも介助が必要な者のうち、肢体不自由が7割を占める
 障害の種類別に、一部または全部介助を必要とする者の日常生活動作数別の人数を求めたところ、1つでも一部または全部介助を必要とする者306人のうち、肢体不自由が212人と7割を占めている。

図表1-2-3 障害の種類別にみた一部または全部介助を必要とする日常生活動作数別人数 単位:人(%)
区分 総数
1,384(100)
視覚障害
118(100)
聴覚・平衡機能
122(100)
肢体不自由
660(100)
内部障害
351(100)
いずれか1つでも必要 306(22.1) 24(20.3) 8(6.6) 212(32.1) 16(4.6)
- 1種類の動作のみ必要 99(7.2) 6(5.1) 2(1.6) 73(11.1) 9(2.6)
2種類の動作のみ必要 51(3.7) 6(5.1) 0(0.0) 37(5.6) 2(0.6)
3種類の動作のみ必要 33(2.4) 2(1.7) 1(0.8) 26(3.9) 2(0.6)
4種類の動作のみ必要 48(3.5) 2(1.7) 1(0.8) 34(5.2) 2(0.6)
5種類全ての動作で必要 75(5.4) 8(6.8) 4(3.3) 42(6.4) 1(0.3)

重度になるほど介助を要する割合が高い
 障害の程度別にみると、重度の身体障害者では介助を要する割合が各生活動作とも全般的に高く、特に「入浴」(32%)や「衣服の着脱」(25%)の割合が高い。

図表 1-2-4 障害の程度別にみた介助が必要な身体障害者 単位:人(%)
区分 総数 重度(1・2級) 中度(3・4級) 軽度(5・6級)
総数 1,384(100) 650(100) 486(100) 153(100)
食事の介助が必要 104(7.5) 90(13.8) 5(1.0) 1(0.7)
- 一部介助 56(4.0) 48(7.4) 5(1.0) 0(0.0)
全部介助 48(3.5) 42(6.5) 0(0.0) 1(0.7)
トイレの介助が必要 144(10.4) 122(18.8) 12(2.5) 1(0.7)
- 一部介助 56(4.0) 43(6.6) 9(1.9) 0(0.0)
全部介助 88(6.4) 79(12.2) 3(0.6) 1(0.7)
入浴の介助が必要 270(19.5) 206(31.7) 40(8.2) 3(2.0)
- 一部介助 125(9.0) 80(12.3) 31(6.4) 2(1.3)
全部介助 145(10.5) 126(19.4) 9(1.9) 1(0.7)
衣服の着脱の介助が必要 203(14.7) 161(24.8) 22(4.5) 4(2.6)
- 一部介助 107(7.7) 76(11.7) 19(3.9) 3(2.0)
全部介助 96(6.9) 85(13.1) 3(0.6) 1(0.7)
家の中の移動の介助が必要 146(10.5) 125(19.2) 10(2.1) 2(1.3)
- 一部介助 67(4.8) 55(8.5) 8(1.6) 1(0.7)
全部介助 79(5.7) 70(10.8) 2(0.4) 1(0.7)

各生活動作とも肢体不自由の重度に集中
 障害の種類・程度別にみると、各生活動作とも肢体不自由の重度に集中していることがわかる。しかし、肢体不自由以外の障害においても、重度を中心に各生活動作で介助を要する者が少ないながらもみられる。

