当事者主体の災害準備-災害派遣福祉チーム(DWAT)の平時の取り組み

「新ノーマライゼーション」2025年5月号

ミドリの杜こども園
大田創太郎(おおたそうたろう)

サニーズマーケット
石倉敦也(いしくらあつや)

本誌2025年3月号では、災害派遣福祉チーム(DWAT)の災害時の活動の様子を紹介しました。今号では、平時からの備えや取り組みについて、石川県と群馬県の2県の実践事例をもとに紹介します。

石川DWATの平時の活動実践から(大田創太郎)

能登半島地震では、私も1月初動から延べ15日活動に参加しましたが、普段は保育士(保育教諭)として働いているため、発災時の活動に不安がありました。しかしながら、平時の研修や訓練に参加していたこともあり、スムーズにチーム員同士で連携をとることができました。

これまで、チーム員の技術向上のため、基礎の座学から実践的な実技までさまざまな研修が行われました。登録研修(4.5時間)に加えて、年に3回程度行われるフォローアップ研修では、実際に災害現場へ派遣された経験のある県内外のチーム員を講師として招き、実体験に基づいた話からDWATの具体的な活動内容を学びました。グループワークでは、実際にあった福祉ニーズへの対応やアセスメント後の対応などを多職種で話し合いました。中でも、グループワークで挙げられた子どもの事例は今でも強く記憶に残っており、保育士の必要性を感じました。

県や市町が実施する防災訓練に参加する機会もあり、2024年11月に津幡町で行われた石川県主催の防災訓練では、災害時を想定しました。チーム員同士で、誰がアセスメントを行うか、誰がそばにつくか、何人で行くか等、職種や経験を基に対応することの重要性を学びました。また、避難所の管理者と円滑なコミュニケーションをとるためにはどうしたらいいのかを考える機会もありました。他にも「なんでも相談」ブースの設置やダンボールベッドの組み立てなど、災害時の避難所で想定されるさまざまなことを知る機会でした。

私がDWATの登録研修を終えてチーム員になった時、保育士がDWATの活動にどうやって貢献していくのかイメージができていませんでしたが、研修でのグループワークの事例や、県や市町の防災訓練に参加する子どもたちの姿を見て、保育士がDWATに必要な存在だと確信しました。また、研修や訓練で行った内容は、実際に能登半島地震でのアセスメントやラウンドなど、さまざまなことに活かすことができたため、今後も日々の研修や訓練を大切にしていこうと思います。

ぐんまDWATの平時の活動実践から(石倉敦也)

ぐんまDWATは、2018年西日本豪雨(岡山県)と2019年東日本台風(長野県)、そして2024年能登半島地震(石川県)に、登録員を被災地に派遣する機会を得て、避難所における福祉支援活動に参画し、保健・医療と連携しながら被災者の避難生活を支える活動を行いました。

派遣活動を通じて得られた経験をもとに、平時には、福祉の専門性を活かして要配慮者の避難生活を支えられるように、支援可能な領域や内容等を事前に整理しDWATの活動の幅を広げるとともに資質向上を図っています。具体的には、高齢者、障害者、子ども・女性の3つの専門領域に分かれて研究会を設置し、福祉支援の具体化や可視化を検討しています。

私の所属する障害者支援研究会では、避難生活における障害者の心の課題や特別支援学校における福祉避難所設営訓練及び平時の備え等について、関係者から情報提供をいただきながら災害時の課題と向き合ってきました。また、群馬県避難所運営ガイドラインの検討会議にも参画し、その作成に携わらせていただきました。

DWATの認知度の低さは課題です。そのため、広く市民への啓発の機会を計画し、「第9回Hawaii Love Town in ぐんま(2024.11)」に地元の防災士と一緒に展示ブースを開設しました。以前から福祉への関心を高く取り上げているイベントですが、2024年能登半島地震の影響もあり、テーマを「防災×ALOHA×福祉」としていただき、出展の機会につながりました。

ブースでは、段ボールベッドの寝心地体験や避難所生活に関するクイズ、DWATの活動写真のスライド投影、DWATが避難所に設置する「なんでも相談」コーナーを設置した相談体験を行い、来場された市民や大会の関係者に楽しく体験に参加いただきながら、DWATの存在を広めました。

また、この経験を活かし、安中青年会議所と一緒に「いのちをつなぐ防災スクール(2025.3)」というイベントにも企画・協力させていただきました。

災害時に安心した避難生活を支えるために…

今後、DWAT活動を進めるにあたりチーム員の学びを深めることは重要です。

災害支援では多くの支援者が被災地を支援しますが、DWATは多くの関係者と連携を図り、お互いを知り、被災者のために役割を全うしていくことが大切となります。

そのためにも、平時よりチーム内で顔が見える関係づくりを行うとともに、災害時に少しでも安心した避難生活を支えられるよう、防災・保健・医療・福祉関係者だけでなく、配慮が必要な方々やそのご家族等、多くの方にDWATの活動を知っていただく機会を提供しながら、地域の安心や防災力の向上につなげ、地域に根ざした活動として展開していけるように努めたいと思います。