法務省は、令和6(2024)年2月15日に開催された法制審議会第199回会議において、成年後見制度の見直しについて諮問しました。(第126号)
成年後見制度は、知的障害・精神障害・認知症などの人々の意思決定を支援する制度で、介護保険法の施行と同じ2000年4月に施行されています。民法による法定後見と、任意後見契約に関する法律による任意後見とがあります。
施行後、いろいろな課題が明らかになったことから、法務省等は、令和4年6月「成年後見制度の在り方に関する研究会」を開催し論点の整理等を行ってきました(主催は公益社団法人商事法務研究会)。
22回の会議を開催し、令和6年2月には、同研究会が報告書をとりまとめました。
報告書では、次のような課題が指摘されています。
○ 利用動機の課題(例えば、遺産分割)が解決しても、判断能力が回復しない限り利用をやめることができない。 ○ 成年後見人には包括的な取消権、代理権があり、本人の自己決定が必要以上に制限される場合がある。 ○ 本人の状況の変化に応じた成年後見人等の交代が実現せず、本人がそのニーズに合った保護を受けることができない。 ○ 任意後見契約の本人の判断能力が低下した後も適切な時機に任意後見監督人の選任申立てがされない。 |
これらの課題に対して、法務大臣から法制審議会に対して成年後見制度の見直しについて要綱を示すよう諮問されたものです。
今後、令和6年4月から法制審議会民法(成年後見等関係)部会で調査審議が開始される予定です。
詳しくは下のサイトをご覧ください。(寺島)
法制審議会:https://www.moj.go.jp/shingi1/shingi03500044_00003.html
成年後見制度の在り方に関する研究会:https://www.shojihomu.or.jp/list/seinenkoken