音声ブラウザご使用の方向け: ナビメニューを飛ばして本文へ ナビメニューへ

【第1部】対談「障害者自立支援法の見直しポイントと障害をもつ人たちの生活」

谷口●今、フロアに天田補佐がお待ちですので、舞台へお上がりいただきたいと思います。拍手をもって、皆さん、お迎えください。ありがとうございます。よろしくお願いします。

天田●はい。どうぞよろしくお願いいたします。

谷口●今から1時間ぐらいの時間しかないですが、天田補佐に、20分ぐらいで今度の改正のポイントに関してお話をしていただきます。そして、その後に、私とのディスカッションをしていきたいと思います。最後に、時間がありましたら、皆さまにも1つ、2つとなると思いますが、質問を伺わせていただきますので、心の準備はしておいていただけたらと思っております。

最初に、パワーポイントを用いて、天田補佐から見直しのポイントをお話しいただきます。よろしくお願いいたします。

天田●皆さん、こんにちは。ただいまご紹介いただきました、厚生労働省障害保健福祉部から参りました天田と申します。どうぞよろしくお願いいたします。私の息子が、6年ほど実は京都で学生生活を暮らしたことがございまして、その際、何回かお伺いしたことがございます。久しぶりに京都に、谷口先生にお呼びいただきまして、実はお話の内容というよりは、京都に来ることを楽しみにしてまいりました。皆さまには非常に節操のない話からさせていただいて大変恐縮ですが、どうか1時間お付き合いいただければと思います。

見直しのポイントということで、今日は資料をご用意させていただきましたが、アメニティ・フォーラムにご参加なさった方であれば、既に聞いたぞという、新しい情報はないかもしれませんが、初めての方につきましては今日、少しお話なり情報を提供させていただきたく思います。時間が限られておりますので、じっくりというところまではいきませんが、ポイントにつきましてお話をしていきたいと思います。

お手元の資料にあるパワーポイントの右下に小さな字でページが入っています。自立支援法の見直しは、自立支援法をスタートして、ちょうど3年を迎えますが、これまで様々なご意見をちょうだいいたしました。利用者負担の問題、事業者報酬の問題、入所施設を退所しなければならないというご不安の声、それから、非常に制度が難しいというお話もございました。自立支援法がスタートしてから、地域で自立した暮らしが本当に営めるのか、本当にそういうふうな形になっていくのかと、様々なご指摘、ご意見等、頂戴いたしました。

これまでの間、特別対策、緊急措置等により、利用者負担の軽減も図ってきておりますし、事業者報酬につきましても、経営基盤の強化といたしまして90%までの報酬の保障等などの実施をしております。さらに、地域への移行に向けた様々な取り組みも実施をさせていただきました。これらをもとにして、ちょうど3年目を迎えますが、自立支援法につきましては、今、スクリーンでご覧いただいておりますように、2ページにある法の附則に基づきまして、今回見直しの作業を進めさせていただきました。

社会保障審議会の中に「障害者部会」という合計33名の先生から構成される常設の部会がございます。この部会におきまして、昨年の4月から12月までの間、合計19回、ご議論を重ねていただきまして、まとめていただいたものが自立支援法の見直しの方向性ということになろうかと思います。20分間でそのお話をさせていただきたいと思っております。

資料といたしましては、4ページになります。本当にかいつまんでというところで大変恐縮です。後ほど、相談支援や利用者負担のあり方等につきましても、時間があれば補足していきたいと思いますが、ざっとご覧をいただき、お話を進めさせていただきたいと思います。

障害者部会につきましては、昨年の12月16日に、合計50ページにわたる、非常に内容の濃い報告をおまとめいただきました。見直しにあたってのポイントとしまして、議論のポイントとして4つございます。1つ目が当事者中心。2つ目が障害者の自立の支援。3つ目が現場の実態をふまえた見直し。4つ目が国民の理解を得て進めていく。この4つの視点をまず確認をした上で、個別具体の内容について合計7項目に分けましてまとめていただいたものでございます。

7つは何かと言いますと、1点目が相談支援、2点目がそれから地域における自立した生活のための支援、3点目が障害児支援、4点目が障害者の範囲、5点目が利用者負担、6点目が報酬、7点目は個別論点といたしまして、サービス体系とか地域生活支援事業、それから権利擁護、虐待防止などなど非常に幅広いご議論をいただいたのでございます。

この中のポイントをご覧いただきたいと思いますが、5ページをご覧いただきたいと思います。かいつまんだご説明で大変恐縮ですが1点目の「相談支援」。確かに自立支援法につきましては、様々なご意見ございましたが、今回の報告といたしましては、1丁目1番地に「相談支援」を持ってきております。ここが非常に特徴的なところというふうに思います。どんなことが今回まとめられたかということを、本当に箇条書きでまとめさせていただいてございますが、相談支援につきましては、ポイントとしては3つで整理をさせていただいております。

1つ目が地域の相談支援体制の強化と質の向上。それから相談支援の拠点的な機関の設置でございます。

2つ目がサービス利用計画作成費の対象範囲の拡大でございます。これをすべての障害者に拡大をするということと、併せまして、支給決定を市町村が行う際の仕組みの中にケアマネジメントの仕組みを導入するというものでございます。

3つ目としましては自立支援協議会ですね。これの法律上の位置づけを明確化していくということでございます。

特に相談支援につきましては、自立支援法がスタートして非常に重要と位置づけをしてございますが、実際上は財源が非常に乏しかったというのが実は現状でございます。それから本当にマンパワーもまだまだ不足しているという現状もございますが、ここはやはりきっちり、やっぱり目指すべき方向性を確認をしていった上で、きちんと財源も確保し、それからマンパワーも充実をしていくという中で、障害のある方々の暮らしを支えていくための相談支援体制を充実をしていくというのが、本当に1丁目1番地のこの障害者部会のご報告でございます。

