バタフライエフェクト~就労支援の新たな仕組みと可能性
「新ノーマライゼーション」2025年9月号
社会福祉法人あすこみっと 雇用支援センターきらっと 管理者
友清綾(ともきよあや)
社会福祉法人あすこみっと 湖南地域障害者就業・生活支援センター センター長
相馬佐保(そうまさほ)
とても小さな変化だったものが、やがて予測もつかないほど大きな結果につながる現象「バタフライエフェクト」。
「就労選択支援事業? 就労アセスメントと何ら変わらないだろう」と思う人もいるかもしれません。しかし、「この変化は就労支援の仕組みを根本から考え直すきっかけ(起爆剤)になるのかもしれない」それが私たちが令和5年度の国のモデル事業に関わり感じたことです。
労働力不足、企業の障がい者雇用ニーズの高まり、民間参入が進み多様化してきた就労系福祉サービス。素敵な方向へ進んでいると思う半面、「このままで大丈夫なのか? 正しい方向に向かっているのか?」と不安になる日々が増えていきました。国のモデル事業の話をいただいたのは、そんな時期でした。
令和5年度モデル事業
私たちの福祉圏域では平成27年度の就労アセスメント本格実施に向けて自立支援協議会の中で目指すべき方向性の共有をしてきました。その頃に構築された就労アセスメントの手法等を軸に、新たに国から示された就労選択支援の流れやツールを試行し、これまで私たちの地域で行われてきた就労アセスメントを振り返るとともに、今後の就労選択支援の在り方を考えました。
限りなく多様な人(障害・生活状況)に対して取り組みたい思いを大切に、行政、福祉機関を含めさまざまな機関と連携し、14件のモデルケースを選出しました。
このモデル事業を通し、「協同」「情報提供」「多機関連携による中立・公平性の担保」といった視点がとても重要であることに気付かされました。すべてが「しているつもり」になっていたのです。
あすこみっとの地域での位置づけ
平成20年度以降、私たちは障がいのある人の「働く」が地域で豊かになっていくよう、就労移行支援という福祉サービスと、就業・生活支援センターという就労相談支援、この2つの就労支援に特化して活動してきました。法人規模が小さかったため法人内のマンパワーに頼ることはできず、福祉圏域内にあるさまざまな機関に支えていただきながら地域活動に取り組み、今に至っています。
就労選択支援事業開始に向けた現在の取り組み
私たちの地域では、各市障がい福祉課、基幹相談支援事業所、委託相談支援事業所、特別支援学校、就労移行支援事業所等を構成機関として、令和6年7月に「就労選択支援事業に向けた検討会」という名のプロジェクトチームを立ち上げました。検討会では就労選択支援事業ができる経緯や背景を知り、地域全体で共通認識を図ったうえで、私たちの地域が目指す就労選択支援事業の在り方を模索してきました。「事業所(就労系サービス事業所)に行くための手続きにはしない」「これまで誤った方向に進めてしまったことを、あるべき形に戻す」そんな思いを大切に、検討会の中で2つのワーキンググループをつくり、参加者全員が我がごととして、具体的な仕組みづくりに着手していきました。
ワーキンググループでは思うように検討が進まなかったり、時には思いがぶつかって、意見がまとまらないこともあり、正直、気持ちが折れそうになる時もありましたが、それでも、この過程すべてに意味があり、地域全体の合意形成を図るうえではかけがえのないプロセスであったと感じています。
さいごに
令和7年10月施行に向け、私たちの地域はさらにギアを上げて進んでいるところです。結果はどうであれ、こうして地域が一つになって取り組めたこと、そのこと自体が大きな成果といえるのではないかと感じています。
制度が新しくできる節目の時。仕組みづくりに、そして地域づくりに関わらせてもらえたことを誇りに思いながら、これからも地域の仲間たちとともに使命感を持って障がいのある人たちの“働く”に向き合っていきたいと思っています。