[カナダ]連邦政府がヘイト撲滅のためのカナダ行動計画を発表

カナダでは、世界の他の国々と同様に、近年、日常生活やインターネット上で憎悪事件が急増しています。標的となっているのは、先住民、黒人、有色人種、宗教的少数派、2SLGBTQI+コミュニティ、女性、障害者等ですが、ヘイトは直接の標的となった人々に害を及ぼすだけでなく、カナダ社会全体に影響を及ぼし、社会的結束を弱め、国家安全保障に対する脅威となるとの考えから、2024年9月24日、カマル・ケラ多様性・包摂・障害者担当大臣は、ヘイト撲滅のためのカナダ行動計画(Canada’s Action Plan on Combatting Hate)を発表しました。

この行動計画は、カナダ初の政府横断的なヘイト撲滅に向けた包括的な取り組みで、次のような3つの柱に基づく20の主要な連邦政府の取り組みがまとめられています。

第1の柱:ヘイトを特定し防止するためにコミュニティを強化する
 多文化主義と反人種差別プログラムによるコミュニティ強化を含む、カナダにおけるヘイトを防止し対処するための取り組みに対する追加予算(5年間で2,500万ドル)
 チェンジング・ナラティブ・基金の創設(3年間で1,000万ドル)
 イスラム恐怖症と闘うカナダ特別基金への資金提供(6年間で730万ドルと現行の110万ドル)
 ホロコースト追悼と反ユダヤ主義との戦いを維持するためのカナダ特別基金への資金提供(6年間で730万ドルと現行の110万ドル)
 新しいモントリオール・ホロコースト博物館建設支援のための追加資金(2年間で500万ドル)
 ホロコーストの記憶を保存し、ホロコーストと反ユダヤ主義に対するカナダ人の理解と意識改革を支援する新しい国家ホロコースト追悼プログラムの創設(5年間で500万ドルと現行の200万ドル)
 憎悪と差別に対する2SLGBTQI+コミュニティの回復力を構築し維持するプロジェクトへの追加支援(5年間で1,200万ドル)
 暴力的過激主義を含む極端な形の憎悪、憎悪に動機付けられた暴力、その過激化を防ぐためのコミュニティ・レジリエンス・ファンドへの追加資金(3年間で1,950万ドル)
第2の柱: 被害者とサバイバーを支援し、コミュニティを保護する
 憎悪犯罪データの収集と活用方法の改善(6年間で1,290万ドルと現行の90万ドル)
 連邦被害者戦略被害者基金による憎悪犯罪被害者への支援と援助(6年間で2,800万ドル)
 新しいカナダ・コミュニティ・セキュリティ・プログラムの立ち上げ(6年間で3,200万ドルと現行の1,100万ドル)
 プライドフェスティバルの安全を支援(2年間で300万ドル)
第3の柱: コミュニティの信頼、パートナーシップ、組織的準備を構築する
 憎悪犯罪対策委員会(6年間で2,020万ドルと現行の320万ドル)
 憎悪の戦い:コミュニティ情報リソースハブ(6年間で1,800万ドルと現行の300万ドル)
 カナダ人種関連基金の強化(5年間で4,500万ドルと現行の900万ドル)
 極端な形の憎悪と暴力的過激主義を含む憎悪に動機付けられた暴力阻止するための追加資金(3年間で1,950万ドル)
 憎悪犯罪への対応についての訓練を増やすための警察大学への支援(4年間で2,680万ドル)
 リーダーシップとコーディネート施策: 連邦・州・領土の協力と憎悪と戦う大臣の諮問委員会の創設
 憎悪犯罪の独特のダイナミクスについての検察官と司法界の意識を高めるの専門訓練の開発と実施(5年間で150万ドル)

同行動計画は、「カナダ人種差別反対戦略2024~2028」を補完するものであり、また、これに関連して、オンライン上で最も脆弱なグループをより強力に保護するための新しいオンライン危害法案C-63を提案しているとのことです。

詳しくは下のサイトをご覧ください。(寺島)
https://www.canada.ca/en/canadian-heritage/news/2024/09/the-government-of-canada-launches-canadas-action-plan-on-combatting-hate.html

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