2点目としましては「地域における自立した生活のための支援」ということでまとめさせていただいてございますが、大きくさらに中区分として3つに分けてございます。

1つ目は①といたしまして「地域での生活の支援」としておりますが、1つは地域移行に向けた計画的な支援を充実をさせていくということ。それから地域移行を支援するための緊急的な対応をする24時間のサポート体制も充実させるというものであります。

2つ目としましては、グループホーム、ケアホームにつきましては、夜間時の支援体制を充実させていくと併せまして、現在、知的障害それから精神障害が対象となっておりますグループホーム、ケアホームにつきましては、選択の幅を広げるという意味で、身体障害者も対象にすべきという内容でまとめていただいてございます。特に地域移行に向けた取り組みを進めているわけでございますが、安心した暮らしを維持するための支援体制として、やはり緊急的に対応できるようなものとして短期入所も必要ということもありますし、いつでも相談ができるという相談体制というものを充実していく必要があります。これは相談支援と非常に密接につながるものでございますが、これが大きなポイントということでご提議をいただいたものでございます。

②としましては就労支援でございます。就労支援につきましては、就労移行支援事業、それから就労継続支援事業の充実ということで、まず一つ、まとめていただいてございます。就労支援につきましては、障害者の所得保障の確保といった面で、年金等の公的な給付と併せまして、障害をおもちの方の働きたいという意欲を福祉側から支えていくという意味で、就労移行支援それから就労継続支援、新しい事業を作っていったわけですが、これをさらに充実をさせていくという視点でまとめていただいてございます。事業そのものについては、実は様々な課題等もございまして、契約の問題ですね、様々、ございますが、まずこれを充実させていくというのが方向性の提言だろうと思っております。

③といたしましては所得保障でございます。これは自立支援法がスタートする際から非常に皆さん議論があったことですし、今日お集まりいただいております皆さまも非常に関心の深いところだと思いますが、2点にまとめさせていただいてございます。

1つ目が、障害基礎年金の水準の引き上げにつきましては、社会保障制度全般の議論との整合性や、財源の確保なども含めて検討すべきというものでございます。

2つ目が住宅費ですね。これはいわゆる居住費になりますが、高齢者や母子施策との整理も必要であり十分な検討が必要。他方、地域移行という観点から必要となる費用の支援について検討すべきと思います。

非常にちょっと抽象的な内容になっているかと思いますが、基礎年金の引き上げというのは、これから大きなポイントになってくると思いますが、現時点での障害者部会でのまとめといたしましては、財源の確保も含めて、当然これは税制上の取り扱い、要するに消費税の問題も含めて、これからきちんと議論していかなければ、短絡的に基礎年金の引き上げというところまではやはりいかない。社会保障制度全般の議論をしていく中で達成すべきという内容で、今後の検討課題というふうにしていただいてございます。

一方、住宅費ですね。特にグループホーム、ケアホームを利用しておられる方がたにかかる居住費ですね。これを何らかの方法で給付ができないだろうか。ここが入所から地域へ移行する際のツールとしてご用意しておりますグループホーム、ケアホーム、利用する際の居住費が非常に負担が重い、結果として手元にほとんど残らない。この現状をやっぱり改善していくべきではないか。しからば、どのような方法が考えられるだろうか、費用の支援について検討してほしいというのが障害者部会の報告の内容でございます。これは後ほどまた、具体的にどんな方法がとれるのかということについて、多分、谷口先生からご質問があろうかと思いますので、そこで補強をさせていただきたいと思います。

3点目が「障害児支援」の関係でございます。これにつきましては、特に気づきの段階から、きちんとした専門的な相談が受けられるような長い支援が必要ということでございますが、この中では3つにまとめさせていただいてございます。

障害者の施設の関係が第一点でありますが、多様な障害の子どもを受け入れられるように一元化をするということ。

2つ目としましては、放課後や夏休みの支援のための放課後型のデイサービス事業を実施すべきだという内容でございます。

3つ目といたしましては入所施設ですね。通所施設もございますが、入所施設につきましては、満18歳以降について新たに利用する場合には障害者施策で対応していくべき。ただし支援の継続性や、重症心身障害者の児者一貫した支援も十分配慮していく必要がある。

特に障害児支援につきましては、ポイントとなるのがサービス体系の整理でございます。通所サービスと、それから入所サービスという形で整理すべきということ。それから行政の実施主体としてどうしていくかというのがありますが、通所系のサービスにつきましては、在宅サービスも含めて市町村で実施をしていく必要があるのではないか。一方入所施設につきましては、養護事業との関連もあり、なかなかこれは難しいということから、障害者部会のまとめとしましては、引き続き都道府県に権限を残しつつ市町村の関与を深めていく。相談支援を活用しながら市町村にもきちんと力をつけていただいて、いずれかの時期には市町村に権限を移譲すべきという内容でまとめていただいております。

4点目の「障害者の範囲」につきましては2点にまとめていただいております。1つ目が発達障害や高次脳機能障害が法の対象に含まれることを明確化すべき。2つ目としましては難病への支援をどんな体系で実施をしていくべきか、ということについて、今後さらに検討すべきという内容になってございます。

障害者の範囲については、様々なご意見もございまして、ICFの考え方により、何らかの支援を必要とする方については、その支援がきちんと行われる。それを自立支援法の中で実施をする必要があるのではないかというご意見もございましたが、現時点の障害者部会のまとめとしましては、その点につきましては、難病も含めまして今後の検討課題という形になってございます。一方発達障害については、発達障害者支援法という法律が平成17年にできておりますので、この関連について、きちんと法の中で位置づけをすべきという内容でまとめていただいてございます。

