大阪・関西万博「健康とウェルビーイングウィーク HEALTH DESIGN輝き、生きる。Live Brighter」(6月21日~6月29日)で「障害者自立支援機器~「つなぐ」テクノロジー」を展示します!

「新ノーマライゼーション」2025年5月号

国立障害者リハビリテーションセンター研究所
井上剛伸(いのうえたけのぶ)・高野弘二(たかのこうじ)・高橋智(たかはしさとし)

「いのち輝く未来社会のデザイン」をテーマとして、大阪・関西万博が開幕しました。その基本計画には、「人間一人一人が、自らの望む生き方を考え、それぞれの可能性を最大限に発揮できるようにするとともに、こうした生き方を支える持続可能な社会を、国際社会が共創していくことを推し進める」ことが掲げられています1)。万博というと、先端技術がとかく取り上げられがちですが、多様性や包摂性が重要視される昨今の社会情勢から考えると、先端技術で命さえのびればそれでよいという考え方はさすがに主流ではないはずです。先端技術を使い、人が、人間が、どのように生活し、どのような人生を歩んでいくのか。一人ひとりのLIFE(生命・生活・人生)に焦点をあて、ありたい自分を実現できる、そんな未来社会をどのようにデザインするかが、重要なテーマとして設定されています。

その万博で、障害のある方々の自立を支援する機器の展示を行うことは、必然だと思いませんか?

国立障害者リハビリテーションセンターでは、「障害者自立支援機器~「つなぐ」テクノロジー」をテーマとした展示を行います。ここでは、重度の障害のある方々と未来を担うこどもたちに焦点を当て、人と支援機器が手と手、人と人、人と社会、今と未来をさりげなくつなげることで、一人ひとりの生きる力を活かし、社会で最大限に活躍できる、社会に自然に溶け込んでいく、そんな未来を想起することを目指します。

展示する自立支援機器は、以下の4点です。

「眼球運動を活用したスイッチ入力システム」は、重度のALS等で身体の動きが極端に制限され、どうにか目が動くといった状況の方を対象として、その限られた意思の表出を画像処理の技術を活用して確実にとらえ、ナースコールやVOCA等を通して、家族や知り合いとのコミュニケーションにつなげることができます。このスイッチは、社会とのつながりを確保する重要な役割を果たすのです。

「ジェスチャー認識を活用したインターフェース」は神経・筋疾患の方等の指、耳、顔の動きといった微妙な動きや、脳性麻痺の方の脚の動きや肩の動きといった粗大動作を3次元の動きがわかるカメラによって検出し、スイッチ信号としていろいろな機器とつなげることで、意思伝達や文字起こしといった就労、ビデオゲームなどのさまざまな活動を可能とします。通信型のビデオゲームでは、障害のあるなしを意識せずに対戦することができるのです。

「遠隔就労支援ロボット」は、重度の障害のある方々が、離れた自宅のベッドや車椅子上からでも介護施設の物品配布や利用者とのコミュニケーションといったサービスを提供するシステムです。操作をスムーズに、かつできるだけ負担なく行えるアシスト技術で、障害のあることを強みとするような、そんな就労を可能とする未来を描いています。

「こどもの義手」は、すでに実用的なものが存在しています。ところが、こどもの義手には大人にない課題が含まれており、皆で地道にその課題を乗り越えていきます。こどもの義手についてたくさんの方に知っていただき、受け入れる側も義手を使っている人を自然に受け入れられるような社会になってほしいという願いで出展しています。6月29日には、「フューチャーライフヴィレッジ」のFLEステージにて、先天性上肢形成不全で生まれたこどもたちを交えたトークショーも開催します。

どの展示も、実物を見たり体験したり、実際の利用者の皆さんにもご協力していただき一緒に支援機器を使って考える、そんな展示や講演会を企画しています。ぜひ、ご来場ください。

【参考文献】

1)2025年日本国際博覧会基本計画,公益財団法人2025年日本国際博覧会協会,2020.