図表 1-2-5 障害の種類・程度別にみた一部または全部介助が必要な身体障害者 単位:人(%)
区分 総数 重度(1・2級) 中度(3・4級) 軽度(5・6級)
総数 1,384(100) 650(100) 486(100) 153(100)
- 食事 104(7.5) 90(13.8) 5(1.0) 1(0.7)
トイレ 144(10.4) 122(18.8) 12(2.5) 1(0.7)
入浴 270(19.5) 206(31.7) 40(8.2) 3(2.0)
衣服の着脱 203(14.7) 161(24.8) 22(4.5) 4(2.6)
家の中の移動 146(10.5) 125(19.2) 10(2.1) 2(1.3)
視覚障害 118(100) 69(100) 19(100) 19(100)
- 食事 12(10.2) 8(11.6) 1(5.3) 0(0.0)
トイレ 10(8.5) 8(11.6) 1(5.3) 0(0.0)
入浴 19(16.1) 17(24.6) 1(5.3) 0(0.0)
衣服の着脱 16(13.6) 13(18.8) 1(5.3) 0(0.0)
家の中の移動 15(12.7) 12(17.4) 2(10.5) 0(0.0)
聴覚・平衡機能障害 122(100) 67(100) 21(100) 23(100)
- 食事 4(3.3) 3(4.5) 0(0.0) 0(0.0)
トイレ 5(4.1) 4(6.0) 0(0.0) 0(0.0)
入浴 8(6.6) 7(104) 0(0.0) 0(0.0)
衣服の着脱 6(4.9) 5(7.5) 0(0.0) 0(0.0)
家の中の移動 6(4.9) 5(7.5) 0(0.0) 0(0.0)
肢体不自由 660(100) 284(100) 260(100) 86(100)
- 食事 58(8.8) 53(18.7) 3(1.2) 1(1.2)
トイレ 96(14.5) 84(29.6) 6(2.3) 1(1.2)
入浴 186(28.2) 147(51.8) 25(9.6) 3(3.5)
衣服の着脱 139(21.1) 113(39.8) 14(5.4) 4(4.7)
家の中の移動 92(13.9) 82(28.9) 3(1.2) 2(2.3)
内部障害 351(100) 177(100) 140(100) 6(100)
- 食事 4(1.1) 3(1.7) 1(0.7) 0(0.0)
トイレ 3(0.9) 2(1.1) 1(0.7) 0(0.0)
入浴 14(4.0) 4(2.3) 7(5.0) 0(0.0)
衣服の着脱 7(2.0) 4(2.3) 2(1.4) 0(0.0)
家の中の移動 4(1.1) 3(1.7) 1(0.7) 0(0.0)

1-2-2 主な介助者の状況

「配偶者」が半数近くを占める
 各日常生活動作における主な介助者の状況について平均値を求めたところ、「配偶者」が45%で最も多く、次いで「子ども」(14%)となっており、これに「親」(6%)「その他の家族」(6%)を合わせると71%が家族による介護となっている。
 これを各動作別にみると、それぞれ同様の傾向を示しており、特に大きな格差はみられない。

図表 1-2-6 主な介助者の状況(平均値)
回答者総数=867 単位:%
配偶者 45.4
6.1
子ども 14.0
その他の家族 5.7
親戚 0.0
ホームヘルパー 3.2
隣人・知人 0.2
雇人 0.5
その他 10.8
主な介助者はいない 0.7
無回答 13.4

注)回答者総数は各項目の回答者数の合計

図表 1-2-7 日常生活動作別にみた主な介助者 単位:人(%)
区分 食事 トイレ 入浴 衣服の着脱 家の中の移動
総数 104(100) 144(100) 270(100) 203(100) 146(100) 867(100)
家族 73(70.2) 102(70.8) 190(70.4) 151(74.4) 101(69.2) 617(71.2)
- 配偶者 47(45.2) 64(44.4) 120(44.4) 104(51.2) 59(40.4) 394(45.4)
8(7.7) 10(6.9) 17(6.3) 9(4.4) 9(6.2) 53(6.1)
子ども 13(12.5) 18(12.5) 41(15.2) 26(12.8) 23(15.8) 121(14.0)
その他 5(4.8) 10(6.9) 12(4.4) 12(5.9) 10(6.8) 49(5.7)
家族以外 19(18.3) 23(16.0) 40(14.8) 25(12.3) 21(14.4) 128(14.8)
- 親戚 0(0.0) 0(0.0) 0(0.0) 0(0.0) 0(0.0) 0(0.0)
ホームヘルパー 4(3.8) 6(4.2) 10(3.7) 6(3.0) 2(1.4) 28(3.2)
隣人・知人 0(0.0) 0(0.0) 1(0.4) 1(0.5) 0(0.0) 2(0.2)
雇人 0(0.0) 1(0.7) 1(0.4) 1(0.5) 1(0.7) 4(0.5)
その他 15(14.4) 16(11.1) 28(10.4) 17(8.4) 18(12.3) 94(10.8)
主な介助者はいない 0(0.0) 1(0.7) 2(0.7) 1(0.5) 2(1.4) 6(0.7)
無回答 12(11.5) 18(12.5) 38(14.1) 26(12.8) 22(15.1) 116(13.4)