5点目が「利用者負担」でございます。これはまさに皆さんが非常に関心の深いものです。それから最近は、与党PTの方向性としてこれが見直されるというような記事もございますが、障害者部会のご議論としましては4点でございます。

1つが、利用者負担のあり方については確かに様々な意見がある。今後ともさらに検討が必要であるということです。ただし現在の利用者負担の仕組みについては、いわゆる応能的になっているということも勘案して、これをきちんとわかりやすいようにしてほしいということ。それから現在は、特別対策等を含めまして、大体上限額を約10分の1まで下げております。平均では3%ぐらいの負担になってございますが、特別対策による負担軽減、これは21年4月以降も実施をしていくという形で考えてございます。というまとめでございます。

一つ飛びまして扶養共済ですね。これらの取り扱いについて。それから資産要件の取り扱いについても検討が必要という内容でございます。

次のページご覧いただきまして、6点目の「報酬」の関係でございます。これにつきましても、本日お集まりいただいている方については非常に関心の深いものだと思いますが、経営基盤の安定のために、21年4月以降に報酬の改定を実施すべきという内容でまとめていただいてございます。

7点目「個別論点」といたしましては、サービス体系、特に日払い方式の問題。それから障害程度区分認定。これは介護給付における認定の問題でございます。これらにつきましても、新しい基準を作るように早急に調査を実施すべきという内容でまとめていただいてございます。

最後のページになりますが、お手元のページとしましては8ページになります。本当に駆け足で大変恐縮ですが、この中では虐待防止・権利擁護につきまして、十分これからも検討していくべき。特に虐待防止法成立については、これを早急に検討すべきという内容でまとめていただいてございます。

最後に⑦になりますが、障害者の権利に関する条約、いわゆる障害者権利条約の批准に向けて検討が進められるべきという内容でまとめていただいてございます。

非常に駆け足でお話をしても、既にこれで20分過ぎてしまいましたのでしょうか。大変恐縮ですが、一旦私のほうから、まず障害者部会の見直しの方向性につきまして、お話をさせていただきました。後ほど、これからじゃあ、どうしていくのかということについて、さらに谷口先生とご議論をさせていただきたいと思います。

谷口●ありがとうございました。本当に駆け足で説明していただいて、基礎的に勉強していらっしゃる方には、ご理解いただけたと思うのですが、なかなか難しいですよね。自民党と公明党のプロジェクトでも「わかりやすくしろ」って言っています。けれども、わかりやすくなかなかならない。本当にものすごく複雑な制度の絡みがあって、私たち研究者でもわかってないですよね。厚生労働省で、どれぐらいの人がわかっているのか、非常に疑問に思いますが、補佐、いかがですか。

天田●非常に辛辣なご質問かど思いますが、さすがの私も、すべて網羅的に、精神障害者の施策も含めて、発達障害者の支援施策も含めて、すべて頭に入っているかと言うと、正直言うと自信がございません。実際、実は担当していた経験もございますし、その中で何とかやっているなというところはありますが、非常に守備範囲が広いということもございまして、ちょっと非常に難しい制度を作っちゃったなというのが本心です。

谷口●別に補佐が作られたわけじゃないので、それを責めても仕方ないので、責めないです。まず、最初に相談支援の部分から入っていきたいと思うのですが、私も相談支援を、ずっと手掛けておりまして、全国的に委託費が全く違うんですね。京都でも北か南も全然違います。例えば一般財源というのは、これ市町村のお金で委託を受けますから、私の知っているところで年間50万ってあるのです。50万なんて人件費も出ないわけですよ。基本的に我々がやっている京都市は、2,000万円を超えるぐらいのお金が出ているわけですよね。そして、ここで言うと、上の一般財源で足りない分は、サービス利用計画で完全になったみたいに見えますが、そういう理解でよろしいんですか。

天田●端的に理解するとすれば財源の問題はそうなりますね。それを実際にどう実施していくかということについては、特に一般財源にした事業については、地方分権の推進の観点から細かく国が基準を作ってはいけないという、こういう縛りがあるんです。そういったことから、なかなかお金が流しにくくなったという事実があります。

ただし、これについては、自立支援法がスタートしてから、いわゆる地域生活支援事業の中から相談支援の機能強化をした場合、専門職の配置をした場合等については、その費用をまた別途、いわゆる一般財源だけではなくて、地方交付税だけではなくて、補助金もあてるという仕組みを作っております。

それからサービス事業計画作成費。これが介護保険におけるケアマネジメントと類縁のサービスとなります。

これも正直申しまして、制度の発足当初、非常に財源的な制限、それから、いわゆるスタッフですね。それが十分に養成をされていなかったということもございまして、これは実際上は非常に少ない状況でございます。後ほどまたご覧いただきますけれども、本当に全国で2,000人程度の決定者数しかいないという状況。ここはやはり仕組みは作ったけれども、そこに本当に魂が入ったのかということになっていくと、これはなかなかそういう状況にはないということを、まず客観的な反省をする必要があると思っています。

谷口●今、この会場にも、指定相談事業所の方が来られてると思いますが、指定相談事業所の方というのは一般財源の委託料が入ってこないわけです。したがって、運営しなきゃいけないところがあると思うんですよね。

そういうことは、今回、厚労省の専門官に、ちょっと対談しましたときに、今度サービス利用計画作成費を全員に付ける案も出ていると聞きました。全員に付けちゃうと、業務量がめちゃくちゃ増えるんです。その辺はどうなんでしょうか。

