[英国]個別自立給付(PIP)改定案に関するパブコメを実施

2024年4月29日、労働年金省は、「自立生活支援の近代化:健康と障害に関するグリーンペーパー(Modernising support for independent living: the health and disability green paper )」を公表し、個別自立給付(Personal Independence Payment: PIP)改定案に関するパブコメを開始しました。

英国は、かつては、障害者の就労には積極的ではなく、数々の障害者手当を支給して生活を支援していましたが、近年は、働ける人には仕事を支援し、必要とする人にはセーフティネットを提供するという、納税者に理解される福祉制度の構築をめざして改革を行っています。

この考え方は、2023年3月の「支援の変革:健康と障害に関する白書(2023)(Transforming Support: The Health and Disability White Paper (2023))」や2024年2月に発表された「障害者行動計画(Disability Action Plan)」でも明確にされています。

以前にも本紙で紹介しましたように、労働年金省は、これまでも「雇用および支援手当(Employment and Support Allowance: ESA)」と「ユニバーサルクレジット(Universal Credit:UC)」という障害者が受給している手当の作業能力評価(Work Capability Assessment: WCA)の内容変更などに取り組んできましたが、今回はPIPを改定しようとしています。

PIPは、障害により発生する追加費用を補うための手当で、約260万人の労働年齢層の人々がPIPと障害者生活手当(Disability Living Allowance: DLA)を受給しているとのことです。

本書の構成は次のとおりです。

第1章:代替評価モデルについてオプションを検討
第2章:PIPの受給資格の改訂のオプションを検討 
第3章:障害者や慢性病の人々が直面する追加費用を補うために使えるさまざまなモデルを探る
第4章:PIPが提供する支援を既存のNHSやソーシャルケアサービスとより一層連携させることで、地域社会の障害者や慢性病の人々へのより良い支援を確保できるかどうかを検討

外国の制度も参考に検討しており、有用な文書であると考えられます。ぜひご一読ください。

なお、パブコメの締め切りは7月22日となっています。

詳しくは下のサイトをご覧ください。(寺島)
https://www.gov.uk/government/consultations/modernising-support-for-independent-living-the-health-and-disability-green-paper

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