ひと~マイライフ-国際結婚、そして子育て~お互いの信頼関係が成長につながる
「新ノーマライゼーション」2025年5月号
アップルゲート怜史(さとし)
1998年5月生まれ。埼玉県加須市在住。妻も私も聴覚障害がありますが、子どもは聞こえます。現在、子育て奮闘中。ろう文化、アメリカ文化、日本文化、そして聞こえる人の文化が交差する家庭の中で、大黒柱として家族を支えています。
私はアメリカ人の妻と1歳になった娘の3人で生活しています。実は私が改姓し、アメリカでも珍しい「アップルゲート」という姓を名乗ることになりました。ここでは、国際結婚までの道のり、改姓の理由、子どもの教育についてご紹介し、同じような悩みを抱える方々への参考に、また自分へのアドバイスをいただけるきっかけとなれば幸いです。
私たちの出会いは、私が筑波技術大学に通っていたとき、妻が見学に来たことがきっかけでした。話をするうちに惹かれ合い、日本とアメリカでの遠距離恋愛が始まりました。付き合っている期間はビデオ通話の画面越しでの交流がほとんどでしたが、それでも時間を忘れるほどたくさん話をしていました。遠距離恋愛には信頼関係が不可欠であり、お互いを理解しようとする気持ちが重要だと思います。私たちは共通の趣味もなく、性格も正反対でした。妻は自分の考えを強く持つタイプで、私は周囲に合わせることが多いタイプでした。しかし、付き合う中で妻は他人の意見を聞いたうえで自分の意見がどう違うかを説明するようになり、私は自分の意見を考えたうえで相手の考えを理解するようになりました。お互いを観察し、長所を吸収して自分の成長につなげる、こうした変化が、遠距離恋愛を乗り越えて結婚に至る大きな要因だったと思います。
改姓については、国際結婚の場合は夫婦別姓が可能だったため、最初は別姓で届け出ました。しかし、妻の妊娠が判明し、子どもの将来を考えたときにどちらの姓を名乗るべきなのか、アイデンティティ形成の妨げになる可能性があったので、話し合いの末、私が改姓することを決意しました。妻の姓を選んだ理由は、長くなりますが端的に言えば彼女の家族への思いやりに敬意を示したかったからです。
子どもの教育については、家庭内のコミュニケーションが日本語、英語、日本手話、アメリカ手話の4言語になるため、適切な環境を整えようと考えています。家では英語とアメリカ手話、外では日本語と日本手話を使用し、言語の切り替えがスムーズにできるようにするつもりです。また、アメリカ人の強みである自己表現力を育むために、「水」「食べ物」「おむつ」などを実際に並べてそれぞれの手話を表現して「これほしい?」と問いかけて、指し示したり手話を表現したりするように意思表示を促しています。そして日本人の強みである思いやりの心を学ばせるために、「ありがとう」「こんにちは」とジェスチャーや動作を交えながら挨拶をする習慣をつけるようにしています。一つ重要なことは私たちもほしいものを指し示して「これがほしい」と手話でそのものをはっきり伝えたり、子どもから何かを渡されて受け取ったときには「ありがとう」とお辞儀をするように心がけています。私たちの行動がそのまま子どもに影響すると考えているからです。
結婚も子育ても、お互いの信頼関係をしっかり築いてから臨むべきだと強く感じています。関係が安定しない限り、多くの困難に直面し、苦労を強いられることになるでしょう。ストレスフリーで子どもと向き合うことが、成長にとっても良いはずです。そのため、私たちはストレスの原因をできるだけその日のうちに解決するようにしています。「離れたい」と思ったことは一度もありませんが、イライラすることはあります。そんなときは冗談で笑い飛ばしたり、しっかり話し合ったりしながら、日々を乗り越えています。