天田●確かにスタッフの現状、それから実際にサービスを利用しておられる方、全国で在宅サービスの利用者の方が18万人、それから通所サービスの方が14万人、入所サービスが14万人と言われています。大体合計しますと40万ないし50万ぐらいということになりますが、この方々に対して、本来であればきちんとサービスが行き渡るように、複数のサービスを組み合わせていくことができるようにというサポート体制。ご本人が選ぶことができるのであれば、それはそれで、いわゆるセルフ・ケアマネジメントという方法があると思いますが、それをやっぱり充実させていかなければ、自立支援法が目指すものになっていかないのではないか、そういうふうに思います。

谷口●例えば上限管理までやると、サービス利用計画作成が月1万円出ると。出ますから、30人ぐらいを相手に、1人余分にやっているというふうにはなりますね。けど、雇ったからという点で、やっぱり毎月モニタリングに行かないといけなくなっちゃうと、これは1人では済まないように思う。単価の引き上げ等は、今、関係ないです。どうでしょうか。

天田●まずご覧いただきたいのは、お手元の資料15ページに、「相談支援事業の実施状況について」というペーパーがあります。どれぐらいの方がサービス利用計画作成費の対象になっているのか、相談支援事業者がどのぐらいあるのかという図がございますけれども、正直申しまして、まだまだ体制が弱いということを、まず率直に申し上げました。その上で今回、障害者部会の中でご議論いただいたのは、今、谷口先生からご指摘ありましたように、新しいサービス体系というのを議論する際には、これは法律を改正してということになりますが、現在の仕組みは、サービス利用計画作成費、いわゆるケアマネジメントは市町村の支給決定の後に実施をするということになっています。これでは実際に、これは使い物にならんというのが、関係者からの厳しいご指摘でございます。それではどういった方法になるといいんだろうかということで考えたのが見直しの図でございます。17ページになりますが。

真ん中のところに点線で囲ったところがありますが、流れからいくと、まず申請の受付があります。障害程度区分の認定というのがあります。それからサービスの利用の意向の聴取をした上で、支給決定とありますが、その手前のところに、下から上に向かって矢印があります。支給決定時からケアマネジメントを実施する。具体的に言うと何なのかと言うと、サービスの利用意向の聴取をした上で、課題分析をし、計画案の作成をする。ここがポイントになります。これを実施することによって必要なサービスを提供できるという、そういう支給決定に結びつけていくことができるのではないか。支給決定の際は市町村が最終的に責任を負いますから、財源も含めまして十分なければ、これは絵に描いた餅ではないかというご指摘もあるんですが、まずここをきっちりやっていく必要があるのではないかということ。

さらにサービス利用計画作成をした上で、サービスを利用していく。その段階で、ではどんなことが必要なのかということになれば、決定したサービスの内容が、ご本人の状況に合っているか。それから長く使っている中で状況の変化はないだろうかですね。本当に必要なサービスが提供されているのか。いわゆる検証が必要です。それを「モニタリング」という言葉が書いてあります。これもケアマネジメントのプロセスになりますが、サービスを利用した後に定期的にそういった利用状況の検証をすると。そこを新事業者にやっていただきたいということです。

では、どういう形かと言うと、モニタリングのイメージ図とあります。今考えておりますのは、まず今のは上の図です。一般的なケース、それから施設退所による環境の変化の場合と書いてありますが、支給決定をした後に対象となりますけれども、一般的なケースというのは対象になっておりません。施設退所等の環境の変化があった場合に対象とするという非常に限定的な仕組みになっています。毎月サービス利用作成をしていただいて、モニタリング等の実施をしていただくということになっておりますが、これは半年まで。それ以降は必要に応じてとなりますから、必ずしもすべての方が対象になっているわけではないということです。

これをどう変えたいのかということですが、その下の図です。見直しの例といたしまして、まず支給決定のときからきちんとケアマネジメントが実施されるようにというのが共通事項です。その上で施設退所等の変化が考えられる方については、現在の仕組みと同じように半年間は毎月算定。定期的には、その後は定期的にする。一般的なケース、それ以外の方々についても全員を対象とした上で、概ね半年ごとに先ほど申しましたモニタリング、そしてサービス利用の状況の検証をして、本当にそれが合っているのかどうか。場合によっては変更する必要があるのではないかということを見つめ直していただくという作業をしていただくということになります。

ここは実は介護保険と比べますと、介護保険は毎月です。それから比べると、実は全員を対象にすると言いましても、今のところはやはりそこまで、我々もそうなんですけれども、全員の方を対象にして毎月というところまでは踏み込めていけてないというのが実は現状です。

それからもう一つは、谷口先生から単価の問題がありましたが、単価につきましては、基本的には介護保険におけるケアマネジメントの居宅介護支援ですね。これと合わせた単価の設定をしたいというふうに考えています。これらを全部持ち寄っていった上で、事業所がきちんと成り立つようにということになっていくわけですが、これは現状も結構様々でございまして、一つ例を挙げますと、札幌市の場合ですと、これから3名の相談事業支援の相談員を配置をして実施をしていくと。これを委託料と、それからサービス利用計画作成費を合わせて実施をしていく。そうすると金額的に言うと、多分、幾らぐらいでしょうかね。やっぱり2,000万円以上はかかりましょうかね。それぐらいの事業規模はやはり安定的な事業を実施していく際の相談支援体制なのではないかなと考えています。

ただ何人配置するかということについては、国として細かな基準を設けていくということは、やはりなかなか難しいということもありまして、どういうふうにして実際に、これを実行に結びつけていくかということについては、これからまた引き続き実施の中から、皆さまからのご提言、または私たちも調査研究を進めていく中で、答えを見つけていきたいというふうに思っています。

谷口●天田さん、こういうイメージは法律改正をしてからですか。それとも4月からいっちゃいますか?

