デジタル図書(マルチメディアデイジー)・教科書製作のご紹介

公益財団法人日本障害者リハビリテーション協会 情報センター
副センター長 吉広賢史

公益財団法人日本障害者リハビリテーション協会では、平成20年度からボランティア団体等と協力して、小中学校の発達障害など読みの困難がある児童生徒にデイジー教科書の製作・提供を行っています。

デイジー(DAISY)とは

デイジーは、視覚障害者のほか、手などの障害でページがめくれない人、発達障害等で印刷された文字情報を読むことが難しい人にも読みやすい図書となっています。
デイジーには下記の3つの種類があります。

●音声デイジー:

図書や雑誌の内容を録音して音声にしたものです。図や写真の説明も音声で入っています。目次やページ情報が収録されているので、本をめくるように読むことができます。音声のみのデイジーとも呼ばれ、主に視覚障害者の方が利用されています。

●テキストデイジー:

テキストデータを再生機器の音声合成機能を使って読むことができます。音質や読み方は、音声合成機能に依存します。主に視覚障害者の方が利用されています。

●マルチメディアデイジー:

音声デイジーとテキストデイジーを合わせた、ハイブリッドな形式となっています。文字や画像をハイライトしながら、予め録音された音声と一緒に読むことができます。このため、読み方は製作時に確認済みであり、再生機器に依存しません。デイジー教科書で利用されている形式です。

発達障害の可能性のある児童生徒数

デイジー教科書を利用する発達障害の可能性のある児童生徒数について、全国の小中学校の通常学級在籍の児童生徒のうち、平成24年の文部科学省の調査では、約6.5%が発達障害の可能性があるとされ、その割合は、10年後の令和4年には約8.8%に増えています。全体の児童生徒数は10年間で約90万人減少していますが、発達障害の割合は増加傾向にあります。発達障害の中でも、特に読み書きに困難をもつ児童生徒は全体の約3.5%、約33万人に上っています。

デイジーで期待される効果

まず、デイジーで期待される効果ですが、読みの負担の低減になります。音声が再生され、読んでいるところがハイライトしますので、視覚と聴覚から同時に入ることにより、情報の処理、認知につながります。

現状の紙の教科書では、読むこと自体に一生懸命で内容が入ってこない場合でも、デイジーを使うと、読みの負担が減って、内容の理解に集中できます。

紙の教科書では、レイアウト、フォント、文字の大きさ、向き、背景色、文字色は固定ですが、デイジーは読みやすいように変えることが出来ます。また、すべてのテキストに校正済みの音声がついていて、再生にあわせてハイライトします。デイジーを使うと、紙の教科書に比べて、自由度が多く、一人一人の困難さに応じたカスタマイズができます。

デイジー教科書の特徴

  • ハイライトされたテキストと、音声、画像が同時に表示され、どこを読んでいるかが確認できます。
  • 学習順の再レイアウトにより拡大や縮小しても読み順で迷いません。
  • テキストを拡大しても画面内に収まるように自動的に改行します。(リフロー)
  • 目次や見出しをつかって、読みたいページに移動ができます。
  • ルビ表示の選択ができます。教科書と同じルビや、すべての漢字にルビをふった総ルビを切り替えることができます。
  • 文字の大きさや色、背景色や再生速度を変更して、個々のニーズに合った読み方が可能です。
  • デイジー教科書データは無料でご利用いただけます。

デイジー教科書の再生方法

デイジー教科書には2種類の再生方法があります。ダウンロードして、予め端末にインストールしてある再生ソフトを起動し再生する「ダウンロード再生」と、端末の標準ブラウザで再生する「ブラウザ再生」があります。

●ダウンロード再生:

  • 予め、再生ソフトを入手して、端末にインストールしておく必要があります。
  • 教科書データのダウンロードが済めば、ネットワーク環境がなくても再生できます。
  • 学校のネットワーク環境ではセキュリティ設定の見直しが必要な場合があります。

●ブラウザ再生:

