快適生活・暮らしのヒント-発達障害を抱える私が生活の中で実践している工夫
「新ノーマライゼーション」2025年6月号
宮本和典(みやもとかずのり)
(フリーランス、イラストレーター、双極性障害、発達障害(ADHD、ASD、LD))
発達障害を抱える一人として、日々の生活の中で実践している工夫をお伝えしたいと思います。まず、毎日の活動に一定のパターンを持たせることで、不安感を和らげるとともに、時系列に行動を整理することができます。例えば、朝起きてからのスケジュールを決め、決まった時間に起床し、食事、身支度そして通勤へと生きるリズムをつくり上げています。
次に、環境の整備にも工夫が必要です。私の場合、視覚的な刺激が多い環境では集中力が散漫になりがちです。そこで、デスク周りには必要最低限のものしか置かず、好きな色やデザインの文房具を使うことで、気分を上げています。腕に巻きつけるリストバンドのようなメモを携帯して大きな文字盤のキッチンタイマーを併用しています。このメモは人と話していて言葉で気になったキーワードや知らなかったことを聞いた時に書き留めたり、人との約束事やスケジュール帳に書き留められない時に日時や場所を書いて使っています。不必要になった情報は市販の消しゴムで消せるという優れものです。
時間管理も重要ポイントです。私にとって時間の感覚を把握することは容易ではありませんが、これにもテクニックを導入しています。25分作業したら5分休憩を取るポモドーロテクニックを使って時間管理が必要な時に先述のキッチンタイマーを使っています。これをやり出したおかげでなんとなく時間の把握ができておまけに身体的にも精神的にも心地よく感じられます。加えて、コミュケーションにも工夫が入ります。私は対人関係において少々の壁のある時、例えば、初対面時にはあらかじめ話す内容をメモとしてまとめておき、自分の気持ちを分かりやすく伝えるための感情カードやビジュアルスケジュールを用いています。
また、散歩、音楽、ピアノなどの楽器の演奏、作曲、料理レシピの研究、小説執筆、作詞、絵画、漫画、イラスト等、リラックスできる時間を意図的につくることも大切にしています。特に製作物としても手元に残るものは成果が実感できます。
最後に、一番重要な要素は周囲の理解ですが、自分だけで考えることは限界があります。私は月に一回当事者団体きなっせ!九州に参加し、日ごろの困りごとや生活上の工夫を当事者仲間と共有しています。「傷のなめあい」のようなイメージがある人もいますが、きなっせ!九州では、生活の工夫等について前向きで活発な意見交換が行われています。ルールが安心でき、わかりやすいことも一因かもしれません。
発達障害を抱えることは容易ではありませんが、自分に合った工夫や方法を見つけることで快適に過ごすことができると確信しています。私たち発達障害当事者が経験していることを共有し合うことでより豊かな共生社会を目指していきましょう。