天田●まず、サービス利用計画作成費の対象とする方については、予算上は、在宅サービスを利用しておられる方の約20%を予算化しておりました。実際上には、本当に2,000人程度ということですから、相当これも計画と実際との乖離があります。

昨年も一部これを緩和いたしました。今年もさらに要件を緩和いたします。ただし今申し上げたように、支給決定のプロセスからマネジメントを入れる、導入の仕組みを入れるということと、それからサービス利用計画作成費を基本的に全員を対象にするというのが、これは法律を改正をした後に実施をしていくと。これは法律を改正しないと実施できない事項の一つだろうというふうに思います。したがいまして本年の4月からということではなく、これから幾つかやはり障害者部会の提言をふまえて、法律の改正をして実施をしていくという事項になってまいりますが、これは法律を改正をした後ということになります。

谷口●実は今、私が問題だと思っているのは、市町村によっては、このサービス利用計画作成費を委託費に含んでいるから、もうこれ以上出さないというようなところがありますよね。そういうところが実は大きな問題で、何か誤魔化されているような気がするんですんね。損しているような気がするんですけど。そこらへん厚労省からも、ちょっと注意していただければ助かるんです。

天田●公式な文書は、実はこれ出しにくいという現実がありますが、いろんな研修会の中では、先ほど谷口先生がおっしゃられたように、1年間委託費が50万、これでは事業を行うといっても、これは無理ですよね。これ本当、現実です。しかしながら自治体については、市町村とか都道府県ともに非常に財政状況が厳しいというお話を伺います。一般財源というのが何かと言うと地方交付税というもので、要するに人口規模に応じて機械的に計算されます。したがいまして横浜市350万人の人口。一方、東京都青ヶ島村は192人。これを一緒に考えるかということになりますと、やはり無理だと思うんです。そうするとあとは何が考えられるかと言うと、複数の市町村が集まって圏域を形成して、共同で事業を実施する。または一つの事業所に委託をするという形で、範囲を大きくしていくという工夫は必要だと思っていますし、そのような例もご紹介をさせていただいています。

谷口●時間がないので、次の話題に移りたいと思いますが、身体障害者のグループホーム、ケアホームが、7月ぐらいから認められるということなんですね。今度の厚生労働省の目玉商品だと思っているんですが、体験給付というような、お試し利用を認めました。これは、今までみんな絶対やらなかったと思うんですが、今度初めてお試し利用というのが出てきていると思います。これをちょっとわかりやすく説明いただけるとありがたいのですが。

天田●わかりやすい説明になるかどうか、ちょっと自信がないんですが、今、ご覧いただいている図は21ページの図です。これは、一つの地域で暮らすバリエーションとして、私が考えた図です。これは公式的な図ではないんですが、例えば知的障害をおもちの方が、18歳ぐらいから成人にかけてという年齢ぐらいの方をイメージして、どんなニーズがあるんだろうか、それからそれに対応する住まいとかはどういうものがあるんだろうか、必要な身体系へのサービスはどんなものがあるんだろうか、これを図にしてみたものです。この中では入所施設から退所して地域で暮らしたいという方もいらっしゃるでしょうし、親御さんから自立をして地域で暮らしたいと考えられる方もいらっしゃると思います。

その際には、今あるツールはグループホーム、ケアホームもありますし、福祉ホームというのもあります。それから公営住宅もありますし一般住宅もあります。この中で特にやはり長期に施設に入所しておられた方、または特別支援学校の寄宿舎に長く暮らしておられた方が、卒業後地域で暮らしたいとなったときに、大きな仕組みが、グループホーム、ケアホームだと思うんです。これが実際上どんなところだろうかということが、やっぱりイメージができないというお話でございます。ここをお試し利用として、ちょっと真ん中辺り、黄色のマークを付けさせていただいておりますが、ここのところを今回、対象にしようということです。

グループホーム、ケアホームは、基本的には長くもうそこに暮らすということを前提に地域生活援助事業として実施をしてきたものですが、これをやはり一旦、例えば2週間程度、そこで暮らしてみて、地域で暮らすということはどういうことなんだろうということを、まず体験していただいて実感をしていただくということを、今回この個別支援の中に入れようということです。

これは決して新しい事業ではございません。一部の市町村、または都道府県が市町村に対しての助成事業として、体験の利用事業というのは行っております。これが今回4月から報酬の中で実施をしていくというふうに考えています。単価につきましては、20日に単価の案を発表いたしましたが、基本単価よりも若干割増をしております。やはり一時的な利用だったら、あまり手がかからないでしょうということではなく、その逆だというふうに申しました。そこは報酬上の評価を若干高くするという形で実施を進めていきたいというふうに考えているところです。

谷口●グループホームとかケアホームの体験、お試し体験はよくわかるんですが、例えば身体障害者の場合、施設に入っていて、それから地域でのひとり暮らしを考えたときに、その地域のアパートなんかでのお試し体験はできるのでしょうか。

天田●それも取り組んでおられる自治体があります。横浜市さんが一つの例ですが。これは今のところ、制度としてはございません。4月についても、今のところそれ自体が一つの制度として確立していないので、ないのですが、実施をするとすれば、いわゆる地域生活支援事業という、いわゆる統合補助金で、いろんなことができるようにという事業があります。この費用を使っていただいて実施することは可能です。

谷口●今、補佐がおっしゃっているのは、グループホームとケアホームに限ってはお試し利用ができるということですね。

天田●はい。いわゆる個別給付ですね。障害福祉サービスとして法律上位置づけているものについて国が報酬基準を定めていますので、その中に今回位置づけるということです。ですから福祉ホームなどはありますが、これは地域生活支援事業なので、国として報酬基準等を定めておりません。定められません。それから一般住宅を利用する場合の体験という方法も当然あると思いますが、これは国として基準を定められるという要求は越えています。

谷口●お試しって、大体どれぐらいの期間になりますか?