1-2-3 介助の年数

半数が5年以上の長期介助
 日常生活動作で何らかの介助を一部または全部必要としている者の介助の年数については、「1年未満」が6%、「1年以上2年未満」が11%、「2年以上5年未満」が26%、「5年以上10年未満」が28%、「10年以上」が23%となっており、半数が5年以上の長期介助である。

図表 1-2-8 介助の年数
回答者総数=306 単位:%
1年未満 5.9
1年以上2年未満 11.4
2年以上5年未満 26.1
5年以上10年未満 27.5
10年以上 22.5
無回答 6.5

肢体不自由で長期介助がやや多い
 これを障害の種類別にみると、肢体不自由において5年以上の長期介助がやや多くなっている。

図表 1-2-9 障害の種類別にみた介助の年数 単位:人(%)
区分 総数 視覚障害 聴覚・平衡機能障害 肢体不自由 内部障害
総数 306(100) 24(100) 8(100) 212(100) 16(100)
1年未満 18(5.9) 1(4.2) 1(12.5) 14(6.6) 1(6.3)
1年以上2年未満 35(11.4) 2(8.3) 0(0.0) 22(10.4) 5(31.3)
2年以上5年未満 80(26.1) 7(29.2) 4(50.0) 54(25.5) 3(18.8)
5年以上10年未満 84(27.5) 4(16.7) 2(25.0) 61(28.8) 5(31.3)
10年以上 69(22.5) 6(25.0) 1(12.5) 50(23.6) 2(12.5)
無回答 20(6.5) 4(16.7) 0(0.0) 11(5.2) 0(0.0)

1-2-4 介助にかかる費用

介助費を支払っている者は17%
 日常生活動作で何らかの介助を必要としている者の、介助にかかる費用については、「月額0円」が54%、「月額1万円未満」が3%、「月額1万円以上5万円未満」が6%、「月額5万円以上10万円未満」が4%、「月額10万円以上」が6%となっており、介助費を支払っている者は合わせて17%と決して多くはないが、月額5万円以上支払っている者が1割近くみられる。

図表 1-2-10 介助にかかる費用
回答者総数=306 単位:%
月額0円 54.2
月額1万円未満 2.6
月額1万円以上5万円未満 5.6
月額5万円以上10万円未満 3.6
月額10万円以上 5.6
無回答 28.4

介助費を支払っている者は実人数では肢体不自由が多い
 これを障害の種類別にみると、割合としては視覚障害や聴覚・平衡機能障害で支払っている者が多いものの、実人数では肢体不自由が多数を占めている。

図表 1-2-11 障害の種類別にみた介助の費用 単位:人(%)
区分 総数 視覚障害 聴覚・平衡機能障害 肢体不自由 内部障害
総数 306(100) 24(100) 8(100) 212(100) 16(100)
支払っていない(月額0円) 166(54.2) 9(37.5) 3(37.5) 128(60.4) 10(62.5)
支払っている 53(17.3) 6(25.0) 3(37.5) 34(16.0) 2(12.5)
- 月額1万円未満 8(2.6) 1(4.2) 1(12.5) 3(1.4) 1(6.3)
月額1万円以上5年円未満 17(5.6) 1(4.2) 0(0.0) 14(6.6) 0(0.0)
月額5万円以上10年円未満 11(3.6) 1(4.2) 1(12.5) 7(3.3) 1(6.3)
月額10万円以上 17(5.6) 3(12.5) 1(12.5) 10(4.7) 0(0.0)
無回答 87(28.4) 9(37.5) 2(25.0) 50(23.6) 4(25.0)

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主題:
習志野市障害者福祉に関する調査 結果報告書 No.1
1頁~38頁

発行者:
習志野市

発行年月:
平成8年3月

文献に関する問い合わせ先:
習志野市
〒275 千葉県習志野市鷺沼1-1-1
電話 0474(51)1151(代)