[文科省]障害のある学生の修学支援に関する検討会報告(第三次まとめ)

令和6(2024)年3月22日、文部科学省は、「障害のある学生の修学支援に関する検討会報告(第三次まとめ)」を公表しました。

同検討会は、令和3年5月に「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律(障害者差別解消法)」が改正・公布され、令和6年4月から、すべての大学・短期大学・高等専門学校において合理的配慮の提供が法的に義務付けられることとなったことをまえ、全ての大学等が取り組むべき基本的な考え方を示すことを目的に開催されました。

同検討会は、平成24年度及び平成28年度にも開催されており、「第一次まとめ」として障害のある学生に対する修学支援の在り方と具体的な方策等について、また、「第二次まとめ」として障害者差別解消法を踏まえた不当な差別的扱いや合理的配慮の考え方等についてとりまとめてきました。今回のとりまとめは、3回目となります。

とりまとめの概要は次のとおりです。

◇障害学生支援に関する基本的な考え方
1.大学等における障害学生支援の在り方 
◆大学等は、自らの価値を高め、学生に対する責務を果たすため、事前的改善措置により教育環境の整備を図るとともに、障害学生支援を、障害のある学生が他の学生と平等に学ぶことができる権利を保障するための手段であるという認識の下で、着実に実施する必要 
◆障害学生支援は、合理的配慮の提供に限定されるものではなく、障害の有無によらず、学内全ての学生を対象に実施している各種支援と併せて行われるもの。合理的配慮の提供以外の学内の学生支援リソースも総合的に活用しながら行うことが望ましい
2.「障害の社会モデル」の理解に関すること 
◆社会的障壁とは、障害がある者にとって日常生活又は社会生活を営む上で障壁となるような社会における事物、制度、慣行、観念その他一切のものをいう 
◆「障害の社会モデル」の考え方に基づくと、障害のない学生を前提として構築された大学等の仕組みや構造が、障害のある学生にとって社会的障壁となっている場合がある 
◆大学等の構成員全てが「障害の社会モデル」を理解し、事前的改善措置や合理的配慮の提供により社会的障壁を除去するとともに、各種学生支援リソースも総合的に活用しながら取り組むことが必要
3.障害者差別解消法上の大学等の義務と努力義務 
◆大学等の義務である不当な差別的取扱いの禁止と合理的配慮の提供、努力義務である環境の整備について説明
4.障害の根拠資料に関する考え方 
◆大学等は個々の状況を適切に把握するため、学生から障害の状況に関する根拠資料の提出を求めることが適当 
◆一律に「根拠資料がなければ合理的配慮を一切提供しない」といった、形式的な対応をとらないよう留意する必要
5.学内の教職員向け対応要領・ガイドライン等 
◆大学等やその設置者が組織として責任の所在を明確にし、障害学生支援に取り組むためには、教職員の共通認識が不可欠。その手段として、教職員向けの対応要領・ガイドライン等を作成することが有効
6.障害のある学生の意思表明を促す取組

◇障害学生支援における諸課題への考え方と具体的な対処の取組
1.学内の体制整備 
◆学内の支援体制の構築、支援人材の配置・育成、学生支援部署の連携といった取組のほか、3つのポリシーやシラバスにおける留意点
2.合理的配慮の提供における諸課題 
◆大学等が提供する合理的配慮と本人の意向との齟齬や内容決定までの長期化、固定化に対する対応、大学院や通信教育課程における合理的配慮の留意事項など
3.紛争の防止・解決 
◆紛争の防止・解決のスキーム、入試における合理的配慮の提供に関する紛争の防止・解決
4.オンライン学修における合理的配慮の在り方 
◆オンライン学修を行う際は、授業ごとの特色を踏まえて、対面とオンライン学修を組み合わせたブレンディッド型授業も考えられる 
◆障害のある学生の個別の状況と当該授業の個別の状況を総合的に考慮して、オンライン参加の可否を個別に判断しなければならない点に留意 
◆大学等の事情ではなく、本人の意向の尊重や教育の質の担保の観点を踏まえて実施する必要
5.合理的配慮とテクノロジーの活用 
◆大学等は学内にテクノロジーを活用した支援ができる体制を整備することを期待
6.障害のある学生の就職等の支援 
◆就職における多数の選択肢や福祉的支援等について情報を収集、効果的に情報提供
7.障害のある学生の災害時対策
8.大学等と国・地域・企業・民間団体等との連携 
◆大学等が単独で対応することが難しい場合、様々な団体・大学の取組への参加に加え、国や自治体の支援の活用や地域内の大学等との連携、企業や民間団体と連携することも有効

◇大学等連携プラットフォームの枠組みの更なる活用 
◆組織的なアプローチによって高等教育機関全体の障害学生支援を一層促進
1.障害学生支援ネットワークの形成支援及び連携の推進
2.専門的知識を有する障害学生支援人材の育成
3.大学等や学生等からの相談への対応
4.全ての大学等が活用できる障害学生支援の好事例の収集・発信

詳しくは下のサイトをご覧ください。(寺島)
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_39062.html

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