天田●これは、これから省令等、告示等で確定していくことになると思いますが、今のところ聞いておりますのは、2週間ないし1か月程度かなというふうに聞いております。まだちょっと確定的な情報ではないものですから。あと2週間ぐらいで正式に決まると思います。

谷口●ああ、そうですか。何で心配しているかと言うと、今、私の大学がある名古屋では、ショートステイで7年間とかという人がいます。お試しで1年もあるとかにならないようにしていただきたいですね。

天田●障害者部会の議論の中でも当然これはあったんですが、お試し期間が一日とか一泊二日、これでは体験ということにならんということもありますので、できるだけ長い期間を認めるべきではないかというご指摘もございました。それをふまえて決めることになると思います。結果的には市町村が支給決定する際に、その期間を受給者証の中に入れ込むという形で決めていくことになると思います。

一方、今、谷口先生からご指摘ありましたように、ショートステイと言いながらロングステイという方がいらっしゃいます。ほとんど入所施設の待機と言うよりは、事実上の入所という方は本当にいらっしゃいます。これはいいのか?ということになりますと、いいとは申し上げられないのですが、現実としてやむを得ずというところあろうと思いますので、そこを今、切り込むということは考えていません。

ただ介護保険の場合であれば連続30日までしか使えませんから、31日の週をまたぐということは絶対にない。高齢者の場合も、よくよく聞いてみると、1日だけは自費で支払って一旦そこで切れて、翌日からまた1日目開始で30日という現実もあるということなので、果たして、これはやはり考えるべきなのかなというふうに思います。

谷口●当然、法の裏技というのは、よくどこでもあるということで、裏技を使えるかどうかというのは、まず相談支援の技術だということがよく言われます。その使い方がいいのかというのは別として、私の希望としては、厚生労働省がグループホームとかケアホームが終の住まいではないということを言っているので、やはり最終的にはアパートとかマンションでのひとり暮らしを想定したお試し利用というのをしていただけるようになったらいいのになぁと思います。

それと今、グループホーム、ケアホームの人たちが、一番お小遣いに困っていると思うんですね。家賃を払って、光熱費を払って、食費まで払わないといけない。そうしたら、この方々に、何か助成ができないのかなと思っているんです。

天田●来年度から取り組むべきものとして、障害者部会のご報告を受けて、私たちは何をすべきか考えますと、一つはやっぱり法律を改正して、十分準備期間を整えた上で実施をしようと考えます。実施体制を強化していかなければ、多分、先ほどの相談支援体制はできませんから、数年間かけてということになっていくと思いますし、そのために法律を改正するというのはありますが、一方では予算措置でできること、それから基準等の改正によってできることがあります。それはどんどんやっていこうということで考えておりまして、一つは報酬の改定をします。これは平均的に5.1%。すべて一律5.1%ではありませんが、重点的にグループホーム、ケアホーム、それから児童デイサービス、重度訪問介護等については、今回は重点的な改善をする予定になっております。

それから利用者負担につきましても、先ほど障害者部会の報告の中にございましたように、負担の軽減は延長するということと併せまして、お手元の資料では24ページになりますが、本年の7月から利用者負担の軽減を行うということで、心身障害者扶養共済の給付金については個別減免時の収入認定から除外するという取り扱いと、もう一つは資産要件、要するに預貯金とか有形資産がある場合に軽減の対象とはならないとなっております。これについては撤廃するという形で、事実上の軽減の範囲を拡大していくということで考えておりますが、今、ご指摘がございましたように、グループホーム、ケアホームに入居しておられる方々の居住費の話題ですね。これがやはり障害者部会の中でも、非常に大きなご議論がございました。

そこで我々としても何ができるかということで、当然考えているわけですが、与党のプロジェクトチーム、2月12日にまとめていただきました基本方針、これはお手元の10ページから12ページまであります。多分この後に、利用者負担の話になるかなと思いますが、この中の12ページの「11」というところをご覧いただきたいと思います。アンダーラインを引かせていただいているところがございますが、読ませていただきますと「グループホーム・ケアホーム入居者への利用する際の助成など支援を充実する」というのがあります。もう一つは「利用者負担を支払った後に施設入所者の手許に残る金額について、在宅とのバランスに配慮しながら増額に努める」と書いてありますが、前者のほうですね。アンダーラインを引かせていただいたところについては、いわゆる今の入所施設の方々についても、暖房費とか、それから食費ですね。これは実費を負担とさせていただいておりますが、そこを助成するという形。いわゆる「補足給付」と我々呼んでおりますが、そういう仕組みがあります。この補足給付という仕組みで、事実上、入居費について助成することができないだろうかということを考えています。これはまさに法律事項になりますので、法律上の手当をした上で可能であれば実施をしていくということになりますが、与党の基本方針の中では、かなりこの点については重点事項ということで伺っておりますので、我がほうとしても、法律を改正をした上で補足給付を実施していくという方向になってくるのであろうかというふうに考えます。

谷口●なるほど。今、画面に出ておりますけど、自己負担の軽減の結果、今、確か一人2.8%の負担だったと思うんです。2.8%という数字を見ると、国の予算と言うか厚労省からすれば、本当少ない額だと思うんですね。そうだとすれば、与党プロジェクトも野党プロジェクトも「自己負担をやめたら?」って確か言っていたと思うんですね。これはやっぱりやめるわけにはいきませんか?