  • 端末の標準ブラウザで再生できます。(再生ソフトのインストールは不要です。)
  • 端末の記憶容量が少なくても問題ありません。
  • QRコードで簡単にログインできます。
  • 再生している時は、ネットワーク環境が常時必要です。
  • 定額制(通信料金が使用量に関わらず一定)のネットワーク環境での利用をお勧めします。従量制(通信料金が使用量に比例)や使用量の上限がある場合は、使用量に注意してご利用ください。

サンプルIDを公開していますので、こちらをつかってどなたでも試してみることが出来ます。下記のURLを開き、ログイン名とパスワードを入力しログインします。

URL: https://mpf.jsrpd.jp
ログイン名: 10025
パスワード: 12345678

再生画面では操作ボタンをシンプルにまとめてありますので、操作の練習をすれば、児童生徒が自分で操作することも可能です。

デイジー教科書の利用条件

  • 利用目的は、通常の印刷された教科書では読むことが困難な児童、生徒の学習用途に限定されます。
  • 教科書バリアフリー法の改正により、2024年8月より外国籍等の「日本語に通じない」児童生徒もデイジー教科書の利用が可能となりました。
  • 利用する児童生徒の在籍学年の教科書および下学年の教科書が使用可能です。
  • 提供システムで公開しているデイジー教科書のデータは、許可なく複製をしたり、第三者へ譲渡することはできません。
  • 利用申請は年度ごとにいただく必要があります。

デイジー教科書の提供状況

小学校は98%、中学校は92%の検定教科書をマルチメディアデイジー教科書で提供しています。また、特別支援学校にて使用される知的障害者用の教科書も16冊提供しています。

利用されている児童生徒数は、令和5年度は24,560名でした。令和6年度は個人申請が約11,000名、団体申請(児童生徒数は年度末集計)は625団体です。

平成20年度に80名の児童生徒への提供を始め、平成25年度に一千名、平成30年度に一万名、令和5年度には五万名を超え、利用者数は年々増加しています。

また、平成28年度からは教育委員会等の団体申請の受付を開始し、令和4年度以降の利用児童生徒数は、団体申請が個人申請を上回っています。

デイジー教科書の利用成果

利用者アンケート結果からの抜粋です。

  • 読みがスムーズになった
  • 文節の区切りが上手になった
  • 読み間違えが少なくなった
  • 読むことへの抵抗感が減った
  • 文章への理解度が良くなった
  • 読める漢字が増えた
  • 自己肯定感や自尊感情が増した

必ずしも利用したすべての児童生徒に成果があるということはありませんが、まだ利用したことの無い読みに困難をもつ児童生徒は、ぜひお試しください。

教科書以外のマルチメディアデイジー図書

公益財団法人日本障害者リハビリテーション協会では、教科書以外にも児童書等をマルチメディアデイジーで製作し提供しています。

「デイジー子どもゆめ文庫」では、小学校の国語の教科書で紹介されている児童書を中心に製作しています。子どもが自分でアクセスして利用できることを重視した画面構成となっていて、ログイン後のマイページでは、ジャンルや、推薦学年、推薦教科書出版社などで絞り込んだり、書名で検索が出来ます。また、人気の図書順で表示し、選択することが出来ます。読みたい本の表紙を選択するとマルチメディアデイジーでそのまま再生が出来ます。

現在の利用者数は、1,800名、学校図書館・公共図書館は125団体登録されています。利用できる図書は約200冊で、令和6年度は 67冊を製作中です。

デイジー子どもゆめ文庫の利用には、専用のホームページからの申請が必要です。読みに困難を持つ方は無料でご利用いただけますので、ぜひご利用ください。

サイトのご紹介

日本障害者リハビリテーション協会のデイジーホームページ
https://www.dinf.ne.jp/doc/daisy/
マルチメディアデイジー教科書
https://www.dinf.ne.jp/doc/daisy/book/daisytext.html
デイジー子どもゆめ文庫
https://yume.jsrpd.jp/