カウントダウン 東京2025デフリンピック-東京2025デフリンピックがめざすもの「“誰もが個性を活かし力を発揮できる”共生社会の実現」
「新ノーマライゼーション」2025年5月号
一般財団法人全日本ろうあ連盟デフリンピック運営委員会 事務局長
倉野直紀(くらのなおき)
1.デフリンピックとは
2025年11月に、「第25回夏季デフリンピック競技大会東京2025(東京2025デフリンピック)」が日本で開催されます。
デフリンピック(Deaflympics)とは、デフ(Deaf/英語で「耳がきこえない」という意味)とオリンピック(Olympics))を組み合わせた名称で、オリンピックと同じように4年に1度、夏季大会と冬季大会をそれぞれ開催する「きこえない・きこえにくい人のためのオリンピック」です。2025年はデフリンピック開催100周年目であり、また、わが国で初めての開催と国内外の関心が高まっています。
2.デフリンピックの理念
デフリンピックは、1924年にフランスのウジェーヌ・ルーベンス-アルケー氏の提唱により、フランス・パリで初めて開催されました。アルケー氏は、自身もきこえない当事者であり、デフアスリートでもありました。
当時の社会ではきこえない人は廃人とみなされていたことや、手話言語も動物みたいだとあざ笑われていたことに憤まんたる思いを抱いていたアルケー氏は、きこえない当事者の手で国際スポーツ大会を開催、運営することで、きこえない人の社会的地位向上や手話言語の理解促進を推し進め、社会を変えようとしたのです。
近代オリンピックは古代オリンピックの復興、パラリンピックは第二次世界大戦の負傷軍人の治療と社会復帰という理念から始まりました。しかし、デフリンピックは大会開催を機にきこえない人がきこえる人と平等に、共に活躍できる社会をめざそうという、「スポーツを通した社会変革」という想いから始まりました。
東京2025デフリンピックでは、アルケー氏の想いやデフリンピックの理念を引き継ぐものとなる大会ビジョンを掲げました。
1.デフスポーツの魅力や価値を伝え人々や社会とつなぐ
2.世界に、そして未来につながる大会へ
3.“誰もが個性を活かし力を発揮できる”共生社会の実現
東京2020オリンピック・パラリンピックが心や街のバリアフリーを推し進め、また人々の障がいに対する意識や社会を変えたように、東京2025デフリンピックは「“誰もが個性を活かし力を発揮できる”共生社会の実現」をめざしています。
3.“誰もが個性を活かし力を発揮できる”共生社会の実現のために
デフリンピックはこれまできこえない当事者のみの運営でしたが、東京2025デフリンピックは東京都と共に準備運営を進めています。なぜなら、きこえない人ときこえる人が共に運営することが共生社会を象徴するものだからです。
また、当運営委員会は、子どもたちや市民にきこえないことや手話言語、ろう者の文化への理解を広め、共生社会の実現につなげていくために、出前講座等を通してさまざまな体験や活動を通じて学びを深めることができる「未来へつながるプログラム」を策定しました。昨年度から全国の小中学校でプログラムの実施に取り組んでいただいています。
また、東京都も大会開催を機にデジタル技術を活用したユニバーサルコミュニケーションを促進することで、「いつでも・どこでも・誰とでも」つながるインクルーシブな街・東京の実現をめざしています。この取り組みは社会に好影響をもたらし、昨年10月には東京メトロ全駅で駅構内アナウンスを多言語化・文字化する「みえるアナウンス」が導入されました。
これらの取り組みをさらに全国へ広げ、社会を変えていくために、当連盟は「全国キャラバン活動」を始めることを決定しました。
これらの取り組みを次号以降もさらに紹介していきたいと思います。ぜひ、応援をよろしくお願いいたします!