天田●ああ、いいご質問ですね。様々なご意見が本当にあります。一つには、やはり重度障害をおもちの方、障害者が暮らしていくための最低限のサービスは本当に「益」なのかというご指摘ももちろんあります。一方では、制度を長く維持するためには、利用しておられる方にも応分のご負担をお願いし、その代わり過重な負担にならない範囲で負担をしていただくことが本来の社会連帯の考え方にそぐうのではないかという様々なご意見もございます。その中で、無料にすべきというご議論は、与党プロジェクトの中にも、それから障害者部会の中にも、大きな流れではなかったように思います。ただし、今のいわゆる定率負担ですね。定率1割のご負担というのを法律に書いた上で、所得状況に応じた軽減というものを実施しているわけです。この仕組みを実際上の3%程度であれば、ゼロにするべきではないかと言うよりは、応能負担という考え方でもう1回整理できないかということはご指摘があります。

谷口●この間、新聞に出ましたよね。これからは応能負担でいくんだみたいなものが。あれ決まったみたいに、そこに書いてあったんですけど、まだ決まってないんですか。

天田●与党プロジェクトとしては、その方向性がかなり明確に出てございます。お手元の資料の10ページになりますね。10ページの「2」というところです。「即ち」ということが書いてありますが「利用者負担については、能力に応じた負担とし、法第29条の規定を見直す。その際、特別対策や緊急措置によって改善した現行の負担水準の継続や更なる改善、わかりやすい制度とする」というのがあります。ここが要するに、法29条の規定を見直すというのが、ここの部分になります。

これはまさに、法律改正をして理念を変えなさいという、いわゆる基本方針になりますから、これを我々が飲むか飲まないかと言うよりは、そういった方向性で法律上の手当をしていくということになるのかなと思います。

ただしゼロということではなくて、今の仕組みは基本的には水準として継続するということです。もう一つは実は一般世帯への3万7,200円。これをさらに軽減すべきという与党プロジェクトの、もう一歩踏み込んだご提言はあるんです。これは実は、予算措置等を財務省との調整をしなければ実際にはできないということもございますので、4月から実施ということではなく、法律を改正して、その後、その改正法を施行する際に、新しい基準を作る際に、またセットするということになるのかなというふうに思います。その際には、応能負担ということをかなり前面に出した上で、給付費から応能負担分を差し引いたものを報酬としてお支払いする。ただしサービス量が少なければ、その場合については1割分のほうが低いという場合が出てくると思いますので、その場合は1割というような形の整理をするというのが、多分考え方だと思います。

谷口●自己負担ですね。ちょうど今から3年前を思い出します。世帯分離したご家庭がわりとたくさんあるんじゃないかと思っているんですね。私も今、現実、3万7,200円を払っております。別に私が払いたくないとか言っているわけではなくて、本当に払える人はもっと払えばいいと思います。払えない人から取っちゃいけないと思います。それが原則だと思います。

最後の話題に入っていきたいと思いますが、障害をもった子どもたちの問題を話し合いたいと思います。障害をもつ子どもたちが、今度は自立支援法から外れて児童福祉にまた戻されるというような話を、いろんなところで聞きます。それの真相をお話しいただけませんか。

天田●はい。お手元の資料3ページですね。そこに法施行3年後の見直しに向けた検討の状況として、丸の2つ目。先ほど障害者部会のことを申し上げましたが「障害児支援の在り方に関する検討会」というのが先行して、実は検討されております。この内容をふまえて障害者部会の中で位置づけておりますが、この「在り方検討会」の中では、ポイントとしては、障害児の支援については、一般施策もきちんと提供できるということを確保すべきということから、自立支援法ではなく児童福祉法の中に位置づける。ですから、現在は施設入所、通所の利用については児童福祉法、在宅サービスは障害者自立支援法となっておりますが、これは一元的に児童福祉法の中にサービス体系を位置づける。その代わり、通所サービスと、通所児の支援と、入所の支援については、体系の見直しをした上で、自立支援法、児童福祉法の中に書くということになります。

ただし、ホームヘルプですね。これまで児童福祉法に行っちゃうのかと言うと、ここはやはり、逆に複雑になってしまうということがありますから、多分、いわゆるホームヘルプについては自立支援法に残すと思います。その代わり利用者負担については、両方合わせて合算して軽減をするという仕組みが既にできていますから、負担のほうが急に増えるということはありません。

谷口●障害をもった子どもたちが、自立支援ということではなくて児童福祉に入っちゃうということは、私の気持ちからすると、ちょっとさみしいな、みたいな気がしてますね。障害児であるのに障害者である部分を、やっぱり大切にしていただきたいなという気持ちもあるんですよね。ですからその辺が、すべて、タイムケアとか、日中一時とか、放課後サービスとか、そういう考えだけで本当にいいのかなというような気がしています。これも法律が変わってからのお話だと思いますので、その法律が変わるまでに、何か障害児である部分を大切にしていただけるところを、何かちょっとでも作っていただけたら、ありがたいなと思います。

天田●自立支援法の理念が、児童福祉法に行きますとなくなるわけではないと思います。その法律を使うことによって、よりよいサービス、より使いやすくなるかと、そういう手法だというふうに考えています。ここ数年間でガラガラ変えることが本当にいいのかというところ、私も感じるところはありますが、障害児支援については、この制定時から、法施行5年度の実施を目途に3年以内に結論を得るという規定がございましたので、障害児支援の在り方についても、直ちに直してということではなく、やはり時間をかけて実施をしていきます。施行5年後ということになりますと、計算上は24年4月からという計算が成り立つわけですが、それぐらいを目途に、3年間の中で十分議論させていただいた上で、円滑な実施に向けていくということが必要だと思います。

谷口●私たちの対談後にシンポジウムが行われ、シンポジウムでは自立支援協議会のことを中心にお話しされます。それで、その場でコーディネーターをしていただく同志社大学の永田祐先生から、二人の間でもちょっと話してほしいと言われていたのを忘れておりましたので、ちょっと自立支援協議会のことをお聞きします。

今、補佐もわかっておられると思いますが、全国的にうまくいってないじゃないですか。何か形骸化と言うか、形だけ作って終わりとか。これ、どうします?

