[米国]FDAが電気刺激装置の禁止規則を提案

2024年3月25日、米国食品医薬品局(Food and Drug Administratio n: FDA)は、自傷行為や攻撃的な行動を軽減または停止することを目的とした電気刺激装置(Electrical Stimulation Devices: ESD)を禁止する規則案を提案しました。FDAがこれらの機器の禁止を提案したのは今回が2回目です。

ESDは、皮膚に取り付けられた電極を介して電気ショックを与え、有害な行動を軽減または停止させようとする装置ですが、自傷行為や攻撃的な行動を示す人の中には、知的障害や発達障害のためにコミュニケーションや意思表示が困難な人もいることから、これらの機器は、うつ病、不安症状の悪化、心的外傷後ストレス障害の発症、痛み、火傷、組織損傷などの身体的リスクなど、多くの心理的リスクをもたらす可能性があるとしています。

FDAは、2020年にもこれらの機器の使用を禁止しましたが、法廷で異議が唱えられ、FDAは連邦食品・医薬品・化粧品法(Federal Food, Drug, and Cosmetic Act:FD&C Act)に基づき機器を禁止する権限を有さないという裁判所の判断により事実上無効となりました。この判決の後FD&C法が改正され、FDAが自傷行為や攻撃的な行動に対するESDを禁止する権限を有するようになり今回の再提案になったとのことです。

現在、米国でこれらの機器を使用しているのは、マサチューセッツ州カントンにあるJudge Rotenberg Education Centerのみであり、約50人がESDの使用または使用の可能性を含む治療計画により治療をうけていると推定されています。

この規則案が決定されれば、ESDは市場では合法的に販売できなくなります。

ただし、この規則案は、自傷行為または攻撃的な行動に使用することを目的としたESDにのみに適用され、禁煙に使用されるものなど、他の目的に使用される嫌悪性条件付け装置、その他の機器または技術には適用されません。

規則案は2024年5月28日までパブリックコメントを受け付けています。その後、FDAはコメントを審査し、検討した上で、最終規則を発出するかどうかを決定します。

詳しくは下のサイトをご覧ください。(寺島)
https://www.fda.gov/medical-devices/medical-devices-news-and-events/fda-proposes-new-ban-electrical-stimulation-devices-self-injurious-or-aggressive-behavior

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