地域発~人をつなぐ地域をつなぐ-能登半島での障害のある方の支援の取り組み

「新ノーマライゼーション」2025年8月号

公益財団法人日本障害者リハビリテーション協会/日本障害フォーラム(JDF)事務局
原田 潔(はらだきよし)

日本障害フォーラムでは、2024年1月の能登半島地震を受けて、同年5月にJDF能登半島地震支援センターを石川県七尾市に設置し、活動を続けています。全国の構成団体から週替わりで6名前後のスタッフが現地に入り、障害のある人への「個別支援」と、支援事業所に対する「事業所支援」の2つを柱に取り組んでいます。活動にあたっては、石川県内の障害者団体等との連絡会議を定期的に開催するとともに、地元自治体やAAR JapanなどのNGOとも連携しています。多くの方からの「活動支援金」をいただくとともに、ファイザー、ヤマト福祉財団、ゆめ風基金からのご支援もいただいており、この場を借りてお礼申しあげます。

さて地震が起きてから1年半以上が過ぎましたが、昨年9月の奥能登豪雨の被害もあり、復興への道のりは長く続く状況です。

そのような中で、障害のある人の暮らしはどうでしょうか。多くの方が直面する課題の1つは、移動です。私が現地の活動で実際に支援した方の例を挙げます。この方は歩行に困難があり、輪島市内の仮設住宅に一人暮らしされています。棟が50以上ある広大な仮設団地で、買い物ができそうなお店は徒歩圏にはありません。朝8時にご自宅に迎えに行き、通院のため穴水町内の病院まで車で45分かけてお送りしました。診察を終え病院を出たのが11時15分、帰りに薬局で薬を受け取り、スーパーで買い物をしてから帰宅したのが12時40分でした。担当のケアマネジャーさんはいらっしゃいますが、こうした日々の移動支援を提供できるサービス事業所はありません。同様のニーズのある方が、JDFが支援している範囲でも複数名いらっしゃいます。なおこの方は、地域での暮らしが難しくなり、高齢者施設への入所の手続きを進めておられます。

障害者支援事業所でも困難が続いています。奥能登では都市部や他県に転出した方も多いですが、能登で住み続ける障害のある方も大勢いらっしゃいます。事業所はどこも人手不足で、これまで行っていたカフェなどの活動を休止したところもあります。特に利用者の送迎のニーズが高く、それを職員が対応することで、事務作業もままならない状況です。JDFでは1台の車で複数の事業所を往復して、利用者の行き帰りの送迎を行い、その合間に事業所内での見守り支援を行うといった活動を続けています。

能登支援センターの活動は、当面今年の9月まで続けることとしていましたが、現地の個人や事業所などの皆さんに聞き取りを行ったところ、支援の継続を望む声が圧倒的だったため、来年3月まで活動を延長することとしました。一方で、県外から来たわれわれのような団体が、いつまで活動を続けられるのか、また今のような支援を続けることが適切なのかという課題があります。われわれが担っている活動を持続可能なものとするため、地元の組織やサービスとより密に連携し、共に取り組んでいくことが必要です。地元中心の取り組みを、広域や全国レベルで活動する組織が連携し支えていくなどの仕組みが求められます。これを念頭に、JDFでは石川県との定期的な意見交換を行っているほか、関連NGOなどとともに持続的支援のための検討調整会議を行っています。また、このたびの災害対策基本法等の改正で、災害時の福祉支援体制も強化されましたが、そのネットワークとの連携も模索しています。さらに、日々の取り組みを踏まえ、障害者権利条約に基づくインクルーシブな防災とまちづくりを引き続き提唱していきます。

JDFの活動の様子は「JDF災害総合支援本部」のホームページで発信しています。よろしければぜひご覧いただき、ご理解とご支援をいただければ幸いです。