地域発~人をつなぐ地域をつなぐ-竹を資源に! 竹福商で地域づくり
「新ノーマライゼーション」2025年4月号
大崎町地域おこし協力隊
伊藤剛(いとうたけし)
ノウフク・アワード2024で優秀賞を受賞。これは農水省が農福連携に取り組んでいる優れた事例を表彰するもので、鹿児島県大崎町の「竹福商連携による竹の資源化モデルの構築と実践」の取り組みが選ばれました。
鹿児島県大崎町で2022年から始まった竹林整備。竹福連携は大崎町の宮園という70名程度の小さな集落の高齢者の方々が、町内の障がい者の方と一緒に竹林整備をするという試みです。これを農福連携ならぬ竹福連携と呼んでいます。ここに加工業者の「商」が入り竹福商連携と呼ぶようになりました。
竹福商連携による竹の資源化モデルは、「障害者就労施設、加工業者等が連携し、地域の高齢者や障害者が放置竹林の整備や竹炭の製造を行うモデルを創出。竹炭を土壌改良材として活用したサツマイモの加工により収益化を実現したもの」と説明できます。
竹が炭となり、炭は畑に撒かれサツマイモ栽培に活用します。収穫したら加工されて干し芋となります。
竹林整備日は毎週木曜日。暑い時期は活動しませんが、集落の15名前後が朝から竹林整備。10時過ぎには就労継続支援B型ひふみよベースファーム大崎さんから5~10名が加わります。
通常、農福連携といえば一連の作業を一つ一つの単純な作業に細かく分解し、作業の最小単位を作り、その中で障がい者ができる作業を担ってもらうようなイメージです。宮園集落では明確に分解しているわけではありませんが、さまざまな行程があります。
まず作業現場は放置竹林のため竹があちこちに枯れて倒れています。切る、1本1本引っ張り出しては広場まで運ぶ、竹の枝払いをする、一定の長さに玉伐(たまき)るなどの作業があります。
次に炭焼きには無煙炭化器を使います。着火は枝払いで生じた竹の枝を使うと火がつきやすいです。竹は爆ぜないように鉈(なた)やノコギリで穴や傷をつけます。爆竹とはよく言ったもので、温度が上がると竹は大きな音をさせて爆発します。火の粉を付けた竹の破片が周囲に飛びますので注意が必要です。また炭焼きが順調に進んでいるか、その間も火の番をすることも大事な役目です。
このような行程を高齢者と障がい者とで、それぞれの得意を活かし、時には郷中教育のように教えあいながら、自分たちのペースで作業を進めています。
さて、お楽しみになっているおやつタイムがあります。集落の人がそれぞれ手作りおやつを持ち寄ります。美味しいし話も弾みます。実はこの休憩時間がとても大事でお互いを知る機会になっていて、たわいもないおしゃべりが始まります。これがうまくコミュニケーションをとる秘訣なのかなと思っています。
竹林整備は宮園集落の方々にとっても、挨拶だけの関係から密な関係へと進展させることになりました。ここからさらに新しい物事や発想も生まれたりするような場となったことはコミュニティーの再生といえるのではないでしょうか。
ノウフク・アワードの審査でのコメントには、「放置竹林の解消に向け、竹福商連携の名の下、多くの関係者を巻き込んだ訴求力のある取組が見られ、地域の障害者、高齢者をはじめ地域構成員のエンパワーと共生の理念づくりに成功。」と評価していただいています。
限界集落ともいえるこの宮園集落はこの2年で急に目を見張るほどの包摂力のある集落になりました。これからも多様な人の受け皿になっていくでしょうし、自らの実現したいことも考えていける活力ある地域になりました。個人的にも今後の行く末が楽しみです。