[米国]メディケイドの予算削減による死亡率や医療費への影響

2025年4月30日、ボストン大学医学部のBrooke E Nicholsらは、The Lanceという医学雑誌のオンラインファースト版(Volume 405, Issue 10491, p1736, May 17, 2025)に「米国におけるメディケイドの削減、死亡率、医療費(Medicaid cuts, mortality, and health-care expenditure in the USA)」という記事を掲載しました。

米国の共和党は4兆5,000億ドルの減税を果たすための方策のひとつとして、米国議会においてメディケイドの連邦政府の負担軽減策を提案していますが、そうした場合の影響について分析しています。

メディケイドは、低所得者や障害者向けの医療扶助制度で、連邦政府と州政府により共同で運営されています。全国で約7,200万人がメディケイドに加入しています。医療費負担適正化法により州政府がメディケイドの対象を拡大した場合のコストを連邦政府が負担することとなっていますが、これが削減されればメディケイドを拡大した40州とコロンビア特別区で、推定1,550万人がメディケイドの補償を失うことになります。

これらの削減は、特に農村部やサービスの行き届いていない地域の医療提供者に負担をかける一方で、加入者の死亡率と経済的困難を増加させる可能性があります。

記事では次のような分析を行っています。

予算削減の影響を受ける州における25歳から64歳の人々の1年間での潜在的な超過死亡は約14,660人に達する可能性があり、これは影響を受ける州の年齢層の7番目に多い死因に相当する。

メディケイドの補償を失うことで、25〜64歳の約623,000人が毎年壊滅的な医療費増に直面すると推定される。

メディケイドの補償を失うとことで最大870万人のアメリカ人が必要な医療を受けられなくなり、慢性疾患が悪化し、長期的な健康状態が悪化する可能性がある。

メディケイドは子どもの健康にも重要な役割を果たしており、子どもの頃に医療給付がなくなると、健康と経済的生産性に生涯にわたる影響を与える可能性がある。

農村部の多くの病院は、営業を続けるためにメディケイドの支払いに依存しており、閉鎖に追い込まれた場合、サービスを受ける全人口に悪影響を与える。

詳しくは下のサイトをご覧ください。(寺島)
https://www.thelancet.com/journals/lancet/article/PIIS0140-6736(25)00761-5/fulltext