天田●ええ…。これはですね、本当に「自立支援協議会は法律に書いてないのでできません」という、そういう市町村もあります。「法律に書いてくれたほうがやりやすいんですが」という自治体もあります。「自立支援協議会という名前がよくないんじゃない?」というお話もあります。

それはそれとして、法律上位置づけることで伸びていくのであれば、そうしましょうという考え方で、法律上の位置づけを明確にしましょうということになりますが、おっしゃったとおり、谷口先生からご指摘がありますように、実は自立支援協議会の実施状況というのは、非常にお寒い状況は全国的にはあります。ただし自立支援協議会については、本当に市町村の方々とお話をしますと、本当にこれは大事、これがきちんとできていくと違ってくるんだけどというお話も伺います。いかにして育てていくかということが問われているんだと思います。

特に自立支援法については、単なるサービスを給付するということだけではなくて、地域を見つめ直して必要なサービスは何なのか。ただ単純に面で見るのではなくて、AさんBさんの生活をどう地域で支えていくか、ご本人を中心として関係者が集まっていただいて地域を見つめ直していただいて、場合によっては、その中からサービスを作ってもらう、場合によっては市町村の施策にも反映させるというような力をつけていきたい。という願いを込めて、実は提案しているものです。これがきちんと実施ができるところ、できないところで、相当地域力には差が出てきます。

これも実は、長野県とか滋賀県、もう10年間かけて地域が変わったというふうに言っています。ある方についてのサービスをどうしようかというときには電話1本で関係者が集まれるという関係も、滋賀県できていますよというようです。そういう地域って、どこまであるのでしょうか。それを考えていったときには、10年かけてやるのか、それとも来年といったら無理ですが、やっぱりAさん、Bさんの、いわゆるケアプランですね、ケア計画、それからサービス調整会議、そこから実施をしていくことによって、関係者が目の見える関係づくりをしていくことによって、地域が見えてくるはず。そういった取り組みを、やはり下のほうから積み上げていく必要があるんだろうと思います。

これ、失敗するのは、大体、「法律に書きました。このような機能ができました。やらなければならないから作りました。以上。」というのは非常に困る。我々も、そういうことではダメですということを申し上げながら、自立支援協議会は、ではどういう形で作っていけばいいのか。一つの方法だけではなくて、幾つかの方法もお示しをしながら、マニュアルをお作りして、これを広めていくというような取り組みもしています。これは非常に重要な事業だと思っております。よくご協議いただきたいと思います。

谷口●厚生労働省の言い分はわかるんですが、マニュアルを作ったばかりに、全国があれになっちゃったみたいなところがあるわけですよね。それでは、私たちの研究プロジェクトというのが頑張って全国に調査をしまして。厚生労働省の調査よりもいいとは言いません。言いたいんですが。内容的には本当に滋賀県とか長野県だけではなくて、いろんなところで頑張っているところがあるので、そういうマニュアルなんかも入れていただいて、今日この後のシンポジウムのメンバーは面白いですから、我々は今日は付け足しでございます。この後がメインですので、前半であまり長くやると、時間がないと言って、後ろのほうで怖い顔をしていますので、そろそろ終わります。何か最後に天田補佐のPRをやっていただいたら。1分でお願いします。

天田●本日は本当に貴重な時間をちょうだいしましてありがとうございます。2時間ぐらいあれば、もう少し谷口先生とセッションしながら核心に触れるところ、私なりの考え方というところもお示しできるかなと思いますが、今日は本当に、ほんのちょっとだけ、今後どう変わっていくのかということについての方向性に触れていただければと思いまして、お話をさせていただきました。

いずれにしても、自立支援法は、いわゆる道具ですから、制度に縛られないようにというふうに思います。29ページにいつも使っている資料があるんですが、福祉サービスを考える視点として申し上げたいことは、サービスをどう作るか、これは利用者本人のサービス体系ということになりますし、それからサービスをどう届けるか、これは一人ひとりの問題だと思っています。さらに進めていけば地域社会をどうしていくか。地域づくりという観点が、この三つが欠かせないと思います。自立支援法が、今、様々なご指摘はありますけれども、3年を迎えて、さらによりよいものになるように、引き続き皆さまから、いろんなご意見とご提言をいただきながら、また充実ができればというふうに思います。引き続き私も、行政マンですけれども、この障害者施策については引き続き担当させていただいた上で、皆さまとこのような機会をもしも持たせていただければ、ぜひお伺いしたいと思います。本日はどうもありがとうございました。

徳竹●天田課長補佐、谷口先生、ありがとうございました。限られた時間の中で大変だったとは思いますが、見直し時期を迎えた自立支援法の改正ポイントについて、行政説明という形にとどまるのではなく、障害をもつ人たちの生活にどのように関わってくるのか、影響してくるのかということを、具体的に語っていただけたのではないかと思います。本当に時間が限られている中、ありがとうございました。