カウントダウン 東京2025デフリンピック-東京2025デフリンピックが目指すビジョン「いつでも・どこでも・誰とでもつながる街・東京へ」~デジタル技術で誰もが円滑につながる大会に~
「新ノーマライゼーション」2025年6月号
東京都スポーツ推進本部国際スポーツ事業部 事業調整担当課長 萬屋亮(よろずやりょう)
今年11月に、東京でデフ(きこえない・きこえにくい)アスリートのための国際総合スポーツ大会であるデフリンピックが開催されます。デフリンピックには、世界各国・地域からデフアスリートや関係者が参加し、多くの観客も東京を訪れます。そうした中、今大会が目指すのが「誰もが円滑につながる大会」です。
東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会では、大会開催を契機に駅のホームドア設置やホテルのバリアフリールームの整備など、都市のバリアフリー化が大きく進みました。
デフリンピックでは、大会を通じて国籍や障害のあるなしにかかわらず、スムーズにコミュニケーションがとれるデジタル技術の開発や普及を促進し、「いつでも・どこでも・誰とでもつながる」ユニバーサルコミュニケーションを社会に浸透させていきたいと考えています。
「透明ディスプレイ」は、音声を文字に変換し、透明な画面に表示できるツールで、大会会場の受付などでの活用を検討しています。この機器は、昨年度から都庁舎の総合案内をはじめ、38の都有施設に設置しています。透明な画面に文字を映し出すので、単なる文字での会話ではなく、相手の表情を見ながらコミュニケーションが可能です。また、音声を文字にするだけでなく、多言語翻訳にも対応しており、デフの方だけでなく、外国人の来場者への案内にも活用できます。
また、競技会場では、スタッフがさまざまな国籍のデフの方々に案内を行えるよう、多言語翻訳アプリの活用も検討しています。こうしたデジタル技術の大会活用を通じて、新たなコミュニケーションツールを社会に浸透させるきっかけにしていきます。
社会への普及のためには、こうした技術をさまざまな場面で活用し、コミュニケーションツールとしての利便性を広く伝えることが重要です。そのため、都では、前述の透明ディスプレイの設置に加え、スポーツイベントなどにおいて、アナウンスを会場のディスプレイに文字表示する取組も進めています。
また、今年2月には、昭和女子大学と連携し、「きこえる・きこえない」にかかわらず、デジタル技術を活用して誰もがつながるコンセプトカフェ「みるカフェ」を実施しました。デフの方を含む多くの方が来場し、デジタル技術を活用した新しいコミュニケーションを体験いただきました。
大会時には、競技会場での技術活用に加え、選手同士の交流拠点として設置予定の「デフリンピックスクエア」(代々木・国立オリンピック記念青少年総合センター)において、技術の展示・PRも検討しています。こうした取組により、都民にとって身近な場面での活用を進め、目に触れる機会を増やしていきたいと考えています。
また、デフの方をはじめ、あらゆる人にデフスポーツの競技観戦を楽しんでいただけるよう、例えば、卓球の競技音や声援を、競技会場に設置したディスプレイにオノマトペ(擬音語)で表し、可視化する「ミルオト」という機器の開発を、スタートアップ企業と協働で進めています。そのほか、競技音などを強弱がついたバイブレーションで伝える「振動デバイス」などの体験機会を設けることも検討しています。
こうした取組を通じて、ユニバーサルコミュニケーション技術の社会実装を進め、共生社会の実現につなげてまいります。